火災保険の申請サポートは怪しい?手数料の相場と違法の境界線

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火災保険の申請サポート業者について結論から書きます。「申請サポート業者はすべて詐欺」というのは正確ではありません。ただし、公的機関に相談と行政処分が集中している領域であり、しかも保険金の請求は契約者本人が自分でできる手続きです。つまり、リスクを負ってまで第三者に3〜5割の手数料を払う必然性が乏しい、というのが実態に近い評価です。

この記事では、国民生活センター・埼玉県・日本損害保険協会・法務省などの一次情報をもとに、何が適法で、何がグレーで、何が明確に違法なのかを制度に即して切り分けます。あわせて、業者に頼らずに自分で請求する正規ルートの手順も工程表にまとめました。

目次

結論:怪しいのは「業者の存在」ではなく「特定の行為」

結論として、火災保険の申請サポートという業態そのものを直接禁止する法律は、調べた範囲では見当たりませんでした。問題になるのは業態ではなく、個々の行為です。損害の調査をして写真を撮る、というところまでと、保険会社と交渉して保険金額を争う、というところでは、法的な意味がまったく違います。

「怪しい」と言われる理由を分解すると、おおむね次の4つに整理できます。この4つのうち1つでも当てはまる業者は、依頼先の候補から外して問題ありません。

  • 経年劣化による傷みを「自然災害が原因」として申請させようとする(虚偽申請の教唆にあたりうる)
  • 手数料が保険金の3〜5割と高額で、しかも契約時に総額が示されない
  • 途中でやめると保険金の3〜5割の違約金、という契約になっている
  • 保険会社との交渉やクレーム対応まで請け負うと説明する(弁護士法に触れうる)

まず、行為ごとの評価を一覧にします。個別の事案の判断は最終的に裁判所や監督官庁が行うため、ここでの区分はあくまで公表資料をもとにした整理である点はご了承ください。

業者が行う行為評価の目安根拠・理由
屋根や外壁を点検し、損傷箇所を撮影して報告書にまとめる適法の可能性が高い事実の調査であり、法律事務にあたらないと考えられる
修理の見積書を作成する(自社で工事する場合を含む)適法通常の建設・リフォーム業務
保険金請求書の書き方を助言するグレー(内容による)助言にとどまるか、実質的に作成を代行しているかで評価が変わる
契約者に代わって保険会社と金額を交渉する違法の可能性が高い報酬を得て法律事務を扱う行為として弁護士法72条に触れうる
経年劣化を災害被害と偽って申請させる違法刑法246条の詐欺にあたりうる。契約者本人も当事者になる
「工事をやめるなら保険金の5割を違約金として払え」と請求する違法の可能性が高い消費者契約法上の不当条項や、特定商取引法違反が問題になりうる
出典:法務省「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」埼玉県「保険金申請サポートや住宅修繕を行う事業者に対する行政指導等の実施について」をもとに編集部作成

この表の左上(調査・撮影・見積)にとどまる業者は、いわゆる「悪徳業者」とは言えません。危ないのは、下の3行に踏み込む業者です。契約前に「どこまでやってくれるのか」を具体的に確認すれば、その業者がどこに位置するかは判別できます。

公的統計と行政処分で見る実態:相談は10年で20倍以上に

結論として、この分野の相談は明確に増えています。国民生活センターが2020年10月1日に公表した資料によると、「保険金を使って住宅を修理できる」という勧誘に関する相談は2010年度の111件から2019年度の2,684件へと、約24倍に増加しました。

さらに翌年、2021年9月2日に公表された資料では、2020年度の件数が5,447件に達したことが示されています。台風や豪雨のあとに勧誘が集中する傾向があるため、災害の多い年ほど件数が跳ね上がります。

年度相談件数出典(公表年月日)
2010年度111件国民生活センター(2020年10月1日)
2014年度663件国民生活センター(2020年10月1日)
2016年度1,082件国民生活センター(2020年10月1日)
2018年度1,759件国民生活センター(2021年9月2日)
2019年度2,684件/2,691件2020年公表時と2021年公表時で数値が異なる
2020年度5,447件国民生活センター(2021年9月2日)
2021年度(7月31日まで)1,084件国民生活センター(2021年9月2日)
出典:国民生活センター「『保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる』と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!」

表の2019年度に2つの数値が並んでいるのは誤記ではありません。PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)は集計時点で件数が更新されるため、同じ年度でも公表のタイミングによって数字がずれます。この種の統計を引用するときは「いつ時点の集計か」を必ず確認する必要がある、という一例です。なお、2022年度以降について、この項目に絞った同じ形式の公表資料は確認できませんでした。

被害に遭いやすいのは60歳以上

国民生活センターの2020年10月の資料では、「60歳以上の消費者が当事者となっている相談が多くを占めています」と明記されています。年代別では70歳代と80歳以上が目立ちます。戸建てを長く所有し、屋根や外壁に相応の傷みが出ている世帯が狙われやすい、という構図です。

実際に行政処分が出ている

相談が多いだけでなく、行政処分の実例もあります。埼玉県は令和2年12月15日、特定商取引法に基づき事業者に6か月の業務停止命令を出しました。認定された違反行為は、「経年劣化による家屋の損傷は火災保険等の適用対象外であるにもかかわらず、あたかも家屋の全ての損傷が火災保険等の適用対象であるかのように告げて契約を締結」したこと、およびクーリング・オフに関する記載に不備のある契約書面を交付したことです。

さらに同県は令和3年3月15日、景品表示法に基づく措置も公表しています。調査が無料であるかのように表示しながら、実際の見積書には調査費用を計上し、施工を取りやめた場合に「保険金の半額」の返納を求めていた事案です。あわせて、特定商取引法に基づき11事業者、景品表示法に基づき3事業者へ行政指導が行われました。行政指導を受けた3事業者の違約金は、火災保険による保険金の30〜50%と記載されています。

金融庁の注意喚起は確認できませんでした

調べた範囲では、金融庁が「火災保険の申請サポート業者」を名指しして注意喚起した公表資料は確認できませんでした。申請サポート業者は保険会社でも保険募集人でもないため、金融庁の直接の監督対象ではない、という整理と考えられます。実際に注意喚起を出しているのは、消費者行政側(国民生活センター、各都道府県)と、業界団体である日本損害保険協会、そして個々の損害保険会社です。この記事でも、その3者の資料を主な根拠にしています。

前提として、火災保険はどこまで使えるのか

トラブルの根っこは、ほぼ例外なく「火災保険が使える範囲」の誤解にあります。ここを正しく理解していれば、「この家なら全部保険で直せますよ」という営業トークが成り立たないことがすぐ分かります。

もっとも重要な原則は、経年劣化は火災保険の対象外だということです。東京海上日動の解説ページでも、保険金を支払わない場合として「自然の消耗または劣化による損害」が挙げられており、経年劣化が原因の雨漏り修理は適用外だと明記されています。

状況火災保険の扱いポイント
台風の強風で瓦が飛んだ・棟板金がめくれた風災として対象になりうるいつの台風か、被害日を特定できるかが鍵
雹(ひょう)で屋根材やカーポートが割れた雹災として対象になりうる気象データと突き合わせて確認される
大雪の重みで雨樋が変形した雪災として対象になりうる豪雪地域では別途条件が付くことがある
10年以上かけて塗膜が劣化した・コーキングが切れた対象外自然の消耗・劣化にあたる
色あせ、チョーキング、藻やコケ対象外災害ではなく経年変化
原因が特定できない雨漏り対象になるとは限らない災害起因と示せなければ支払対象にならない
地震・噴火・津波による損害火災保険では対象外地震保険の領域
出典:東京海上日動火災保険「火災保険の保険金とは?対象条件を紹介」をもとに編集部作成。実際の適用可否は契約している約款によります

免責金額とフランチャイズ方式で「1円も出ない」ことがある

対象の災害であっても、必ず保険金が出るわけではありません。契約には免責金額(自己負担額)が設定されていることが多く、支払われるのは修理費から免責金額を差し引いた額です。

さらに注意が必要なのがフランチャイズ方式です。前掲の東京海上日動の解説では、「20万円フランチャイズ方式」の場合、損害額が20万円未満だと保険金の支払対象外になると説明されています。つまり、損害額が18万円なら支払いはゼロ、21万円なら全額、という段差のある仕組みです。古い契約ほどこの方式が使われている場合があるため、まずご自身の保険証券と約款を確認してください。

請求できる期間は3年(保険法95条)

保険給付を請求する権利は、行使しないまま3年が経つと時効で消滅します。根拠は保険法95条で、日本損害保険協会の損害保険Q&Aでも「3年以内に請求しないと時効となります」と説明されています。

この3年という数字は、訪問販売の常套句としても使われます。「3年で時効になるから今すぐ申請しないと損です」と急かすトークです。事実としては正しいのですが、時効が迫っているなら急ぐべき相手は業者ではなく保険会社です。保険会社への連絡は無料で、その場で契約者本人ができます。屋根の被害と火災保険の関係は屋根修理と火災保険の適用条件でも整理しています。

「サポート」と「代理・代行」の線引き:弁護士法72条をどう読むか

結論として、報酬を得て第三者が保険会社と交渉することは、弁護士法72条に触れる可能性があります。一方で、損害の調査や写真撮影、修理見積の作成といった事実行為は、直ちに違法とは言えません。この差を理解することが、「怪しい業者」と「普通のリフォーム業者」を見分ける最大のポイントです。

弁護士法72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じています。法務省が令和5年8月に公表した資料では、この条文の要素が次のように整理されています。

  • 「報酬を得る目的」……法律事務の役務に対して支払われる対価であること。金銭に限らず、物品や供応も含まれる
  • 「その他一般の法律事件」……事件性が必要。事件性とは「法律上の権利義務に関し争いがあり、あるいは疑義を有するもの」
  • 「その他の法律事務」……法律上の効果を発生、変更等する事項の処理

ここで鍵になるのが「事件性」です。トラブルなく進んでいる保険金請求には争いがないため、そもそも法律事件にあたらない、という読み方が成り立ちます。しかし、保険会社が「これは経年劣化なので支払えません」と回答した瞬間から、そこには権利義務についての争いが生まれます。その段階から報酬をもらって代わりに交渉すれば、非弁行為が問題になります

言い換えると、業者が「保険会社に断られても、うちが交渉して覆します」とうたっている場合、その業務は法的にかなり危うい領域に入っています。実際、東京海上日動が公開している弁護士監修の解説ページでも、法律事務の本人代行ができるのは弁護士であるという前提から、資格を持たない第三者による代行が非弁行為にあたる可能性が指摘されています。

虚偽の申請は契約者本人が詐欺罪に問われうる

ここは、この記事で最も強調したい点です。業者に勧められて虚偽の申請をした場合でも、保険会社に対して嘘をついて保険金を受け取ったのは契約者本人です。刑法246条の詐欺は「人を欺いて財物を交付させた者」を処罰する規定で、法定刑は10年以下の拘禁刑です(2025年6月1日施行の刑法改正により、懲役・禁錮は拘禁刑に一本化されました)。

国民生活センターの2021年9月2日公表資料でも、消費者へのアドバイスとして虚偽の申請が詐欺罪等の法的リスクを伴う点が挙げられています。日新火災海上保険の解説記事でも、業者だけでなく「保険契約者や保険金を受け取る方も虚偽の申告をしたこととなり、知らない間に詐欺の片棒を担がされていることになる」と警告されています。

「みんなやっていますから大丈夫」「バレませんよ」という言葉が出たら、その時点で会話を終わらせてください。業者は逃げられますが、保険証券に名前が載っているのはご自身です。関連する手口は屋根修理の訪問販売詐欺でも詳しく扱っています。

手数料30〜50%と違約金の実態

結論として、公表資料で確認できる手数料の水準は保険金の3割から5割が中心で、資料によっては2割から6割という幅も示されています。「完全成功報酬だから損はしない」という説明は、この水準を見れば実態と合っていないことが分かります。

出典示されている水準補足
国民生活センター(2020年10月1日公表)3割〜5割コンサルティング料・申請サポート料・違約金等の合計。事例では違約金が保険金の5割
国民生活センター(2021年9月2日公表)40%相談事例に記載された手数料率
埼玉県(令和3年3月15日公表)30〜50%景品表示法に基づく行政指導を受けた3事業者の違約金
日本損害保険協会30%保険金100万円に対し30万円を請求。実際の修理費は70万円だった事例
損害保険ジャパン(2017年)50%解約時に保険金の50%を解約料として請求された事例
東京海上日動(弁護士解説)30〜50%違約金は10万〜100万円を請求するケースがあると記載
日新火災海上保険2割〜6割手数料の幅として記載
出典:各機関・各社の公表資料をもとに編集部作成

数値が資料によってばらつくのは、「手数料」に何を含めるかの定義が統一されていないためです。純粋な成功報酬だけを指す場合、調査費や書類作成料を含む場合、工事をキャンセルしたときの違約金まで含む場合があります。契約書を見るときは、料率そのものより「どの費目が、どんな条件で発生するのか」を確認してください。

「保険金が下りなければ無料」でも費用が出る場合がある

完全成功報酬をうたっていても、実際には費用が請求される事例が公表されています。埼玉県が景品表示法に基づいて措置を行った事案では、調査が無料であるかのように表示しながら、見積書には調査費用が計上され、施工を取りやめた場合に保険金の半額の返納を求めていました。

また、日本損害保険協会が紹介している事例では、契約書を持ち去られたうえで「工事しなければ保険金の4割を支払え」と迫られたケースが記載されています。契約書の控えを渡さない業者とは契約しない、という一点だけでも守る価値があります。

【独自試算】保険金100万円で、手元にいくら残るのか

手数料の議論は「30%」「50%」という料率で語られがちですが、住まいの持ち主にとって本当に重要なのは「屋根が直った状態にできるのか」「持ち出しはいくらか」です。そこで、保険金の認定額を100万円と仮定し、実際に何が起きるかを計算してみます。

前提は、風災で屋根が損傷し、修理の適正見積が100万円、免責金額はゼロ、というシンプルなケースです。あくまで構造を理解するためのモデル計算であり、実際の金額は契約と損害の程度によって変わります。

ケース認定保険金業者への手数料修理に回せる額実質の自己負担
A:自分で保険会社に連絡して請求100万円0円100万円0円
B:サポート業者に依頼(手数料30%)100万円30万円70万円30万円
C:サポート業者に依頼(手数料50%)100万円50万円50万円50万円
D:手数料40%で、認定額が想定より低かった80万円32万円48万円52万円
E:手数料50%で、工事を他社に頼もうとした100万円50万円+違約金50万円未満50万円超
修理費100万円・免責金額0円を前提とした編集部の試算。実際の金額は契約内容と損害状況によって変わります

この表から読み取れることは3つあります。

第一に、手数料はそのまま自己負担に変わります。保険金は「屋根を直すために必要な額」として算定されるため、そこから3〜5割が抜ければ、その分だけ修理の原資が足りなくなります。日本損害保険協会が紹介している事例(保険金100万円・手数料30万円・修理費70万円)も、まさにこの構図です。

第二に、認定額が下振れすると自己負担が跳ね上がります。ケースDでは、認定額が2割下がっただけで自己負担は52万円になりました。手数料が「認定された保険金に対する定率」である以上、認定額が下がっても業者側のリスクはほとんど増えません。リスクを負っているのは契約者だけです。

第三に、「保険金が下りる」ことと「家が直る」ことは別の話です。ケースB以降では、修理に回せる額が適正見積を下回ります。差額を自己資金で埋めるか、工事の範囲を削るかの二択になり、後者を選ぶと数年後に同じ場所をもう一度直すことになりかねません。修理費の目安は雨漏り修理の費用もあわせてご確認ください。

逆に言えば、ケースAの「自分で請求する」を選べば、この問題はすべて消えます。次章でその手順を示します。

業者に頼らない正規ルートと、契約してしまった場合の対処

結論として、保険金の請求は契約者本人が行うのが原則であり、専門知識がなくても進められる手続きです。日本損害保険協会の損害保険Q&Aでも、請求するのは被保険者・保険契約者など保険金を受け取るべき者だと説明されています。損害保険ジャパンも、まず契約者自身が保険会社または代理店に連絡するよう呼びかけています。

実際の流れは次のとおりです。難所は3つ目の「修理見積を取る」だけで、ここは普通のリフォーム業者に依頼すれば済みます。

手順やること誰が行うか費用の目安
1. 記録する被害箇所の写真を複数の角度から撮る。被害が出た日と天候をメモする契約者本人0円
2. 保険会社に連絡する保険証券を用意し、事故受付の窓口へ電話またはWebで連絡する契約者本人0円
3. 修理見積を取る屋根・外壁の業者に現地を見てもらい、見積書と被害写真を出してもらうリフォーム業者多くは無料。有料の場合は事前に提示される
4. 書類を提出する保険金請求書、見積書、写真などを保険会社に送る契約者本人0円
5. 損害の確認を受ける必要に応じて鑑定人が現地を調査。認定額の連絡を受けて承諾する保険会社・鑑定人0円(保険会社が手配)
出典:東京海上日動火災保険「火災保険に関する事故発生からお支払いまでの流れ」日本損害保険協会「損害保険Q&A 保険金の請求について」をもとに編集部作成

鑑定人は保険会社が手配する専門家

手順5に出てくる鑑定人について補足します。日本損害保険協会は「損害保険登録鑑定人」の認定試験を実施しており、1級・2級・3級の技能ランクがあります。役割は、建物や動産の保険価額の算出、損害額の鑑定、事故の原因・状況の調査です。

つまり、損害を専門的に見て評価する人は、保険会社の側にすでに用意されています。申請サポート業者を挟まなければ損害を正しく評価してもらえない、という前提そのものが成り立ちにくい構造です。

見積書を出してくれる業者の選び方

唯一、外部の力を借りる手順3では、保険金の話を持ち出さずに「屋根の被害を見て、修理見積と写真をください」と依頼するのが安全です。保険金を前提にした営業をしてくる業者よりも、工事の中身と金額で勝負する業者のほうが、結果的に納得のいく工事になります。業者選びの基準は悪徳業者の見分け方にまとめています。

それでも依頼を検討するなら、書面で確認したい8項目

結論として、依頼するかどうかを決める前に、次の項目を書面で確認してください。口頭の説明だけで判断しないことが最大の防御になります。

  • 業務範囲は「調査・報告書作成」までか。保険会社との交渉まで含むと説明していないか
  • 手数料の料率と、その計算のもとになる金額(認定保険金か、工事金額か)
  • 保険金が下りなかった場合に発生する費用の有無と金額
  • 途中で解約した場合の違約金の金額と算定根拠
  • 修理業者を自分で選べるか。業者指定が条件になっていないか
  • 契約書と重要事項説明書の控えを、その場で受け取れるか
  • クーリング・オフに関する記載が契約書面にあるか
  • 会社の所在地、代表者名、固定電話が記載されているか

この8項目に明確に答えられない業者は、契約書の作りが雑であるか、都合の悪い条件を伏せているかのどちらかです。その場で契約せず、いったん帰ってもらってください。

契約してしまった場合はクーリング・オフを検討する

自宅への訪問で勧誘を受けて契約した場合、その契約は特定商取引法上の訪問販売にあたる可能性があります。消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、訪問販売のクーリング・オフ期間は法定書面を受け取った日から8日間です。国民生活センターも、不安を感じたときの対応としてクーリング・オフと消費生活センターへの相談を挙げています。

注意したいのは、クーリング・オフの起算日は「正しく記載された法定書面を受け取った日」だという点です。埼玉県の処分事例のように書面の記載に不備があれば、8日を過ぎていても行使できる余地があります。「もう8日過ぎたから無理」と自己判断せず、まず消費者ホットライン188に相談してください。具体的な手続きはリフォームのクーリングオフのやり方で解説しています。

保険に関するトラブルはそんぽADRセンターへ

保険会社との間でトラブルになった場合の相談先が、日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」です。保険業法に基づく指定紛争解決機関で、相談対応、苦情解決手続、紛争解決手続を行っています。紛争解決手続では、弁護士など専門の知識と経験を持つ紛争解決委員が中立・公正な立場で和解案の提示などを行います。

利用料は原則無料で、通信費や交通費などの実費のみ自己負担です。電話番号は全国共通の03-4332-5241、受付は月曜から金曜の9時15分から17時(祝日・年末年始を除く)です。

なお、相談先の使い分けはシンプルです。業者とのトラブルなら消費生活センター(188)、保険会社とのトラブルならそんぽADRセンターと覚えておけば迷いません。

よくある質問

火災保険の申請サポート業者を使うこと自体は違法ですか?

業者を利用すること自体を禁じる法律は、調べた範囲では確認できませんでした。ただし、報酬を得て契約者に代わって保険会社と交渉する行為は、弁護士法72条に触れる可能性があります。また、経年劣化を災害被害と偽って申請すれば、契約者本人が刑法246条の詐欺に問われうる点も重要です。業態が違法なのではなく、特定の行為が違法になるという理解が正確です。

「調査は無料、成功報酬だけ」と言われました。損はしませんか?

そう言い切ることはできません。埼玉県が景品表示法に基づき措置を行った事案では、調査が無料であるかのように表示しながら見積書に調査費用が計上され、施工を取りやめた場合に保険金の半額の返納を求めていました。「無料」の範囲がどこまでかを、契約書の文言で確認する必要があります。加えて、成功報酬が発生した場合は保険金の3〜5割が差し引かれるため、修理費の原資はその分減ります。

保険金が下りたのに修理しないのは問題になりますか?

保険金の使い道について、公的機関が一律のルールを示している資料は確認できませんでした。ただし、約款によっては未修理の状態が次回以降の請求に影響する場合があります。より重要なのは、そもそも「修理しなくてもお金が入る」という誘い文句自体が、虚偽申請の入り口になりやすいという点です。判断に迷う場合は、業者ではなく契約している保険会社に直接確認してください。

築25年で塗装がかなり傷んでいます。火災保険で塗り替えできますか?

経年劣化による塗膜の劣化やコーキングの切れは、火災保険の対象外です。東京海上日動の解説でも、保険金を支払わない場合として「自然の消耗または劣化による損害」が明記されています。「築年数が経っているほど保険で直せる」という説明は、事実と逆です。塗り替えの費用と時期については外壁塗装のタイミングをご覧ください。

3年以内に申請しないと時効だと急かされました。本当ですか?

3年という期間自体は事実です。保険法95条により、保険給付を請求する権利は3年間行使しないと時効で消滅します。日本損害保険協会の損害保険Q&Aでも同様に説明されています。ただし、時効が迫っているなら急ぐべき連絡先は業者ではなく保険会社です。保険会社への事故連絡は無料で、契約者本人がその日のうちにできます。時効を口実に契約を急がせる勧誘は、それ自体が警戒すべきサインです。

まとめ

火災保険の申請サポート業者について、公的資料をもとに整理してきました。要点を振り返ります。

  • 業態そのものを禁じる法律は確認できなかったが、報酬を得ての交渉は弁護士法72条に触れうる
  • 相談件数は2010年度の111件から2019年度の2,684件へ約24倍、2020年度は5,447件(国民生活センター)
  • 埼玉県では6か月の業務停止命令が出ており、違約金30〜50%の事業者への行政指導もあった
  • 手数料の水準は公表資料で3割〜5割が中心。定義が統一されていないため幅が出る
  • 経年劣化は対象外。フランチャイズ方式では損害額が基準未満だと1円も出ない
  • 虚偽申請は契約者本人が詐欺罪に問われうる。「みんなやっている」は通用しない
  • 保険金の請求は契約者本人が5ステップでできる。鑑定人は保険会社が手配する

「怪しいかどうか」を業者の雰囲気や口コミで判断しようとすると、どうしても迷います。判断の基準は、この記事で示したとおり制度の側にあります。経年劣化は対象外か、業務範囲は交渉まで含むか、手数料と違約金はいくらか。この3点を書面で確認すれば、多くのトラブルは契約前に避けられます。

そして、判断に迷ったときの最短ルートは変わりません。まずご自身で、契約している保険会社に電話してください。それが無料で、確実で、誰の利害も挟まない方法です。

見積もりを取るときに使えるサービス

ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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