外壁のコケの除去方法|自分でできる手順とやってはいけないこと

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外壁の北側が緑色になってきて、「自分で落とせないか」と考えている方は多いはずです。結論から言えば、手が届く高さの外壁なら、水洗いとやわらかいブラシ、または外壁用のコケ・カビ取り剤で自分で落とせます。ただし2階以上と、家庭用高圧洗浄機の至近距離噴射だけは避けてください。落とし方そのものより、どこまでを自分でやるかの線引きのほうが、費用にも安全にも大きく影響します。この記事では、公的機関のデータをもとに、安全にコケを落とす手順と、やってはいけないことを整理します。

目次

結論:外壁のコケ除去は「高さ」で自分でやるか業者かが決まる

外壁のコケ除去でまず決めるべきは、洗剤の種類でも道具でもなく「どこまでを自分でやるか」です。理由は単純で、コケ取り作業での重大な事故は、薬剤よりも転落によって起きているからです。地面に立ったまま届く範囲であれば、作業そのものは難しくありません。

  • 地面に立って手が届く範囲(おおむね高さ2m程度まで)……自分でやってよい範囲
  • 脚立を使って届く1階の窓上あたりまで……補助者がいて、平坦な地面に脚立を置ける場合のみ
  • 2階以上、ベランダの外側、屋根に近い部分……自分でやらない。業者に依頼する範囲
  • コケの下で塗膜が粉を吹いている、ひび割れがある……洗うだけでは解決しないため、塗り替えの検討時期

もう一つの結論として、コケを落としただけでは、条件が変わらない限りまた生えます。洗浄は「今の見た目を戻す作業」であり、再発を減らすには日当たりや通気といった環境側の条件、あるいは塗り替え時の塗料選びまで含めて考える必要があります。この記事の後半では、その再発対策も扱います。

そもそもコケ?藻?カビ?外壁の緑や黒の正体を見分ける

結論として、一般に「外壁のコケ」と呼ばれている緑色の汚れは、生物学的にはコケ植物ではなく藻類であることが多いとされています。呼び方の問題に見えますが、落としやすさと再発しやすさが変わるため、見分けておく意味はあります。

緑色でうっすら広がるものは「藻」であることが多い

藻類は、酸素発生型の光合成を行う生物のうちコケ植物・シダ植物・種子植物を除いたものの総称で、ガードレールや擁壁が緑色になるのも同じ現象だと街の外壁塗装やさん岐阜店は説明しています。外壁では、最初はうっすらと生えて下地が透けて見える状態から始まり、時間とともに密度が高くなります。厚みがなく壁の表面に薄く広がっている段階なら、水洗いとスポンジで落ちることが多い汚れです。

盛り上がってフワフワしていれば「コケ」

コケ植物は根・茎・葉の区別がなく維管束を持たない植物で、葉のように見える緑色の部分は葉状体と呼ばれます。外壁で厚みを持って盛り上がり、指でつまめるようなものはこちらです。基材のわずかな凹凸に入り込んで水分を抱え込むため、藻より落としにくく、落とした後に黒い跡が残ることもあります。

黒い点や黒ずみは「カビ」または大気由来の汚れ

黒い点状の汚れはカビであることが多く、隣家が近くて日光が当たりにくい場所、物置や植栽が近い場所で発生しやすいとされます。一方で、道路沿いの外壁が黒くなる場合は排気ガスや粉じんによる汚れで、生物ではありません。カビ由来なのか汚れなのかは、塩素系のコケ・カビ取り剤を試すと判別できます。薬剤で色が抜ければ生物由来、変わらなければ汚れの付着です。

種類見た目生えやすい場所落としやすさ
緑色。薄く広がり下地が透ける北面、水がかりの多い面全体比較的落ちやすい
コケ緑〜濃緑。盛り上がって厚みがある凹凸のある壁、水が溜まる部分落ちにくい。跡が残ることがある
カビ黒や青の点状・斑状日陰、隣家が近い面、通気の悪い面薬剤が必要なことが多い
大気汚染などの汚れ黒い筋、灰色のくすみ道路沿い、庇の下、窓下洗剤と洗浄で対応
出典:街の外壁塗装やさん岐阜店、外壁塗装駆け込み寺の解説をもとに編集部作成

コケが生えやすい家には共通点がある

結論として、コケや藻が生えるのは「水分が乾かない時間が長い」ことがほぼすべてです。胞子はどこにでも飛んでいるため、生えるかどうかは壁が濡れている時間で決まります。自宅がどの条件に当てはまるかを知っておくと、除去後の対策も立てやすくなります。

立地と方角の条件

外壁塗装駆け込み寺は、日中あまり日光が当たらない北側の壁、池や川・田畑など水場が近い立地、樹木が近く胞子が風で運ばれやすい環境を、コケが発生しやすい条件として挙げています。加えて、庇が短い、または庇がない外壁は雨で濡れやすい構造だとしています。次のような条件が重なるほど、乾く時間が短くなります。

  • 北面、または一日を通して直射日光がほとんど当たらない面
  • 隣家との距離が近く、風が抜けない面(いわゆる家と家の間の通路側)
  • 庭木や生垣が壁に接している、物置やエアコン室外機が壁際に置かれている
  • 庇が短く、雨が直接当たる。逆に雨が当たらず汚れが流れない面も黒ずみやすい
  • 近くに川、田んぼ、用水路、雑木林がある
  • 基礎まわりの土からの跳ね返りが多く、壁の下部だけ緑色になっている

外壁材と塗膜の条件

外壁材そのものの吸水性と表面の凹凸も影響します。同じ解説では、リシンやスタッコのように表面にランダムな凹凸を持つ吹付け仕上げのモルタル壁は水を含みやすく、モルタルは外壁材自体が吸水しやすいと指摘されています。逆に、ガルバリウム鋼板などの金属系サイディングや、吸水率が低いレンガ・タイルは発生しにくいとされます。

見落とされやすいのが塗膜の劣化です。塗膜が経年で劣化して防水性が下がると、壁の表面が水を保持する時間が長くなり、コケが生えやすくなります。手で外壁をこすって白い粉が付く場合は塗膜が劣化しているサインで、コケの問題と塗り替えの問題が同時に進んでいる状態です。この場合は洗って終わりにせず、外壁のチョーキングを放置するとどうなるかも併せて確認しておくと判断しやすくなります。

自分でできる外壁のコケ除去 3つの方法と手順

結論として、弱い方法から順に試し、落ちなければ次に進むのが安全で費用も抑えられます。いきなり薬剤や高圧洗浄から入ると、落ちすぎて塗膜まで傷めることがあります。どの方法でも、まず目立たない場所で試してから全体に広げてください。

方法1:水洗い+やわらかいブラシ(最も安全)

付着して間もない藻であれば、水とやわらかいスポンジで落ちることがあります。手順は次のとおりです。

  • ホースで壁全体を上から下へ濡らし、砂ぼこりを流す
  • やわらかいスポンジ、または柄付きのソフトブラシで、上から下へ軽くなでる
  • 力を入れてこすらない。落ちない部分は次の方法に回す
  • 最後に上から下へ全体を水で流し、汚れを残さない

硬いタワシやモップで力を入れてこするのは避けるよう、前掲の外壁塗装駆け込み寺も明記しています。塗膜表面を削ってしまうと、防水性が落ちてかえってコケが生えやすくなるためです。

方法2:中性洗剤を薄めて使う

水だけで落ちない場合は、食器用などの中性洗剤をバケツの水で薄めて使います。塩素系より刺激が弱く、植栽や金属への影響も小さいのが利点です。壁を濡らし、薄めた洗剤をスポンジに含ませて軽く洗い、洗剤が残らないよう十分にすすぎます。洗剤分が残ると乾いた後に白く残ったり、かえって汚れを呼んだりするため、すすぎは念入りに行ってください。

方法3:外壁用のコケ・カビ取り剤(次亜塩素酸ナトリウム系)

厚みのあるコケや黒カビには、次亜塩素酸塩を主成分とする外壁用の除去剤が使われます。特定の商品を推奨する立場ではありませんが、一例として、アサヒペン「コケ・カビ黒ずみ除去スプレー」、東工薬「強力コケ・カビ取り」などが市販されています。成分や使い方は製品ごとに異なるため、必ず容器の表示に従ってください。

参考までに、アサヒペンの製品ページでは、成分として次亜塩素酸塩・水酸化ナトリウム0.7%・界面活性剤が記載され、汚れから15cm離してスプレーし10〜15分放置、必要に応じてスポンジでこすり、十分に水で洗い流す、という使い方が示されています。あわせて次の注意が明記されています。

  • ゴム手袋を着用し、作業後は必ず手を洗う
  • 酸性タイプの製品や食酢、アルコール等とまぜると有害なガスが発生する
  • 芝生や植木などの植物にかからないように注意する(枯れることがある)
  • ホーロー、アルミ、真ちゅう等の金属製品には使用しない(サビの原因になる)

実作業では、これに加えて次の準備をしておくと安全です。薬剤は上から下へ流れるため、下にあるものすべてが影響を受けると考えて養生してください。

  • 保護具……ゴーグル(横からの飛沫も防げるもの)、ゴム手袋、マスク、汚れてよい長袖・長ズボン、帽子
  • 養生……足元の植栽・芝生をビニールシートで覆い、作業前後にたっぷり水をかけて薬剤を薄める
  • アルミサッシ、面格子、雨どい、玄関ドア、給湯器、室外機、車、自転車は薬剤がかからないよう養生する
  • 洗濯物を取り込み、窓を閉め、風の強い日は行わない
  • 隣家との距離が近い面では、事前に一声かけておく(塗装工事の前に挨拶をするのと同じ考え方です)

作業は、狭い範囲に区切って「塗る→放置→こする→すぐ流す」を繰り返します。壁全面に一度に薬剤をまくと、放置しているあいだに乾いてムラや変色の原因になります。

方法費用の目安向いている状態主なリスク
水洗い+やわらかいブラシほぼ0円〜数千円(道具代)薄い緑色の藻、付着したばかりの汚れこすりすぎによる塗膜の傷
中性洗剤数百円〜数千円水で落ちない薄い汚れ、黒ずみすすぎ残しによる白残り
外壁用コケ・カビ取り剤1本1,000円前後〜(面積により複数本)厚みのあるコケ、黒カビ薬剤の飛散、植栽の枯れ、金属の腐食、混用によるガス発生
業者の高圧洗浄100〜400円/㎡(別途足場)2階以上、面積が広い、塗り替えとセット洗浄だけを単独発注すると足場代が割高になる
出典:アサヒペン製品情報、外壁塗装駆け込み寺、ホームプロの各費用データをもとに編集部作成。金額は幅のある目安です

やってはいけない5つのこと

結論として、コケ取りで本当に危ないのは薬剤と高所作業の2つです。ここだけは、費用や仕上がりより優先して守ってください。

1. 塩素系と酸性のものを混ぜる・続けて使う

最も危険なのがこれです。東京消防庁は、5%の次亜塩素酸ナトリウムに同量の酸性洗剤を混ぜる実験で、1mLあたり16.1mLの塩素ガスが発生し、密閉容器内で300ppmに達したと示しています。あわせて、塩素は3.5ppmで強い刺激臭を感じ、35〜50ppmを30分から1時間吸入すると生命に危険が及ぶ濃度であるとしています。屋外だから安全とは言い切れず、風のない日に壁際でしゃがんで作業していれば、顔の周りの濃度は高くなります。

外壁まわりでは、次の組み合わせに注意してください。「同時に混ぜていないから大丈夫」ではなく、直前に使った薬剤が壁に残っている状態も混合と同じです。

  • コケ・カビ取り剤(塩素系)と、サビ取り剤・水あか取り・クエン酸・食酢(酸性)
  • 塩素系の薬剤を流し切らないまま、別の洗剤を重ねて使う
  • 別の容器に移し替えて保管する(表示が失われ、取り違えの原因になる)

市販の家庭用洗浄剤に「まぜるな危険」と大きく表示されているのは、洗浄剤・漂白剤等安全対策協議会(日本石鹸洗剤工業会)の自主基準にもとづくものです。表示は必ず読んでから使ってください。

2. デッキブラシや金属たわしで強くこする

コケは物理的に削れば落ちますが、同時に塗膜の表層も削れます。塗膜の防水性・防汚性が落ちれば、壁が水を保持する時間が長くなり、結果としてコケが生えやすい壁になります。落ちたように見えて、再発を早めているという意味で、いちばん割に合わない方法です。特にリシンやスタッコなど凹凸のある吹付け壁は骨材が脱落しやすいため、力を入れてこすらないでください。

3. 家庭用高圧洗浄機を至近距離・高圧で当てる

家庭用高圧洗浄機は、外壁のコケ取りに使われがちですが、扱い方を誤ると被害が大きくなります。水圧の実数値を比べると、家庭用と業務用の差は思ったほど大きくありません。外壁塗装駆け込み寺は、家庭用が8〜12MPa、外壁塗装で必要な業務用は14.7MPa以上(例として16MPa)としています。実機の仕様でも、ケルヒャー K3 サイレント プラスの最大許容圧力は10MPa、吐出水量は最大360L/hと公表されています。

つまり家庭用でも、外壁やシーリングを傷めるには十分な圧力があります。実際に懸念されるのは次の点です。

  • サイディングの目地(シーリング)に直角・至近距離で当て、シーリングを切ったり裏側に水を押し込んだりする
  • サッシまわり、換気口、水切り、笠木の隙間から水が浸入する
  • 劣化した塗膜を剥がしてしまい、塗り替えが前倒しになる
  • 反動でバランスを崩す。脚立の上での使用は特に危険

どうしても使う場合は、ノズルを扇状(広角)にして壁から十分に距離をとり、上から下へ、面に対して斜めに当てます。目地・サッシまわり・換気口には直接当てないでください。すでにシーリングが切れていたり肉やせしていたりする場合は、洗浄より先に補修が必要です。判断に迷う場合は外壁のひび割れ補修費用もあわせて確認してください。

項目家庭用高圧洗浄機業者の高圧洗浄
水圧の目安8〜12MPa(機種により最大許容10MPa前後)14.7MPa以上。16MPa程度の例も
作業する高さ地面から届く範囲のみ足場を組み、2階・3階も含めて全面
作業時間の目安面積次第。1面ずつで半日以上かかることも外壁と屋根で7〜8時間、1日を要するのが一般的
洗浄後の乾燥意識されないことが多い最低24時間、可能なら48時間空けてから塗装
主なリスク目地・サッシからの水の浸入、塗膜剥離、転落塗り壁で塗膜が剥がれる場合があり、補修費が追加になることがある
出典:外壁塗装駆け込み寺、ケルヒャー製品仕様、ホームプロの各解説をもとに編集部作成

4. 2階以上を脚立・はしごで作業する

これは費用の問題ではなく、命の問題です。国民生活センター「思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落」(2019年3月28日公表)によると、2010年12月から2019年2月までに医療機関ネットワークへ寄せられた脚立・はしごの事故情報458件のうち、転落事故が433件(約95%)を占めています。そのうち65歳以上が239件(55.2%)、入院を要した事例が171件(39.5%)、重症・重篤で入院を要した事例が35件(8.1%)、死亡が3件(0.7%)と報告されています。危害の内容では骨折が170件(39.3%)で最多です。

さらに、作業内容の記載があった243件のうち、剪定・収穫など庭木にかかわる作業が123件と最も多く、屋根・軒先での作業が30件、掃除・洗濯が23件と続きます。つまり、庭木の手入れや家の掃除といった、日常的で「大がかりではない」作業のさなかに起きているということです。同センターは、可能な限り複数人で作業すること、身を乗り出さず正しい立ち方をすること、少しでも不安定だと感じたらすぐに中止することを呼びかけています。

参考として、事業者が労働者に作業させる場合には、労働安全衛生規則で足場や手すりに関する詳細な規定が課されています。業者が2階の洗浄に足場を組むのは、単に作業しやすいからではなく、法令にもとづく安全確保のためでもあります。同じ高さの作業を、個人が脚立1本で行うことのリスクは想像がつくはずです。

5. 落として終わりにする

コケが落ちて壁が明るくなると、それで解決した気分になります。しかし、コケは塗膜の防水性が落ちているサインでもあります。洗浄した壁を近くで観察し、粉が付く、ひびがある、シーリングが切れているといった症状がないかを確認してください。コケ取りは、外壁を至近距離でじっくり見られる貴重な機会です。あわせて外壁塗装のタイミングで、塗り替えの判断基準を確認しておくと無駄がありません。

業者に頼む場合の費用相場と、足場が必要かどうか

結論として、洗浄そのものは安いのに、足場を組むと総額が一気に上がります。これが「洗浄だけを単独で頼むと割高になる」と言われる理由です。

洗浄の単価と足場代の関係

高圧洗浄の単価は、当サイトでは100〜400円/㎡を目安としています。実際の各社の解説でも、前掲の外壁塗装駆け込み寺が100〜300円/㎡、ホームプロが高圧洗浄で約100〜300円/㎡、バイオ高圧洗浄で約200〜400円/㎡としており、おおむね同じ範囲に収まります。数値に幅があるのは、洗浄機の種類、洗剤の有無、屋根を含むかどうか、汚れの程度によって手間が変わるためです。

一方の足場は600〜1,500円/㎡が目安で、ホームプロは30坪程度のケースで約15〜20万円という総額を示しています。リショップナビ外壁塗装は、外壁洗浄を業者に頼んだ場合の総額を、足場代・養生代を含めて一般的に8〜20万円程度としています。洗浄費が数万円なのに対して足場が10万円以上かかるため、総額に占める足場の比率が大きくなるのが特徴です。足場は建物を囲む面積で算出されるため、建物の形状が複雑なほど高くなります。

項目単価の目安延床30坪(塗装面積 約119㎡)での概算
高圧洗浄100〜400円/㎡約1.2万〜4.8万円
バイオ洗浄(薬剤+高圧洗浄)200〜400円/㎡約2.4万〜4.8万円
足場600〜1,500円/㎡(足場面積で算出)おおむね10万〜20万円
飛散防止ネット100〜300円/㎡足場代に含まれる場合と別計上の場合がある
洗浄のみの総額おおむね8万〜20万円(各社の目安)
出典:当サイト共通の単価目安、ホームプロ、リショップナビ外壁塗装、外壁塗装駆け込み寺。塗装面積は延床坪数×3.3×係数1.2で算出。金額は幅のある目安であり、実際は現地条件で変わります

この構造から導かれる現実的な判断は、次の3つです。

  • 平屋、または1階部分だけなら足場不要のことがあり、洗浄単独でも比較的安く済む
  • 2階以上で足場が必要なら、塗り替え時期が近いかを先に確認する。近いならセットにしたほうが足場代が1回で済む
  • 塗り替えまでまだ年数がある場合は、手の届く範囲だけ自分で落とし、塗り替え時にまとめて対応する

なお、外壁塗装の工程には高圧洗浄が最初から含まれています。塗り替えを行うなら、コケ落としのために別途費用を払う必要は基本的にありません。サイディングの場合の内訳はサイディング塗装の費用で確認できます。

「コケが生えていますよ」と訪ねてくる業者への対応

コケは外から見えるため、訪問販売のきっかけに使われやすい症状です。国民生活センターの「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」の集計では、点検商法に関する相談件数が2023年度の12,550件から2025年度は19,696件へと増えています(2026年5月31日時点の集計で、件数は未確定です)。同センターは屋根工事の点検商法に関する注意喚起でも、その場で契約しないこと、複数の業者から見積もりを取ることを呼びかけています。

コケは、その日のうちに契約しなければならないほど急を要する劣化ではありません。訪問販売で契約した場合、消費者庁の特定商取引法ガイドのとおり、法定書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。断り方に迷う場合は外壁塗装の訪問販売の断り方を参考にしてください。

コケが再発する理由と「生えにくくする」への切り替え

ここが、コケの記事でいちばん語られない部分です。結論として、洗浄はリセットにすぎず、生える条件が変わらなければ再発します。同じ壁が同じ季節に同じように緑色になるのは、環境が変わっていないからです。対策は「環境を変える」「壁の表面を変える」の2方向しかありません。

環境側の対策は費用ゼロで効果が続きやすい

塗料を変えるより先に、乾く時間を延ばす工夫をおすすめします。費用がかからず、効果が続きやすいためです。

  • 壁に接している生垣や庭木を、壁から離す・剪定して風と光を通す
  • 壁際に置いた物置、資材、自転車、プランターを離して風の通り道をつくる
  • 基礎まわりの雑草を抜き、土の跳ね返りを減らす(砂利敷きなども有効です)
  • 雨どいの詰まりや割れを直す。あふれた水が壁を伝うと、その筋だけコケが濃くなります
  • エアコンのドレン水が壁を伝っていないか確認する
  • 年に1回、手の届く範囲だけでも水洗いする(厚くなる前なら水だけで落ちます)

塗り替え時にできる塗膜側の対策

塗り替えのタイミングであれば、防藻・防カビ機能を持つ塗料を選ぶ選択肢があります。外壁塗装パートナーズは、防カビ・防藻機能を持つ塗料として、関西ペイント「アレスダイナミックTOP」、日本ペイント「パーフェクトトップ」「ファインシリコンフレッシュ」、エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」、水谷ペイント「水系カスタムシリコン」、菊水化学工業「水系ファインコートシリコン」などを挙げています。いずれも一例で、特定製品を推奨するものではありません。仕組みとしては、カビや藻の繁殖を抑える薬剤を塗料に配合する方式が一般的です。

ほかに、汚れを雨で流しやすくする低汚染型や親水性の塗料、光に当たると表面の汚れを分解する光触媒塗料もあります。光触媒塗料の施工単価は3,500〜5,500円/㎡程度と、前掲のリショップナビ外壁塗装は示しています。シリコンの1,800〜3,500円/㎡と比べると割高です。

ここで正直に書いておきたいのは、防藻・防カビ塗料を選べばコケが二度と生えないという保証はない、ということです。配合された薬剤は年月とともに効果が弱まりますし、北面で日が当たらず風も抜けない条件では、環境要因のほうが強く働きます。編集部で調べた範囲では、実際の住宅で防藻塗料が何年コケを抑えたかを示す公的な追跡データは見つけられませんでした。「同じ条件なら、生えるまでの期間が延びることが期待できる」までが、現時点で言える範囲です。

費用対効果で考えるなら、次の順序が現実的です。塗料のグレードを上げる前に、まず環境を変えるほうが確実で、費用もかかりません。

  • 第1段階……剪定・物の移動・雨どい補修など、環境側の改善(費用ほぼゼロ)
  • 第2段階……年1回の水洗い(厚くなる前に落とす)
  • 第3段階……塗り替え時に、コケが出る面だけでも防藻・防カビ仕様を検討する
  • 第4段階……それでも改善しない場合、外壁材そのものの変更を含めて相談する

塗料選びは耐用年数や費用とも直結します。塗料のグレードと耐用年数を確認したうえで、防藻・防カビは「機能の一つ」として位置づけると判断しやすくなります。

よくある質問

Q. 外壁のコケは放置するとどうなりますか

A. すぐに雨漏りにつながるものではありませんが、美観が落ちるだけでなく、壁の表面が水分を保持する時間が長くなります。前掲の外壁塗装駆け込み寺も、建物の美観だけでなく耐久性にも悪影響を及ぼしかねないとしています。ただし、「コケがあるから今すぐ塗装が必要」とは限りません。判断すべきは、コケの下の塗膜が劣化しているかどうかです。手でこすって白い粉が付く、ひび割れがある、シーリングが切れているといった症状が伴う場合は、塗り替えの検討時期といえます。

Q. カビキラーなどの浴室用洗剤を外壁に使ってもいいですか

A. 用途外の使用になるため、おすすめできません。浴室用の塩素系洗浄剤は、屋外の広い面や外壁材への影響を想定して作られていないためです。外壁に使う場合は、外壁での使用が明記された製品を選び、必ず目立たない場所で試してから広げてください。また、塩素系の薬剤は外壁の色を抜いてしまうことがあり、リショップナビ外壁塗装も塩素系洗剤は変色のリスクがあるとして避けるよう述べています。

Q. 高圧洗浄機を買ってDIYしたほうが安く済みますか

A. 1階の届く範囲に限れば、選択肢になります。ただし、2階以上を洗うために脚立に乗って使うのは避けてください。反動でバランスを崩す危険があり、上を向いて噴射すれば自分に水と汚れが降ってきます。ホームプロも、自分で行う場合は力や水圧の調節が難しく外壁を傷めるリスクがあると指摘しています。DIYの範囲の考え方は外壁塗装のDIYもあわせてご覧ください。

Q. コケ取りに適した時期はありますか

A. 気温が低すぎず、風が弱く、その後しばらく晴れる日が向いています。薬剤を使う場合は、乾く前に水で流し切る必要があるため、真夏の直射日光下や、強風の日は避けてください。冬場は水が凍る地域では作業自体が危険です。また、洗った後にしっかり乾くことが大切なので、梅雨どきは避けたほうが無難です。塗り替えとセットで行う場合も、時期の考え方は同じです。

Q. コケが生えているのは施工不良ではないですか

A. 一概には言えません。北面や通気の悪い面にコケが出るのは、多くの場合は環境条件によるもので、施工の問題とは限らないためです。ただし、塗り替えからまだ数年しか経っていないのに広範囲に出る、同じ条件の他の面と比べて明らかに一面だけ早い、といった場合は、下地処理や乾燥時間に問題があった可能性も否定できません。工事の保証書が残っていれば、まず施工した業者に確認するのが筋です。それでも納得できない場合は、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)に相談する方法があります。

まとめ

外壁のコケ除去は、正しい順序さえ守れば難しい作業ではありません。要点を整理します。

  • 外壁の緑色の汚れは、生物学的には藻であることが多い。厚みがあればコケ、黒い点はカビや大気由来の汚れ
  • 生えるかどうかは「壁が濡れている時間」でほぼ決まる。北面、隣家が近い面、庇のない面、吸水しやすい外壁材が条件
  • 自分でやるなら、水洗い→中性洗剤→外壁用コケ・カビ取り剤の順に、弱い方法から試す
  • 薬剤を使うときはゴーグル・ゴム手袋・マスクを着け、植栽と金属部を養生する。塩素系と酸性は絶対に混ぜない
  • 家庭用高圧洗浄機でも8〜12MPa程度の圧力があり、目地やシーリングを傷めるには十分。至近距離・直角に当てない
  • 2階以上は自分でやらない。国民生活センターのデータでは、脚立・はしごの事故の多くが転落で、65歳以上が半数以上を占める
  • 業者費用は高圧洗浄100〜400円/㎡、バイオ洗浄200〜400円/㎡が目安。ただし足場が10万〜20万円かかるため、塗り替え時期が近いならセットにしたほうが合理的
  • 洗浄はリセットにすぎない。剪定・物の移動・雨どい補修といった環境側の改善が、費用をかけずに再発を遅らせる最短ルート
  • 防藻・防カビ塗料は再発までの期間を延ばすことが期待できるが、生えなくなる保証はない

コケが気になったときは、まず手の届く範囲を安全に落とし、その状態で外壁を近くから観察してみてください。粉が付くか、ひびがあるか、シーリングが切れていないか。この3点を確認できれば、洗浄で済ませるのか、塗り替えを考える段階なのかの判断がつきます。高いところは無理をせず、必要になったときに足場とセットで、まとめて業者に任せるのが結果的にいちばん安全で経済的です。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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