「外壁塗装は10年ごと」は嘘?数字の出どころと本当の判断基準

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結論から申し上げます。「外壁塗装は10年ごと」は、嘘とも本当とも言い切れません。10年という数字には根拠になりうる制度や事実が確かに存在します。ただし、そのどれもが「築10年であなたの家を塗り替えるべきだ」と定めたものではありません。この記事では、10年という数字がどこから来たのかを一次情報で3つに分解し、そのうえで実際に塗り替え時期を決める判断材料を整理します。

「そろそろ10年ですよね」という一言は、訪問販売の入り口にもなりますが、真面目な塗装店が誠実に使う言葉でもあります。大切なのは、その言葉を鵜呑みにすることでも、頭から疑うことでもありません。数字の出どころを知り、自分の家の状態と照らし合わせられるようになることです。この記事は業者を悪者にするために書いたものではなく、読者の方がご自身で判断できるようになることを目的としています。

目次

結論:「10年ごと」は目安としては合理的、義務としては誤り

最初に全体像をお伝えします。「10年ごと」という言い方は、次の2つの意味に分けると整理しやすくなります。

  • 目安としての10年……多くの家で「そろそろ点検して状態を確かめたほうがよい時期」に当たる。これは合理的です。
  • 義務・期限としての10年……「10年を過ぎたら塗らなければならない」「10年で塗らないと家が傷む」という主張。これは事実に基づきません。
  • 実際の塗り替え時期は、築年数ではなく塗膜と外壁の劣化症状、そして立地条件で決まります。

理由は単純です。塗料の性能は製品ごとに違い、同じ製品でも日当たりや海からの距離で持ちが変わるからです。にもかかわらず「10年」という数字だけが一人歩きしてきました。なぜ一人歩きしたのかを、次の章で分解します。

「10年」という数字の出どころを3つに分解する

外壁塗装の世界で「10年」が定着した背景には、少なくとも3つの別々の出どころがあると考えられます。順に確認していきます。重要なのは、この3つはいずれも「外壁塗装の塗り替え周期」を定めたものではない、という点です。

出どころ① 住宅品確法の10年間の瑕疵担保責任

1つ目は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)です。国土交通省の資料によれば、新築住宅については引き渡した時から10年間、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について瑕疵担保責任が課されます。この期間や範囲を、買主に不利な特約で短縮することは無効とされています(国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」)。

ここで押さえていただきたいのは、対象の範囲です。同資料では、構造耐力上主要な部分は基礎・柱・壁・床版・屋根版といった建物の骨組み、雨水の浸入を防止する部分は屋根・外壁・開口部といった防水機能を担う部分と説明されています。つまり守られているのは「雨水を止める性能」であり、「外壁の塗膜がきれいであること」そのものではありません。

チョーキング(外壁を触ると白い粉がつく現象)や色あせは、多くの場合ただちに雨水の浸入につながるものではありません。したがって「品確法の10年が切れるから塗り替えなければならない」という説明は、法律の対象範囲を取り違えています。逆に言えば、引き渡しから10年以内に雨漏りが生じたなら、まず売主・施工会社に相談すべき場面です。

出どころ② 長期優良住宅の「少なくとも10年ごとに点検」

2つ目は、長期優良住宅の認定基準です。国土交通省の資料では、認定を受けるために作る維持保全計画において「少なくとも10年ごとに点検を実施すること」、そして「構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分及び給水・排水設備について点検の時期・内容を定めること」が求められると説明されています(国土交通省「長期優良住宅認定制度の概要」)。

ここでの10年は「点検」の周期であって、「塗り替え」の周期ではありません。点検した結果、まだ塗り替えが必要ないという判断もあり得ます。ハウスメーカーの定期点検が10年目に手厚くなりがちなのも、この制度や新築時の10年保証と歩調を合わせているためと考えられます。営業の場面で「10年目の点検」と「10年目の塗り替え」が混ざって伝わると、聞いた側は「10年で塗るのが決まりごと」と受け取ってしまいます。

出どころ③ シリコン塗料の耐用年数10〜15年

3つ目が、塗料そのものの耐用年数です。戸建て住宅の外壁で長く主流だったシリコン系塗料の耐用年数は、一般的に10〜15年が目安とされています。この下限が10年であることが、「10年ごと」という言い方をもっとも直接的に支えてきました。

ただし、耐用年数は製品ごとに設定された期待値です。実際の持ちは日射量、降雨、海からの距離、外壁材の種類、下地処理の丁寧さで前後します。同じシリコン塗料でも、13年もつ家と9年で劣化が目立つ家があります。塗料ごとの目安は塗料の種類と耐用年数一覧で整理していますので、あわせてご確認ください。

3つの「10年」何を定めているか対象塗り替え時期を定めているか
住宅品確法の10年新築住宅の引渡しから10年間の瑕疵担保責任構造耐力上主要な部分/雨水の浸入を防止する部分定めていない(塗膜の美観は対象外)
長期優良住宅の10年維持保全計画で少なくとも10年ごとの点検構造・雨水浸入防止・給水排水設備定めていない(点検の周期)
シリコン塗料の10〜15年塗料製品の耐用年数の目安塗膜そのもの目安にはなるが幅がある
出典:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」、国土交通省「長期優良住宅認定制度の概要」、および塗料の耐用年数の一般的な目安をもとに編集部作成

3つを並べると分かるとおり、「10年で塗り替えるべき」と定めた公的なルールは確認できませんでした。10年は、複数の別々の制度と製品仕様がたまたま重なって生まれた数字です。合理的な目安ではありますが、義務ではありません。

塗り替え時期を決めるのは年数ではなく劣化症状です

では何を見ればよいのか。答えは劣化症状です。年数は「そろそろ見に行こう」というきっかけにすぎず、実際の判断は目で見て触って確かめる必要があります。以下に代表的な症状と、緊急度の考え方をまとめます。

劣化症状見分け方緊急度の目安放置した場合に想定されること
色あせ・つやの低下新築時と比べて色が薄い、光沢がない低(すぐの工事は不要)美観の低下。防水性能はまだ残っていることが多い
チョーキング手で外壁をこすると白い粉が付く中(点検・見積もり検討の時期)塗膜の樹脂が分解し、防水性が徐々に低下
コケ・藻・カビ北面や日陰の壁が緑や黒に変色中(原因の確認が必要)湿気が抜けにくい状態が続き、下地の劣化を早める
幅0.3mm未満のひび割れ髪の毛程度の細い線中(経過観察)拡大すると雨水の通り道になる
幅0.3mm以上のひび割れ名刺の厚み程度が入る幅高(専門家の確認を推奨)雨水が浸入しやすくなる
幅0.5mm以上のひび割れはっきり口を開けている高(早めの調査)構造や防水の瑕疵が存する可能性が高いと評価される幅
シーリングの破断・欠落目地のゴム状の材料が切れている、剥がれている高(早めの補修)目地から雨水が浸入し、内部で腐食が進む
塗膜の膨れ・剥がれ塗装面が浮いている、めくれている高(原因調査が必要)下地が露出し、外壁材そのものの劣化に進む
室内の雨染み・雨漏り天井や壁のシミ、カビ臭最優先(すぐ相談)構造材の腐食。塗装だけでは解決しない場合がある
出典:ひび割れ幅の区分は国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号、最終改正 平成18年国土交通省告示第308号)をもとに、その他の項目は編集部が一般的な劣化症状として整理

ひび割れの幅には公的な区分がある

ひび割れについては、公的な目盛りが存在します。住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(平成12年建設省告示第1653号、最終改正 平成18年国土交通省告示第308号)では、外壁のひび割れを幅で区分しています。湿式仕上材の場合、構造材にまたがるひび割れが幅0.3mm以上0.5mm未満であればレベル2(瑕疵が存する可能性が一定程度ある)、幅0.5mm以上であればレベル3(可能性が高い)とされています(国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」)。

ただし同じ告示には重要な但し書きがあります。レベル1に該当しても瑕疵が存する場合があり、レベル3に該当しても瑕疵が存しない場合がある、と明記されているのです。つまり幅だけで白黒が決まるわけではありません。それでも「0.3mm」「0.5mm」という公的な目盛りを知っておけば、業者の説明が過剰か妥当かを自分で測れます。ひび割れの補修方法と費用は外壁のひび割れ補修費用で詳しく扱っています。

チョーキングは「即工事」のサインではありません

チョーキングは、紫外線などで塗膜の樹脂が分解し、顔料が粉状になって表面に出てくる現象です。訪問販売でもっともよく使われる指摘でもあります。確かに塗膜の劣化を示すサインではありますが、粉が付いた翌日に雨漏りが始まるわけではありません。

チョーキングが出たら、まず記録を取ることをおすすめします。日付と場所を控え、写真を撮っておく。半年後、1年後に同じ場所を見て、進み方を比べる。ひび割れやシーリングの破断が一緒に出てきているかどうかも確認する。こうした経過観察ができれば、「今すぐ」という言葉に流されずに済みます。

シーリングは塗膜より先に寿命が来ることがあります

サイディング外壁のご自宅では、目地のシーリング(コーキング)に注目してください。シーリングは常に紫外線と伸縮にさらされるため、塗膜より先に切れることがあります。目地が切れたまま放置すると、そこから雨水が入り、外壁材の裏側や下地を傷めます。

シーリングだけが劣化している段階なら、打ち替えだけで対応できる場合もあります。逆に、塗膜がまだ持っているのに足場を組んでシーリングだけ直すのは効率が悪いという判断もあります。どちらが妥当かは、シーリングと塗膜のどちらがどれだけ傷んでいるかによって変わります。判断に迷う場合は、シーリングだけの補修と、塗装まで含めた工事の両方で見積もりを出してもらい、金額と効果を比べるとよいでしょう。

同じ築10年でも寿命が変わる立地条件

「10年ごと」がすべての家に当てはまらない最大の理由が、立地条件です。塗膜は紫外線・雨・風・塩分・温度差にさらされ続けます。その量が違えば、劣化の速度も当然変わります。

海沿いについては、参考になる技術資料があります。日本金属屋根協会が公開する技術資料(JFE鋼板による寄稿「外装鋼板における塩害腐食の特徴」)では、飛来塩分の影響が海岸からの距離に大きく依存すること、海岸から数百メートルまでは塩分量が多く、とくに海岸からおよそ250メートル以内では塩害腐食が大きいことが示されています。また飛来塩分量が一定値以下になる距離は地域差が大きく、日本海沿岸部では内陸まで影響が及ぶ一方、瀬戸内沿岸部では1km程度とされています(日本金属屋根協会 技術資料)。

これは金属屋根材に関する資料であり、外壁塗膜の耐用年数を直接示したものではありません。ただ、同じ「築10年」でも、海から200メートルの家と内陸5kmの家では外部環境がまったく違う、という事実は共通します。全国一律の「10年」が乱暴な目安である理由が、ここにあります。

立地・条件主に効いてくる要因劣化の傾向点検で重点的に見る場所
海に近い(数百m以内)飛来塩分金属部・付帯部のさびが進みやすい雨戸、庇、手すり、換気フード
南面・西面の日当たりが強い紫外線・高温色あせやチョーキングが早く出やすい南西面の壁全体
北面・日陰・風通しが悪い湿気コケ・藻・カビが出やすい北面、隣家との隙間
積雪地・寒冷地凍結融解の繰り返しひび割れや塗膜の剥がれが進みやすい基礎まわり、水切り、下部の壁
交通量の多い道路沿い排気ガス・粉じん汚れの付着が早い(汚れ=劣化とは限らない)道路側の壁、サッシまわり
出典:塩害と海岸からの距離の関係は日本金属屋根協会 技術資料(JFE鋼板寄稿)を参照。その他は一般的な傾向として編集部が整理

この表で強調したいのは、最後の行です。道路沿いの家は壁が黒ずみやすいのですが、それは付着した汚れであって、塗膜が壊れているとは限りません。洗浄で落ちる汚れと、塗膜そのものの劣化は別物です。この2つを混ぜて「こんなに汚れています、限界です」と説明されたら、一度立ち止まってください。

早すぎる塗り替えと遅すぎる塗り替え、損が大きいのはどちらか

ここでは少し違う角度から「10年ごと」を検証します。仮に10年ごとに塗り替えた場合と、15年ごとに塗り替えた場合で、支出はどう変わるのか。年あたりのコストに直して比べてみます。

まず塗料そのもののコストです。塗装工事の塗料別の単価と耐用年数の目安を、1平方メートル・1年あたりに割り戻すと、次のようになります。単価の下限を年数の上限で、単価の上限を年数の下限で割った幅です。

塗料の種類㎡単価の目安耐用年数の目安1㎡・1年あたりに換算
アクリル1,000〜1,800円5〜8年約125〜360円
ウレタン1,600〜2,500円7〜10年約160〜357円
シリコン2,000〜3,500円10〜15年約133〜350円
ラジカル2,800〜3,500円13〜15年約187〜269円
フッ素3,000〜5,500円15〜20年約150〜367円
無機3,800〜6,000円15〜25年約152〜400円
出典:㎡単価と耐用年数は当メディアの相場データ(各社見積もりの分布をもとにした目安)。1㎡・1年あたりの数値は編集部による単純計算。無機塗料は市場に出てからの年数が浅く、耐用年数の実績データが少ないため信頼度は低めです

この表から読み取れることは、意外かもしれません。塗料のグレードを上げても、1年あたりに直すとコストはさほど変わらないのです。どの塗料もおおむね1㎡あたり年間100〜400円の幅に収まります。高い塗料は長持ちし、安い塗料は短命なので、割り算をすると差が縮むためです。

では、どこで差がつくのか。足場です。外壁塗装では塗料代とは別に足場が必要で、その費用は600〜1,500円/㎡が目安です(幅が出るのはメッシュシートが含まれるかどうかなどの違いによります)。足場は塗り替えのたびに、毎回まるごとかかります。

ここが重要です。仮に今後30年間で考えると、10年ごとに塗れば足場は3回、15年ごとなら2回です。差は1回分。塗料のグレードを1段階上げる金額より、足場1回分のほうが大きくなることは珍しくありません。つまり「早すぎる塗り替え」の無駄は、塗料代よりも足場代に表れます。足場の相場は外壁塗装の足場代の相場で詳しく解説しています。

ただし、遅すぎる場合の損失も見ておく必要があります。塗膜が完全に失われ、下地まで傷んだ状態になると、工事は「塗装」から「補修を伴う塗装」、さらには「張り替え」へと段階が変わります。作業が増えれば費用も工期も増えます。雨水が構造材まで届いていれば、塗装では解決できません。

  • 早すぎる塗り替えの損……足場を余計に1回組むこと。塗料の残存性能を捨てること。
  • 遅すぎる塗り替えの損……下地補修や張り替えへの移行。工事の選択肢が減ること。
  • どちらの損も、定期的に状態を見ていれば避けやすくなります。

結論として、「10年で必ず塗る」でも「限界まで引っ張る」でもなく、10年前後で一度きちんと見て、症状に応じて実施時期を決めるという運用が現実的です。この考え方は外壁塗装のタイミングでも整理しています。

「10年経ったから今すぐ」と迫る訪問販売への向き合い方

ここまでの内容を踏まえると、「築10年ですよね、今すぐ塗らないと危ないですよ」という勧誘が、なぜ危ういのかが見えてきます。年数だけを根拠にしており、症状も立地も見ていないからです。

実際、相談件数は増えています。国民生活センターがまとめた消費生活相談の集計によれば、点検商法に関する相談件数は2023年度の12,550件から2025年度は19,696件へと増加しています。なお、この集計は2026年5月31日時点のもので、件数は今後変動する可能性があります(国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」)。

また国民生活センターは2023年10月11日に「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」という報道発表を行っています。そこでは典型的な勧誘トークとして、次のような言い回しが紹介されています(国民生活センター報道発表資料)。

  • 「近所で工事をしているが、屋根瓦がずれているのが見えた」
  • 「このままだと台風が来たら雨漏りしますよ」
  • 「この場で契約するなら特別に安くしますよ」
  • 「保険金を使って修理すればいいじゃないですか」

共通しているのは、不安をあおって即決を迫る構造です。「10年経ちましたよね」という切り出しも、そこに接続されると同じ働きをします。同発表では、突然訪問してきた業者に安易に点検を頼まないこと、その場で契約せず複数社から見積もりを取ること、保険金を使えるという勧誘に注意すること、不安なときは消費生活センターに相談することが呼びかけられています。

クーリング・オフは書面を受け取った日から8日以内

万が一その場で契約してしまっても、取り消せる仕組みがあります。消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、訪問販売は「営業所等以外の場所で契約を締結等して行う」取引にあたり、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録により申込みの撤回や契約の解除ができます(消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問販売」)。

同ガイドでは、事業者に契約書面の交付義務があること、書面をよく読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載する義務があること、勧誘の際に事実と違うことを告げる「不実告知」が禁止されていることも示されています。「10年経ったので法律上そろそろ塗り替えが必要です」といった説明は、これまで見てきたとおり事実と異なります。

断り方に迷う方は外壁塗装の訪問販売の断り方を、業者の見極め方は悪徳業者の見分け方をご覧ください。

訪問販売がすべて悪質というわけではありません

誤解のないように申し添えます。訪問して営業する会社がすべて悪質なのではありません。地域に根ざした塗装店が、施工実績のある地区を回って声をかけることもあります。「そろそろ10年ですね」という案内自体も、ここまで見てきたとおり一定の合理性があります。

見分けるべきは、業者が訪問してきたかどうかではなく、次の点です。年数だけでなく症状を根拠にしているか。写真や計測値を示して説明できるか。その場で契約を迫らないか。他社の見積もりを取ることを嫌がらないか。

なお、塗装工事は請負代金が税込500万円未満であれば建設業の許可がなくても請け負えます。これは国土交通省が「軽微な建設工事」として示しているもので、金額には消費税および地方消費税が含まれます(国土交通省「建設業の許可」)。許可がないこと自体は違法ではありませんが、判断材料の一つにはなります。

見積書の見方については、国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センター(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター、通称「住まいるダイヤル」)が、工事箇所・数量・仕様・単価を確認すること、契約前に工事範囲を再確認すること、曖昧な部分を残さないことなどをセルフチェックのポイントとして公開しています(住まいるダイヤル 見積書セルフチェック)。中立の公的機関の情報なので、一度目を通しておくと安心です。

築年数別・現実的な判断の進め方

最後に、築年数ごとに「何をすべきか」を整理します。ここでの築年数は、あくまで行動を起こすきっかけとしての目安です。実際の判断は症状で行ってください。

築年数やることやらなくてよいこと注意点
築0〜5年年1回、自分の目で外周を一周して写真を残す塗り替えの検討新築の10年保証の対象期間。雨漏りが出たら売主・施工会社へ
築6〜9年チョーキング、シーリング、ひび割れの有無を確認年数を理由にした塗り替え症状が出ていれば早めに専門家へ。出ていなければ様子見でよい
築10〜12年複数社に点検・見積もりを依頼し、状態を第三者の目で確認1社の説明だけで即決すること「10年だから」ではなく「どの症状が出ているか」を聞く
築13〜17年シーリングの状態を重点確認。塗り替えの実行時期を決める塗膜が持っているのに慌てることこの時期に多くの家が実施時期に入る
築18年以上下地の状態も含めて調査。塗装以外の選択肢も比較塗装だけで解決すると決め打ちすること張り替えやカバー工法のほうが妥当な場合もある
出典:新築住宅の10年間の瑕疵担保責任は国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」による。行動の目安は編集部が整理

どの時期にも共通する行動が一つあります。写真を撮って残すことです。スマートフォンで、同じ場所を同じ角度から、年に1回撮る。それだけで「劣化が進んだかどうか」を自分で判断できるようになります。訪問してきた業者が示す写真に対しても、比較材料を持てます。

また、工事を実施する際にはリフォーム瑕疵保険という選択肢もあります。国土交通省の説明によれば、これは検査と保証がセットになった保険で、住宅瑕疵担保責任保険法人が引き受けます。保険を利用するには事業者が保険法人へ登録している必要があり、工事の施工中や完了後に第三者検査員(建築士)による現場検査が行われます(国土交通省「リフォーム瑕疵保険」)。すべての業者が対応しているわけではありませんが、検討時に確認する価値はあります。

よくある質問

結局、「外壁塗装は10年ごと」は嘘なのでしょうか

嘘と決めつけることはできません。シリコン塗料の耐用年数の下限が10年であること、長期優良住宅で少なくとも10年ごとの点検が求められること、新築住宅の瑕疵担保責任が10年であることなど、10年という数字が出てくる根拠は複数存在します。ただし、いずれも「築10年で塗り替えなければならない」と定めたものではありません。目安としては合理的で、義務としては誤り、というのが正確な理解です。

築15年ですが何の症状も出ていません。それでも塗るべきですか

症状が本当に出ていないのであれば、慌てる必要はありません。ただし「症状が出ていない」という判断が正しいかどうかは、一度確かめたほうが安心です。高所や北面は地上から見えにくく、シーリングの切れは近づかないと分かりません。複数の会社に点検を依頼し、指摘された箇所が一致するかどうかを見てください。1社だけが大げさな指摘をする場合、その根拠を尋ねるとよいでしょう。

チョーキングが出たらすぐ塗り替えないと家が傷みますか

チョーキングは塗膜の劣化を示すサインですが、それ単独で緊急性が高いとは言えません。防水性能が徐々に低下していく途中の段階だからです。同時にひび割れやシーリングの破断、塗膜の膨れが出ているかどうかを確認してください。それらが重なっている場合は、早めに専門家に見てもらうことをおすすめします。単独であれば、記録を取りながら経過を追う対応で足りることが多いです。

「品確法の10年保証が切れるので塗り替えを」と言われました

その説明は、法律の対象範囲を取り違えています。住宅品確法の10年間の瑕疵担保責任は、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」を対象としたものです。外壁の塗膜の見た目そのものを保証する制度ではありません。また、期間が切れることと塗り替えの必要性は別の話です。事実と違う説明で勧誘することは特定商取引法で禁止されていますので、気になる場合は消費生活センターへの相談も選択肢になります。

高い塗料を選べば塗り替え回数が減って得をしますか

一概には言えません。この記事で示したとおり、㎡単価を耐用年数で割った1年あたりのコストは、塗料の種類が変わってもおおむね同じ幅に収まります。得になりうるのは、塗り替え回数が減ることで足場を組む回数が減る点です。ただし、家の残りの居住予定年数や、外壁材そのものの寿命も関係します。あと10年住む予定の家に25年もつ塗料を使う必然性は薄い、という判断もあり得ます。

まとめ

「外壁塗装は10年ごと」という言葉の正体を、一次情報から整理してきました。最後に要点をまとめます。

  • 「10年で塗り替えるべき」と定めた公的なルールは確認できませんでした。
  • 住宅品確法の10年は、新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分が対象で、塗膜の美観とは範囲が違います。
  • 長期優良住宅の10年は「点検」の周期であり、「塗り替え」の周期ではありません。
  • シリコン塗料の耐用年数10〜15年は目安であり、立地や下地処理で前後します。
  • 実際の判断材料は、チョーキング、ひび割れの幅、シーリングの破断、塗膜の膨れ・剥がれ、コケなどの症状です。
  • ひび割れは幅0.3mm・0.5mmという公的な目盛りがあり、自分でも測れます。
  • 早すぎる塗り替えの無駄は足場代に、遅すぎた場合の負担は下地補修や張り替えへの移行に表れます。
  • 年数だけを根拠に即決を迫る勧誘には注意が必要です。訪問販売は書面受領日から8日以内であればクーリング・オフができます。

10年という数字は、否定すべき迷信でも、従うべき決まりでもありません。「そろそろ確かめてみよう」と思うための、便利な目印です。目印に立ち止まったあと、何を見るかを知っていれば、必要のない工事も、手遅れの工事も避けやすくなります。ご自宅の外壁を、まずは一周して写真を撮るところから始めてみてください。

見積もりを取るときに使えるサービス

ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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