アスベスト屋根の撤去費用|レベル3の相場と法規制をやさしく解説

アスベスト屋根の撤去費用を解説する記事のアイキャッチ画像

【PR】この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由でお申し込みがあった場合、当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。報酬の有無によって記事内の評価を変えることはありません。詳細は広告掲載ポリシーをご覧ください。

古いスレート屋根の葺き替えを考えていて、アスベスト(石綿)の撤去費がいくら上乗せされるのか不安な方へ。結論からお伝えします。住宅の屋根に使われていたスレートは飛散性の低い「レベル3(石綿含有成形板等)」で、撤去単価は民間各社の公開情報で1平方メートルあたり3,000〜8,000円程度が目安です。テレビなどで見る1平方メートル2万〜8.5万円という数字は、国土交通省が吹き付けアスベスト(レベル1)について公表しているもので、屋根材には当てはまりません。この記事では、法令は厚生労働省・環境省・国土交通省の一次情報で裏取りし、費用は公的な全国目安が存在しない点も含めて正直に整理します。

目次

アスベスト屋根の撤去費用の目安と全体像

先に費用の全体像をお示しします。アスベストを含む屋根材の撤去にかかるお金は、大きく「事前調査費」「撤去(解体)費」「処分費」「足場費」「新しい屋根材の工事費」の5つに分かれます。アスベストがあることで純粋に増える金額は、このうち調査費と、撤去・処分の割増分です。

重要な前提を一つ。アスベスト除去費について、国が公表している「屋根材(レベル3)の全国目安」は、今回の調査では見つけられませんでした。国土交通省が数値を公表しているのは吹き付け材の除去費のみです。したがって以下の単価は、民間の解体業者・調査会社・屋根業者が公開している価格の幅として読んでください。

費用項目単価・金額の目安備考
事前調査(書面・目視)2万〜5万円戸建て1棟あたり
分析調査(定性分析)1検体1万〜3.5万円検体数で変動
屋根スレートの撤去3,000〜8,000円/㎡レベル3建材の場合
石綿含有産業廃棄物の処分3万〜7万円/立方メートル体積計算が一般的
足場の仮設600〜1,850円/㎡メッシュシート込みか別かで差
出典:株式会社食環境衛生研究所、アスベスト除去ナビ、株式会社ACTIVE、信太商店、屋根無料見積.com の公開情報をもとに編集部が整理

総額の感覚としては、延床30坪程度の住宅でアスベスト含有スレートを撤去する工事は、撤去と処分だけで30万〜50万円ほどという公開情報があります(出典:株式会社ACTIVE)。別の屋根業者は、解体作業と処分を合わせた総額を約50万〜100万円としています(出典:石川商店)。ここに新しい屋根材の費用が加わって、葺き替えの総額になります。

金額に幅が出るのは、屋根の面積・勾配・段数、既存の下地の傷み具合、処分場までの距離、そして「体積で計算するか重量で計算するか」といった処分費の数え方が業者によって違うためです。相見積もりを取ると総額が2倍近く開くこともありますが、多くは条件の違いか、逆に法令上必要な工程を省いているかのどちらかです。

同じ屋根でも金額が変わる5つの要因

相見積もりを取ると、同じ屋根なのに金額が大きく違って戸惑うことがあります。差が生まれる主な理由は次の5つです。条件をそろえて依頼しないと、比較そのものが成立しません。

  • 屋根面積と勾配…延床30坪の一般的な住宅で屋根面積はおおむね60〜80平方メートル。急勾配だと屋根足場が別途必要になります
  • 分析するか「みなし」で進めるか…分析代は浮いても、工事側の基準が一段厳しくなります
  • 処分費の数え方…体積(立方メートル)か重量(トン)か、収集運搬費が含まれるかで総額が変わります
  • 下地の状態…野地板の張り替えが必要になると、1平方メートルあたりの下地工事費が加わります
  • 処分場までの距離…受け入れ可能な最終処分場が近いかどうかは地域差が大きい要素です

依頼するときは「アスベスト含有の前提で、撤去費・処分費・調査費・足場費を分けて記載してほしい」と伝えてください。一式表記のままだと、どこが高いのか判断できません。

自宅の屋根にアスベストが入っているかを年代から判断する

結論として、2006年(平成18年)9月1日以後に建てられた住宅であれば、石綿含有建材は使われていないと判断できます。環境省の事前調査資料では、事前調査を省略できる建築物として「平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着工した建築物等」が挙げられています(出典:環境省「事前調査の方法」)。

法規制の流れを整理すると次のようになります。千葉県の解説では「平成16年10月にその他の石綿も禁止の対象とされ、石綿を含有する建材、摩擦材、接着材の製造等は禁止され」たと説明されています(出典:千葉県)。そして厚生労働省のリーフレットは「平成18年9月1日より、石綿および石綿をその重量の0.1%を超えて含有する全ての物の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています」と明記しています(出典:厚生労働省)。なお、平成16年時点の規制の裾切り値(含有率1%超だったか)については、今回は公的ページで明確に確認できませんでした。

メーカーの見解書と建材データベースで型番から調べる

より正確に知りたい場合は、屋根材メーカーが公開している見解書を確認する方法があります。住宅用化粧スレートの主要メーカーであるケイミュー(旧クボタ・旧松下電工の外装事業を統合)は、商品名ごとの石綿含有状況をまとめた見解書を公開しています。同社の資料では、屋根材の多くが平成13年(2001年)から平成15年(2003年)ごろにかけて無石綿化したとされています(出典:ケイミュー「石綿に関する見解書」)。ただし商品ごとに時期が異なるため、必ずご自宅の商品名で確認してください。

もう一つの手段が、国土交通省と経済産業省が運営する石綿含有建材データベースです。メーカー名・商品名・製造時期・石綿の種類と含有率を検索できます。ただし環境省の資料は「データベースには、すべての石綿含有建材が掲載されているものではないことから、データベースに存在しないことを以て石綿含有なしの証明にすることはできない」と明確に注意しています。載っていないから安全、とは言えない点に注意が必要です。

  • 2006年9月2日以降に着工した家…石綿含有建材は使われていないと判断できる
  • 2004年ごろ〜2006年に建てた家…メーカー見解書で商品名から確認する
  • 2003年以前に建てた家…含有の可能性があるため事前調査が前提
  • 建築時期が分からない…登記簿、確認済証、新築時の図面で着工時期を確認する

屋根材はレベル3。国が公表している除去費用の目安は屋根には使えません

この記事でいちばんお伝えしたいのがこの点です。ネット上でよく引用される「アスベスト除去は1平方メートルあたり2万〜8.5万円」という数字は、屋根のスレートには当てはまりません。

この数字の出どころは国土交通省の「アスベスト対策Q&A」です。質問文は「アスベスト含有吹付け材の除去費用は、目安として、いくら位かかりますか。」であり、回答には「この除去費用は、2007年1月から2007年12月における、施工実績データより算出された除去単価です」と書かれています(出典:国土交通省 アスベスト対策Q&A)。つまり対象は天井裏などに吹き付けられたレベル1の建材で、しかも2007年のデータです。屋根のスレートに使うと、実際の数倍から十数倍の見積もりを「相場どおり」と誤認しかねません。

レベル1・2・3の違いと、屋根材の位置づけ

環境省の資料は、レベル3建材を「特定建築材料以外の石綿含有建材」と定義し、該当する屋根材として「スレート波板、住宅屋根用化粧スレート」を明記しています(出典:環境省「レベル3建材 除去等作業時の石綿飛散防止」)。国土交通省の資料でも、レベル区分は発じん性の高さで分けられ、スレートはレベル3に位置づけられています(出典:国土交通省)。

区分発じん性代表的な建材隔離養生湿潤化
レベル1著しく高い吹付け石綿、吹付けロックウール必要必要
レベル2高い保温材、煙突・屋根折板の断熱材必要必要
レベル3比較的低い住宅屋根用化粧スレート、スレート波板、サイディング、Pタイル原則不要必要
出典:国土交通省資料、環境省「レベル3建材 除去等作業時の石綿飛散防止」

同じ環境省の資料には、実際の除去作業時に測定した石綿の気中濃度も載っています。けい酸カルシウム板第1種を破砕した事例では81〜270本/リットルが検出された一方、スレート波板を原形のまま取り外した事例では「検出されず」とされています。また破砕実験では、けい酸カルシウム板第1種で4,800本/リットル(湿潤化なし)が682本/リットル(湿潤化あり)まで下がったというデータも示されています。「割らずに外す」「濡らす」という当たり前の手順が、飛散を左右することが数値で示されているわけです。逆に言えば、屋根材を割りながら剥がす業者は、費用の問題以前に危険だと判断できます。

レベルを取り違えると見積もりの妥当性を判断できません

レベル1とレベル3では、法令上求められる措置そのものが違います。レベル1は作業場の隔離養生と負圧除じん装置の設置が前提で、工事の規模も体制も大きくなります。一方レベル3は、隔離養生は原則として求められず、湿潤化と原形のままの取り外し、保護具の着用が中心です。工程が違うのですから、単価が一桁近く違うのは当然ということになります。

読者の立場でできる確認は単純です。見積書に「アスベスト除去」とだけ書かれ、1平方メートルあたり2万円を超える単価が並んでいたら、それがレベル1の相場を持ち込んだものではないかを尋ねてみてください。住宅の屋根スレートであれば、レベル3として積算されているのが本来の姿です。逆に、レベル3だからと事前調査や湿潤化の工程が一切計上されていない見積もりも、法令上の手順を省いている可能性があります。高すぎる見積もりと、安すぎる見積もりの両方を疑えるようになるのが、レベル区分を知る実益です。

2021年から2023年の法改正で、施主にも関係することが増えました

結論として、いまは屋根の葺き替えでも塗装でも、規模にかかわらず着工前のアスベスト事前調査が必要です。そして請負金額が税込100万円以上なら、業者が国のシステムへ事前調査の結果を報告する義務があります。これは業者の義務ですが、費用として見積もりに載る以上、施主も知っておく必要があります。

施行時期内容根拠
2021年(令和3年)4月規制対象をすべての石綿含有建材に拡大(レベル3を含む)。作業基準・記録の作成保存を義務化改正大気汚染防止法
2022年(令和4年)4月1日一定規模以上の工事で、事前調査結果の電子システムへの報告を義務化大防法・石綿則第4条の2
2023年(令和5年)10月1日建築物の事前調査を、厚生労働大臣が定める講習の修了者が行うことを義務化石綿則第3条第4項
2026年(令和8年)1月1日工作物についても有資格者による事前調査を義務化石綿則
出典:環境省 大気汚染防止法改正リーフレット、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト

報告義務の対象になる工事の規模

厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトによると、報告が必要なのは「建築物の解体工事(当該工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上)」「建築物の改修工事(当該工事の請負金額が100万円以上)」などです(出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)。屋根の葺き替えやカバー工法は改修工事にあたるため、100万円を超える工事はほぼ報告対象になると考えてよいでしょう。

ここで誤解が多いのが「100万円未満なら調査もいらない」という理解です。同じページには「施工業者(元請事業者)は、原則、工事の規模・種類にかかわらず改修等の対象箇所すべての材料に対し、事前調査を行う必要があります」と明記されています。調査は全工事で必要、報告だけが規模で分かれるという整理です。屋根塗装のような比較的小さな工事でも、事前調査そのものは省略できません。

調査結果は、調査を終了した日から3年間の保存が義務づけられており、写しを作業場に備え付けることも求められます(出典:山梨労働局「改正石綿障害予防規則について」)。工事中に現場に調査結果の書面が掲示されているかは、施主が目視で確認できるチェックポイントです。

分析せず「石綿あり」とみなして進める選択肢もある

分析費用を抑える方法として、厚生労働省は「分析を行わずに『石綿有』とみなし、法令に基づく措置を講じながら除去作業を行うこともできます」と案内しています。分析代(1検体1万〜3.5万円程度)は浮きますが、その代わり工事は全期間アスベスト有りの基準で進むため、撤去・処分費は高いほうに寄ります。検体数が多い場合はみなし、1〜2検体で済む場合は分析、という判断になりやすい点を覚えておくと、見積もりの説明が理解しやすくなります。

撤去・処分の作業基準と、処分費が決まる仕組み

結論として、レベル3の屋根材は「切断・破砕せず、原形のまま外す」が法令上の原則です。環境省のリーフレットは、石綿含有成形板等について「切断・破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すこと」を求め、技術上困難な場合には「除去する建材を薬液等により湿潤化すること」「除去部分の周辺を事前に養生すること」を求めています(出典:環境省)。

労働安全衛生の側からも同じ規制がかかります。石綿障害予防規則第6条の2は「石綿含有成形品を除去する作業においては、技術上困難なときを除き、切断等以外の方法により作業を実施しなければならない」と定めています。加えて石綿作業主任者の選任と、作業者への特別教育が必要です。作業記録は、作業に従事しないこととなった日から40年間の保存が義務づけられています。

処分費は「石綿含有産業廃棄物」として計算される

外した屋根材は、環境省の「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」で定義される石綿含有産業廃棄物として処理されます。同マニュアルは「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた廃石綿等以外の産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの」と定義し、排出事業者に対し「石綿含有産業廃棄物が運搬されるまでの間、覆いを設ける、こん包するなどの必要な措置を講ずる」ことを求めています(出典:環境省 石綿含有廃棄物等処理マニュアル第3版)。

費用面で知っておきたいのは埋立方法の違いです。同マニュアルは「石綿含有産業廃棄物ががれき類、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず等の安定型産業廃棄物に該当する場合は安定型最終処分場で処分することができる」としています。レベル1・2から出る廃石綿等が特別管理産業廃棄物として厳しい処理を求められるのに比べ、屋根スレートの処分費が相対的に抑えられるのはこの扱いの違いによるものです。とはいえ通常の廃材より高いことに変わりはなく、公開情報では1立方メートルあたり3万〜7万円程度の幅が示されています(出典:信太商店解体無料見積ガイド(一般社団法人あんしん解体業者認定協会))。

見積書では処分費が「一式」でまとめられていることが多いのですが、体積(立方メートル)か重量(トン)か、収集運搬費が別かどうかを聞くと、金額の根拠がはっきりします。詳しい見積もりの見方は屋根修理の業者の選び方でも整理しています。

葺き替えとカバー工法、将来の解体費まで含めて比べる

結論として、目先の費用ではカバー工法が有利ですが、アスベストは屋根の下に残るため、将来の解体時に費用が繰り延べされているだけという見方もできます。どちらが良いかは、その家にあと何年住むかで変わります。

比較項目葺き替え(撤去あり)カバー工法(重ね葺き)
総額の目安(30坪程度)100万〜250万円50万〜180万円
アスベストの撤去今回で完了する屋根の下に残る
事前調査必要必要
屋根の重量軽くできる重くなる
下地の傷みの確認できるできない
将来の解体時石綿処理費は原則不要2層分の撤去・処分費がかかる
出典:リショップナビ外壁塗装(株式会社じげん)、株式会社ACTIVE、屋根無料見積.com の公開情報をもとに編集部が整理

カバー工法について、リショップナビ外壁塗装は「アスベストを使用したスレート屋根であった場合も、カバー工法であれば、基本的に廃材を出さずに工事を済ませることができます」としつつ、「古い屋根材を解体しないので、アスベストは残ったままになります」と注意しています(出典:リショップナビ外壁塗装)。残ったアスベストは、いつか家を解体する日に必ず費用として戻ってきます。しかも新しい屋根材と2層まとめての撤去になるため、単純に今回撤去するより高くなる可能性があります。

  • あと10年以内に建て替え・売却の可能性がある…総支払額ではカバー工法が有利になりやすい
  • 子や孫の代まで住み継ぐ予定…葺き替えでアスベストを片づけておく判断もある
  • 下地(野地板・ルーフィング)が傷んでいる、雨漏りがある…カバー工法は適さない
  • 耐震性を優先したい…重量が増えるカバー工法より葺き替えが選ばれやすい

それぞれの工法の詳しい費用と注意点は、屋根の葺き替え費用屋根カバー工法の費用とデメリットで個別に解説しています。軽い屋根材への葺き替えを検討する場合はガルバリウム屋根のメリット・デメリットも参考になります。

塗装という選択肢はどうか

アスベスト含有スレートでも、屋根材そのものが割れていなければ塗装でメンテナンスする選択肢はあります。撤去も処分も発生しないため費用はもっとも抑えられます。ただし前述のとおり、塗装工事も「改修」にあたるため事前調査は必要です。株式会社ReLIFEは、高圧洗浄で劣化した建材の表面が削れる可能性に触れており、洗浄圧の調整など施工上の配慮が必要だと説明しています(出典:株式会社ReLIFE)。塗装の適否の判断時期についてはスレート屋根の塗装時期もあわせてご覧ください。

補助金の可否と、業者選び・見積書で確認したいこと

ここまでの内容を実際の依頼に落とし込むための章です。先に結論をまとめると、補助金はあまり期待できず、代わりに複数社の見積もりを法令の工程で比べることが、いちばん確実なコストコントロールになります。

補助金は多くの自治体で吹き付けアスベスト限定

期待を持たせない形で正直にお伝えします。アスベストの調査・除去に対する自治体の補助制度の多くは吹き付けアスベスト(レベル1)が対象で、屋根スレートのような成形板は対象外です。

たとえば大阪市の令和8年度の制度は「大阪市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」という名称で、露出した吹き付け建材が対象です。含有調査は上限25万円、除去工事等は費用の3分の1かつ戸建住宅で上限20万円という枠が設けられています(出典:大阪市)。名称に「吹付け」と入っているとおり、屋根の化粧スレートはこの制度では対象になりません。

一般社団法人建築物石綿含有建材調査者協会がまとめている自治体別の補助制度一覧を確認しても、対象建材は吹付けアスベストや吹付けロックウールが中心で、成形板や屋根材まで対象にしている例は見当たりませんでした(出典:建築物石綿含有建材調査者協会(ASA)自治体別アスベスト補助制度一覧)。制度の内容と予算は年度ごとに変わりますので、必ずお住まいの市区町村の最新年度のページで確認してください。この記事の内容は2026年9月時点で確認できた情報です。

なお、屋根が台風や強風で壊れたことをきっかけに葺き替える場合は、火災保険の風災補償が使える可能性があります。こちらは補助金とは別の枠組みです。条件は屋根修理と火災保険の適用条件で整理しています。

見積書と業者選びで確認したい5つのこと

アスベスト工事は、法令を守る業者ほど工程が増え、見積もりが高く見えます。安いほうが必ず良いとは限らないという前提で、次の5点を確認してください。

  • 事前調査を、厚生労働大臣が定める講習を修了した調査者(建築物石綿含有建材調査者)が行っているか。2023年10月1日以降に着工する工事では義務です
  • 事前調査の結果報告書を受け取れるか。業者は3年間の保存義務があり、写しを現場に備え付ける必要があります
  • 請負金額が100万円以上なら、電子システムでの報告が済んでいるか
  • 撤去の方法が「原形のまま取り外す」前提になっているか。破砕して短時間で下ろす計画になっていないか
  • 処分費の数え方(体積か重量か)と、産業廃棄物のマニフェストを見せてもらえるか

見積書そのものの読み方については、国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センターが「見積書セルフチェック」を公開しています。第三者の中立的な物差しとして使えます(出典:住まいるダイヤル)。

あわせて注意したいのが訪問販売です。国民生活センターに寄せられた点検商法に関する相談件数は、2023年度の12,550件から2025年度は19,696件へ増えています(2026年5月31日時点の集計で、件数は未確定)(出典:国民生活センター)。「屋根にアスベストが入っているので今すぐ撤去しないと危険だ」といった不安をあおる勧誘には応じないでください。アスベストは飛散して吸い込むことが問題であり、屋根材として固定されている状態と、撤去工事の場面ではリスクの性質が違います。訪問販売で契約した場合は、特定商取引法により契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます(出典:消費者庁 特定商取引法ガイド)。

よくある質問

アスベストの屋根を放置していると健康被害がありますか

屋根材として固定されている状態と、工事で扱う状態は分けて考える必要があります。環境省の資料では、スレート波板を原形のまま取り外した事例で石綿繊維が「検出されず」だった一方、けい酸カルシウム板第1種を破砕した事例では81〜270本/リットルが検出されています。問題になるのは破砕したときの飛散だと読み取れます。ただし屋根材が割れて破片が飛散している、著しく劣化しているといった状態は別で、その場合は早めに専門業者に相談してください。健康影響の個別の判断は医療機関や行政の相談窓口が担当です。

100万円未満の工事なら事前調査は不要ですか

いいえ、必要です。厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトは「原則、工事の規模・種類にかかわらず改修等の対象箇所すべての材料に対し、事前調査を行う必要があります」と明記しています。100万円という基準は、調査結果を国の電子システムへ報告する義務が生じるかどうかの線引きです。調査自体を省略できる基準ではありません。

事前調査の費用は誰が払うのですか

法令上の実施義務は元請業者にありますが、実際の費用は工事費に含まれる形で施主が負担するのが一般的です。株式会社ReLIFEは、戸建住宅の書面・目視調査の相場を2万〜5万円程度、分析が必要な場合は1か所あたり3万〜5万円程度の追加と説明しています。見積書に調査費が計上されていない場合は、どこに含まれているのかを必ず確認してください。

カバー工法にすればアスベストの費用はかからずに済みますか

今回の工事では撤去費と処分費が発生しませんが、アスベストは屋根の下に残ります。将来その家を解体するときには、新しい屋根材と合わせて2層分の撤去・処分が必要になります。費用がなくなるのではなく、先送りされると理解するのが正確です。なお、カバー工法でも事前調査は必要です。

自分で屋根材を外して処分してはいけませんか

おすすめできません。石綿含有成形板等の除去作業には石綿作業主任者の選任と作業者への特別教育が求められ、作業記録は40年間の保存が義務づけられています。廃棄物も石綿含有産業廃棄物として、飛散防止措置とマニフェストによる管理が必要です。加えて屋根上の作業は墜落の危険を伴います。DIYの範囲を超える工事だと考えてください。

まとめ

アスベスト屋根の撤去費用について、この記事で確認できたことを整理します。

  • 住宅屋根用化粧スレートとスレート波板はレベル3(石綿含有成形板等)に分類される(環境省・国土交通省)
  • 撤去単価は民間各社の公開情報で3,000〜8,000円/㎡程度、処分費は3万〜7万円/立方メートル程度が目安。公的な全国目安は確認できませんでした
  • 国土交通省が公表する2.0万〜8.5万円/㎡は吹付け材(レベル1)の2007年データで、屋根材には当てはまらない
  • 2006年9月1日以後に着工した建築物なら石綿含有建材は使われていないと判断できる(環境省)
  • 2023年10月1日以降、建築物の事前調査は有資格者が行うことが義務。調査は規模を問わず必要で、100万円以上の改修は電子システムへの報告が必要
  • 撤去は「切断・破砕せず原形のまま外す」が原則。湿潤化も求められる
  • 自治体の補助制度は吹付けアスベスト限定が大半で、屋根材は対象外のことが多い。年度で変わるため要確認
  • カバー工法は当面の費用を抑えられるが、アスベストは残り、将来の解体時に費用が繰り延べされる

アスベストという言葉の重さから、必要以上に急いだ判断をしてしまうケースが少なくありません。まずは建築時期を調べ、事前調査を有資格者に依頼し、その結果をもとに葺き替えかカバー工法かを比較する。この順番を守れば、費用の見通しは立てられます。複数社から見積もりを取り、法令上必要な工程がきちんと計上されているかを見比べることをおすすめします。

見積もりを取るときに使えるサービス

ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

[PR]ヌリカエ

外壁塗装・屋根塗装の優良業者を紹介。適正価格の確認に使えます。

ヌリカエ

相談・見積もりは無料です。申し込み前に一括見積もりの仕組みと注意点もご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

目次