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モルタル外壁の塗装費用は、延床30坪の戸建てでおよそ80万〜130万円が一つの目安です。サイディングと大きく違うのは、リシンやスタッコといった「仕上げの凹凸」で塗料の使用量が変わること、そしてひび割れ(クラック)補修費が総額に上乗せされることの2点です。この記事では、費用内訳を㎡単価まで分解し、仕上げ別の塗料量の差とクラック補修の相場を、出典を示しながら整理します。
モルタル外壁の塗装費用は30坪で約80万〜130万円が目安
結論から書きます。モルタル外壁の塗り替えは、延床30坪・2階建て・シリコングレードの塗料という一般的な条件で、足場代と下地補修を含めた総額80万〜130万円程度に収まるケースが多く見られます。ただしこれは「よくある条件がそろった場合」の数字であり、ひび割れの量や仕上げの種類によって上下に振れます。
複数の施工会社・比較サイトが公開している坪数別の相場を並べると、次のようになります。金額はいずれも足場代を含む総額の目安です。
| 延床坪数 | クイック屋根工事の相場 | フォーグッドの相場 |
|---|---|---|
| 20坪 | 60万〜95万円 | 約50万〜90万円 |
| 30坪 | 80万〜120万円 | 約80万〜120万円 |
| 40坪 | 100万〜150万円 | 約95万〜150万円 |
| 50坪 | 120万〜180万円 | 約120万〜170万円 |
2社の数字はかなり近い水準にそろっています。一方で、リショップナビ外壁塗装は30坪一戸建ての総額を「60万〜100万円」と、やや低めに紹介しています(出典:リショップナビ外壁塗装)。同じ「30坪」でも数十万円の開きが出るのはなぜでしょうか。
サイトごとに相場がずれる最大の理由は「塗装面積の出し方」
相場がばらつく原因の多くは、坪数から塗装面積を割り出すときの係数の違いにあります。当メディアでは、延床坪数 × 3.3 × 係数1.2 という式を採用しています。この式だと延床30坪の塗装面積は約119㎡です。
ところが、先ほど引用したフォーグッドは30坪の塗装面積を148㎡としています。これは係数を1.5前後で計算した数字です。クイック屋根工事は30坪を140㎡として内訳を組んでいます。つまり同じ「30坪」でも、記事によって前提の面積が119㎡から148㎡まで、最大で約1.25倍の開きがあるということです。㎡単価が同じでも、面積が1.25倍になれば総額も1.25倍になります。
係数が大きくなる理由は、建物の形状にあります。凹凸の多い家、玄関ポーチや出窓が多い家、屋根の勾配がきつい家は、延床面積に対して外壁の実面積が大きくなります。逆に、総二階の四角い家は係数が小さくなります。ですから「うちは30坪だから100万円」と単純に当てはめず、見積書に書かれた塗装面積の㎡数を必ず確認してください。
なお、「延床30坪」と「建坪30坪」は別物です。建坪30坪の2階建ては延床約60坪(約238㎡)に相当し、塗装面積も2倍近くになります。業者と面積の話をするときは、どちらの坪数なのかを最初にすり合わせておくと、後の食い違いを防げます。
モルタル外壁塗装の費用内訳を㎡単価で分解する
総額だけを見ても高いか安いかは判断できません。判断できるのは、㎡単価に分解したときだけです。ここでは延床30坪・塗装面積119㎡をモデルに、工程ごとの単価と概算金額を示します。
| 工程 | 単価の目安 | 119㎡での概算 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 足場設置・解体 | 600〜1,500円/㎡ | 約7万〜18万円 | 幅の理由はメッシュシート込みか別かの違い |
| 飛散防止ネット | 100〜300円/㎡ | 約1万〜4万円 | 足場代に含む見積もりも多い |
| 高圧洗浄 | 100〜400円/㎡ | 約1万〜5万円 | バイオ洗浄は高め |
| 養生 | 100〜400円/㎡ | 約1万〜5万円 | 窓・床・植栽の保護 |
| 下地・クラック補修 | 一式 | 約3万〜15万円 | モルタル特有。変動が最も大きい |
| 塗料(シリコン・3回塗り) | 2,000〜3,500円/㎡ | 約24万〜42万円 | 下塗り〜上塗りの一式単価 |
| 付帯部塗装 | 一式 | 約5万〜15万円 | 雨樋・破風・軒天・雨戸など |
| 諸経費 | 工事費の5〜30% | 約3万〜25万円 | 定義によって幅が大きい |
この表の単価をすべて下限で積み上げると約45万円、すべて上限で積み上げると約130万円になります。ただし、すべての項目が下限でそろう見積もりは現実にはほとんどありません。足場が安ければ塗料が高い、塗料が安ければ補修が別途、というように、どこかで帳尻が合うのが普通です。実勢の中心帯が80万〜120万円あたりに落ち着くのは、そのためだと考えられます。
実際の見積書の一例として、クイック屋根工事は30坪・140㎡想定で、足場850円/㎡(15万3,000円)、高圧洗浄200円/㎡(2万8,000円)、下地補修一式8万円、微弾性フィラー800円/㎡(11万2,000円)、シリコン塗料2,300円/㎡(32万2,000円)、付帯部塗装一式15万円という内訳を公開しています。合計すると85万円前後になり、先ほどの相場帯とも整合します。
ここで注目したいのが「微弾性フィラー800円/㎡」という項目です。フィラーとは、モルタルの細かなひび割れや凹凸を埋めながら密着性を高める下塗り材のことです。サイディングの見積書では下塗りがシーラー1回で済むことが多いのに対し、モルタルではこのフィラー工程が入るぶん、下塗りの単価が上がりやすくなります。工程ごとの相場をもう少し詳しく知りたい方は、外壁塗装の費用内訳もあわせてご覧ください。足場だけを切り出した相場は外壁塗装の足場代の相場で解説しています。
諸経費は「5%前後」と「30%前後」で意味が違う
見積書の最後にある「諸経費」は、業者によって定義が異なります。現場管理費だけを指す場合は工事費の5%前後、一般管理費(本社経費・広告費・営業経費など)まで含める場合は30%前後になることがあります。諸経費の率だけを見て「高い」「安い」と判断するのは危険で、その中身に何が含まれるのかを聞くほうが実用的です。
住宅リフォーム紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)も、見積書のセルフチェックとして「工事箇所、数量、仕様や単価を確認」「数量は正確に積算されていますか」「記載漏れ等がないか確認しましょう」という視点を挙げています(出典:住宅リフォーム紛争処理支援センター)。数量と単価が書かれていない見積書は、比較のしようがありません。
仕上げの凹凸で塗料の使用量が変わる|モルタル最大の費用要因
ここからがモルタル外壁の本題です。モルタルは仕上げの種類によって塗料の使用量が変わり、それが㎡単価に跳ね返ります。工場でほぼ平滑に成型される窯業系サイディングにはない、モルタル特有の費用構造です。この点を理解しているかどうかで、見積書の読み方が変わります。
リシン・スタッコ・吹き付けタイル・ジョリパットの違い
モルタル下地の上に施される代表的な仕上げは4種類です。凹凸の深さがそれぞれ違うため、塗料が入り込む「谷」の体積も変わります。
| 仕上げ | 表面の状態 | 厚み・骨材の目安 | 耐用年数の目安 |
|---|---|---|---|
| リシン吹き付け | 砂壁状のざらざらした細かい凹凸 | 塗膜約3〜4mm/骨材0.3mm・0.9mm・1.5mm | 7〜10年程度 |
| スタッコ | 波打つような厚く深い凹凸 | 塗膜約5〜10mm | 約10年 |
| 吹き付けタイル(玉吹き) | 骨材なしの玉状の凹凸 | シーラー→主材→上塗りの3工程 | 10年前後 |
| ジョリパットなど左官仕上げ | コテ跡を生かした意匠パターン | 剣先・スパニッシュ・クシ引きなど | 15〜20年程度とされる |
凹凸が深いほど、同じ面積を塗るのに必要な塗料は増えます。ユーコーナビは「凹凸が少ないサイディングなどと比べると、スタッコ外壁は2倍以上の塗料が必要」と説明しています。外壁塗装駆け込み寺はさらに踏み込んで「スタッコ仕上げに必要な塗料は、他の外壁の約3倍と言われています」としています(出典:外壁塗装駆け込み寺)。
2倍と3倍では開きがありますが、これは比較の前提が違うためと考えられます。上塗り塗料だけを比べているのか、下塗り材や模様の吹き直しまで含めて比べているのかで、倍率は変わります。いずれの出典も「スタッコは平滑面より明確に塗料を食う」という方向性では一致しており、この点は見積もりを見るうえで押さえておく価値があります。
また、リシンやスタッコの再塗装ではローラーが凹凸に届きにくく、刷毛を併用したり、砂骨ローラーのような専用の道具を使ったりします。栗原塗装工業も、リシン仕上げの再塗装について「凹凸のためローラーが使えず刷毛塗りとなり、時間と手間がかかる」と説明しています。材料費だけでなく人工(にんく)も増えるということです。
メーカーの「標準塗坪」が示す1.5倍の幅
この「使用量が変わる」という話は、感覚論ではありません。塗料メーカーのカタログ数値にはっきり表れています。
エスケー化研の外壁用シリコン塗料「エスケープレミアムシリコン」の標準塗坪は、15kg缶あたり43〜68㎡です(出典:エスケー化研)。同じ缶で塗れる面積が、条件によって最大で約1.58倍も違うということです。同社は「標準塗坪は、一般的なものであり、下地の状態や環境などによる所要量の増減に応じて変わることがあります」と明記しています。
平滑なサイディングなら68㎡側に近づき、深い凹凸のスタッコなら43㎡側に近づく、という理解でおおむね差し支えありません。119㎡を2回塗る場合、68㎡/缶なら約3.5缶、43㎡/缶なら約5.5缶が必要になります。缶数にして2缶分、材料費だけで数万円の差が生まれる計算です。
仕上げ材そのものの設計価格にも同じ傾向が出ています。エスケー化研の意匠仕上げ材「ベルアート」は、フラット仕上げが4,150円/㎡(下塗材込み)、スタッコ仕上げが5,310円/㎡(下塗材込み)と、同じ製品でもパターンによって約1.28倍の差が設定されています(出典:エスケー化研)。メーカーの価格表の時点で、凹凸のコストは織り込まれているわけです。
見積もりを取るときに伝えるべき3つの情報
以上を踏まえると、モルタル外壁で相見積もりを取るときは、次の3点を最初に各社へ同じように伝えるのが有効です。条件がそろっていない見積書を並べても、比較にならないからです。
- 仕上げの種類(リシン/スタッコ/吹き付けタイル/ジョリパットなど。分からなければ壁の写真を撮って見せる)
- ひび割れの本数と場所、いちばん太いひびのおおよその幅
- 前回の塗り替え時期と、そのとき弾性塗料を使ったかどうか
そのうえで、見積書には「塗装面積〇㎡」「使用塗料の製品名」「塗り回数」が書かれているかを確認します。製品名が分かれば、メーカーの標準塗坪から必要な缶数を逆算でき、塗料代が妥当かどうかの当たりがつきます。サイディングとの単価の違いはサイディング塗装の費用と読み比べると、より輪郭がはっきりします。
クラック補修費が総額をどこまで押し上げるか
モルタル外壁の見積もりで、金額が最も読みにくいのがひび割れ補修です。ひびの幅と本数によって、数万円で済むこともあれば、15万円以上かかることもあります。ここを「一式」で片付けている見積書は、後から追加費用が出やすい部分です。
まず、ひび割れは幅で扱いが分かれます。ヌリカエは、0.3mm未満をヘアークラック、0.3〜1.0mmは早期補修が必要、1.0mm以上を構造クラックとして直ちに補修を推奨する、と整理しています。街の外壁塗装やさん東東京店は、構造クラックを「幅0.3mm以上、深さ5mm以上」と定義しており、境界線の引き方はサイトによって多少異なります。
| ひび割れの状態 | 主な補修方法 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 幅0.3mm未満(ヘアークラック) | シール工法・微弾性フィラーによるすり込み | 1mあたり700円前後/総額2万〜5万円 |
| 幅0.3mm以上 | 樹脂注入工法 | 1㎡あたり2,900円前後/総額4万〜8万円 |
| 幅1.0mm以上(構造クラック) | UカットまたはVカット後のシーリング充填 | 1㎡あたり4,900円前後/総額8万〜15万円 |
| ヘアークラック(別の集計) | シール材充填 | 1mあたり1,000〜2,000円 |
| 構造クラック(別の集計) | カット+充填+模様補修 | 1mあたり3,000〜8,000円 |
表を見ると、単価の表記が「1mあたり」と「1㎡あたり」で混在していることが分かります。これは補修方法によって数量の数え方が変わるためで、実際の見積書でも両方の書き方が登場します。比較のときは、単位が同じ見積書どうしで並べるか、面積・延長のどちらかに換算し直す必要があります。
構造クラックの補修で見落とされがちなのが、模様の復旧費用です。UカットやVカットでひび割れを削り取ると、そこだけリシンやスタッコの模様が消えてしまいます。元の模様に近づける吹き直しや刷り込みが必要になり、そのぶん手間が増えます。街の外壁塗装やさん東東京店も、劣化が進んだ場合の対応として「剥離後の模様付けからやり直し」という段階を挙げています。
なお、ひび割れ補修の詳しい工法別の相場は外壁のひび割れ補修費用で個別に解説しています。見積書の補修費が妥当かどうかを判断する前に、自宅のひびがどの分類に当たるのかを確認しておくと話が早く進みます。
「下地補修一式」と書かれていたら聞くべきこと
下地補修が「一式8万円」とだけ書かれている見積書は珍しくありません。これ自体がただちに問題というわけではありませんが、次の点を確認しておくと、追加請求のトラブルを避けやすくなります。
- その金額に含まれるひび割れの本数・延長は何mまでか
- 足場を組んでから追加のひびが見つかった場合、どう精算するのか
- Uカットが必要になった場合の単価はいくらか
- 模様の復旧はその金額に含まれるのか
住まいるダイヤルも、契約時の注意として「工事範囲を必ず再確認しましょう」「追加工事が発生した場合について事前に打ち合わせておきましょう」と呼びかけています。モルタル外壁は足場を組んで初めて分かるひび割れがあるため、追加工事の取り決めをしておく実益は大きいと言えます。
塗料グレードの選び方と、弾性塗料を選ぶ判断基準
塗料は㎡単価と耐用年数のバランスで選びます。モルタルの場合、これに「ひび割れへの追従性をどこまで求めるか」という軸が加わります。まず基本のグレード比較から確認しましょう。
| 塗料の種類 | ㎡単価の目安 | 耐用年数の目安 | 119㎡での塗料工事費 |
|---|---|---|---|
| アクリル | 1,000〜1,800円 | 5〜8年 | 約12万〜21万円 |
| ウレタン | 1,600〜2,500円 | 7〜10年 | 約19万〜30万円 |
| シリコン | 2,000〜3,500円 | 10〜15年 | 約24万〜42万円 |
| ラジカル | 2,800〜3,500円 | 13〜15年 | 約33万〜42万円 |
| フッ素 | 3,000〜5,500円 | 15〜20年 | 約36万〜65万円 |
| 無機 | 3,800〜6,000円 | 15〜25年 | 約45万〜71万円 |
耐用年数はメーカーの期待値であり、環境によって変わります。参考までに、エスケー化研は「エスケープレミアムシリコン」の期待耐用年数を14〜16年としています。一方、同社の意匠仕上げ材「ソフトリシン」の期待耐用年数は4〜6年、「ベルアート」は6〜9年です。仕上げ材そのものと、その上に塗る上塗り塗料とでは、期待される寿命が違うという点は覚えておくと役に立ちます。塗料ごとの比較は塗料の種類と耐用年数一覧で詳しく整理しています。
弾性塗料は3つの工法に分かれる
モルタル外壁でよく提案されるのが弾性塗料です。ゴムのように伸びる塗膜でひび割れに追従させる考え方で、大きく3つの工法があります。
- 微弾性工法:下塗りに微弾性フィラーを使い、中塗り・上塗りと合わせて計3回。最も一般的で費用も抑えやすい
- 単層弾性工法:シーラー下塗りのあと、中塗り・上塗りに弾性塗料を使う計3回
- 複層弾性工法:下塗り1回・中塗り2回・上塗り2回の計5回。伸びは大きいが工程が増えるぶん高額
工程数は出典によって表記が分かれます。街の外壁塗装やさん東東京店は複層弾性を5回工程としていますが、ヌリカエは複層弾性塗料を「約7回」の工程として紹介しています(出典:ヌリカエ)。下塗り材の回数の数え方の違いと考えられますが、いずれにしても複層弾性は工程が最も多く、その分だけ費用と工期が増えることは共通しています。リショップナビ外壁塗装も、複層タイプについて「5回塗りのため費用が高くなる」と説明しています。
価格差の目安として、エスケー化研の弾性タイプ「エスケー弾性プレミアムシリコン」の設計価格は3,220円/㎡(複層塗材の上塗りに用いる場合)で、非弾性の「エスケープレミアムシリコン」の2,920円/㎡より約10%高い設定です。期待耐用年数はどちらも14〜16年とされています。つまり弾性を選んだからといって寿命が延びるわけではなく、追加費用はひび割れ追従性に対して払うものと理解するのが実態に近いでしょう。
弾性塗料と濃い色の組み合わせでふくれが起きることがある
弾性塗料には、知っておくべき弱点があります。塗膜のふくれ(膨れ)です。街の外壁塗装やさん東東京店は、弾性塗料のデメリットとして「通気性が低い」ため「塗膜が膨れる現象が起こることがある」と説明し、サイディングに弾性塗料を使わない理由として「内部に湿気が溜まりやすい」ことを挙げています。
メカニズムとしては、塗膜の下に残った水分が日射で温められて気化し、逃げ場を失って塗膜を押し上げる、という説明が一般的です。日本ペイントの技術資料も、ふくれを「塗膜がその内部に含まれる液体やガス、さび等によりふくれる現象」と定義し、原因として「塗装時、被塗面が結露など水分があった場合や水分が混入した場合」「急激な加熱により塗膜中の溶剤分が内部で気化」することを挙げています(出典:日本ペイント 塗膜形成後のトラブル資料)。
濃い色は日射を吸収して表面温度が上がりやすいため、「弾性塗料+濃色+強い西日」という条件が重なると、ふくれのリスクが相対的に高まると説明する施工会社は少なくありません。ただし「濃色にすると必ずふくれる」という定量的な公的データは、今回の調査では確認できませんでした。断定はできませんが、次のような場合は業者に一度確認する価値があります。
- 過去に弾性塗料を重ねており、既存の塗膜が厚く積み上がっている
- 南面や西面で、濃いネイビーやブラウンなどの色を検討している
- 雨漏りや壁内結露の心当たりがあり、下地に水分が残っている可能性がある
- すでに部分的なふくれや塗膜の浮きが見つかっている
ひび割れがほとんどなく、下地も健全なモルタル壁であれば、弾性にこだわらず一般的なシリコンやラジカルで十分というケースもあります。逆に、ヘアークラックが全面に散っている壁では、微弾性フィラーで下地を整える意味は大きくなります。弾性かどうかは「壁の状態を見てから決める」項目であり、最初から一択で提案されたら理由を尋ねてみてください。
モルタルとサイディングでは費用構造がどう違うか
同じ30坪でも、モルタルとサイディングでは費用の内訳が違います。総額は近い水準になることもありますが、お金のかかる場所が入れ替わります。
| 比較項目 | モルタル外壁 | 窯業系サイディング |
|---|---|---|
| 目地シーリング | 板の継ぎ目がなく、原則としてサッシ廻りなど部分的 | 打ち替え900〜1,500円/m、増し打ち500〜1,000円/m。30坪で総延長150〜200m |
| ひび割れ補修 | 発生しやすく、費用が読みにくい。数万円〜15万円超 | 板そのもののひび割れは比較的少ない |
| 下塗り | 微弾性フィラーなど厚みのある下塗り材を使うことが多い | シーラーやプライマー1回が中心 |
| 塗料の使用量 | 仕上げの凹凸により増える(スタッコで2〜3倍という説明もある) | ほぼ平滑なため標準所要量に近い |
| 1㎡あたりの重量 | 約36.4kg | 約17.3kg |
整理すると、サイディングは「シーリングにお金がかかる」外壁、モルタルは「ひび割れ補修と塗料の量にお金がかかる」外壁と言えます。サイディングの見積書では10万〜30万円規模になることもあるシーリング打ち替えが、モルタルではほぼ発生しません。そのぶんの予算が、下地補修と塗料に回ると考えると理解しやすいでしょう。
なお、モルタル外壁は1990年頃までの住宅で主流だった外壁材で、街の外壁塗装やさん東東京店は「築30年程度が経過しているお住まいなら、圧倒的にモルタル外壁が多い」と説明しています。築年数が経っている家ほど、過去の塗り替え履歴が分からず、既存塗膜の種類も不明ということが起こりがちです。その場合は、業者に既存塗膜の付着試験や試し塗りをしてもらえるか相談してみてください。
費用を抑えるために現実的にできること
結論として、モルタル外壁の塗装費用を抑える手段は限られます。効果が大きいのは「足場を二度組まない」ことと「同条件で複数社を比べる」ことの2つです。
- 屋根塗装と同時に行う:足場は外壁でも屋根でも1回組めば共用できます。クイック屋根工事は同時施工で足場代15万〜25万円の削減効果があると説明しています
- 塗装面積と塗料の製品名をそろえて相見積もりを取る:条件が違う見積書を並べても比較になりません
- 自治体の助成金・補助金を調べる:省エネ改修や住宅リフォームの補助制度がある自治体があります。年度予算で締め切られることが多いため、早めの確認が必要です
- 塗料のグレードを下げすぎない:アクリルは初期費用が安い一方で耐用年数5〜8年です。次の足場代がその分早く来ます
費用を下げる具体的な手順は外壁塗装を安くする方法にまとめています。
訪問販売の「ひび割れが危険です」には根拠を求める
モルタル外壁はひび割れが目に見えるため、訪問販売の口実に使われやすい外壁材です。国民生活センターの集計によると、点検商法に関する相談件数は2023年度の12,550件から2025年度には19,696件へと増えています(出典:国民生活センター)。なお、この件数は2026年5月31日時点の集計であり、データは確定していないと同センターが明記しています。
判断材料として、次の制度を知っておくと落ち着いて対応できます。
- 塗装工事は、請負金額が税込500万円未満であれば建設業の許可がなくても請け負えます(出典:国土交通省)。許可の有無だけで良し悪しは決まりません
- 訪問販売による契約は、法定書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます(出典:消費者庁)
- 塗装技能士は国家検定で、1級の受検には原則として実務経験7年が必要とされています(出典:中央職業能力開発協会)
- 足場については労働安全衛生規則に細かな基準があり、適切な足場を組むにはコストがかかります。極端に安い足場代の提示には理由を確認してください
「今日契約すれば足場代が無料」といった説明は、そもそも足場代が本体価格に含まれているだけの場合があります。その場で契約せず、見積書を持ち帰って別の会社にも同じ条件で見てもらうのが、最も確実な自衛策です。
よくある質問
Q. モルタル外壁の塗り替えは何年ごとが目安ですか
使う塗料によって変わります。シリコンで10〜15年、ウレタンで7〜10年、フッ素で15〜20年が一般的な目安です。ただし、新築後の初回については事情が異なります。街の外壁塗装やさん東東京店は「新築から約7年で乾燥・収縮が一段落」するとして、初回の塗り替えを築5〜10年目に推奨しています。モルタルは乾燥収縮でひび割れが出やすいため、初回はやや早めに点検するという考え方です。
Q. リシンとスタッコで塗装費用はどれくらい違いますか
公表された単価の差を示す統一データは見つかりませんでした。ただし、スタッコは塗膜厚が約5〜10mmとリシンの約3〜4mmより厚く凹凸が深いため、塗料の使用量と施工手間が増えます。ユーコーナビは平滑なサイディングと比べてスタッコは2倍以上の塗料が必要としており、材料費の差が単価に反映されると考えられます。見積もり時に「うちはスタッコです」と伝え、塗布量の想定を確認してください。
Q. ひび割れがたくさんあると塗装できませんか
本数が多いこと自体は塗装できない理由になりません。幅0.3mm未満のヘアークラックであれば、微弾性フィラーやシール工法で処理したうえで塗装するのが一般的です。判断が分かれるのは幅1.0mm以上の構造クラックが多数ある場合で、Uカット補修や部分的な左官のやり直しが必要になり、費用が大きく上がります。ひび割れが構造的な問題に起因している場合は、塗装より先に原因の調査が必要になることもあります。
Q. 見積書の塗装面積が業者ごとに違うのはなぜですか
面積の出し方が統一されていないためです。図面から実面積を拾う会社もあれば、延床坪数に係数を掛けて概算する会社もあります。係数も1.2を使う場合と1.5前後を使う場合があり、30坪なら119㎡と148㎡というように3割近い差が生まれます。また、窓やドアの開口部を差し引くかどうかでも変わります。金額を比べる前に、まず㎡数の前提をそろえてください。
Q. 弾性塗料は必ず使ったほうがよいのでしょうか
必須ではありません。ひび割れへの追従性というメリットはありますが、通気性が低く塗膜のふくれが起こることがある、というデメリットも指摘されています。エスケー化研の設計価格を見ると、弾性タイプは非弾性より約10%高い一方で、期待耐用年数はどちらも14〜16年と同水準です。ひび割れの状況や既存塗膜の状態を見たうえで、必要な範囲で採用するかを決めるのが現実的です。
まとめ
モルタル外壁の塗装費用について、この記事の要点を整理します。
- 延床30坪の総額はおおむね80万〜130万円が目安。ただし前提となる塗装面積が119㎡なのか148㎡なのかで大きく変わる
- 費用は㎡単価に分解して確認する。足場600〜1,500円/㎡、高圧洗浄100〜400円/㎡、シリコン塗料2,000〜3,500円/㎡が一つの基準
- モルタル最大の特徴は仕上げの凹凸で塗料使用量が変わること。メーカーの標準塗坪でも同じ缶で43〜68㎡と約1.58倍の幅がある
- クラック補修は幅で工法と単価が変わる。0.3mm未満はシール工法で1mあたり700円前後、1.0mm以上のUカットは1㎡あたり4,900円前後が目安
- サイディングと違って目地シーリングがほぼ不要な代わりに、下地補修と塗料量に費用がかかる
- 弾性塗料は万能ではない。ふくれのリスクがあり、価格差は約10%でも耐用年数は変わらないという製品もある
モルタル外壁の見積もりは、金額の大小より「どの前提で計算されているか」を読むほうが有益です。塗装面積の㎡数、仕上げの種類、ひび割れ補修の範囲。この3つがそろっていれば、複数社の見積書は同じ土俵で比べられます。逆にこの3つが曖昧なままでは、いくら相見積もりを取っても判断材料になりません。まずはご自宅の壁を近くで見て、ひびの状態と表面の凹凸を確かめるところから始めてみてください。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

