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屋根のドローン点検を検討すると、まず費用が気になります。結論として、戸建ての屋根をドローンで点検する費用は「現地調査に含めて0円」から「1回5万円程度」までの幅があり、公的な統計は存在しません。そしてもう一つの結論として、住宅が建ち並ぶ市街地の上空でドローンを飛ばすには、航空法上の許可または承認が必要になる場合があります。ただし一定の資格と機体があれば手続きが不要になる道もあり、「許可は要る/要らない」の二択ではありません。この記事は費用の幅を整理したうえで、国土交通省の現行ページで裏が取れた範囲だけを使って「そのドローンはどういう根拠で飛んでいるのか」を読者が自分で確かめる方法に踏み込みます。
屋根のドローン点検の費用相場は0円〜5万円程度の幅がある
最初に費用から整理します。屋根のドローン点検の料金は、「見積もりのための現地調査の一部として無料」と「点検そのものを有料サービスとして売る」の二つのモデルが混在しているため、相場という言い方がそもそも成立しにくい領域です。公的な統計は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。国土交通省にも国民生活センターにも、戸建て住宅のドローン点検費用をまとめた調査は確認できませんでした。
そこで、実際に料金を公開している事業者の掲載例を拾うと、次のような金額が確認できます。これは公的統計ではなく、特定のサービスプラットフォームに出店している事業者の掲載価格です。全国平均でもなく、同じ条件で比較できる数値でもない点に注意してください。
| 内容 | 掲載されている料金 | 備考 |
|---|---|---|
| 屋根点検(一般住宅・施設) | 50,000円〜 | 時間制限なしと記載 |
| ドローン撮影(動画+静止画) | 12,000円〜/30分 | 点検ではなく撮影の料金 |
| ドローン空撮(屋根工事事業者のオプション) | 5,000円 | 屋根葺き替え等のオプション扱い |
| ドローン無料調査 | 0円 | 現地調査時に屋根を撮影し写真を見ながら説明 |
| 低圧発電所点検(AC50kW未満) | 30,000円〜 | 太陽光設備向け。住宅の屋根点検とは別メニュー |
「無料」は費用がかからないという意味ではない
ここで押さえておきたいのは、ドローン点検が無料で提供される理由です。無料のドローン調査は、多くの場合「屋根工事の見積もりを出すための現地調査」の一部として組み込まれています。つまり、点検単体の対価をもらわない代わりに、工事の受注で回収する前提のサービスです。これ自体は不当なことではありません。足場を架けずに屋根の状態を撮影できるのは、施主にとっても実際に便利です。
一方で、無料であるがゆえに「とりあえず見ておきましょう」と言いやすく、訪問営業のきっかけとしても使いやすい手法でもあります。国民生活センターに寄せられた点検商法に関する相談件数は、同センターの相談急増テーマのページによれば2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件と推移しています(相談件数は2026年5月31日現在の集計で、未確定の数値を含みます)。同ページにドローンという語そのものは記載されていませんでしたが、点検をきっかけにした契約トラブルが減っていない状況は読み取れます。訪問営業への対応そのものは外壁塗装の訪問販売を断る方法と悪徳業者の見分け方で詳しく整理しているので、ここでは費用と法令の話に絞ります。
有料点検で何を買っているのかを確認する
有料のドローン点検を頼む場合は、金額そのものより「何が成果物として残るのか」を先に確認してください。同じ5万円でも、撮影データの受け渡しだけで終わるものと、劣化箇所の所見をまとめた報告書が出るものでは中身が違います。見ておくとよい項目は次のとおりです。
- 撮影した静止画・動画の原データをもらえるか(他社に相談するときに使えます)
- 所見を書面で出すか、口頭説明だけか
- 屋根のどの範囲を撮るか(棟、谷、軒先、ケラバ、天窓まわり、外壁との取り合い)
- ドローンで見えない部分をどう扱うか(屋根裏、小屋組、下葺き材)
- 点検結果がそのまま自社工事の見積もりに直結する契約になっていないか
ドローンは屋根の表面を上から写す道具です。野地板の腐朽や断熱材の濡れ、小屋裏の結露痕のように、屋内側からしか分からない症状は写りません。そのため、ドローンの画像だけで屋根の状態をすべて把握したことにはなりません。すでに雨漏りが起きている場合は、原因の特定が先になります。
屋根のドローン点検に許可は必要か:航空法の全体像
結論から書きます。屋根のドローン点検に「ドローン点検の許可」という制度はありません。必要になるのは、航空法にもとづく(1)機体の登録、(2)飛行させる空域についての許可、(3)飛行の方法についての承認、という三つの別々の手続きです。このうち(2)と(3)は、飛ばす場所と飛ばし方によって必要かどうかが変わります。
重要なのは、この制度が2022年に大きく組み替わっている点です。国土交通省のレベル4飛行ポータルサイトには、2022年12月5日施行の改正で「機体認証」「操縦者技能証明」「運航ルール」の制度が整備されたと記載されています。ネット上には改正前の説明が残っているため、古い情報を前提に業者と話すとかみ合いません。
100g以上の機体は登録が義務。登録記号の表示とリモートIDも前提
まず機体登録です。国土交通省の飛行ルールの対象となる機体のページには、航空法第11章の規制対象となる無人航空機は「機体本体の重量とバッテリーの重量の合計」が100g以上のものと記載されています。令和4年6月20日より、重量100g以上の機体が無人航空機の扱いに変わり、航空法の規制対象になったとされています。
以前は200g未満が規制対象外でしたが、現在の区分は100gです。屋根点検に使われる業務用の機体はいずれも100gを大きく超えますから、実務上はすべて登録義務の対象と考えてよいことになります。無人航空機登録ポータルサイトには、屋外を飛行させる100g以上のすべてのドローン・ラジコン機が対象であり、登録されていない100g以上の無人航空機を飛行させることはできないと明記されています。機体登録の有効期間は3年です。
登録すると登録記号が交付され、所有者は機体に表示する必要があります。国土交通省の航空法における無人航空機の飛行ルールについてには、登録記号を機体に表示すること、および25kg未満の機体では文字の高さ3mm以上、25kg以上では25mm以上という基準が示されています。あわせて、登録記号を含む機体識別情報を電波で発信するリモートID機能の搭載が求められます。同省の登録制度の資料では、令和8年5月末時点で37万機を超える登録があるとされています。
つまり読者が最初に目で確認できるのは、機体に書かれた登録記号です。これは屋根に上がらなくても、飛ばす前に機体を見せてもらえば済みます。
カテゴリーI・II・IIIという三つの区分
2022年以降の制度では、飛行が三つのカテゴリーに分けられています。国土交通省の無人航空機の飛行の安全に関する教則によれば、許可や承認が必要になる特定の飛行をまとめて「特定飛行」と呼び、その飛び方によって次のように区分されます。
- カテゴリーI飛行:特定飛行に該当しない飛行。航空法上の飛行許可・承認手続きは不要とされています
- カテゴリーII飛行:飛行経路下で立入管理措置を講じたうえで行う特定飛行。さらにIIAとIIBに分かれます
- カテゴリーIII飛行:立入管理措置を講じないで行う特定飛行。第三者の上空を飛ぶ形態で、最もリスクが高い区分とされています
立入管理措置は、同教則では第三者の立入りを制限する区画を設定し、標識や看板、コーンによる表示、補助者による監視および口頭警告などで行うものと説明されています。住宅街で屋根を点検する場面に置き換えると、敷地の出入口にコーンを置き、補助者を立たせて通行人や近隣の人が飛行経路の下に入らないようにする、という運用が想定されます。作業員が1人で来て、機体を持ってすぐ飛ばして帰る体制では、この措置をどう講じたのかが説明できません。
許可が必要な空域と、承認が必要な飛行方法の整理
ここが本題です。航空法では「空域」に対しては許可、「飛行の方法」に対しては承認という言葉が使い分けられています。国土交通省の無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法のページ、および前掲の飛行ルール資料で確認できた内容を表にまとめます。
| 区分 | 対象 | 住宅の屋根点検での論点 |
|---|---|---|
| 許可が必要な空域(A) | 空港等の周辺の空域 | 空港の近隣では該当する可能性があります |
| 許可が必要な空域(B) | 緊急用務空域 | 捜索・救助等の航空機の飛行が確保される空域。災害時に設定されます |
| 許可が必要な空域(C) | 地表または水面から150m以上の高さの空域 | 屋根点検の高度では通常は該当しません |
| 許可が必要な空域(D) | 人口集中地区(DID)の上空 | 市街地の戸建てでは最も該当しやすい項目です |
| 承認が必要な飛行方法(1) | 夜間飛行(昼間=日出から日没まで以外の飛行) | 夕方以降の点検は該当します |
| 承認が必要な飛行方法(2) | 目視外飛行(直接肉眼による常時監視の範囲外) | 屋根の反対側へ回り込ませる飛ばし方で論点になります |
| 承認が必要な飛行方法(3) | 人または物件との距離30mを確保できない飛行 | 屋根に寄せて撮る点検では常に論点になります |
| 承認が必要な飛行方法(4) | 催し場所の上空での飛行 | 住宅点検では通常関係しません |
| 承認が必要な飛行方法(5) | 爆発物など危険物の輸送 | 住宅点検では通常関係しません |
| 承認が必要な飛行方法(6) | 無人航空機からの物件投下 | 住宅点検では通常関係しません |
人口集中地区(DID)とは何か
住宅の屋根点検で中心になるのは(D)の人口集中地区です。これは統計上の区域で、総務省統計局の人口集中地区とはによれば、原則として人口密度が1平方キロメートルあたり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の区域内で隣接し、それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有する地域をいいます。昭和35年国勢調査以来、各回の調査ごとに設定されています。
前掲の国土交通省の飛行ルール資料では、飛行禁止空域となるのは「令和2年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空」と記載されています。国勢調査は5年ごとに実施されるため、どの調査年の区域が適用されるかは時期によって変わります。自宅がDIDに入るかどうかは、必ず最新の地図で確認してください。国土交通省の飛行ルールのページには、国土地理院の地理院地図、政府統計の総合窓口のjSTAT MAP、総務省統計局の人口集中地区境界図という三つの確認手段が案内されています。
なお同ページには、航空法上の「人又は家屋の密集している地域」は、人口集中地区から「地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通大臣が告示で定める区域」を除外した地域であるという注記があります。したがって、地図でDIDに入っているように見えても、個別の判断が入る余地があります。地図を見て自分で結論を出すのではなく、業者の説明と突き合わせる材料として使うのが安全です。
技能証明と機体認証があれば許可・承認が不要になる場合がある
ここが、多くの解説記事で抜け落ちている部分です。DIDの上空でも、常に許可の申請が必要とは限りません。国土交通省の飛行禁止空域と飛行の方法のページには、飛行の方法のルールについて「技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合」を除いて承認が必要である、という書き方がされています。
前掲の教則では、より具体的に区分が示されています。カテゴリーII飛行のうち、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送、物件投下、最大離陸重量25kg以上に該当するものはカテゴリーIIA、それ以外がカテゴリーIIBとされ、カテゴリーIIB飛行では、技能証明の保有者が機体認証を受けた機体を使い、飛行マニュアルを作成して遵守する場合は許可が不要とされています。人口集中地区の上空、夜間飛行、目視外飛行、人または物件から30m未満という項目は、このIIB側に入ります。
立入管理措置を講じないで第三者の上空を飛ばすカテゴリーIII飛行については、同ページに、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる必要があると記載されています。飛行許可・承認手続のページでは、カテゴリーIII飛行の申請先は国土交通大臣とされています。
| 飛ばし方 | 手続きの要否 | 申請先 |
|---|---|---|
| 特定飛行に当たらない(カテゴリーI) | 航空法上の許可・承認は不要 | - |
| DID上空・夜間・目視外・30m未満で立入管理措置あり(カテゴリーIIB) | 技能証明+機体認証+飛行マニュアルの遵守があれば許可不要。なければ許可・承認が必要 | 東京航空局長または大阪航空局長 |
| 空港周辺・150m以上・25kg以上・催し場所・危険物・物件投下(カテゴリーIIA) | 許可・承認が必要 | 空港周辺と150m以上は東京空港事務所長または関西空港事務所長 |
| 立入管理措置を講じない第三者上空(カテゴリーIII) | 一等技能証明+第一種機体認証+許可・承認が必要 | 国土交通大臣 |
したがって「許可を取っていないなら違法」という単純な判定はできません。正しい問いは「許可を取っているのか、それとも技能証明と機体認証で手続き不要の形で飛ばしているのか」です。どちらの説明も返ってこない場合が、確認が必要なケースです。
許可・承認が不要でも残る義務
手続きが不要になる場合でも、特定飛行であれば別の義務が残ります。国土交通省の無人航空機の運航ルールポータルサイトには、事前に自らの飛行計画(飛行の日時、経路、高度など)を国土交通大臣に通報する必要があること、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の3種類からなる飛行日誌を備えて記載する必要があることが示されています。前掲の教則では、飛行計画の通報はドローン情報基盤システムへの入力で行い、飛行日誌は特定飛行時に携行する義務があるとされています。
また、飛行場所にかかわらず守るべきルールとして、同省のページには次の事項が挙げられています。
- アルコール等を摂取した状態では飛行させないこと
- 飛行に必要な準備が整っていることを確認した後に飛行させること(気象状態、機体の損傷、バッテリーの充電の確認)
- 航空機や他の無人航空機と衝突しそうな場合には、地上に降下等させること
- 不必要に騒音を発するなど他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
なお、これらのルールに違反した場合には内容によりそれぞれ罰則に係る規定が設けられていると記載されていますが、具体的な罰金額や懲役年数については、今回確認した国土交通省のページおよび資料では明示を確認できませんでした。
申請には10開庁日以上前が必要という事実の読み方
この記事の独自の切り口はここです。飛行許可・承認の申請には、国土交通省が示す提出期限があります。同省の無人航空機の飛行許可・承認手続のページには、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前(土日・祝日を除く)には申請書類を提出するよう記載されています。さらに、申請内容に不備がある場合は追加の確認に時間を要するため、飛行開始予定日から3〜4週間程度の十分な余裕をもって申請することが推奨されています。同省航空局の安全な飛行のためのガイドラインにも、飛行させる10開庁日前(土日祝日等を除く)までに申請するという記述があります。申請は原則として、ドローン情報基盤システム(通称DIPS2.0)でのオンライン申請とされています。
この10開庁日という数字は、読者にとって実用的な意味を持ちます。「近所で工事をしているので今すぐ無料で屋根を見ます」という申し出に対して、個別の許可申請を今日この場で出して今日飛ばすことは、制度上できません。土日祝日を除いて10開庁日ですから、カレンダー上は2週間以上かかります。
だから「包括申請」という仕組みがある
では、点検を日常業務にしている事業者はどうしているのか。ここで出てくるのが包括申請です。国土交通省の包括申請のご案内には、無人航空機の許可承認申請では飛行経路を特定せずに申請することも可能であると記載されています。日本全国や特定の県といった範囲での申請が認められており、飛行期間は原則3か月、1年間を最長とする旨が示されています。飛行許可・承認申請ポータルサイトには、一定期間内に継続的に飛行を行う場合は1年を限度として申請できるという記述があります。
つまりあらかじめ包括申請を取得している事業者であれば、個別案件ごとに10開庁日待つ必要はありません。これが「即日の点検」が成立しうる仕組みです。ここを知らずに「許可は10開庁日かかるのだから即日点検は全部無許可だ」と決めつけるのは誤りです。業者を一律に違法と判断してはいけません。
一方で、包括申請にも範囲の限界があります。同案内では、次の飛行は経路を特定しない申請ができないとされています。
- 空港等周辺における飛行
- 地表または水面から150m以上の高さでの飛行
- 人または家屋の密集している地域での夜間飛行
- 夜間における目視外飛行
- 補助者を配置しない目視外飛行
- 趣味目的での飛行
- 研究開発目的での飛行
また、人または家屋の密集している地域の上空での夜間の目視外飛行、および催し場所の上空における飛行は、経路および日時を特定する必要があるとされています。包括申請をする場合は「航空局標準マニュアル02」に記載された安全体制を設定する必要がある旨も記載されています。包括申請は「どこでも自由に飛ばせる免罪符」ではなく、定められたマニュアルに沿った安全体制を前提とした枠です。
「無許可かどうか」ではなく「根拠は何か」を聞く
ここまでを整理すると、住宅街で即日ドローンを飛ばす行為が成立するには、少なくとも次のいずれかの前提が必要になります。
- その場所が人口集中地区に該当せず、かつ人や物件から30m以上離して飛ばせるなど、特定飛行に当たらない(カテゴリーI)
- あらかじめ包括申請で許可・承認を取得しており、その有効期間内である
- 技能証明を受けた操縦者が機体認証を受けた機体で、立入管理措置を講じ、飛行マニュアルに沿って飛ばす(カテゴリーIIB)
したがって、読者が投げるべき質問は「許可は取っていますか」ではなく、「どの根拠で飛ばしていますか」です。この問いは、答えられる事業者にとっては何も負担になりません。普通に業務をしていれば、機体登録記号も包括申請の有効期間も技能証明の番号も手元にあるはずの情報です。逆に、質問の意味自体がかみ合わない相手に屋根を任せるのは避けたほうがよいという判断材料になります。
ドローンを飛ばす前に業者へ確認する3つの質問
結論として、確認するのは次の3点で足ります。いずれも屋根に上がる前、機体を飛ばす前に、玄関先で聞けます。
| 聞くこと | どう聞くか | 確認できる根拠 |
|---|---|---|
| 1. 機体の登録記号 | 「機体に書いてある登録記号を見せてください」 | 100g以上の機体は登録が義務。登録記号は機体に直接記載または貼付され、リモートIDで発信される |
| 2. 飛行の根拠 | 「ここは人口集中地区ですか。許可は包括申請ですか、それとも技能証明と機体認証で手続き不要の形ですか」 | DID上空は許可が必要な空域。包括申請は原則3か月・最長1年。カテゴリーIIBは技能証明+機体認証+飛行マニュアルで許可不要 |
| 3. 操縦者の技能証明 | 「操縦される方は一等ですか二等ですか。技能証明なしで飛ばす場合の体制を教えてください」 | 技能証明は制度として存在。第三者上空のカテゴリーIII飛行は一等+第一種機体認証が必要 |
4つ目として聞いておくとよいこと
航空法とは別に、隣家への配慮を確認しておくと後々のトラブルを避けやすくなります。前掲の安全な飛行のためのガイドラインには、第三者の所有する土地の上空で無人航空機を飛行させる場合、所有権の侵害とされる可能性があるという記述があります。また、土地の所有者等がその土地の上空での飛行を禁止する旨の表示等を行っている場合には、その土地の上空では飛行させないようにしましょうとされています。
住宅が密集した場所では、自宅の屋根を撮るために機体が隣家の上空へ出てしまうことがあります。隣家の了解をどう取るのかを、作業前に業者に確認してください。撮影映像の扱いについても、同ガイドラインには総務省の「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドラインに従い、第三者のプライバシー等に注意するよう記載されています。近隣への配慮の進め方はリフォーム工事の近隣トラブル対策にまとめています。
あわせて、工事まで進むのであれば施工者としての資格の確認も必要です。建設業許可の調べ方は建設業許可の有無を自分で調べる方法で解説しています。ドローンを飛ばせることと、屋根を直せることは別の能力です。
自宅の屋根を自分でドローンで見る場合はどうなるか
結論として、自分の敷地であっても、該当する空域であれば許可が必要になります。国土交通省航空局の安全な飛行のためのガイドラインには、自身の私有地であっても空港等周辺、150m以上、緊急用務空域、人口集中地区といった空域に該当する場合には許可を受ける必要があると記載されています。「自分の土地だから自由に飛ばせる」という理解は誤りです。
整理すると、自分で飛ばす場合に検討が必要な点は次のとおりです。
- 機体とバッテリーの合計が100g以上なら、機体登録と登録記号の表示、リモートIDが前提になります
- 自宅が人口集中地区に入っていれば、上空の飛行は許可が必要な空域に該当します
- 屋根に寄せて撮れば、人または物件から30mを確保できない飛行に当たる可能性があります
- 包括申請のうち趣味目的での飛行は、経路を特定しない申請ができないとされています
- 特定飛行であれば飛行計画の通報と飛行日誌の作成が必要になります
- 隣家の上空に出る場合は所有権やプライバシーの問題が生じ得ます
自宅上空での飛行が具体的にどの区分に当たるか、個別の要否判断については、国土交通省のページで一律の答えを確認することはできませんでした。要否の判断は飛行場所や高度、機体、飛ばし方といった個別事情によるため、国土交通省の無人航空機ヘルプデスク(電話03-5539-0225、平日9時から17時)または管轄の地方航空局・空港事務所に確認してください。相談先と申請先は前掲の飛行許可・承認手続のページに整理されています。
手間を考えると、自分で見る目的なら屋内側から確認するほうが現実的です。小屋裏の雨染みやカビ、断熱材の濡れは、ドローンでは写りません。手順と注意点は屋根裏点検を自分で行う手順にまとめています。
ドローン画像は点検の信頼性を保証しない
最後に、技術そのものの限界に触れます。ドローンで撮った写真を見せられたことは、その診断が正しいことを意味しません。これは重要な論点です。公的な制度でドローン調査が位置づけられている場面を見ると、その理由が分かります。
国土交通省の定期報告制度における外壁のタイル等の調査についてのページでは、令和4年1月18日の通知により、打診以外の調査方法として、無人航空機による赤外線調査であってテストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを明確化したとされています。この同等性の判定に使われるのが定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドラインです。
このガイドラインを読むと、ドローン調査が公的に認められるために何が要求されているかが分かります。
- 対象は建築基準法第12条第1項の定期報告制度における外壁調査であり、調査の実施者は1級建築士もしくは2級建築士、または建築物調査員資格者証の交付を受けている者とされています
- 赤外線調査の実施者は、建築物および赤外線調査に関する十分な知識を有し、建築物調査等の実務経験を有する者とされています
- 操縦者は、ドローンの飛行技術について熟知した操縦経験を有する者とされています
- 調査時の気象条件(天候、環境温度、風速等)、日射の状況、調査可能な時間帯、適切な撮影角度や離隔距離の確保の可否を確認することが求められています
- 軒裏、出隅、入隅などは一般に赤外線調査が困難な箇所とされています
- 同一部位において打診とドローンによる赤外線調査を実施し、浮きの検出状況の確認を行ったうえで進めるとされています
つまり公的に認められているドローン調査でさえ、機材だけでなく資格・気象条件・打診との照合という条件が揃って初めて成立します。しかも、このガイドラインは特定建築物の外壁の定期報告制度を対象としたものです。戸建て住宅の屋根をドローンで点検する行為について、公的な判定基準やガイドラインは今回調べた範囲では見つかりませんでした。なお同ページでは、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等はおおむね10年に一度行うこととされており、手の届く範囲の打診等はおおむね6か月から3年以内に一度とされています。
写真を見せられたときに考えること
ドローンの画像は、説明の道具として非常に強い力を持ちます。普段見えない屋根が画面に映り、割れや浮き、ずれを指し示されれば、誰でも不安になります。しかし画像は「そこに何かがある」ことを示すだけで、「今すぐ工事が必要である」ことまでは示しません。画像を見たときに確認してほしいのは次の点です。
- その写真が、本当に自宅の屋根を撮ったものか(撮影日時と全景が分かるカットがあるか)
- 指摘箇所が、屋根全体のどこに当たるのか(部位が特定できているか)
- その症状が雨漏りにつながる経路を説明できるか
- 緊急性の根拠が、画像以外にもあるか(屋内側の症状、築年数、過去の工事履歴)
- その場で契約を求められていないか
太陽光発電設備を載せた屋根では、点検をきっかけにした契約トラブルが別の類型として報告されています。その経緯は太陽光パネルと屋根塗装で扱っています。契約後に迷いが生じた場合は、国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センターによる専門家相談があり、同センターのページでは申込者と弁護士、建築士各1名が対面で相談し、相談時間は1時間、原則無料と案内されています(住まいるダイヤル 電話03-3556-5147、受付10時から17時、土日祝日・年末年始を除く)。
よくある質問
屋根のドローン点検は無料と有料でどう違いますか
無料のドローン調査は、多くの場合、屋根工事の見積もりを出すための現地調査の一部として提供されています。工事の受注で費用を回収する前提のため、点検結果が自社工事の提案に直結しやすい構造です。有料の点検は、確認した事業者の掲載例では屋根点検50,000円からという価格が示されていました。これは公的統計ではなく個別事業者の掲載価格です。有料の場合は、撮影データの受け渡しや書面の所見といった成果物が明確かどうかを事前に確認してください。
自宅の真上を飛ばすだけなら許可は不要ですか
不要とは言えません。国土交通省航空局のガイドラインには、自身の私有地であっても空港等周辺、150m以上、緊急用務空域、人口集中地区に該当する場合には許可を受ける必要があると記載されています。加えて、屋根に寄せて撮れば人または物件との距離30mを確保できない飛行に当たる可能性があり、この場合は承認が論点になります。個別の要否は飛行場所や飛ばし方によるため、無人航空機ヘルプデスク(03-5539-0225)または管轄の地方航空局・空港事務所に確認してください。
今日来た業者が今日すぐ飛ばすのは違法ですか
一律に違法とは言えません。個別の飛行許可申請は飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前に提出するよう案内されているため、その場で申請して即日飛ばすことはできませんが、あらかじめ包括申請を取得していれば個別に待つ必要はありません。包括申請は飛行経路を特定しない申請で、飛行期間は原則3か月、最長1年とされています。また技能証明と機体認証があれば、立入管理措置と飛行マニュアルの遵守を前提に許可が不要となる飛行の区分もあります。したがって確認すべきは「どの根拠で飛ばしているか」です。
人口集中地区かどうかはどこで調べられますか
国土交通省の無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法のページに、国土地理院の地理院地図、政府統計の総合窓口のjSTAT MAP、総務省統計局の人口集中地区境界図という三つの確認手段が案内されています。人口集中地区は、総務省統計局の説明では人口密度が1平方キロメートルあたり4,000人以上の基本単位区等が隣接し、その地域の人口が国勢調査時に5,000人以上ある地域です。ただし航空法上の「人又は家屋の密集している地域」は、人口集中地区から国土交通大臣が告示で定める区域を除外した地域とされているため、地図だけで最終判断はできません。
ドローンの写真で指摘された箇所は、必ず工事が必要ですか
画像は症状の存在を示すものであり、工事の緊急性まで示すものではありません。公的制度で認められている無人航空機による赤外線調査でも、国土交通省のガイドラインは調査者の資格、気象条件、撮影角度や離隔距離の確保、同一部位での打診との照合を求めており、軒裏や出隅・入隅は一般に赤外線調査が困難な箇所とされています。戸建て住宅の屋根のドローン点検に関する公的な判定基準は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。判断に迷う場合は、別の事業者の見解も確認したうえで検討することが一つの方法です。
まとめ
屋根のドローン点検について、費用と法令の両面を整理しました。要点は次のとおりです。
- 費用は現地調査込みの0円から1回5万円程度までの幅があり、公的な統計は見つかりませんでした。掲載例は個別事業者の価格です
- 機体とバッテリーの合計が100g以上の機体は登録が義務で、登録記号の表示とリモートIDが前提です。有効期間は3年です
- 空港等周辺、緊急用務空域、150m以上、人口集中地区の上空は許可が必要な空域です。市街地の戸建てでは人口集中地区が中心の論点になります
- 夜間飛行、目視外飛行、人または物件から30m未満、催し場所上空、危険物輸送、物件投下は承認が必要な飛行方法です
- 技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体で飛ばす場合、カテゴリーIIB飛行では飛行マニュアルの遵守を前提に許可が不要とされています
- 個別の許可申請は飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前、実務上は3〜4週間前の提出が推奨されています。即日の飛行は包括申請か手続き不要の区分が前提になります
- 確認するのは登録記号、飛行の根拠、操縦者の技能証明の3点です。一律に違法と決めつけるのではなく、根拠を聞いてください
- ドローン画像は症状の存在を示すだけで、診断の正しさや工事の緊急性を保証しません
ドローンは、足場を架けずに屋根の表面を見られる便利な道具です。その便利さは、使う側の法令遵守と技術の裏付けがあって初めて意味を持ちます。玄関先で登録記号と飛行の根拠を一言聞くだけで、相手の体制はかなり見えてきます。写真の内容を判断する前に、まずその写真がどう撮られたのかを確認することから始めてください。

