【PR】この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由でお申し込みがあった場合、当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。報酬の有無によって記事内の評価を変えることはありません。詳細は広告掲載ポリシーをご覧ください。
瓦屋根の修理費用は、傷み方によって金額の桁が変わります。瓦の差し替えなど部分補修なら3万〜20万円前後、漆喰の詰め直しで6万〜33万円前後、棟の取り直しで15万〜60万円前後、屋根全体の葺き直し・葺き替えになると65万〜250万円前後が一つの目安です。幅が大きいのは、瓦の種類と傷んでいる範囲、そして足場が要るかどうかで工事内容そのものが変わるためです。この記事では公的資料と複数の屋根工事会社が公開している価格をもとに、メニュー別の相場と判断の分かれ目を整理します。
なお当編集部は施工を行わない情報メディアです。ここで挙げる数値は各社が公開している目安であり、実際の金額は屋根の形・勾配・地域・時期で変わります。相場はすべて幅で示し、出典サイト名を本文に明記します。
瓦屋根の修理費用はいくら?メニュー別の相場一覧
結論から言うと、瓦屋根の修理は「点で直す工事」と「面でやり直す工事」で費用が大きく分かれます。点で直す工事は数万円から数十万円、面でやり直す工事は百万円前後という感覚です。まず全体像を一覧で確認してください。
| 修理メニュー | 単価の目安 | 総額の目安 | 主な出典 |
|---|---|---|---|
| 瓦の差し替え(1〜数枚) | 瓦材1枚あたり300〜1,000円程度 | 足場が不要な位置で1万〜5万円/足場が必要だと20万円前後 | 街の屋根やさん宮崎店 |
| ズレ・浮きの直し(部分補修一式) | — | 3万〜20万円 | リフォームの匠美 |
| ラバーロック(コーキングによる固定) | — | 1棟あたり15万〜20万円 | ルーフクラフト |
| 漆喰の詰め直し | 2,500〜5,500円/m | 6万〜18万円(税込8.8万〜33万円という提示もあり) | リフォームの匠美/街の屋根やさん |
| 面戸漆喰の補修 | 2,000〜4,500円/m | — | リフォームの匠美 |
| 棟の取り直し(積み直し) | 8,000〜20,000円/m(1.5万円/mという提示もあり) | 15万〜60万円 | リフォームの匠美/石川商店 |
| 谷板金(谷樋)の交換 | — | 8万〜15万円 | リフォームマーケット |
| 葺き直し(既存の瓦を再利用) | 約10,000円/㎡ | 65万〜160万円 | 石川商店/SUUMOリフォームタイムズ/街の屋根やさん |
| 葺き替え(瓦から瓦) | 約20,000円/㎡ | 90万〜250万円 | 石川商店/リショップナビ |
| 足場 | 600〜1,500円/㎡ | — | リショップナビ |
| 既存屋根の撤去・処分 | 3,000〜6,000円/㎡ | 撤去処分1万〜4万円/式という提示もあり | リショップナビ/リフォームの匠美 |
同じ「瓦の修理」でも、上の表のとおり数万円から200万円超まで開きがあります。理由は三つあります。
- 直す範囲が「1か所」なのか「1面」なのか「屋根全体」なのかで、必要な人工と材料が桁で変わる
- 足場を組むかどうかで、工事そのものより先に十数万円単位の固定費が乗る
- 瓦の下にある土や下葺き材(ルーフィング)まで手を入れるかどうかで、工程数が大きく変わる
そのため「瓦屋根の修理費用は◯万円です」と一言で答えられる工事はほとんどありません。見積もりを見るときも、総額より先に「どの範囲を、どの工法で直す見積もりなのか」を確認したほうが比較しやすくなります。考え方はリフォームの見積もりを比較するときの考え方と共通です。
瓦の種類によって修理方法も費用も変わる
瓦屋根の費用を考えるとき、最初に確認すべきは「自宅の瓦がどの種類か」です。粘土を焼いた瓦とセメント系の瓦では、寿命も、塗装が要るかどうかも、部分交換ができるかどうかも違います。ここを取り違えると、必要のない塗装を勧められたり、逆に手遅れになったりします。
| 瓦の種類 | 素材 | 耐用年数の目安 | 施工価格の目安(㎡) | 塗装の要否と注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 釉薬瓦(陶器瓦・和瓦) | 粘土を焼成し釉薬をかけたもの | 50〜60年 | 5,500〜16,000円 | 塗装は不要。割れ・ズレ・漆喰の補修が中心 |
| いぶし瓦 | 粘土を燻して炭素膜をつけたもの | 30〜60年 | 8,000〜13,000円 | 塗装は不要。表面の炭素膜が薄れて色ムラが出ることがある |
| 素焼き瓦 | 粘土を釉薬なしで焼成 | 40〜50年 | 5,000〜9,000円 | 塗装は不要。洋瓦に多い |
| セメント瓦・コンクリート瓦 | セメントと砂 | 20〜40年 | 5,000〜10,000円 | 表面の塗膜が防水層のため塗装が必要。製造終了品が多く同型の入手が難しい |
| モニエル瓦 | セメント系。表面に着色スラリー層がある | 20〜30年 | — | 塗装が必要だが、スラリー層を完全に除去しないと剥がれる。2010年に生産終了 |
粘土瓦(和瓦・洋瓦)は「瓦そのもの」より周辺が傷む
釉薬瓦やいぶし瓦などの粘土瓦は、リショップナビによれば30〜60年、種類によっては50〜60年という耐用年数が示されています。SUUMOリフォームタイムズも「瓦の寿命は長く、50年〜60年は使用できます。長ければ100年以上もつことも」と紹介しています。つまり粘土瓦の場合、瓦そのものが寿命で全滅するケースはまれです。
実際に傷むのは、瓦を支えている周辺部材です。棟を固定している漆喰、棟の内部の葺き土、瓦を留める釘や銅線、そして瓦の下に敷かれた下葺き材(ルーフィング)です。粘土瓦の家で修理が必要になるときは、この周辺部材が原因である場合が多くなります。
また瓦の形状によっても単価は変わります。リショップナビでは、J形(和瓦)9,000〜12,500円/㎡、F形(平板瓦)7,000〜16,000円/㎡、S形(スパニッシュ瓦)5,000〜13,000円/㎡という施工価格が示されています。洋瓦は形状のバリエーションが多く、同じ製品が手に入るかどうかで補修のしやすさが変わります。
セメント瓦は塗装が防水層。放置すると交換しかなくなる
セメント瓦は素材そのものに防水性がなく、表面の塗膜が水をはじいています。塗膜が切れると瓦が水を吸い、内部から傷んでいきます。リショップナビでは耐用年数を20〜40年としています。
やっかいなのは、セメント瓦の多くが製造終了になっている点です。街の屋根やさんは、セメント瓦について販売がほぼ終了しており補修用の新品が入手困難であると説明しています。数枚割れただけでも同じ瓦が手に入らず、色違いの中古品を探すか、屋根全体をやり直すかの選択になることがあります。
モニエル瓦は「塗り替えの手間」で見積もりが割れる
モニエル瓦は乾式コンクリート瓦とも呼ばれ、表面に着色スラリー層という層があります。リショップナビによれば耐用年数は20〜30年ほどで、2010年に生産が終了しています。裏面にモニエル社の「M」ロゴが刻印されているものがあり、断面に砂利が混ざってざらついているのがセメント瓦との見分け方として紹介されています。
塗装するときは、このスラリー層を高圧洗浄と専用の下塗りで完全に処理する必要があります。同社の記事では、スラリー層の除去を怠ると施工不良の原因になると説明されています。ここを省く業者と省かない業者で工程数が変わるため、同じ「モニエル瓦の塗装」でも見積金額が割れやすくなります。安い見積もりを見つけたら、下地処理の工程が書かれているかを必ず確認してください。
瓦の寿命と下葺き材の寿命は別物
ここが瓦屋根でもっとも誤解されやすい点です。瓦が50年もっても、瓦の下に敷いてある防水シート(ルーフィング)は同じだけもちません。屋根は瓦が一次防水、ルーフィングが二次防水という二層構造で雨を防いでいます。雨漏りの多くは、二次防水が切れたときに起こります。
| 下葺き材(ルーフィング)の種類 | 耐用年数の目安 | 1巻あたりの価格の目安 |
|---|---|---|
| アスファルトルーフィング940 | 約10年 | 約8,000円 |
| 改質アスファルトルーフィング | 約20年 | 約10,000円 |
| 高耐久の合成繊維系ルーフィング | 約30年 | 約14,000円 |
SUUMOリフォームタイムズは防水シートの寿命を20年〜30年と紹介しており、テイガク屋根修理は普及品のアスファルトルーフィング940で約10年としています。数値に開きがあるのは、使われている製品のグレードと、屋根の通気・日射条件が現場ごとに違うためです。
この「瓦は生きているがルーフィングは寿命」という状態こそが、葺き直し工事が存在する理由です。瓦を一度はずして下地とルーフィングを新品にし、同じ瓦を戻す。だから新しい瓦の材料費がかからず、葺き替えより安く済みます。
症状別|どの修理が必要かの見分け方と費用
症状から必要な工事を絞り込むと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。ここでは代表的な五つの症状について、想定される工事と費用の目安を挙げます。
瓦がズレている・浮いている
台風のあとや、地震のあとに起こりやすい症状です。数枚のズレを戻すだけなら、リフォームの匠美が示す部分補修一式3万〜20万円の範囲に収まることが多くなります。ただし屋根の複数面でズレが出ている場合、下地の葺き土が痩せている可能性があり、部分補修では再発します。
ここで持ち出されやすいのがラバーロック工法です。瓦と瓦をコーキングでつないで固定する工法で、ルーフクラフトによれば1棟あたり15万〜20万円が目安とされ、葺き直しの約半分、葺き替えの約4分の1程度の費用に相当すると説明されています。
ただしラバーロックには明確なリスクがあります。ルーフクラフトは、瓦の全周をコーキングで塞ぐと屋根内部の水分や湿気の逃げ道がなくなり、最終的に雨漏りにつながる恐れがあると指摘しています。正しい施工はL字またはT字の限定的な箇所のみとされます。加えて、コーキングを除去する手間が大きいため、次に葺き直しや葺き替えをするときの費用が上がります。
石川商店は、ラバーロックの原価をコーキング剤250本(1本400円)で10万円、作業費が職人2人×1日で4万円、合計14万円と試算し、利益率50%なら28万円、70%なら50万円の見積額になると公開しています。工事内容に対して見積額が跳ね上がりやすいメニューだと理解しておくと安全です。
瓦が割れている・欠けている
粘土瓦なら、割れた瓦だけを差し替えるのが基本です。街の屋根やさん宮崎店によれば、瓦1枚の価格は300円以上で、高級な和瓦でも1,000円程度とされています。材料費はほとんどかかりません。
費用を決めるのは職人の手間と足場です。同店は、足場が不要な位置なら1万〜5万円程度、足場が必要な位置だと20万円程度になると説明しています。つまり瓦1枚の交換で20万円という見積もりは、必ずしも不当ではありません。内訳に足場代が入っているかどうかで判断してください。
なお、割れた瓦の下でルーフィングまで破れている場合は追加工事になります。また同じ製品が廃盤になっていることもあり、その場合は近似品での対応か、範囲を広げた工事になります。DIYでの補修は高所作業になるため、編集部としては推奨しません。ほかの瓦を踏んで割ってしまうと、修理箇所が増えます。
漆喰が崩れている・剥がれている
棟の下端に見える白い部分が漆喰です。リフォームの匠美は漆喰の耐用年数を10〜15年程度としており、詰め直しの単価を2,500〜5,500円/m、総額の目安を6万〜18万円としています。街の屋根やさんは税込8.8万〜33万円程度という提示をしています。
数値に幅があるのは、棟の総延長が家ごとに違うためです。単価が同じでも、棟が10mの家と25mの家では総額が2倍以上変わります。見積もりを比べるときは、総額ではなく「単価×延長」の形になっているかを確認してください。詳しくは瓦の漆喰補修の費用で扱っています。
注意したいのは、漆喰の崩れが進んで内部の葺き土まで流出している場合です。この段階では表面に漆喰を詰め直しても棟の固定力は戻りません。次に説明する棟の取り直しが必要になります。
棟がうねっている・ぐらついている
屋根のてっぺんのラインが波打って見える、棟瓦を触るとぐらつく。この状態は、内部の葺き土が流出したか、緊結している銅線が切れた可能性があります。必要になるのは棟の取り直し(積み直し)です。
費用はリフォームの匠美で8,000〜20,000円/m、総額15万〜60万円。石川商店は建坪30坪・寄棟で棟の平均延長を20mと置き、1.5万円/mで30万円という試算を示しています。おおむね同じ水準です。
棟の取り直しは、瓦屋根の修理のなかでもっとも「やる価値がある」工事の一つです。棟は屋根で最も高く風を受ける部分で、ここが緩むと台風時に瓦が飛ぶ起点になります。金属屋根における棟板金の交換も、目的は同じく棟の固定力の回復です。
天井にシミが出た(雨漏り)
雨漏りが出ている時点で、一次防水の瓦と二次防水のルーフィングの両方が破られています。リフォームマーケットは雨漏り修理・補修を1箇所あたり5万〜15万円、谷樋の交換を8万〜15万円としています。谷板金は雨水が集まる部位で、腐食による雨漏りの発生源になりやすい場所です。
ただし雨漏りは、原因の特定に手間がかかります。散水試験などの調査が別途必要になることもあります。シミが複数の部屋に出ている場合は、部分補修より葺き直しを検討したほうが結果的に安く収まる場合があります。費用の考え方は雨漏り修理の費用にまとめています。
部分修理と葺き直し・葺き替えの分岐点、足場が必要になる条件
結論として、分岐点は「傷んでいるのが瓦か、瓦の下か」です。瓦だけが傷んでいるなら部分修理、下地やルーフィングまで来ているなら葺き直し以上、というのが基本の考え方になります。
| 判断の軸 | 部分修理が向くケース | 葺き直し・葺き替えが向くケース |
|---|---|---|
| 傷んでいる範囲 | 1面の一部、または棟だけ | 複数面にわたる、または屋根全体 |
| 雨漏りの有無 | 雨漏りなし、または1か所のみ | 複数箇所で雨漏り、再発を繰り返している |
| 前回の下葺き替えからの年数 | おおむね20年未満 | おおむね20〜30年以上 |
| 瓦自体の状態 | 数枚の割れ・ズレにとどまる | 全体に劣化、または製造終了で同型が入手できない |
| 足場 | 位置によっては不要なこともある | ほぼ必須 |
| 費用の目安 | 3万〜60万円 | 65万〜250万円 |
葺き直しと葺き替えの費用差はどこから来るか
石川商店は建坪30坪の家を例に、葺き直しを1.0万円/㎡で約100万円、葺き替えを2.0万円/㎡で約200万円としています。街の屋根やさんは葺き直しを税込92.4万〜159.5万円、葺き替えを税込109.78万〜220万円としています。SUUMOリフォームタイムズは葺き直しを約65万〜90万円、新しい瓦への葺き替えを約250万〜350万円と紹介しています。
サイトごとに数値がばらつくのは、想定している屋根面積と、瓦のグレード、既存瓦の処分費を含めるかどうかが違うためです。共通しているのは、葺き直しは葺き替えのおおむね半額前後になるという関係です。既存の瓦を再利用するので、新しい瓦の材料費と既存瓦の処分費がかからないからです。
ただし葺き直しには条件があります。粘土瓦のように一枚ずつ外して戻せる屋根材でないと成立しません。街の屋根やさんは、スレートや金属屋根は剥がすような外し方になるため再利用できないと説明しています。セメント瓦も、補修用の新品が入手困難なため、割れた分を補充できず葺き直しに向かない場合があります。葺き替えを選ぶ場合の費用は屋根の葺き替え費用で詳しく扱っています。
足場が必要になる条件と足場代
足場代はリショップナビで600〜1,500円/㎡が目安です。幅があるのは、メッシュシート(飛散防止ネット)が単価に含まれているかどうかで表示が変わるためです。ネットを別計上する場合は100〜300円/㎡程度が加わります。リフォームの匠美は600〜1,200円/㎡としており、2階建て以上で必要になると説明しています。
足場が必要になるかどうかは、次のような条件で決まります。
- 作業する高さ。労働安全衛生規則は高さ2m以上の箇所での作業に足場などの作業床の設置を求めています
- 屋根の勾配。急勾配だと屋根の上を歩けないため、屋根足場が別途必要になります
- 作業範囲。棟だけなら軒先からの部分足場で足りることもあり、屋根全体なら全周に組みます
- 敷地条件。隣地との距離が近い、道路にはみ出すといった場合は特殊な組み方になり単価が上がります
足場は工事の前後で組み払いをするため、回数を減らすほど無駄が減ります。外壁の塗装時期が近いなら、屋根の修理とまとめると足場代が1回で済みます。外壁の足場代の考え方とまったく同じです。
逆に言えば、「足場が要らない工事なのに足場代が入っている」見積もりは説明を求めるべきです。軒先の瓦1枚を梯子で差し替える程度なら、足場なしで対応できることもあります。
2022年の法改正で瓦屋根の修理はどう変わったか
ここが、瓦屋根の修理費用を考えるうえで見落とされがちな論点です。2022年(令和4年)1月1日から、瓦屋根の緊結に関する基準が変わりました。この改正を知っているかどうかで、見積もりの読み方が変わります。
原則すべての瓦を留め付ける基準になった
国土交通省の資料によれば、昭和46年建設省告示第109号の改正により、令和4年1月1日から瓦屋根に強風対策を講じることが求められるようになりました。改正前は軒・けらば・棟などの端部を緊結すればよかったのに対し、改正後は原則としてすべての瓦を釘やねじで緊結することが必要になっています。部位・瓦の種類・その地域の基準風速に応じた緊結方法が規定され、屋根ふき材と緊結金物にさび止め・防腐の措置をすることも加わりました。
この基準を満たす施工方法が、一般に「ガイドライン工法」と呼ばれるものです。テイガク屋根修理によれば、ガイドライン工法自体は2001年に制定されており、2022年の改正でその考え方が法令上の基準になったという位置づけです。
既存の家は遡って適合を求められない
ここは正確に理解しておいてください。国土交通省の資料では、既存不適格建築物に対して直ちに改正後の基準への適合を求められることはないとされています。対象は令和4年1月1日以降に着工する新築と、増築・改築の部分です。すでに建っている家の屋根を、法改正を理由に工事しなければならないという義務はありません。
ただし同資料では、全面葺き替えの際には改正基準での施工が望ましいとされています。テイガク屋根修理も、義務化の対象は新築・増築であり既存の建物は含まれないと明記したうえで、改修時の対応が望ましいと説明しています。
したがって「法律が変わったので工事が必要です」という訪問営業のセリフは、少なくとも既存住宅については正確ではありません。義務ではなく推奨です。この違いは押さえておいてください。
工法が変わると費用も変わる
テイガク屋根修理は、従来工法を屋根面積×10,000円、ガイドライン工法を屋根面積×12,000〜13,000円とし、新築時で従来工法比20〜30%の増加になると説明しています。棟についても、葺き土と漆喰に頼る湿式から、金具と垂木とビスで固定する乾式工法に置き換わります。
これは修理を検討する側にとって二つの意味を持ちます。
- 棟の取り直しや葺き直しの見積もりで、乾式工法を採用しているものは湿式より単価が高くなる可能性がある。単に高いのではなく、工法が違うと理解する必要がある
- 安い見積もりが、単に従来どおりの葺き土と漆喰で積み直すものである可能性がある。金額だけで比べると、内容の差が見えなくなる
相見積もりを取るときは、「棟は乾式工法か湿式か」「瓦の緊結はどの範囲まで行うか」を各社に同じ言葉で聞いてみてください。答えが揃うと、金額差の理由が見えるようになります。
なお、耐風改修に関する補助制度が用意されている年度・自治体もあります。SUUMOリフォームタイムズは、瓦屋根ガイドライン工法による葺き替えについて、診断費の3分の2(最大2万1000円)、改修工事費の23%(最大55万2000円)が補助対象となる制度を紹介しています。ただし補助制度は年度と自治体で内容が変わるため、最新の要件はお住まいの自治体窓口での確認が必要です。
台風・地震の被害と火災保険の関係
結論として、台風や突風で瓦が飛んだ・割れた場合は火災保険の風災補償の対象になり得ます。一方、経年劣化による傷みは対象外です。この線引きが、瓦屋根の修理費用を考えるうえで大きな分かれ目になります。
対象になり得るもの、ならないもの
チューリッヒの解説では、風災は暴風雨によって損害が発生した場合を指し、台風や爆弾低気圧などが該当するとされています。補償対象の例として、暴風で屋根瓦が一部飛散した場合、落雷で屋根の一部が焼損した場合、雹で屋根に穴が開いた場合などが挙げられています。
一方、対象外になるのは次のようなケースです。
- 経年劣化。時間の経過とともに自然に生じた色褪せ、錆、汚れなど(チューリッヒ)
- 施工不良による損害、新築時からの欠陥・不具合(ソニー損保)
- 故意による損害(ソニー損保)
漆喰の風化や、葺き土が痩せて棟が緩むといった症状は、原則として経年劣化に区分されます。台風のあとに棟が崩れたとしても、その原因が長年の劣化にあると判断されれば支払いの対象にならないことがあります。ここは保険会社の調査によって判断が分かれる領域です。
支払い方式と請求期限
ソニー損保は、風災の支払い方式に二種類があると説明しています。
- 免責方式:免責金額以上の損害を受けた場合に、免責金額を差し引いた額が支払われる。免責金額3万円で50万円の損害なら47万円
- フランチャイズ方式:損害額20万円以上の場合のみ対象となり、20万円未満は支払われない。20万円以上なら全額が支払われる
「20万円以上でないと保険は使えない」と言われることがあるのは、フランチャイズ方式の契約を前提にした説明です。契約している火災保険がどちらの方式かは証券で確認できます。
また、保険金請求権の消滅時効は3年です(ソニー損保、チューリッヒ)。数年前の台風被害でも、時効内であれば請求できる可能性があります。ただし時間が経つほど、その台風が原因だと示す証拠が集めにくくなります。被害に気づいたら、修理前に写真を撮っておくことが重要です。
なお「保険金で自己負担なく修理できます」と持ちかける保険申請サポート業者をめぐるトラブルは、消費生活相談として継続的に報告されています。申請そのものは契約者本人が行うものです。適用条件の詳細は屋根修理と火災保険の適用条件で扱っています。
「瓦がズレています」という訪問販売への向き合い方
瓦屋根の家に対して、訪問販売がもっともよく使う口実が「お宅の瓦がズレていますよ」です。屋根は自分で確認できないため、指摘を否定する材料がありません。この非対称性が悪用されます。
相談件数は増えている
国民生活センターのPIO-NETに寄せられた点検商法に関する相談件数は、2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件と推移しています。2026年度は5月31日までで2,193件です。数値は2026年5月31日時点の集計であり、未確定である点にご留意ください。
| 年度 | 点検商法に関する相談 | 訪問販売によるリフォーム工事の相談 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 12,550件 | 11,879件 |
| 2024年度 | 19,249件 | 9,839件 |
| 2025年度 | 19,696件 | 5,544件 |
| 2026年度(5月31日まで) | 2,193件 | 602件 |
石川商店は、営業担当者が通りすがりに棟瓦の崩れを指摘し、「今ラバーロックすればギリギリ間に合う」と危機感をあおる手口の実例を公開しています。瓦屋根に対して特定の工法を急かす営業には注意が必要です。
その場で判断しないための三つの行動
訪問を受けたときは、次の三つだけ守れば大きな失敗は避けやすくなります。
- 屋根に上がらせる前に、社名・所在地・連絡先を確認する。国土交通省の説明によれば、工事1件の請負代金が税込500万円未満の軽微な建設工事は建設業の許可がなくても請け負えます。許可の有無だけでは判断できないため、所在地と実績を確認してください
- 指摘された箇所の写真・動画を必ずもらう。撮影日時が入っているか、本当に自宅の屋根かを確認します
- その場で契約しない。複数社に同じ条件で見積もりを依頼します
万一契約してしまっても、消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、訪問販売には契約書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフが定められています。工事が始まっていても、期間内であれば無条件で解除できる場合があります。
また、見積書の内容を自分で点検したい場合は、国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)が公開している見積書のセルフチェック資料が役立ちます。中立の立場でつくられた資料なので、業者の説明と照らし合わせる基準になります。
無料点検を名乗る訪問への向き合い方は無料の屋根点検は怪しいのか、依頼先の選び方は屋根修理の業者の選び方にまとめています。
よくある質問
瓦1枚の交換でも足場は必要ですか
位置によります。街の屋根やさん宮崎店は、足場が不要な位置なら1万〜5万円程度、足場が必要な位置なら20万円程度になると説明しています。軒先に近く梯子で届く範囲なら足場なしで対応できることがありますが、屋根の中央付近や急勾配の屋根では安全確保のため足場が必要になります。労働安全衛生規則は高さ2m以上での作業に作業床の設置を求めています。見積もりに足場代が入っている場合は、なぜ必要かを説明してもらってください。
瓦屋根はどのくらいの頻度で手を入れる必要がありますか
粘土瓦そのものはリショップナビによれば30〜60年、種類によっては50〜60年もつとされています。ただし漆喰はリフォームの匠美によれば10〜15年程度、下葺き材はテイガク屋根修理によれば普及品で約10年、改質アスファルトで約20年、高耐久品で約30年が目安です。したがって「瓦は替えなくても、10〜20年ごとに漆喰や棟の点検が必要」と考えるのが現実的です。台風のあとに目視で確認する習慣をつけておくと、被害の早期発見につながります。
ラバーロック工法を勧められました。やるべきですか
慎重に検討してください。ルーフクラフトは、瓦の全周をコーキングで塞ぐと屋根内部の水分や湿気の逃げ道がなくなり、雨漏りにつながる恐れがあると指摘しています。正しい施工はL字またはT字の限定的な箇所のみとされます。また、次に葺き直しや葺き替えを行う際、コーキングを1本ずつ切り離す手間がかかり工事費が上がります。棟が緩んでいるのが原因なら、棟の取り直しのほうが根本的な対処になります。少なくとも、施工箇所と施工範囲を図で示してもらったうえで判断してください。
瓦から軽い屋根材に葺き替えると地震に強くなりますか
屋根が軽くなれば建物の重心が下がるため、一般に地震時の揺れの負担は小さくなると説明されます。リショップナビによれば、瓦からガルバリウム鋼板への葺き替えは80万〜200万円、瓦からスレートへは70万〜200万円が目安です。ただし建物全体の耐震性は、壁の量や基礎の状態にも左右されます。屋根を軽くすれば耐震性が確保されると断定はできません。耐震診断とあわせて検討することをおすすめします。
見積書で最低限どこを見ればよいですか
次の四点です。第一に、単価と数量が書かれているか。「屋根修理一式」だけの見積もりは比較できません。第二に、足場の有無と面積。第三に、棟や漆喰の工事延長(m数)。第四に、既存材の撤去処分費が含まれているか。国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)が見積書のセルフチェック資料を公開しているので、判断に迷う場合は参照してください。
まとめ
瓦屋根の修理費用は、傷んでいるのが「瓦」なのか「瓦の下」なのかで大きく変わります。この記事の要点を整理します。
- 瓦の差し替えは足場なしで1万〜5万円、足場が必要だと20万円前後。瓦の材料費自体は1枚300〜1,000円程度で、費用の大半は手間と足場
- 漆喰の詰め直しは2,500〜5,500円/mで総額6万〜33万円前後、棟の取り直しは8,000〜20,000円/mで総額15万〜60万円前後が一つの目安
- 葺き直しは約10,000円/㎡で65万〜160万円、葺き替えは約20,000円/㎡で90万〜250万円。葺き直しは葺き替えのおおむね半額前後
- 粘土瓦は30〜60年、セメント瓦は20〜40年、モニエル瓦は20〜30年。セメント系は塗装が防水層になるため塗り替えが必要で、モニエル瓦はスラリー層の処理が欠かせない
- 瓦が50年もっても下葺き材は約10〜30年。雨漏りの多くは二次防水の寿命で起きるため、築20〜30年を超えたら葺き直しの検討時期に入る
- 2022年1月から瓦の緊結基準が変わったが、既存住宅に遡って適合義務は生じない。ただし全面葺き替え時は新基準での施工が望ましいとされる
- 台風・突風・雹による被害は火災保険の風災補償の対象になり得るが、経年劣化と施工不良は対象外。請求権の時効は3年
- 点検商法の相談は2023年度12,550件から2025年度19,696件に増えている。「瓦がズレている」という指摘は写真で確認し、その場で契約しない
瓦屋根は、適切に手を入れれば非常に長くもつ屋根です。逆に言えば、必要のない工事を重ねると、その長寿命を活かしきれません。見積もりを受け取ったら、金額の前に「どの範囲を、どの工法で直すのか」を確認してください。それが分かれば、複数社の金額差の理由も見えるようになります。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

