屋根修理の業者の選び方|業種・資格・点検依頼で見抜く判断基準

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屋根修理の業者選びが外壁塗装と決定的に違うのは、施主が工事の対象を自分の目で確認できないという一点です。だからこそ「屋根が浮いていますよ」という一言が通ってしまい、点検商法が屋根に集中します。結論として、屋根の業者選びは「①どの業種の会社か(板金・瓦か、塗装か)②屋根に関する資格を国家資格と民間資格に分けて確認できるか③点検の写真を必ず出させ、その場で契約しないか」の3点で組み立てるのが現実的です。この記事では、屋根特有の論点だけに絞って解説します。

目次

結論:屋根の業者選びは「自分で見えない」前提から逆算する

屋根修理の業者選びで最初に受け入れるべき前提は、あなたは屋根の状態を自分で確かめられないということです。外壁なら、ひび割れも汚れも自分の目で見て、指で触れて、写真を撮ることができます。屋根はそれができません。地上から見えるのは軒先とせいぜい下屋の一部だけで、棟(むね)や谷樋(たにどい)、雨押さえといった雨漏りの起点になりやすい部分は、地上からはほぼ見えません。

この「見えない」という構造が、屋根の業者選びを外壁塗装と別物にしています。外壁塗装なら、業者の言う劣化症状が本当かどうかを施主自身がある程度は検証できます。屋根では検証ができないため、業者の申告を信じるかどうか、という判断に置き換わってしまうのです。悪質な業者はここを突いてきます。

したがって屋根の業者選びは、「良さそうな業者を探す」のではなく、「見えないものを、見える形にして出させる」という手順の設計になります。具体的には次の順序です。

  • その会社が屋根のどの工事を本業にしているかを確認する(板金・瓦の屋根工事店か、塗装店か、リフォーム会社か)
  • 屋根に関する資格を、国家資格と民間資格に分けて確認する
  • 点検を依頼するときは「写真を全部もらうこと」を先に条件として伝える
  • 点検当日は契約しない、と最初から決めておく
  • 2社以上に同じ写真・同じ症状を見せて、診断が一致するかを比べる

なお、建設業許可の500万円ルール(税込500万円未満の工事は許可がなくても請け負える)や、行政の公的データベースで会社の実在と許可を裏取りする方法は、外壁・屋根に共通する基礎です。ここでは繰り返さず、外壁塗装の業者の選び方で詳しく解説しています。以下は屋根に固有の論点だけを扱います。

なぜ点検商法は「屋根」に集中するのか──公的データで確認する

結論から言うと、屋根の点検商法は実際に増えており、しかも契約金額が高額化しています。これは印象論ではなく、公的機関が公表している統計で確認できます。

国民生活センターは2023年10月11日に「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」という注意喚起を公表しています。そこでは、全国の消費生活センターに寄せられた屋根工事の点検商法に関する相談が、2018年度の923件から2022年度には2,885件へと約3倍に増えたことが示されています。さらに2022年度の契約購入金額は「100万円以上500万円未満」が738件で最も多く、平均は約132万円でした。契約当事者の8割超が60歳以上です(出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」)。

リフォーム全体で見ても傾向は同じです。国民生活センターのPIO-NET集計では、点検商法に関する相談は2023年度の12,550件から2025年度には19,696件に増えています。ただしこの数値は2026年5月31日時点の集計であり、直近年度分は今後変動しうる未確定値である点に注意してください(出典:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」)。

屋根が狙われる理由は「反証できないから」

同じ注意喚起には、実際に使われた勧誘トークが具体的に挙げられています。「近所で工事をしているが、お宅の屋根瓦がずれているのが見えた」「近所をドローンで撮影していたら屋根が傷んでいるのが見えた」「このままだと台風で雨漏りしますよ」「瓦が飛んでご近所に迷惑がかかります」といった内容です。

注目すべきは、これらがすべて「施主には確かめようがない指摘」だという点です。外壁の色あせなら施主も一緒に見て判断できますが、瓦のずれは地上からは見えません。反証できない指摘に、不安をあおる予測(台風・雨漏り・近所迷惑)を重ねる。この組み合わせが屋根で成立しやすいから、点検商法は屋根に集まります。

ここで大事なのは「訪問してくる業者はすべて悪い」と決めつけないことです。判断基準は訪問の有無ではなく、指摘内容を検証可能な形で示せるかどうかにあります。訪問販売そのものへの対処や、契約書面の受領日から8日間のクーリング・オフを含む見分け方は悪徳業者の見分け方にまとめています。

「自分で登って確かめる」は選択肢に入れない

見えないなら自分で登ろう、と考える方がいますが、これは避けてください。国民生活センターが2019年3月28日に公表した資料によると、医療機関ネットワークに寄せられた脚立・はしごが関係する事故458件のうち433件が転落事故で、入院を必要とする事故が206件(47.6%)にのぼります。60〜70歳代が236件で全体の54.5%を占め、事故の場所は屋外が282件(78.6%)、作業内容では庭木の作業に次いで「屋根・軒先での作業」が多いと報告されています(出典:国民生活センター「思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落」)。

転落事故のおよそ半数が入院を要しているという数字は重く受け止めるべきです。屋根は「見えないまま、業者に見える形で出させる」のが正解であって、自分で見に行く場所ではありません。

屋根を扱う会社は4種類ある。雨漏りは板金・瓦、塗装は塗装店

結論として、雨漏りの修理は板金・瓦の屋根工事店、屋根の塗装は塗装店という棲み分けを理解しておくと、業者選びの精度が一気に上がります。「屋根の会社」とひとくくりにされがちですが、実際には出自の違う4つの業態が混在しています。

業態本業・出自得意な工事苦手・注意点
屋根工事店(瓦)瓦の葺き替え・葺き直し瓦のずれ・割れ、棟の積み直し、葺き替え金属屋根や塗装は扱わない会社もある
屋根工事店(板金)金属屋根・雨仕舞いの板金加工谷樋・雨押さえ・棟板金、雨漏り、カバー工法瓦専門とは技術体系が異なる
塗装店外壁・屋根の塗装スレート屋根や金属屋根の塗り替え雨漏りの原因究明・板金加工は範囲外のことが多い
リフォーム会社・ハウスメーカー元請け・設計・窓口他工事との一括手配、保証や書類の整備実際の施工は下請け。中間マージンが乗る
出典:建設業法の業種区分(国土交通省)および各業界団体の公表情報をもとに編集部が整理

「雨漏りを塗装で直す」と言う業者は疑ってよい

屋根の業者選びで、最も危険信号として分かりやすいのがこれです。雨漏りの多くは、瓦やスレートの下にある防水紙(ルーフィング)の劣化や、板金部分の納まりの不良から起きます。屋根材の表面を塗るという行為は、防水紙にも板金の納まりにも届きません。

むしろスレート屋根では、塗装の際に屋根材どうしの重なりが塗料でふさがれ、入った雨水の出口がなくなって雨漏りを誘発することがあります。これを防ぐのが縁切り・タスペーサーという工程で、見積書から抜けやすい項目です。詳しくは屋根塗装の費用相場で解説しています。

つまり、「雨漏りしているので塗装で防水しましょう」という提案は、原理的に噛み合っていないということです。雨漏りしている家に必要なのは、浸入経路の特定と、その箇所の板金・瓦・防水紙の処置です。塗装は劣化を遅らせる予防的な工事であって、止水工事ではありません。雨漏りの原因調査と修理の実務については雨漏り修理の費用を参照してください。

建設業許可の業種区分でも「屋根工事」と「塗装工事」は別

この棲み分けは、業界の慣習ではなく法律上の区分としても存在します。建設業法では建設工事を2つの一式工事と27の専門工事、計29業種に分類しています。国土交通省が公表している業種区分の資料では、屋根工事は「瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事」、板金工事は「金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事」、塗装工事は「塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事」と定義され、それぞれ別業種として扱われます。

興味深いのは、同資料に「板金屋根工事も『板金工事』ではなく『屋根工事』に該当する」と明記されている点です(出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」)。金属屋根の施工は板金の技術を使いますが、許可上は屋根工事業。この程度の区分を説明できるかどうかも、担当者の力量を測る材料になります。

なお、税込500万円未満の工事には建設業許可が不要なので、「屋根工事業の許可がない=悪い会社」ではありません(国土交通省「建設業の許可」)。許可の見方は外壁塗装の業者の選び方で詳しく扱っています。ここで確認したいのは許可の有無そのものより、自社が屋根・板金・塗装のどこを本業にしているかを、業者自身が言語化できるかです。

屋根の資格は「国家資格」と「民間資格」を分けて見る

結論として、屋根まわりの肩書きには国が定めた技能検定に基づくものと、業界団体やNPOが認定する民間資格が混在しています。どちらが上ということではなく、性質が違うので分けて理解するのが正解です。名刺に並んだ肩書きの数で判断せず、「それは国の検定ですか、団体の認定ですか」と聞けるようになることが目的です。

資格名区分実施・認定団体何が分かるか
かわらぶき技能士国家検定(技能検定)都道府県が実施/中央職業能力開発協会が支援瓦を葺く実技の技能水準。1級は原則7年の実務経験が必要
建築板金技能士国家検定(技能検定)都道府県が実施/中央職業能力開発協会が支援内外装板金作業などの技能水準。雨仕舞いの加工技術の裏づけ
瓦屋根工事技士民間資格全日本瓦工事業連盟(全瓦連)瓦屋根工事に関する知識の認定。学科試験
瓦屋根診断技士民間資格全日本瓦工事業連盟(全瓦連)瓦屋根の状態を診断する講習の修了。更新講習あり
雨漏り診断士民間資格NPO法人 雨漏り診断士協会雨漏りの調査・診断に関する知識。登録更新制
出典:中央職業能力開発協会、全日本瓦工事業連盟、NPO法人雨漏り診断士協会の各公表情報

国家検定は「実務年数」が担保されている

技能検定は、働く人の技能を一定の基準で検定し、国として証明する国家検定制度です。中央職業能力開発協会によれば、等級は特級・1級・2級・3級および単一等級に区分され、受検には1級で7年以上、2級で2年以上の実務経験が必要とされます(学歴や職業訓練歴による短縮あり)。合格者は「技能士」と称することができ、特級・1級は厚生労働大臣名、2級・3級は都道府県知事名の合格証書が交付されます(出典:中央職業能力開発協会「技能検定のご案内」)。

実施職種の一覧には「かわらぶき(かわらぶき作業)」と「建築板金(内外装板金作業・ダクト板金作業)」が独立した職種として掲載されています(出典:中央職業能力開発協会「実施職種・作業内容一覧」)。つまり1級かわらぶき技能士や1級建築板金技能士が在籍しているという事実は、少なくとも7年以上の実務を経た職人がいることの公的な裏づけになります。屋根の場合、塗装の技能士より、こちらのほうが直接的な指標です。

民間資格は「認定団体まで確認する」

民間資格そのものが悪いわけではありません。むしろ雨漏りのように国家検定の職種が存在しない領域では、民間資格が唯一の目印になります。重要なのは、認定団体が実在し、認定者名簿や更新制度を公開しているかです。

瓦屋根工事技士・瓦屋根診断技士は、屋根工事と瓦の業界団体である全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が実施しています。瓦屋根診断技士については、瓦工事業に従事していること、瓦屋根技士の資格を持っていることなどが受講の条件とされ、認定後も更新講習が設けられています(出典:全日本瓦工事業連盟)。雨漏り診断士は、内閣府のNPOポータルサイトにも掲載されているNPO法人雨漏り診断士協会が認定しており、有資格者は診断時に資格証を提示することが定められています(出典:NPO法人 雨漏り診断士協会)。

逆に言えば、団体名を検索しても実態が出てこない、認定者名簿がない、更新制度がない肩書きは、目印としての価値が下がります。「その資格はどこが認定しているんですか」と一言聞くだけで、相手の反応から多くが分かります。

屋根には「団体登録制度」の目印が使いにくい

外壁塗装の業者選びでは、国土交通省の住宅リフォーム事業者団体登録制度が一つの目安として使われます。国が要件を満たす団体を登録・公表し、その構成員事業者には契約時の書面交付や一定額以上の工事での瑕疵保険加入などが求められる制度です。

ただし屋根の場合、この目印はそのままでは使いにくいのが実情です。同制度の登録団体一覧(16団体)を確認すると、日本塗装工業会や工務店系の団体は登録されている一方で、団体名に「瓦」「板金」「屋根」を含む専門団体は登録されていません(出典:国土交通省「住宅リフォーム事業者団体登録制度」、2026年8月時点)。したがって「登録団体の会員ではない=信頼できない」という読み方は、屋根専門店に対しては当てはまりません。屋根では、団体登録より前述の資格と業種の確認を優先してください。

【独自】令和4年の「瓦の全数緊結」義務化を知っているかを聞く

屋根業者の力量を短時間で測る質問として、編集部が有効だと考えるのが「令和4年1月からの瓦の緊結基準の改正、うちの屋根には関係ありますか?」という問いです。理由は、この改正が屋根業界にとって直近で最も大きい法令変更であり、かつ点検商法の勧誘トークに悪用されやすい題材でもあるからです。

改正の内容──「軒・けらば・むね」から「全ての瓦」へ

令和元年の房総半島台風などで瓦屋根の被害が相次いだことを受け、国土交通省は瓦屋根の緊結方法に関する基準を改正し、令和4年(2022年)1月1日に施行しました。「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に準拠したガイドライン工法が、建築基準法に基づく告示(昭和46年建設省告示第109号ほか)の基準に位置づけられたものです。

改正前は緊結が求められる範囲が「軒・けらば・むね」に限られていましたが、改正後は平部を含むすべての瓦が対象になりました。緊結方法も、瓦の種類・部位・基準風速に応じてくぎやねじで留めることが規定され、屋根ふき材や緊結金物にさび止め・防腐の措置を講じることも加わっています(出典:国土交通省「令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策」)。

既存住宅に遡って適用されるわけではない

ここが最も重要な点です。この基準が適用されるのは、令和4年1月1日以降に新築・増築等をする場合であり、すでに建っている住宅に遡って適用されるものではありません。国土交通省の資料でも、既存不適格建築物にただちに改正への適合を求めるものではないとされています。

にもかかわらず、「法律が変わったので、お宅の屋根は今のままでは違法です」「今すぐ全部の瓦を留め直さないといけません」といった説明で契約を迫るケースが想定されます。国民生活センターの事例にも「約100万円で瓦を固定する工事の契約」をしてしまった相談が掲載されています。法令を正しく把握している業者なら、「新築等が対象で、既存住宅には遡及しません。ただし台風対策として検討する価値はあります」と正確に切り分けて説明できるはずです。

この質問への答え方で、法令を追っている会社か、営業トークとして使っているだけの会社かがかなり分かります。もちろん既存住宅でも、葺き替えや葺き直しをするなら改正後の仕様で施工するのが望ましく、その意味で改正内容を知っていることは実務上も必要です。葺き替えや葺き直しを検討する際は、改正後の仕様で施工されるかを見積書と仕様書で確認してください。

点検の依頼の仕方──「見えないもの」を見える形で出させる

結論として、屋根の点検は依頼する側が条件を先に提示するのが鉄則です。業者が来てから受け身で説明を聞く形にすると、検証のしようがない情報を一方的に受け取ることになります。次の3つを、点検を依頼する電話やメールの段階で伝えてください。

  • 撮影した写真はすべてデータでいただきたい(劣化箇所だけでなく、屋根全体の引きの写真も含めて)
  • 屋根のどの位置を撮ったものか、図や説明を添えてほしい
  • 当日は契約しない。見積書と写真を受け取って、他社にも見てもらってから決める

この3つを先に言うだけで、話は驚くほど整理されます。まっとうな業者は当たり前のこととして応じますし、渋る業者はその時点で候補から外して構いません。

点検方法とそれぞれの長所・短所

点検方法長所短所・注意点
はしごで屋根に上る目視・触診瓦のずれ、割れ、釘の浮きなど手で触って確認できる作業者の墜落リスク。急勾配や瓦屋根では上れない場合がある
高所カメラ(伸縮ポール)屋根に上らずに軒先・棟を撮影できる。屋根材を傷めない死角ができる。屋根裏側や下地は分からない
ドローン撮影屋根全体を俯瞰でき、写真が残る。急勾配でも撮影可飛行に規制がある。表面しか写らず、触診の代わりにはならない
屋根裏(小屋裏)からの確認雨染み・野地板の腐朽など、雨漏りの痕跡を直接確認できる点検口がない住宅もある。屋根表面の状態は分からない
出典:各点検手法の一般的な特性をもとに編集部が整理。ドローンの規制は国土交通省「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」による

ドローンは万能ではありません。航空法により、人や家屋が密集している地域(人口集中地区)の上空や、地表から150m以上の空域での飛行には国土交通大臣の許可が必要です。また夜間飛行、目視外飛行、第三者と距離を確保できない飛行には承認が必要とされています(出典:国土交通省「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」)。市街地の住宅でドローン点検を提案された場合、許可・承認の有無を確認しても失礼にはあたりません。

実務上は、ドローンや高所カメラで全体像を押さえ、必要に応じて屋根に上って触診し、さらに屋根裏から雨染みを確認する、という組み合わせが最も情報量が多くなります。1つの方法しか提示しない業者より、「この屋根はこの方法が向いている」と理由を説明できる業者を選んでください。

写真は「劣化箇所のアップ」だけでは足りない

点検商法でよく使われるのが、劣化箇所のアップ写真だけを見せる手法です。アップ写真は、どの家のどの位置を撮ったものか特定できません。極端な場合、別の家の写真である可能性も否定できません。

これを防ぐには、引きの写真とアップの写真をセットで求めることです。屋根全体が写った引きの写真があれば、自宅の形状と照合できます。そのうえで「この棟の右から3枚目です」といった位置の説明があれば、他社に見せたときにも同じ場所を確認してもらえます。写真のファイル名や撮影日時が残っているかも確認しておくとよいでしょう。

「火災保険が使えます」と持ちかけられたら

点検の場で「火災保険を使えば自己負担なしで直せます」と持ちかけられるのは、屋根で特に多いパターンです。国民生活センターの注意喚起でも「保険金を使って修理すればいいじゃないですか」という勧誘トークが挙げられ、保険金利用の話には警戒し、保険会社に直接確認するようアドバイスされています。

火災保険が適用されるのは台風や強風などの自然災害による損害で、経年劣化は対象外です。そして保険金が下りるかを決めるのは工事業者ではなく保険会社です。「必ず使えます」と断言する業者、保険申請の代行手数料を取る業者には注意してください。適用条件と申請の流れは屋根修理と火災保険の適用条件で整理しています。

いま雨漏りしている場合の動き方

結論として、雨漏り中は「被害を止める応急処置」と「業者選び」を切り離すことが最優先です。慌てているときに交わした契約ほど後悔しやすく、悪質な業者が最も狙う状況でもあります。

先にやること

  • バケツや雑巾で室内の水を受け、家財や電気製品を移動する
  • 天井のシミ、垂れてくる位置、雨の強さや風向きとの関係を写真とメモで記録する
  • 可能なら屋根裏を懐中電灯で確認し、濡れている場所を撮影する(無理はしない)
  • 加入している火災保険の証券を探しておく
  • 雨の日の記録は、後から業者に原因を説明してもらう際の重要な材料になる

やってはいけないこと

  • 雨の日や風の強い日に自分で屋根に上る(前述のとおり転落事故の半数近くが入院を要しています)
  • 屋根にブルーシートを自分でかける(同じく高所作業です。必要なら業者に依頼する)
  • 浸入箇所が特定されないまま、その場で高額な工事契約を結ぶ
  • 「今日中なら安くします」という条件を理由に決断する

雨漏りの応急処置は、あくまで被害の拡大を防ぐためのものです。恒久的な修理は、原因調査(散水調査や赤外線調査など)を経て浸入経路を特定してから行うのが本筋で、調査には別途費用がかかります。緊急対応と本工事を同じ業者に一気に任せる必要はありません。費用の目安と調査方法は雨漏り修理の費用にまとめています。

なお、応急処置だけを先に頼んで、本工事は落ち着いてから相見積もりを取る、という進め方は何ら失礼ではありません。「今日は止水だけお願いします。修理の見積もりは後日、他社の分と一緒に検討します」と最初に伝えておくと、話がこじれにくくなります。

よくある質問

屋根の点検は無料で頼んでよいのでしょうか

無料点検そのものが悪いわけではありません。多くの業者が営業活動の一環として無料で点検を行っています。問題は、無料であることを理由にその場での契約を求められる場合です。国民生活センターも、突然訪問してきた業者に安易に点検させないこと、すぐに契約せず複数社から見積もりを取ることを呼びかけています。集めた見積書を突き合わせる手順はリフォーム見積もりの比較手順にまとめています。自分から依頼した無料点検と、向こうから来た無料点検は、まったく別のものとして扱ってください。

外壁塗装と屋根工事は同じ業者に頼んでよいですか

屋根が「塗装で足りる状態」なら、足場を共用できるため同じ業者にまとめるメリットがあります。一方、雨漏りしている、瓦がずれている、葺き替えやカバー工法が必要という状態なら、屋根工事を本業とする会社に相談したほうが確実です。判断の分かれ目は「表面の劣化か、雨仕舞いの問題か」です。同時施工の考え方は外壁と屋根の同時施工で解説しています。

「1級かわらぶき技能士がいます」と言われましたが、確認できますか

技能検定の合格者には、特級・1級は厚生労働大臣名、2級・3級は都道府県知事名の合格証書が交付されます。そのため合格証書や技能士章の提示を求めるのが最も確実です。個人に交付されるものなので、会社としての在籍と、実際に自宅の工事を担当する職人が有資格者かどうかは別問題である点にも注意してください。「担当してくださる職人さんは有資格者ですか」と踏み込んで聞くとよいでしょう。

地元の小さな屋根屋と、大手リフォーム会社はどちらがよいですか

一概には言えません。地元の屋根専門店は自社施工で中間マージンが乗りにくく、雨漏りなどの技術的な相談に強い傾向があります。一方、大手リフォーム会社やハウスメーカーは書類・保証・アフター体制が整っており、他の工事とまとめて頼みやすいという利点があります。判断材料は規模ではなく、誰が実際に屋根に上るのか(自社職人か、下請けか)と、その職人にどんな資格・経験があるかです。この点は必ず質問してください。

契約してしまいましたが、やめられますか

訪問販売による契約であれば、特定商取引法に基づき、法定の契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。起算日は「契約日」ではなく「法定書面の受領日」であり、書面に不備がある場合は8日を過ぎても行使できることがあります。工事が始まっていても原状回復を請求できるのが原則です。判断に迷う場合は消費者ホットライン188に相談してください。詳しい手順は悪徳業者の見分け方で解説しています。

まとめ:屋根は「見えない」からこそ、手順で守る

屋根修理の業者選びは、外壁塗装の業者選びの応用ではありません。施主が対象物を確認できないという一点が、すべての論点を変えています。この記事の要点をあらためて整理します。

  • 屋根の点検商法は実際に増えており、2022年度の相談は2,885件、平均契約金額は約132万円、契約当事者の8割超が60歳以上(国民生活センター)
  • 屋根を扱う会社は瓦・板金・塗装・元請けの4系統。雨漏りは板金・瓦の専門店、塗装は塗装店という棲み分けを押さえる
  • 「雨漏りを塗装で直す」という提案は原理的に噛み合っていない。建設業法上も屋根工事と塗装工事は別業種
  • 資格は国家検定(かわらぶき技能士・建築板金技能士)と民間資格(瓦屋根工事技士・瓦屋根診断技士・雨漏り診断士)を分けて確認する
  • 令和4年1月1日の瓦の全数緊結義務化は新築・増築等が対象で、既存住宅に遡及しない。これを正確に説明できるかが力量の目安
  • 点検は「写真を全部もらう」「引きとアップをセットで」「当日は契約しない」の3条件を先に伝える
  • 雨漏り中でも、応急処置と本工事の業者選びは切り離してよい

屋根は自分の目で見られませんが、業者に「見える形で出させる」ことはできます。写真を求め、資格の出どころを尋ね、法令の適用範囲を説明してもらう。この3つの質問に淀みなく答えられる会社であれば、屋根の上で何をしているかも信頼して任せられる可能性が高いと考えられます。判断に迷ったときは、契約を急がず、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤルや、消費者ホットライン188に相談するという選択肢も覚えておいてください。

見積もりを取るときに使えるサービス

ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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