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外壁塗装でウレタン塗料を検討していると、必ず「もう時代遅れ」という言葉に出会います。結論から書きます。ウレタン塗料の耐用年数は7〜10年が一つの目安で、外壁本体の主役としてはシリコン以上に譲る場面が増えました。ただし付帯部・木部・鉄部、そして「次の塗り替えまで7〜10年でよい家」では、いまでも合理的な選択肢です。この記事では、カタログの耐用年数がどう決まるのか、実際の持ちとなぜズレるのかを一次情報で確認しながら、ウレタンが向く条件と向かない条件を切り分けます。
ウレタン塗料の耐用年数は7〜10年が目安
ウレタン塗料の耐用年数は、外壁塗装の実務では7〜10年を目安に扱われます。アクリル塗料より長く、シリコン塗料より短い位置づけです。当サイトでも塗料グレード全体の比較記事で同じ数値を採用しており、この記事もその土台に沿っています。塗料ごとの位置関係を整理すると、次のようになります。
| 塗料の種類 | 耐用年数の目安 | 塗料の㎡単価目安 | 主な位置づけ |
|---|---|---|---|
| アクリル | 5〜8年 | 1,000〜1,800円 | 現在は外壁本体にほぼ使われない |
| ウレタン | 7〜10年 | 1,600〜2,500円 | 付帯部・木部・鉄部で現役 |
| シリコン | 10〜15年 | 2,000〜3,500円 | 外壁本体の標準的な選択 |
| ラジカル | 13〜15年 | 2,800〜3,500円 | シリコンの上位互換として普及 |
| フッ素 | 15〜20年 | 3,000〜5,500円 | 長寿命だが初期費用が高い |
| 無機 | 15〜25年 | 3,800〜6,000円 | 実績データが少なく信頼度は低め |
この表で注目していただきたいのは、ウレタンとシリコンの㎡単価の差が、思ったほど大きくないという点です。ウレタンが1,600〜2,500円、シリコンが2,000〜3,500円ですから、幅が重なっています。「ウレタンは安いから選ぶ」という理由は、実は年々成り立ちにくくなっています。この点は後半で詳しく扱います。
サイトによって「5〜7年」「8〜10年」と数値がバラつく理由
ウレタン塗料の耐用年数を調べると、サイトごとに数値が違うことに気づくはずです。実際に複数の情報源を確認したところ、次のように分かれていました。
| 情報源 | ウレタン塗料の耐用年数 |
|---|---|
| ヌリカエ | 8〜10年 |
| リショップナビ外壁塗装 | 5〜10年 |
| 外壁塗装の窓口(2液ウレタン) | 7〜10年 |
| リフォームの匠美(付帯部向け) | 5〜7年 |
| 金丸塗装(促進試験からの換算) | 6〜8年 |
| エスケー化研 クリーンマイルドウレタン | 10〜12年(期待耐用年数) |
下は5年から、上は12年まで開いています。これは、どちらかが間違っているというより、「何を指して耐用年数と呼んでいるか」が揃っていないことが原因です。バラつく理由は主に次の4つです。
- 製品グレードの差。同じウレタンでも、1液型の汎用品と2液型の高耐候品では性能が違います
- 対象部位の差。外壁本体を想定しているのか、雨樋や破風などの付帯部を想定しているのかで前提が変わります
- 基準の差。「見た目が持つ年数」か「防水機能が切れるまでの年数」か「塗り替えを推奨する年数」かで答えが変わります
- 立場の差。メーカーは自社製品の期待耐用年数を示し、比較サイトはグレード全体の一般論を示すため、前者のほうが長めに出やすくなります
ですから、業者の見積書に「ウレタン塗料・耐用年数10年」と書いてあっても、それだけでは判断材料になりません。製品名(メーカー名と商品名)まで書かれているかを確認してください。製品名が分かれば、メーカー公式サイトで期待耐用年数を自分で確認できます。塗料の種類だけしか書かれていない見積書は、外壁塗装の費用内訳の観点からも精度が足りません。
メーカーカタログでは10〜12年と書かれている製品もある
一般論の「7〜10年」より長い数値を掲げているウレタン製品も存在します。エスケー化研のクリーンマイルドウレタンは、公式製品ページで期待耐用年数を10〜12年としており、耐候性についても「耐候形1種に相当する性能」と記載しています。設計価格は複層塗材の上塗り時で2,610円/㎡(材工共、300㎡以上が基準、下地調整費を含まず)と公表されています。
同社の弾性クリーンマイルドウレタンも期待耐用年数10〜12年、設計価格2,880円/㎡と公表されています。いずれもセラミック複合技術による低汚染性や、防かび・防藻性、透湿性をうたっています。つまり、ウレタンという樹脂の分類だけで性能を決めつけるのは正確ではないということです。同じウレタンでも、汎用品と高機能品では想定される寿命に数年の差があります。
ただし、メーカーが示す期待耐用年数は、あくまで「適切な下地に、規定の膜厚で、標準工程どおりに塗った場合」の目安です。実際の建物は立地も下地の状態も違います。メーカー自身も、期待耐用年数は次の塗り替え時期の目安であり、地域や立地条件によって異なると但し書きをしています。カタログ値をそのまま自宅の保証年数だと受け取らないようにしてください。
カタログの耐用年数は促進耐候性試験で決まっている
塗料の耐用年数は、実際に10年間外壁に塗って観察して決めているわけではありません。多くは「促進耐候性試験」という実験室の試験結果から逆算されています。この仕組みを知っておくと、カタログ値と実際の持ちがズレる理由が腹に落ちます。
JIS K 5658が定める区分と試験時間
建築用の外壁上塗り塗料には、JIS K 5658(建築用耐候性上塗り塗料)という日本産業規格があります。JIS K 5658:2010の規格本文によれば、耐候性のよいものから順に区分され、キセノンアークランプ(デイライトフィルタ使用)による促進耐候性試験で判定されます。メーカーのカタログでは「耐候形1種」「耐候形2種」といった表記で示されるのが一般的です。
| 区分 | 促進耐候性試験の照射時間 | 光沢保持率の基準 |
|---|---|---|
| 1(最上位) | 2,500時間 | 80%以上 |
| 2 | 1,200時間 | 80%以上 |
| 3 | 600時間 | 70%以上 |
光沢保持率とは、塗ったばかりのツヤを100としたとき、試験後にどれだけツヤが残っているかの割合です。80%以上残っていれば合格、という考え方です。ここで重要なのは、この試験が測っているのは主に「見た目のツヤの落ちにくさ」だという点です。防水性能の喪失やひび割れ追従性の低下は、この数値だけでは測れません。
試験時間を屋外年数に換算するとどうなるか
促進試験の時間は、屋外何年分に相当するのでしょうか。金丸塗装が公開している解説では、キセノンランプ法でおよそ300時間が屋外1年相当という換算例が示されています。この換算を先ほどのJIS区分に当てはめると、次のような目安になります。
- 2,500時間 ÷ 300時間 = おおよそ8年相当
- 1,200時間 ÷ 300時間 = おおよそ4年相当
- 600時間 ÷ 300時間 = おおよそ2年相当
「たった4年分の試験で10年の耐用年数を名乗るのか」と驚かれるかもしれません。ここに、カタログ耐用年数と実際の持ちのズレの正体があります。同じ金丸塗装の解説では、試験上の年数と実際の期待耐用年数の関係が次のように整理されています。
| 塗料グレード | 促進試験上の年数 | 実際の期待耐用年数 |
|---|---|---|
| アクリル系 | 約2年 | 約4〜5年 |
| ウレタン系 | 約4年 | 約6〜8年 |
| シリコン系 | 約8年 | 約10〜13年 |
| フッ素系 | 約13年 | 約15〜20年 |
実際の年数のほうが、試験上の年数より長く出ています。促進試験は屋外より厳しい条件で連続照射するため、実環境より劣化が早く進むからです。ただし逆に、促進試験では再現しきれない劣化要因もあります。凍結融解、塩害、強風で飛んでくる砂ぼこりによる摩耗、下地のひび割れの拡大などです。だからこそ、カタログ値どおりに持つ家もあれば、数年早く傷む家もあります。
なお、無機系塗料などではメタルハライドランプ式の試験機が使われることがあり、この場合は40〜100時間が屋外1年相当という別の換算になります。試験機が違えば時間の意味が変わるため、異なるメーカーの「○○時間クリア」という数値を単純に比べることはできません。カタログを読み比べるときは、どの試験方法かまで確認する必要があります。
塗料の耐用年数と税法の耐用年数は別物
もう一つ、混同されやすい点を整理しておきます。「耐用年数」という言葉は、税法の世界でも使われますが、意味がまったく違います。国税庁が定める減価償却資産の耐用年数は、資産の取得費用を何年に分けて経費計上するかという会計上の期間であり、物理的な寿命を示すものではありません。
一方、塗料のカタログに書かれた耐用年数は、前述のとおり促進試験にもとづく性能上の目安です。マイホームの外壁塗装は基本的に個人の家事費なので減価償却とは無関係ですが、賃貸物件や事業用の建物では話が別になります。この記事では税務の話は扱いませんが、「耐用年数」という同じ言葉が二つの意味で使われていることは覚えておいてください。業者から「税法上も10年ですから」といった説明を受けた場合、話の筋が混ざっている可能性があります。
実際の持ちを左右する4つの条件
同じウレタン塗料を塗っても、7年で傷む家と10年以上きれいな家があります。差を生むのは塗料のグレードだけではありません。立地・部位・下地・施工の4つが、カタログ値からの上下を決めます。
立地と方角の影響
紫外線量が多い南面と、日陰になりやすい北面では、劣化の進み方が違います。南面はチョーキング(触ると白い粉が付く現象)が早く出やすく、北面は日照不足で乾きにくいためコケや藻が発生しやすい傾向があります。海沿いでは塩分を含んだ風、交通量の多い道路沿いでは排気ガスの汚れが加わります。積雪地では凍結と融解の繰り返しが塗膜に負担をかけます。
ここで押さえておきたいのは、劣化は家全体で均一に進まないということです。南面だけ先にチョーキングが出ても、北面はまだ持っている、という状態は珍しくありません。外壁のチョーキングを放置した場合にどうなるかは別記事で詳しく扱っていますが、チョーキングが出た時点で塗膜の樹脂が紫外線で分解され始めているサインです。ウレタンは紫外線の影響を比較的受けやすい樹脂なので、南面や西面で先にサインが出やすい点は理解しておいてください。
下地の状態と施工品質
塗料の性能を引き出せるかどうかは、下地処理と塗り方で決まります。具体的には次の要素です。
- 高圧洗浄でチョーキングの粉やコケを落としきれているか(残っていると密着不良の原因になります)
- ひび割れやシーリングの劣化を先に補修しているか
- 下塗り(シーラー・プライマー)が下地に合った製品か
- 規定の希釈率を守っているか(薄めすぎると膜厚が確保できません)
- 各工程の乾燥時間(インターバル)を守っているか
特に膜厚は重要です。塗料は決められた量を塗って初めてカタログどおりの膜厚になり、その膜厚で初めて想定の耐候性が出ます。塗る回数を減らしたり、シンナーで薄めて塗り面積を稼いだりすると、見た目は同じでも寿命は明らかに短くなります。安いウレタンを選んだのに5年で傷んだという事例の多くは、塗料の問題ではなく施工の問題である可能性があります。
1液型と2液型の違い
ウレタン塗料には、そのまま塗れる1液型と、主剤と硬化剤を混ぜて使う2液型があります。外壁塗装の窓口の解説によれば、2液型は主剤と硬化剤の化学反応で塗膜の密度が高まり、耐久性や耐候性が向上するとされています。同記事では2液ウレタンの耐用年数を7〜10年程度、㎡単価を2,000〜3,000円程度としています。
一方の1液型は、混ぜる手間がなく、余っても保管できる扱いやすさが利点です。ただし耐久性・耐候性は2液型に劣るとされています。見積書に「ウレタン塗装」とだけ書かれている場合、1液型か2液型かで想定寿命が変わる可能性があります。特に鉄部など、密着性と耐久性を求める部位では、どちらを使うかを確認する価値があります。
いまウレタンを積極的に選ぶ合理性がある3つの条件
ここがこの記事の中心です。「ウレタンは時代遅れ」という論調は、外壁本体だけを見た場合には概ね当たっています。しかし家全体で見ると、いまでもウレタンを積極的に選ぶ合理性がある場面が3つ残っています。消去法で仕方なく選ぶのではなく、条件が揃えば最適解になりうる、という整理です。
条件1 付帯部・木部・鉄部に使う場合
付帯部とは、雨樋、破風板、鼻隠し、軒天、幕板、水切り、雨戸などの部位です。外壁本体と違い、素材が塩ビ・木・鉄・窯業系ボードとバラバラで、形状も細かく複雑です。ここでウレタンが評価されるのは、素材を選ばない密着性と、適度な柔らかさ(追従性)です。
木部については、安田塗装の解説で、ウレタン樹脂塗料は合成樹脂塗料のなかで最も耐久性に優れ、外装木部に使われると説明されています。木は湿度で伸縮するため、硬い塗膜では割れが入りやすくなります。ウレタンの持つ柔軟性が、この伸縮に追いつきやすいわけです。ただし同記事は、クリヤー仕上げについては紫外線に弱く、屋外では剥がれや割れが出やすいため、こまめなメンテナンスが必要だとも指摘しています。木部のクリヤー仕上げは魅力的ですが、短いサイクルでの塗り替えを前提にしてください。
鉄部についても、錆止めの下塗りとの相性がよく、日本ペイントは防錆形や1液型のウレタン製品を鉄部向けにラインナップしています。細かい部位に、素材を問わず、扱いやすい塗料で確実に塗膜をつくる。この用途では、外壁本体で問われる15年20年の耐候性より、密着性と施工性のほうが実利につながります。
条件2 7〜10年以内に売却・建て替え・大規模改修の予定がある場合
「あと数年で家を手放す」「10年以内に建て替える」「その頃に屋根の葺き替えまで含めた大規模改修をまとめてやる」という予定があるなら、外壁塗装に15〜20年もつ塗料を使う理由は薄くなります。使わない年数分の耐候性に、いま余分にお金を払っていることになるからです。
ただし、売却前提の場合は注意点があります。SUUMOの売却ガイドは、売却前のリフォームは費用を上乗せして販売しても回収できるとは限らないと指摘しています。値引き交渉や相場の変動で原価割れする可能性があること、リフォーム完了まで売却活動に入れないこと、買主の好みに合わなければ売れ残る可能性があることが理由として挙げられています。回収を検討できるケースとしては、雨漏りなど生活に支障が出ている場合が挙げられています。
つまり、「売るために塗る」なら、まず不動産会社に費用対効果を相談するのが先です。そのうえで「売れるまで自分が住む数年間、見た目と防水を保ちたい」という目的なら、ウレタンで十分に用が足りる可能性があります。外壁塗装が査定額を確実に押し上げるという公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。
条件3 次の塗り替えまで7〜10年でよいと決めている場合
3つめは、住み続ける前提でも成り立つケースです。たとえば次のような状況です。
- いまの塗装で予算を抑え、次回に屋根の葺き替えやシーリング全面打ち替えとまとめて費用をかけたい
- 下地(モルタルやサイディング)の劣化が進んでおり、次回は塗装ではなく張り替えやカバー工法を検討している
- 高耐候塗料を選んでも、シーリングの寿命(一般に10年前後)のほうが先に来るため、結局その時期に足場が必要になる
- 年齢や家族構成の変化で、10年後の住まい方がまだ決まっていない
特に3つめは見落とされがちです。外壁塗装の周期を決めるのは塗料の寿命だけではありません。シーリング(コーキング)の劣化、屋根の状態、付帯部の傷みなど、複数の要素のうち最も早く限界が来るものが、実質的な塗り替え時期を決めます。塗料だけ20年持たせても、他が10年で限界なら足場は10年後に必要です。この構造は外壁塗装は10年ごとという説の実態を扱った記事でも触れています。
逆に、次の条件に当てはまる場合は、ウレタンを外壁本体に使うことはおすすめできません。
- これから20年以上住み続ける予定がはっきりしている
- 3階建てなど、足場費用が高くつく建物
- 隣家との距離が近く、足場設置に特別な段取りや費用がかかる
- 紫外線や塩害の条件が厳しく、そもそも塗膜の寿命が短くなりやすい立地
外壁本体と付帯部で最適解が違う理由
ウレタンの評価が分かれる根本の理由は、外壁本体と付帯部で「費用の構造」がまったく違うからです。ここを理解すると、業者の提案を自分で評価できるようになります。
塗料代だけを年割りすると差は小さい
まず、塗料代だけで比べてみます。延床30坪の住宅の塗装面積は、延床坪数×3.3×係数1.2で計算すると約119㎡が目安です。この面積に各塗料の㎡単価をかけ、耐用年数で割ると、次のようになります。
| 塗料 | 塗料代の目安(119㎡) | 耐用年数 | 1年あたりの塗料代(中央値の概算) |
|---|---|---|---|
| アクリル | 約12万〜21万円 | 5〜8年 | 約2.6万円 |
| ウレタン | 約19万〜30万円 | 7〜10年 | 約2.9万円 |
| シリコン | 約24万〜42万円 | 10〜15年 | 約2.6万円 |
| ラジカル | 約33万〜42万円 | 13〜15年 | 約2.7万円 |
| フッ素 | 約36万〜65万円 | 15〜20年 | 約2.9万円 |
| 無機 | 約45万〜71万円 | 15〜25年 | 約2.9万円 |
驚かれたかもしれません。塗料代だけを年割りすると、どのグレードも1年あたり2.6万〜2.9万円前後に収まり、差はほとんどありません。これは幅の中央値どうしを割った粗い概算ですが、「高い塗料は高いなりに長持ちする」という価格設定になっていることを示しています。裏を返せば、塗料のグレード選びだけでは、生涯コストは大きく変わらないということです。
差がつくのは塗料以外の費用
では、なぜ「安い塗料は結局高くつく」と言われるのでしょうか。答えは、塗り替えのたびに、塗料以外の費用が丸ごともう一度かかるからです。主な項目と単価の目安は次のとおりです。
- 足場:600〜1,500円/㎡(メッシュシート込みか別かで幅が出ます)
- 高圧洗浄:100〜400円/㎡
- 養生:100〜400円/㎡
- ケレン(下地の錆や旧塗膜の除去):200〜500円/㎡
- シーリング打ち替え:900〜1,500円/m(30坪で総延長150〜200mが目安)、増し打ち:500〜1,000円/m
- 諸経費:「現場管理費のみ=5%前後」「一般管理費まで含む=30%前後」と業者によって定義が違います
これらは塗料のグレードでは変わりません。ウレタンで7〜10年ごとに塗り替えると、シリコンで10〜15年ごとに塗り替える場合より、この一式が余分に発生する回数が増えます。ウレタンが「結局高くつく」と言われる本当の理由は、塗料が安いからではなく、足場を組む回数が増えるからです。費用の内訳の考え方は外壁塗装の費用内訳で詳しく整理しています。
付帯部では「足場を組む回数」が増えない
ここが決定的なポイントです。付帯部は、外壁本体を塗るときに同じ足場でついでに塗ります。付帯部だけのために足場を組むことは、まずありません。ということは、付帯部にどれだけ高耐候の塗料を使っても、次の塗り替えは外壁本体のサイクルに合わせてやって来ます。
たとえば外壁をシリコンで塗り、12年後に塗り替えるとします。このとき付帯部をフッ素で塗っていても、12年後の足場を組んだついでに、まだ持っている付帯部も塗り直すことになるのが実情です。付帯部の耐候性を外壁のサイクル以上に引き上げても、その余剰分は使われずに終わる可能性が高いということです。
付帯部の単価も確認しておきましょう。リフォームの匠美が公表している付帯部塗装の単価目安は次のとおりです。
| 部位 | 単価の目安 |
|---|---|
| 雨樋 | 600〜1,500円/m |
| 軒天 | 1,000〜2,500円/㎡ |
| 破風板 | 900〜2,000円/m |
| 鼻隠し | 1,200〜2,200円/m |
| 幕板・帯板 | 900〜2,000円/m |
| 水切り | 600〜1,400円/m |
| 換気フード | 1,500〜3,000円/箇所 |
| 庇 | 2,000〜4,000円/箇所 |
付帯部の合計金額は、外壁本体に比べれば小さな額です。だからこそ、ここで無理に高グレードを選ぶより、素材に合った塗料を確実に塗ってもらうほうが効きます。ただし、木部や鉄部が特に傷みやすい家では、付帯部だけ先に劣化して外壁のサイクルを待てなくなることもあります。その場合は、付帯部だけ高耐候にする判断もありえます。自宅の付帯部が何でできているかを、業者と一緒に確認してください。
ウレタンを選ぶときに確認すべきこと
ウレタンを選ぶと決めたら、見積もりの段階で確認しておきたい項目があります。安いグレードだからこそ、内容の精度で差がつきます。
見積書で見るべき5項目
- 製品名(メーカー名と商品名)が書かれているか。「ウレタン塗料一式」では判断できません
- 1液型か2液型か。書かれていなければ質問してください
- 下塗り材の製品名。下地に合ったシーラー・プライマーかどうかで密着性が変わります
- 塗装面積と単価が分かれて書かれているか。「一式」ばかりの見積書は比較ができません
- 外壁本体と付帯部で、それぞれ何を使うかが分けて書かれているか
国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)は、リフォームの基礎知識のなかで見積書のセルフチェックポイントを公開しています。複数の事業者から見積もりを取ること、数量・仕様・単価・記載漏れを確認すること、契約前に工事範囲を必ず再確認することなどが挙げられています。電話相談窓口(03-3556-5147、平日10時〜17時)も設けられており、契約前に第三者の意見を聞ける公的な仕組みです。
業者の体制についての確認
塗装工事は、国土交通省の建設業許可の解説によれば、工事1件の請負代金が税込500万円未満であれば建設業許可がなくても請け負えます(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅)。一般的な戸建ての外壁塗装はこの範囲に収まることが多いため、「許可を持っていない業者=違法」ではありません。ただし裏を返せば、許可の有無だけでは技術力を判断できないということでもあります。
もう一つの選択肢が、国土交通省が案内するリフォーム瑕疵保険です。検査と保証がセットになった制度で、国土交通大臣が指定した5つの保険法人が運営しています。工事に欠陥が見つかった場合、補修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場合は発注者)に支払われる仕組みです。加入するには事業者が保険法人に登録している必要があるため、加入できる業者かどうかを尋ねることが、体制を確認する一つの手がかりになります。保険期間などの詳細は保険法人によって異なるため、直接確認してください。
「耐用年数が切れている」という営業トークへの向き合い方
耐用年数という言葉は、営業の場面で使われやすい言葉でもあります。「前回がウレタンなら、もう耐用年数は切れています」という指摘は、それ自体は間違っていなくても、いますぐ塗り替えが必要かどうかとは別の話です。
国民生活センターが公表している点検商法に関する相談情報によれば、点検商法に関する相談は2023年度の12,550件から2025年度には19,696件へと増加しています。この数値は2026年5月31日時点の集計であり、未確定の数値を含む点に注意が必要です。それでも、「無料点検」をきっかけとした契約トラブルが減っていないことは読み取れます。
耐用年数を理由にした提案を受けたときは、次の順序で確認してください。
- 前回の塗装で何を使ったか、記録(契約書や見積書)を探す
- 年数ではなく、実際の劣化サイン(チョーキング、ひび割れ、シーリングの切れ、塗膜の剥がれ、コケ)を自分の目で確認する
- その場で契約せず、日を改めて複数社から見積もりを取る
- 訪問販売で契約した場合はクーリング・オフの対象になりうるため、契約書面を保管しておく
年数はきっかけにすぎません。判断の主役は、いま外壁に出ているサインです。塗料の種類ごとの寿命を横並びで確認したい場合は塗料の種類と耐用年数一覧を、上位グレードの検討に進む場合はシリコン塗料とフッ素塗料の違いやラジカル塗料のデメリットもあわせて読んでみてください。
よくある質問
ウレタン塗料は本当にもう時代遅れなのですか
外壁本体の主役という意味では、シリコンやラジカルに置き換わったのが実情です。㎡単価の幅がシリコンと重なっているため、外壁本体でウレタンを選ぶ価格上の利点が小さくなっているからです。ただし付帯部・木部・鉄部では、素材を選ばない密着性と柔軟性が評価され、いまでも使われています。エスケー化研のように期待耐用年数10〜12年を掲げるウレタン製品も現行品として販売されています。用途を分けて考えるのが実際的です。
前回ウレタンで塗った家に、次はシリコンを塗れますか
一般的には可能です。旧塗膜の上に塗り重ねる場合、下地の状態に合った下塗り材を選ぶことが前提になります。ただし旧塗膜が浮いていたり、粉を吹いていたりする場合は、洗浄やケレンでしっかり落としてからでないと密着不良を起こします。前回が弾性塗料だった場合は、上に硬い塗料を重ねると膨れが出ることがあるため、業者に旧塗膜の種類を伝えて判断してもらってください。前回の見積書や契約書が残っていれば持参すると話が早く進みます。
屋根にウレタン塗料を使ってもよいですか
屋根は外壁より紫外線と熱の負担が大きいため、外壁と同じ耐用年数は期待しにくい部位です。屋根と外壁を同じグレードで塗ると、屋根のほうが先に傷むことがあります。屋根に使えないわけではありませんが、足場を組み直す手間を考えると、屋根は外壁と同等かそれ以上のグレードを検討する価値があります。屋根材の種類(スレート、金属、瓦)によって適した塗料も変わるため、屋根材を特定したうえで業者に相談してください。
ウレタンで塗ったら7年で塗り替えないといけませんか
7〜10年はあくまで目安であり、期限ではありません。判断すべきは実際の劣化サインです。チョーキング(触ると白い粉が付く)、ひび割れ、シーリングの切れや剥離、塗膜の膨れや剥がれ、コケや藻の広がりなどが出てきたら検討時期です。逆に、日当たりが穏やかで汚れも少ない環境なら、目安より長く持つこともあります。年に一度、晴れた日に外壁を手で触ってみる習慣をつけておくと、変化に気づきやすくなります。
ウレタンとシリコンで見積額はどのくらい違いますか
塗料の㎡単価はウレタンが1,600〜2,500円、シリコンが2,000〜3,500円が目安です。延床30坪(塗装面積約119㎡)で塗料代だけを比べると、幅の中央値どうしでおおよそ8万円前後の差になる計算です。ただし外壁塗装の総額には足場・洗浄・養生・シーリング・諸経費が加わり、これらは塗料のグレードでは変わりません。したがって総額に占める塗料代の差の割合は、思ったより小さくなることが多くなります。見積もりを取るときは、塗料の差額だけでなく総額と内訳の両方を比べてください。
まとめ
ウレタン塗料の耐用年数について、この記事で確認したことを整理します。
- ウレタン塗料の耐用年数は7〜10年が一つの目安。ただし情報源によって5〜7年から10〜12年まで幅があり、製品グレード・対象部位・基準の取り方が違うことが原因です
- カタログの耐用年数は、キセノンランプなどによる促進耐候性試験から逆算された数値です。JIS K 5658では耐候性のよい順に区分され、照射時間と光沢保持率で判定されます
- 促進試験は主に「ツヤの落ちにくさ」を測るもので、凍結融解や塩害、下地の動きまでは再現しきれません。実際の持ちは立地・部位・下地・施工で上下します
- 塗料代だけを年割りすると、どのグレードも1年あたり2.6万〜2.9万円前後で差は小さくなります。差がつくのは、塗り替えのたびに丸ごとかかる足場・洗浄・養生・シーリングの費用です
- 付帯部は外壁と同じ足場で塗るため、足場を組む回数が増えません。この構造上、付帯部・木部・鉄部ではウレタンの合理性が残ります
- 7〜10年以内に売却・建て替え・大規模改修の予定がある場合や、シーリングの寿命で塗り替え時期が決まる家では、外壁本体にウレタンを選ぶ判断もありえます
- 逆に20年以上住み続ける予定、3階建て、足場の段取りが難しい立地では、上位グレードを検討する価値が高くなります
「ウレタンは時代遅れ」という一言で片づけると、自分の家に合った選択を見落とします。大切なのは、塗料のグレードを比べる前に、自分の家が次に足場を組むのはいつになるのかを見定めることです。その時期が7〜10年後に決まっているなら、ウレタンは十分に理にかなった選択肢です。20年先まで足場を組みたくないなら、上位グレードのほうが筋が通ります。見積もりを取るときは、製品名と内訳が書かれているかを確認し、複数社を比べたうえで判断してください。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

