外壁塗装は冬でもできる?4つのデメリットと福岡での判断基準

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「冬に外壁塗装をすると失敗する」と聞いて、春まで待とうか迷っていませんか。結論から言うと、冬でも外壁塗装はできます。塗装の可否を決めるのは「冬かどうか」ではなく、「その日その時間の気温が5℃以上か、湿度が85%未満か」です。これは塗料メーカーのカタログと国の標準仕様書に明記された条件で、季節ではなく当日の数値で判断します。この記事では、その一次情報を軸に、冬に実際に起きる不便と、福岡のように冬でも施工可能な日が多い地域の見分け方を整理します。

目次

結論:冬でも塗装はできる。判断するのは季節ではなく「当日の気温と湿度」

冬の外壁塗装について、まず押さえるべき結論は3つです。

  • 塗料メーカーと国の標準仕様書が定めているのは「気温5℃以下・湿度85%以上では原則として塗装しない」という当日の条件であり、「冬は塗装しない」という季節の規定ではありません。
  • したがって、冬に施工できるかどうかは地域と当日の天候で決まります。福岡や関東南部の平野部と、北海道・東北・日本海側・山間部とでは、まったく別の話になります。
  • 冬の本当のデメリットは「品質が落ちる」ことではなく、1日に進められる作業量が減り、工期が延びやすいことです。条件を守れば品質は保てますが、守るために時間がかかります。

つまり冬の塗装で警戒すべきなのは「寒いから塗れない」ではなく、「寒い日に無理に塗る業者」と「延びた工期の費用をどう扱うか」の2点です。季節全体の向き不向きについては外壁塗装でやってはいけない時期で四季を通して整理していますので、そちらも併せてご覧ください。この記事は冬だけを深く掘り下げます。

一次情報で確認する「5℃・85%」──これは誰が決めた数字なのか

結論として、5℃・85%という数字は塗装業者が経験則で言っているものではなく、国の標準仕様書と塗料メーカーのカタログに文章として書かれている規定です。順に確認します。

国土交通省の標準仕様書に書かれた一文

国土交通省が定める公共建築工事標準仕様書(建築工事編)の塗装工事の項には、次の一文があります。同仕様書に対応した日本ペイントの製品塗装仕様書にも同じ内容が転記されています。

「塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上又は換気が適切でなく結露するなど塗料の乾燥に不適当な場合は、原則として、塗装を行わない。」──そして、やむを得ず塗装を行う場合は「採暖、換気等の養生を行う」と続きます。ここで注目したいのは、条件が「塗装場所の気温」「湿度」「結露」という現場のその瞬間の状態で書かれていることです。「12月から2月は塗装しない」とは、どこにも書かれていません。

塗料メーカーのカタログも同じ線を引いている

主要メーカーの製品カタログを確認しても、記述はほぼ一致します。

資料施工を避ける条件として書かれている内容
公共建築工事標準仕様書(国交省)気温5℃以下、湿度85%以上、換気不十分で結露する場合は原則として塗装を行わない。やむを得ない場合は採暖・換気等の養生を行う
エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」
「水性ソフトサーフSG」
「強風時、または降雨、降雪のおそれがある場合、及び気温5℃以下、湿度85%以上での施工は原則的に避けてください」。5℃以下で施工する場合は採暖により雰囲気温度・被塗面温度を5℃以上にする
日本ペイント「パーフェクトトップ」「塗装場所の気温が5℃以下、湿度85%以上である場合、または換気が十分でなく結露が考えられる場合、塗装は避けてください」
日本ペイント「デュフロン100ニューファイン」(溶剤形フッ素)「塗装時0℃以下、塗装後0℃以下の気温が連続することが予想される場合、または塗装時の湿度85%以上の場合は施工しないでください」
出典:日本ペイント 公共建築工事標準仕様書対応 製品塗装仕様書/エスケー化研 エスケープレミアムシリコン カタログ/エスケー化研 水性ソフトサーフSG カタログ/日本ペイント パーフェクトトップ カタログ/日本ペイント デュフロン100ニューファイン 製品資料

興味深いのは、溶剤形フッ素の「デュフロン100ニューファイン」だけ気温の線が0℃になっている点です。水性塗料は水が蒸発して樹脂粒子が融着することで塗膜になるため、低温で融着が進まず粉状になるリスクが高く、5℃で線を引きます。一方、溶剤形は有機溶剤が揮発するため低温への耐性が相対的に高い。つまり「冬に使える塗料かどうか」は塗料の種類で変わります。塗料ごとの特性は塗料の種類と耐用年数一覧で整理しています。

「気温5℃」は朝の最低気温のことではない

ここを誤解している方が非常に多いのですが、規定が言う「塗装場所の気温」は塗っているその瞬間の、その現場の気温です。天気予報の最低気温は多くの地域で日の出前後に記録されます。塗装作業が行われるのは概ね午前9時から午後4時ごろですから、判断すべきは最低気温ではなく、作業時間帯の気温です。この違いが、後述する「福岡なら冬でも施工できる日が多い」という結論に直結します。

冬に実際に起きる4つのデメリットを、数字で確認する

結論から言えば、冬のデメリットは「塗膜の品質」ではなく「時間」に集中します。乾燥待ちが延び、作業できる時間が短くなり、朝の準備が遅れ、その総和として工期が延びます。

① 塗り重ねまでの待ち時間が1.5倍前後に延びる

塗料のカタログには、気温別の乾燥時間が明記されています。実際の数値を見てみましょう。

製品気温指触乾燥塗り重ね乾燥時間硬化乾燥
パーフェクトトップ(水性ラジカル)5〜10℃15分3時間以上―
23℃10分2時間以上―
デュフロン100ニューファイン(溶剤形フッ素)5℃2時間5時間24時間以上
23℃1時間3時間16時間以上
出典:日本ペイント パーフェクトトップ カタログ/日本ペイント デュフロン100ニューファイン 製品資料。乾燥時間は目安で、使用量・通風・湿度・素地の状態により異なるとされています

数字で見ると、塗り重ねまでの待ち時間は5℃と23℃で2時間→3時間(1.5倍)、3時間→5時間(約1.7倍)に延びます。硬化乾燥も16時間から24時間へと1.5倍です。この差が意味するのは単純です。23℃なら中塗りと上塗りを同じ日にこなせた工程が、5℃では翌日に回るということです。1工程が翌日送りになれば、それだけで工期は1日増えます。工期の考え方は外壁塗装は何日かかるのかで工程ごとに解説しています。

② 日が短く、1日の作業可能時間が実質2〜3時間減る

意外に見落とされるのがこれです。国立天文台の暦計算室によると、福岡の日の出・日の入りは次の通りです。

  • 冬至(12月22日):日の出7時20分/日の入り17時16分 → 昼の長さ約9時間56分
  • 夏至(6月21日):日の出5時09分/日の入り19時32分 → 昼の長さ約14時間23分

差は約4時間半です。もちろん夏でも日の出直後から塗るわけではありませんが、「明るいうちに塗り、明るいうちに仕上がりを確認して片づける」という制約は変わりません。塗り残しやムラは、暗くなってからでは目視で拾えないからです。実務では、夏より作業開始が1時間ほど遅く、終了も1時間ほど早くなる、という報告が複数の施工業者から出ています(外壁塗装駆け込み寺)。1日あたり2時間短くなれば、10日の工事なら20時間分、およそ2〜3日分の作業量が失われる計算になります。

③ 朝露・霜・夜間の結露で、午前中の立ち上がりが遅れる

冬の朝、外壁や屋根の表面は霜や夜露で濡れていることがあります。濡れた面に塗ると密着不良や白化(ブラッシング)の原因になるため、表面が完全に乾くまで塗り始められません。前掲の標準仕様書が「結露するなど塗料の乾燥に不適当な場合」を明示的に禁止条件に挙げているのは、このためです。

では福岡ではいつ霜が降りるのか。気象庁の平年値(1991〜2020年)によれば、福岡の霜の初日は12月13日、終日は3月12日、結氷の初日は12月17日、終日は2月27日です。つまり、12月中旬から3月中旬までが「朝に霜が降りうる期間」ということになります。この期間の工事では、朝いちばんの1〜2時間が乾き待ちに消える日がある、と見込んでおくのが現実的です。

さらに厄介なのが夕方の結露です。日没後に急激に冷えると、塗ったばかりの塗膜面に水滴がつくことがあります。塗装後24時間以内の降雨・結露は、ふくれ・はく離・白化の原因になるとメーカー資料も警告しています。したがって冬は「夕方ぎりぎりまで塗らない」ことが、むしろ品質を守るという逆説的な運用になります。

④ 総和として工期が延びる

①〜③は独立した問題ではなく、積み重なります。乾燥待ちが1.5倍、作業可能時間が2時間短く、朝の立ち上がりが1時間遅れる。この結果、冬の平均施工日数は春や夏に比べて2〜3日ほど増える傾向があると報告されています(外壁塗装駆け込み寺)。30坪の戸建てで通常10〜14日が目安ですから、冬は12〜17日程度を見ておく、というのが現実的な想定です。年末年始をまたぐ場合は、職人の休みでさらに数日空くことも珍しくありません。

【独自検証】福岡の冬は本当に塗れないのか──気象庁の平年値で確かめる

ここがこの記事の核心です。結論を先に言うと、気象庁の平年値で見る限り、福岡の平野部では冬でも「気温5℃以上・湿度85%未満」を満たす日が大半を占めます。「冬は塗装できない」という一般論は、少なくとも福岡には当てはまりません。

福岡の冬の平年値

福岡管区気象台の平年値(1991〜2020年)は次の通りです。

月平均気温日最高気温の平均日最低気温の平均相対湿度日照時間降水量
12月9.1℃12.6℃5.8℃63%112.2時間67.5mm
1月6.9℃10.2℃3.9℃63%104.1時間74.4mm
2月7.8℃11.6℃4.4℃62%123.5時間69.8mm
3月10.8℃15.0℃7.2℃63%161.2時間103.7mm
(参考)6月―――75%145.2時間249.6mm
(参考)7月―――75%172.2時間299.1mm
出典:気象庁 福岡(福岡県)平年値(1991〜2020年の30年平均)

この表から読み取れることを3つ挙げます。

第一に、日中の気温は真冬でも5℃を大きく上回っています。最も寒い1月でも日最高気温の平均は10.2℃、12月は12.6℃、2月は11.6℃です。塗装は日最高気温に近い時間帯に行われますから、平年並みの日であれば「気温5℃以上」の条件は日中クリアできることになります。日最低気温の平均も1月で3.9℃で、氷点下ではありません。実際、日最低気温が0℃を下回る日数の平年値は1月1.2日、2月1.1日、12月0.2日、年間わずか2.5日です。

第二に、湿度条件はむしろ冬のほうが有利です。福岡の相対湿度は12月〜2月が62〜63%で、これは年間で最も低い水準です。年平均は68%、梅雨の6月・7月は75%まで上がります。「湿度85%以上では塗装しない」という規定に照らせば、冬は年間で最も余裕がある季節だということになります。空気が乾いているぶん、塗料の水分も抜けやすい。低温というマイナスと、低湿度というプラスが同居しているのが冬です。

第三に、降水量も冬が最少です。12月〜2月の合計は211.7mmで、6月・7月の2か月だけで548.7mmに達する梅雨期の半分以下。雨で中止になる日数という意味では、冬は有利な季節です。ただし日照時間だけは1月104.1時間・12月112.2時間と年間で最も少なく、これが前章で述べた「1日の作業時間の短さ」として効いてきます。

地域差は「季節差」よりはるかに大きい

ここで強調したいのは、冬の外壁塗装の話は、地域を特定しないと成り立たないということです。同じ「冬」でも、福岡・金沢・札幌ではまったく別の現実があります。

地点1月の日最高気温1月の日最低気温1月の相対湿度1月の日照時間1月の降水量
福岡10.2℃3.9℃63%104.1時間74.4mm
金沢(日本海側)7.1℃1.2℃74%62.3時間256.0mm
札幌(北海道)-0.4℃-6.4℃―90.4時間降雪137cm
出典:気象庁 平年値(1991〜2020年)。福岡/金沢/札幌

札幌は1月の日最高気温の平均が-0.4℃です。つまり平年並みの1日であれば、日中ですら0℃を超えません。5℃という基準を満たす時間帯がそもそも存在しない日が続くわけで、北海道の冬に一般的な外壁塗装ができないのは、業者の都合ではなく物理的な事実です。降雪も12月113cm・1月137cm・2月116cmと積み上がります。

金沢は気温そのものより「日照と雨・雪」が問題です。1月の日照時間は62.3時間、1日あたりに直すとわずか2時間です。福岡の104.1時間(1日約3.4時間)と比べても6割程度。降水量は256.0mmと福岡の3.4倍で、相対湿度も74%と高い。日本海側の冬は「気温は塗れるが、天気が続かない」タイプの難しさを抱えています。

これに対して福岡は、日中の気温が10℃前後、湿度は年間最低の63%、降水量も年間最少。福岡の平野部であれば、冬でも施工条件を満たす日はかなり多いと言えます。ただし同じ福岡県でも、朝倉・八女・田川といった内陸部や山間部、標高のある地域では冷え込みが強く、市街地の数値をそのまま当てはめることはできません。海沿いか内陸か、標高はどれくらいか、北風が直接当たるかで条件は変わります。「福岡だから大丈夫」ではなく「あなたの家の立地で大丈夫か」を業者に確認してください。

冬にしかないメリット:閑散期の予約の取りやすさと、乾いた空気

結論として、冬には春秋にはない実務上の利点が3つあります。

  • 予約が取りやすい。春(3〜5月)と秋(9〜11月)は塗装業界の繁忙期で、人気のある業者は数か月先まで埋まることがあります。冬は依頼が減るため、希望日程を通しやすく、「この職人さんにお願いしたい」という指名も比較的通りやすくなります。
  • 1現場にかけられる人手と時間に余裕が生まれる。繁忙期は現場を掛け持ちしがちですが、閑散期は1現場に集中しやすい。乾燥時間を正しく取る余裕が生まれるという点で、これは品質面のメリットにもなり得ます。
  • 湿度条件が年間で最も良い。前述の通り福岡の冬の相対湿度は62〜63%で、梅雨の75%より大幅に低い。降水量も年間最少です。「湿度85%以上は施工しない」という規定に対して、最も余裕のある季節が冬だという事実は、もっと知られてよいと思います。

また、外壁塗装は基本的に窓を養生でふさぐため、工事期間中は窓を開けにくくなります。真夏の炎天下で窓が開けられない状況と比べれば、冬のほうが在宅時の負担は軽いという声もあります。ただし冬は洗濯物が乾きにくい季節ですから、屋外に干せない期間が長引くことは念頭に置いてください。

冬に避けるべき「日」と「時間帯」と「面」

冬の施工では、季節単位ではなく日・時間帯・壁面ごとに条件が変わることを理解しておくと、現場で何が起きているか判断できます。

避けるべき「日」

  • 最高気温の予想が一桁前半(5〜7℃程度)にとどまる日。日中でも規定ぎりぎりで、日陰面は5℃を割ります。
  • 放射冷却が強く、翌朝の冷え込みが予想される日の夕方。塗った直後に結露する恐れがあります。
  • 降雪・みぞれの予報がある日。メーカーカタログも「降雨、降雪のおそれがある場合」を明確に禁止条件に挙げています。
  • 強風の日。労働安全衛生規則の足場に関する規定では、強風・大雨・大雪など悪天候の後は足場の点検が義務づけられており、そもそも高所作業自体が中止になります。冬の北風が強い日は、塗料の条件以前に作業が止まります。

避けるべき「時間帯」

早朝(表面が乾ききる前)と、夕方(塗膜が乾く前に冷え込む時間帯)の2つです。福岡では12月13日から3月12日が霜の降りうる期間ですから、この時期の朝は外壁表面の水分が飛ぶまで待つ必要があります。逆に夕方は、日没が17時台前半である以上、遅くとも15時〜16時には最終工程を終えて、塗膜が冷え込む前にある程度乾かす時間を確保したい。「冬は8時から17時までびっしり塗ります」と言う業者がいたら、むしろ疑ってください。物理的に無理があります。

注意すべき「面」

ここは意外と語られませんが、冬は同じ家でも面によって条件が違います。北面と、隣家や樹木の影になる面は、1日を通してほとんど日が当たりません。気温が10℃あっても、日の当たる南面と日陰の北面では被塗面の温度が数℃違うことがあります。規定が「塗装場所の気温」だけでなく「被塗面温度を5℃以上に」と書いているのは、この差を意識しているからです。

実務では、午前中に日が当たる東面・南面から着手し、北面は最も気温が上がる午後に回すという段取りが基本になります。見積もりや工程表の打ち合わせのときに「北面はいつ塗りますか」と一言聞いてみてください。段取りを考えている業者かどうかが、その返答でおおよそ分かります。

「冬は安い」を鵜呑みにしない──工期が延びれば足場の期間も延びる

結論として、冬に値引きが出やすいのは事実ですが、その値引き幅は「工期が延びる分」を必ずしも上回りません。ここは冷静に計算する必要があります。

まず値引きの実態から。外壁塗装の窓口の解説によれば、工事費用100万円のケースで実際に応じてもらえる値引きは3〜5万円程度、割合にして3〜5%程度が一つの目安とされています。同時に、10%以上の過度な値引きは、業者が利益を確保するために工程を削る動機になりかねず、おすすめできないとも指摘されています。「冬だから半額」といった話は現実的ではありません。値引き以外の費用の下げ方は外壁塗装を安くする方法で整理しています。

一方で、冬は工期が2〜3日延びやすい。ここで問題になるのが足場です。足場は仮設材のリースと組立・解体で構成され、費用は600〜1,500円/㎡が一つの目安です。延床30坪(塗装面積約119㎡)なら足場代だけで十数万円規模になります。この足場代が「工期に関係なく一式」なのか、「一定期間を超えると延長料金が発生する」のかは、契約書で必ず確認してください。後者であれば、3〜5%の値引きが延長料金で相殺される可能性があります。費用の内訳の見方は外壁塗装の費用内訳で詳しく解説しています。

確認しておきたい項目を整理します。

  • 足場の費用は工期にかかわらず定額か。延長料金の条件と単価は明記されているか。
  • 天候不良で中止になった日の扱い(追加費用は発生しないか)が契約書に書かれているか。
  • 気温5℃を下回った場合、その日は作業を中止すると明記されているか。あるいは採暖などの措置を取るのか。
  • 工程ごとの乾燥時間(塗り重ね間隔)を、使用する塗料のカタログ値に沿って確保する旨が書かれているか。
  • 工期が延びた場合の完了予定日の再設定について、どう取り決めるか。

見積書の読み方に不安がある場合は、国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センターが公開している住まいるダイヤルの見積書セルフチェックが参考になります。中立の公的機関の資料ですので、業者選びの前に一度目を通しておくことをおすすめします。

なお、冬に限らず「今なら安くします」「今月中に契約すれば足場代無料」といった、季節や期限を口実に契約を急がせる話法には注意が必要です。国民生活センターに寄せられる点検商法に関する相談件数(PIO-NET)は、2023年度の12,550件から2025年度は19,696件へと増加しています(2026年5月31日時点の集計で、件数は未確定です)。同センターは、契約を急がされても応じないこと、複数社から見積もりを取って比較検討することを呼びかけています。訪問販売で契約した場合は、特定商取引法により法定書面の受領日から8日間のクーリング・オフが可能です。

よくある質問

Q. 冬に塗装すると、塗膜の耐久性は本当に落ちるのですか?

条件を守って施工されていれば、冬だから耐久性が落ちるという性質のものではありません。問題が起きるのは、気温5℃未満や湿度85%以上で塗った場合、あるいは規定の塗り重ね乾燥時間を守らずに次の工程へ進んだ場合です。冬は乾燥に時間がかかるぶん、その待ち時間を省略する誘惑が大きくなるのが本当のリスクです。契約前に「気温が5℃を下回る日は作業しない」「塗り重ね間隔はカタログ値を守る」ことを書面で確認しておくと安心です。

Q. 福岡なら12月〜2月でも工事して問題ありませんか?

気象庁の平年値を見る限り、福岡の平野部では日中の気温が10℃前後、湿度62〜63%、降水量も年間最少ですから、条件を満たす日が多いと考えられます。ただしこれはあくまで平年値であり、寒波が入れば数日単位で条件を割ります。また同じ福岡県でも内陸部・山間部は冷え込みが強く、事情が異なります。工期は通常より2〜3日長めに見積もり、天候による中止日が出る前提でスケジュールを組んでおくのが現実的です。

Q. 冬に工事すると、どれくらい安くなりますか?

「必ず安くなる」とは言えません。閑散期のため業者が値引きに応じやすい傾向はありますが、100万円の工事で3〜5万円程度、割合にして3〜5%程度が一つの目安とされています。加えて、工期が2〜3日延びれば足場の延長料金が発生する契約もあり、その場合は差額が縮みます。「冬は安い」という前提ではなく、実際の見積書を複数社で比較して判断してください。

Q. 雪が降る地域に住んでいます。冬は諦めるべきですか?

札幌の1月は日最高気温の平均が-0.4℃で、日中ですら5℃という基準を満たしません。降雪も月100cmを超えます。北海道・東北の内陸・日本海側では、冬季の外壁塗装は現実的ではないと考えるのが妥当です。金沢のように気温は足りていても日照時間が1日2時間程度しかなく雨や雪が続く地域では、「塗れる日」がまばらにしか来ないため工期が読めません。こうした地域では春から秋にかけての施工をおすすめします。

Q. 「冬でも大丈夫です」と言う業者は信用できますか?

言葉だけでは判断できません。確認すべきは「何をもって大丈夫と言っているか」です。信頼できる業者は、使用する塗料のカタログ値(気温別の塗り重ね乾燥時間)を示し、気温を測って記録すること、5℃を下回る日は中止すること、北面は午後に回すこと、といった具体的な段取りを説明できます。逆に「冬でも問題なく、しかも早く終わります」とだけ言う場合は要注意です。冬は物理的に工期が延びるほうが自然だからです。業者の見極め方は外壁塗装の業者の選び方を参考にしてください。

まとめ

冬の外壁塗装について、押さえておきたい要点を整理します。

  • 国土交通省の標準仕様書と塗料メーカーのカタログが定めているのは「気温5℃以下・湿度85%以上では原則として塗装しない」という当日の条件であり、季節の規定ではありません。冬でも条件を満たせば施工できます。
  • 冬のデメリットは品質ではなく時間です。塗り重ね乾燥時間は5℃と23℃で1.5〜1.7倍に延び、日照が短く作業時間が減り、朝露や霜で立ち上がりが遅れます。結果として工期は2〜3日ほど延びる傾向があります。
  • 地域差が決定的です。福岡は1月でも日最高気温の平均10.2℃、湿度63%、降水量74.4mmで、条件を満たす日が多い。一方、札幌の1月は日最高気温の平均が-0.4℃で日中も基準を満たさず、金沢は日照時間が1日約2時間しかありません。
  • 冬のメリットは、閑散期で予約が取りやすいこと、1現場に時間をかけやすいこと、そして湿度が年間で最も低いことです。
  • 避けるべきは、最高気温が一桁前半の日、放射冷却が強い日の夕方、降雪・強風の日。そして時間帯としては早朝と夕方、面としては北面・日陰面です。
  • 「冬は安い」は3〜5%程度が目安で、工期延長による足場の延長料金と相殺される可能性があります。足場代が工期にかかわらず定額かどうかを契約書で確認してください。

冬に外壁塗装を検討する際にいちばん大切なのは、「冬だからやめる」「冬だから安い」という季節単位の思い込みを捨てることです。判断の基準は、あなたの家が建っている場所の気候と、工事当日の気温・湿度・風・天気にあります。お住まいの地域の平年値は気象庁のサイトで誰でも確認できますので、見積もりを取る前に一度ご覧になってみてください。そのうえで、気温や乾燥時間の管理について具体的に説明できる業者を、複数社の見積もりから選んでいただければと思います。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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