外壁塗装は艶あり艶なしどっち?光沢度の目安と選び方を比較解説

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外壁塗装の艶(つや)は、艶ありが正解でも艶消しが上級者向けでもありません。結論は「住宅の雰囲気と、汚れとの付き合い方の好み」で決めるのが妥当で、迷ったときは中間の3分艶〜5分艶が失敗しにくい選択肢です。艶あり塗料でも光沢は数年かけて自然に落ち着くため、「ピカピカが一生続く」ことも「艶消しにすれば必ず長持ちする」こともありません。この記事では、艶の段階が光沢度(グロス値)で何%に相当するのかをJIS規格と塗料メーカーの公開資料で確認したうえで、艶あり・艶消しそれぞれの向き不向きを整理します。

目次

結論:艶あり・艶なしに優劣はなく「見た目の好み」と「手入れの考え方」で選びます

最初に結論を書きます。艶ありと艶消しは、どちらかが技術的に優れているという関係ではありません。光の反射のさせ方が違うだけで、そこから見た目・汚れの見え方・光沢が落ちるまでの時間といった副次的な差が生まれます。どの差を重視するかは住まい手によって違うため、業者が「艶ありにしないと損です」と一方的に勧めてくる場合は、その理由を必ず聞いてください。

判断の軸は、次の3つに絞ると考えやすくなります。

  • 住宅の雰囲気:新築同様の明るさを取り戻したいのか、落ち着いた質感にしたいのか
  • 汚れとの付き合い方:汚れが付きにくいほうを優先するのか、汚れが目立ちにくいほうを優先するのか
  • 光沢が落ちる過程を許容できるか:塗り立ての艶が数年で落ち着くことを「劣化」と感じるか「馴染む」と感じるか

この3つのうち、意外と見落とされやすいのが3番目です。艶ありを選んだ人が「思ったより早く艶が引いた」と感じるケースと、艶消しを選んだ人が「最初から落ち着いていて変化が気にならない」と感じるケースは、どちらも同じ現象の裏表です。後述するとおり、光沢は経年で低下していくのが塗膜の自然なふるまいであり、艶ありを選ぶということは「光沢が変化していく数年間を受け入れる」ことでもあります。

艶の段階と光沢度(グロス値)の対応表

艶の段階は「艶あり/7分艶/5分艶/3分艶/艶消し」の5区分で語られるのが一般的で、それぞれ光沢度のおおよその範囲が対応づけられています。ただし先に重要な事実を書いておくと、この5段階の名称と光沢度を数値で定義した公的な規格は、確認した範囲では見つかりませんでした。業界で慣習的に使われている目安であり、メーカーや塗装店によって示す数値に幅があります。

光沢度の測り方はJISで決まっています

光沢度そのものの測定方法は、JIS K 5600-4-7「塗料一般試験方法-第4部:塗膜の視覚特性-第7節:鏡面光沢度」で規定されています。技術情報館SEKIGINがまとめた同規格の解説によると、鏡面光沢度は「規定した光源及び受光器の角度にて鏡面方向に対象物から反射する光束と、屈折率1.567のガラスから鏡面方向に反射する光束の比」と定義され、屈折率1.567の磨いた黒色ガラスを100とする相対値です。測定角度は20度・60度・85度の3種類があり、60度はすべての塗膜に適用できる標準条件、20度は60度光沢度が約70以上の高光沢塗膜の差を出すため、85度は60度光沢度が約10以下の低光沢塗膜の差を出すために使われます。

つまり、住宅塗装で「光沢度70以上が艶あり」と言うときの数値は、通常この60度鏡面光沢度を指しています。数値の意味を知っておくと、見積書やカタログの表記を読み違えずに済みます。

艶の呼び方60度光沢度の目安見た目の印象選ばれやすい場面
艶あり(全艶)70%以上光をはっきり反射し、塗り立ての新しさが出る白・淡彩の窯業系サイディング、屋根
7分艶55〜65%前後艶ありよりわずかに穏やか。違いは分かりにくい艶ありに近いが少しだけ抑えたいとき
5分艶(半艶)30〜40%前後光沢と落ち着きの中間。自然な仕上がり迷ったときの中庸な選択
3分艶10〜20%前後控えめな光沢。落ち着いた印象和風住宅、モダン住宅、濃色
艶消し(艶なし)5%以下光沢がほぼなく、マットで重厚デザイン住宅、木部・軒天との調和重視
出典:有希創業「艶の種類と特徴」カラーズ「ツヤあり・ツヤなしと3分艶/5分艶/7分艶について」SKホームやまと池田塗装の各記載をもとに幅で整理。数値は業界慣習の目安で、公的な規格値ではありません

メーカーや塗装店で数値がずれる理由

同じ「5分艶」でも、光沢度35%前後と書く資料もあれば30〜40%と幅で書く資料もあります。外壁塗装110番は「艶ありとは光沢度が70以上のこと」とだけ示し、中間段階の数値には触れていません。ずれが生じるのは、5段階の区分が製品開発上の社内基準や商習慣に由来しており、統一規格が存在しないためと考えられます。

関連する公的規格として、JIS K 5658「建築用耐候性上塗り塗料」があります。JIS K 5658:2010の規格本文では、鏡面光沢度について「幾何条件が60度の鏡面光沢度の平均が70以上とする」という規定が置かれています。ただしこれは、この規格に適合する(つやのある)上塗り塗料が満たすべき値であり、7分艶や3分艶を定義したものではありません。「艶ありの境界が70」という業界の目安が、この規格値と整合していると読むのが妥当な範囲です。

実務上の注意点として、カタログに「光沢度」の数値が明記されていない製品も珍しくありません。数値で比較したい場合は、業者経由でメーカーの製品資料(技術資料や施工仕様書)を取り寄せてもらうのが確実です。塗料そのものの選び方は塗料の種類と耐用年数一覧もあわせて確認してください。

艶あり・艶消しのメリット・デメリット比較表

結論として、艶ありは「汚れが付きにくい・明るく見える」代わりに「反射が強く、経年変化が目につきやすい」、艶消しは「落ち着いて見える・変化が分かりにくい」代わりに「汚れが付きやすいとされる・製品の選択肢が限られる」という関係にあります。両者を並べると次のようになります。

比較項目艶あり(光沢度70%以上)艶消し(光沢度5%以下)
見た目塗り立ての新しさが強く出る。明るく見える落ち着いた重厚感。素材の質感が残る
汚れの付きにくさ表面が平滑で汚れが留まりにくいとされる微細な凹凸に汚れが留まりやすいとされる
汚れの目立ちにくさ光沢のムラとして汚れが見えやすい面も光沢差が出ないため部分的な汚れは目立ちにくい
反射・まぶしさ日射の角度によっては強く反射する拡散反射のためまぶしさが出にくい
色の見え方濃色が深く沈んで見えやすい白っぽく(明度が高く)見えやすい
耐用年数艶消しより長いとする説が多い短いとする説と、差はないとする説が併存
製品の選択肢ほぼ全製品に艶ありの規格がある製品によっては艶消し規格がない場合がある
施工上の注意下地の凹凸やローラー跡が目立ちやすい塗り継ぎ部分に艶ムラが出ることがある
出典:アサヒペン「外壁塗装で艶は出すべき?」Paintnote Media「艶消し塗料とは?」関西ペイント アレスダイナミックTOPの記載をもとに編集部で整理

「汚れにくい」と「汚れが目立たない」は別の話です

艶の話でもっとも誤解が多いのがこの点です。艶ありは塗膜表面が平滑なため汚れが留まりにくいとされますが、汚れが付いた場合は光沢が失われた部分としてはっきり見えます。一方、艶消しはPaintnote Mediaが説明するように塗膜表面が微細な凹凸状になっているため汚れが留まりやすい一方、もともと光沢がないので汚れによる質感の変化は分かりにくくなります。

したがって、「10年後に写真で比べれば艶ありのほうがきれい、日々の見た目のがっかり感は艶消しのほうが少ない」という、どちらとも言えない結果になりやすいのです。北面のカビ・藻や、幹線道路沿いの排気汚れなど、立地条件のほうが艶の差より影響が大きい場面も少なくありません。汚れによる後悔を避けたい方は外壁の色選びの失敗で色との組み合わせも確認しておくと安全です。

費用差はほとんどなく、業者によって説明が食い違います

費用について結論を書くと、艶の違いによる価格差は、外壁塗装全体の金額から見ればごくわずかか、無視できる範囲です。ただし「艶消しのほうが高い」と説明するサイトと「艶消しのほうが安い」と説明するサイトの両方が存在します。

Paintnote Mediaは艶消し塗料について「添加剤を加えたり粒子の大きさを調整したりなどの工程が加えられている」ため艶あり塗料より若干高めとしています。反対に創建リフォームは「艶消しの方が若干安いと言われています」と書いており、いずれも具体的な金額差は示していません。

実際のメーカー資料を見ると、エスケー化研のエスケープレミアムシリコンは艶有り・半艶・3分艶・艶消しの4種類をそろえたうえで、設計価格(2,920円/㎡、300㎡以上を基準とする材工共価格)を艶ごとに分けていません。少なくとも同一製品内では、艶の違いで単価が変わるという裏付けは取れませんでした。見積書で「艶消しなので割増」と説明された場合は、その根拠となる材料単価の資料を見せてもらうのが確実です。

むしろ金額に効くのは、塗料のグレードと塗装面積、そして足場や下地補修です。艶の選択で数千円を気にするより、見積書全体の妥当性を確認するほうが金額への影響ははるかに大きくなります。国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センターが運営する住まいるダイヤルでは、見積書のセルフチェックの考え方が公開されているので、契約前に目を通しておくことをおすすめします。

艶消しは「艶あり塗料に艶消し剤を混ぜて」作るのか、メーカー資料で確かめました

ここがこの記事の核心です。ネット上には「艶消し塗料は艶あり塗料にフラットベース(艶消し剤)を混ぜて作るので、その分だけ塗膜が薄まって耐久性が落ちる」という説明が数多くあります。結論から言うと、この説明は「現場で艶を調整する場合」には一定の裏付けがありますが、「メーカーが工場で艶を調整して出荷している規格品」には当てはまりません。両者を混同したまま語られていることが、話がかみ合わない最大の原因です。

主要メーカーは工場出荷の段階で複数の艶を用意しています

実際にメーカーの製品情報を確認しました。エスケー化研のエスケープレミアムシリコンは、製品ページに「艶有り、半艶、3分艶、艶消し」の4種類が明記されています。同ページには「艶を抑えた仕上がりをご希望の場合は、エスケープレミアムシリコン半艶、3分艶、艶消しをご使用ください」と書かれており、現場で混ぜるのではなく、はじめから艶違いの製品を選ぶことが前提になっています。標準塗布量も15kg缶で43〜68㎡と艶にかかわらず共通で示されています。

同様に、関西ペイントのアレスダイナミックTOPも「艶あり、7分艶、5分艶、3分艶」の艶選択が可能とされ、塗装仕様の注記には艶消しも記載されています。つまり主要メーカーの主力製品では、艶違いは製品ラインナップの一部として工場で品質管理されたうえで出荷されているのが実態です。工場で艶消し剤の量まで含めて配合設計されている以上、「現場で足したから薄まった」という理屈はそのままでは適用できません。

現場での艶調整には、メーカー自身が上限を設けています

一方で、現場で艶を落とすための添加剤も市販されています。ここにメーカーがどんな制限をかけているかを見ると、「無制限に混ぜてよいものではない」ことがはっきりします。

エスケー化研のSKつや消し剤は「弱溶剤形塗料専用つや消し剤」として、艶有り塗料に添加して艶を低下させる用途の製品ですが、製品ページには「3分艶・つや消しの塗料は艶調整できません」と明記されています。また、弾性系塗料など適用できない製品も指定されています。

水性塗料用では、日本ペイントのオーデフラットベースの製品資料に、対象塗料と目標の艶(7分つや・5分つや・3分つや)ごとの添加量が表で示されています。たとえばニッペ水性ファインウレタンU100の白・淡彩なら7分つやで7%、5分つやで5%、3分つやで10%といった具合です。そのうえで注意事項として「添加量が5%を超える場合は希釈をなるべく控え、10%を超える添加はしないこと」「試し塗りをして、つやの程度を確認してから塗装すること」と書かれています(日本ペイント オーデフラットベース製品資料)。

添加量の上限が定められ、色相によっては「適用外」とされる組み合わせがある事実は、艶消し剤が塗膜の性能に影響しうる材料であることをメーカー自身が前提にしている証拠と読めます。ただし「10%以内の規定量を守った添加で耐久性が何年短くなる」といった定量的なデータは、メーカーの公開資料の範囲では確認できませんでした。

項目工場で艶を調整した規格品現場でつや消し剤を添加
艶の再現性ロット間で管理されており安定攪拌や添加量で差が出る可能性
メーカー保証・仕様製品仕様の範囲内指定添加量を超えると仕様外
制限製品によって用意のない艶がある3分艶・つや消し品は調整不可(エスケー化研)、添加は10%まで(日本ペイント)
納期調色や在庫状況により日数がかかる場合がある現場で対応できるが試し塗りが必要
向いている場面外壁全面の塗り替え付帯部など小面積の艶合わせ
出典:エスケー化研、日本ペイント、関西ペイントの各製品情報をもとに編集部で整理

「艶消しは耐用年数が短い」は説が分かれています

耐用年数の差については、情報源によって主張が食い違っています。差があるとする側では、SKホームやまとが「艶あり塗装は艶消し塗装と比較すると耐用年数が1.5年〜3年程度長い」とし、アサヒペンも「艶なし塗料は艶あり塗料よりも一般的に耐久性に欠け、耐用年数が短くなることがある」としています。

差はないとする側では、池田塗装が3分艶・5分艶について「両者ともに塗料本来の性能、すなわち耐候性や耐久性は大きく変わるものではありません」と述べています。有希創業は「はじめから艶消しとして製造されている塗料は、艶ありと変わらない耐久性があります」と、両者の中間に立つ整理をしています。

編集部として言えるのは、塗料メーカーが公開している促進耐候性の試験データを艶の種類別に比較した資料は、今回の調査では見つけられなかったということです。したがって「艶消しは何年短い」と断定する根拠は現時点で確認できません。参考として、JIS K 5658:2010では促進耐候性の等級が定められており、同規格によれば1級は照射時間2,500時間後の光沢保持率80%以上、2級は1,200時間後に80%以上、3級は600時間後に70%以上とされています。艶で迷ったら、艶の種類を絞り込む前にこの等級表示や塗料グレードで選ぶほうが、耐久性への影響は大きいと考えられます。

艶は数年で自然に引けます。「艶あり=ずっとピカピカ」ではありません

艶ありを選ぶ前に必ず知っておきたいのが、光沢は必ず経年で低下するという事実です。塗膜は紫外線と雨で表面がわずかずつ削られ、平滑さが失われていくため、光沢度は下がっていきます。これは劣化の初期段階であり、同時に「馴染んでいく過程」でもあります。

期間について、アサヒペンは「艶は2〜3年ほどで消えてしまうなんてことがほとんどです」と書いています。カラーズも艶を調整したものについて「艶が2〜3年で失われてしまうと言われています」としており、Paintnote Mediaは「艶が持つのは最長2〜3年で、厳しい条件では1年未満」と、より短い見方も示しています。

ここで注意したいのは、これらが施工事例をもとにした実務者の体感であり、統計調査ではないことです。光沢の低下速度を戸建て外壁で追跡した公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。方位や庇の有無、周辺環境で条件が大きく変わるため、正確な年数を約束できる情報はないと考えるのが安全です。

実務的な受け止め方としては、次のように整理できます。

  • 艶ありを選んでも、強い光沢が続くのは数年程度と考えておく
  • 南面など日射の強い面から先に光沢が落ちるため、面ごとに差が出るのは異常ではない
  • 光沢が落ちても塗膜の保護機能がすぐ失われるわけではない。チョーキング(白い粉)やひび割れが出た段階が本格的な検討時期
  • 光沢の変化が気になりやすい人は、はじめから3分艶〜5分艶を選ぶと変化を感じにくい

塗り替え時期の判断そのものについては外壁塗装の失敗例で、劣化サインの見方とあわせて整理しています。「艶が落ちてきた=すぐ塗り替え」と迫る営業には注意が必要です。

外壁材の質感と色によって、似合う艶は変わります

艶選びで実際に効いてくるのは、外壁材の表面がどれだけ凹凸を持っているかと、選んだ色の明度です。凹凸の大きい外壁材ほど艶ありの光沢が均一に見えにくく、濃色ほど艶の有無で印象が大きく変わります。

凹凸のある外壁材は艶ありの光沢が散らばります

窯業系サイディングの平滑な面やタイル調の面では、艶ありの光沢がそろって見え、塗り立ての印象が強く出ます。一方、モルタルのリシン・スタッコ仕上げや、深い彫りのある意匠サイディングでは、凹部が影になって光沢が届かないため、艶ありにしても凸部だけが光る不均一な見え方になりやすくなります。木目調など「素材に見せる」意匠のサイディングでは、光沢が強いと印刷された柄であることが強調され、質感が損なわれることがあります。

同じ色でも艶の有無で明るさの見え方が変わります

これは色見本を選ぶ段階で必ず知っておきたい点です。艶ありの塗膜は光を鏡面方向に強く跳ね返すため、正面から見たときには光が観察者側に返らず、色そのものは濃く・深く沈んで見える傾向があります。逆に艶消しの塗膜は光を拡散反射させるため、どの角度から見ても均一に明るく、同じ色でも白っぽく(明度が高く)見えやすい傾向があります。

つまり「色見本で選んだ色が艶ありだと思ったより暗い」「艶消しにしたら想像より白っぽい」という食い違いが起きます。色見本帳は艶ありで刷られていることが多いため、艶消しを選ぶ場合は特にずれが出やすいと考えてください。濃色を検討している方は黒い外壁のデメリット、グレーを検討している方はグレー外壁の後悔もあわせて読むと、明度の落とし穴を把握しやすくなります。人気色の傾向は外壁塗装の人気色ランキングで確認できます。

住宅の条件相性が良いとされる艶理由
平滑な窯業系サイディング・白/淡彩艶あり〜7分艶光沢が均一にそろい、明るさが出る
リシン・スタッコなど凹凸のあるモルタル3分艶〜艶消し凸部だけが光る不均一さを避けられる
濃いグレー・ネイビー・黒などの濃色3分艶〜5分艶強い光沢が過度に主張するのを抑えられる
木目調・石調など素材感を見せる意匠艶消し〜3分艶印刷柄の平面感が出にくい
和風住宅・純和風の外観艶消し〜3分艶落ち着いた質感が周囲と調和しやすい
屋根(スレート・金属)艶あり製品ラインナップが艶ありに寄っている
出典:池田塗装創建リフォームの記載および編集部の整理。相性は一般的な傾向であり、個々の住宅で最適解は異なります

契約前に艶を決めるための実践手順

艶で後悔しないために、契約前にできることは限られていますが、効果は大きいものばかりです。順番に進めてください。

  • 塗り板(塗装見本板)をA4以上のサイズで作ってもらう:小さな色見本では光沢の印象がつかめません。同じ色で艶違いを2枚作ってもらうと比較できます
  • 必ず屋外で、実際の外壁に当てて見る:室内の蛍光灯下では光沢の出方がまったく違います
  • 晴天の日中と曇りの日、朝と夕方の複数タイミングで見る:艶ありは太陽の角度で見え方が変わるため、一度だけの確認では判断を誤ります
  • 近所で似た色・似た外壁材の家を歩いて探す:施工から数年経った家を見ると、艶が落ち着いた後の姿を確認できます
  • 見積書と契約書に艶の種類を明記してもらう:「艶あり」「3分艶」といった表記が製品名と一緒に書かれているかを確認します
  • 工場調合の規格品か、現場での艶調整かを確認する:現場調整の場合は、メーカー指定の添加量の範囲内であることを確認してください

あわせて注意したいのが、艶を口実にした点検商法です。国民生活センターの点検商法に関する相談状況によると、点検商法の相談件数は2023年度の12,550件から2025年度は19,696件へと増えています(2026年5月31日時点の集計であり、数値は未確定です)。「艶がなくなっているので今すぐ塗り替えないと家が傷みます」といった訪問営業は、前述のとおり光沢の低下自体は自然な経年変化であるため、その場で契約せず複数社に相談してください。

よくある質問

Q. 迷ったら結局どの艶を選べばよいですか

A. 強い希望がないのであれば、3分艶または5分艶が中庸で失敗しにくい選択とされています。艶ありほど反射が強くなく、艶消しほど汚れの付着が気にならないためです。池田塗装も、和風住宅やモダン住宅では3分艶や5分艶などの控えめな艶が好まれることが多いとしています。ただし、平滑な白い外壁で「新築のような明るさ」を最優先するなら艶ありのほうが満足度が高いこともあります。まずは塗り板で見比べてください。

Q. 7分艶と艶ありの違いは見て分かりますか

A. 並べて比較すれば分かりますが、外壁1面だけを見て判別するのは容易ではありません。光沢度でいうと艶ありが70%以上、7分艶が55〜65%前後とされており、隣接する段階同士の差は小さいためです。艶をはっきり抑えたい場合は、7分艶ではなく5分艶以下を検討したほうが意図が伝わりやすくなります。

Q. 艶消しにすると本当に耐用年数が短くなりますか

A. 情報源によって主張が分かれており、断定できません。「1.5年〜3年程度短い」とする説(SKホームやまと)がある一方、「耐候性や耐久性は大きく変わらない」とする説(池田塗装)もあります。艶の種類別に促進耐候性の試験データを比較した公開資料は、今回の調査では確認できませんでした。工場で艶消しとして設計された規格品を、メーカーの仕様どおりに施工するのであれば、過度に心配する必要は薄いと考えられます。

Q. 現場で艶を落としてもらうことはできますか

A. できる場合がありますが、メーカーが定めた条件の範囲内に限られます。エスケー化研のSKつや消し剤は3分艶・つや消しの塗料には使えないとしており、日本ペイントのオーデフラットベースは10%を超える添加をしないよう明記しています。外壁全面であれば、はじめから希望の艶の規格品を選ぶほうが仕上がりが安定します。

Q. 一度艶ありにしたら、次回は艶消しに変えられますか

A. 変えられます。上塗り塗料の艶は塗り替えのたびに選び直せるため、前回が艶ありでも次回に艶消しを選ぶことに技術的な支障はありません。ただし、同じ色番号でも艶が変わると明るさの見え方が変わるため、色もあわせて塗り板で確認してください。前回と同じ仕上がりを希望する場合は、前回の塗料名と艶の種類が分かる書類(見積書や施工報告書)を業者に見せると再現しやすくなります。

まとめ

外壁塗装の艶あり・艶なしは、優劣ではなく好みと手入れの考え方で選ぶものです。この記事で確認した内容を整理します。

  • 艶の5段階(艶あり/7分艶/5分艶/3分艶/艶消し)を光沢度で定義した公的規格は見つからず、業界慣習の目安として艶あり70%以上、7分艶55〜65%前後、5分艶30〜40%前後、3分艶10〜20%前後、艶消し5%以下が使われている
  • 光沢度の測定方法自体はJIS K 5600-4-7で規定され、住宅塗装で使われるのは60度鏡面光沢度。JIS K 5658:2010では60度鏡面光沢度の平均70以上という規定がある
  • 主要メーカーは工場出荷段階で複数の艶をラインナップしており、「艶消し=現場で薄めたもの」という前提は必ずしも当てはまらない
  • 現場での艶調整にはメーカー自身が上限(日本ペイントは10%超の添加不可、エスケー化研は3分艶・つや消し品は調整不可)を設けている
  • 艶消しの耐用年数が短いかどうかは説が分かれ、艶別の試験データは確認できなかった
  • 艶ありでも光沢は2〜3年程度で落ち着くという実務者の見方が複数あり、統計的な裏付けのある年数は見つからなかった
  • 同一製品内で艶による価格差の裏付けは取れず、費用は塗料グレードと面積で決まる部分が大きい

艶は、写真や色見本帳では最も伝わりにくい要素です。だからこそ、契約前にA4以上の塗り板を屋外で複数の時間帯に見比べるという一手間が、そのまま満足度の差になります。艶で迷う時間があるなら、塗料のグレードと下地補修の内容、そして見積書全体の妥当性の確認に時間を使ったほうが、10年後の結果は良くなりやすいと考えられます。

見積もりを取るときに使えるサービス

ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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