外壁塗装3階建ての費用相場|外壁1割増でも足場代が1.5倍の理由

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3階建ての外壁塗装は、同じ延床面積の2階建てと比べて外壁面積は1割ほどしか増えないのに、足場代だけが1.5倍前後に増えます。延床30坪なら足場代はおおむね16万円台から24万円前後へ、金額にして7〜9万円の増加です。「面積はほとんど変わらないのに総額が上がる」というこの構造が、3階建ての見積もりで最初につまずくところです。この記事では、その差がどこから生まれるのかを幾何計算で分解し、高さで変わる足場の法令を条文で確認し、狭小地で起きる追加費用まで、出典つきで積み上げます。

なお、本記事の金額はすべて民間の塗装会社・比較サイトが公表している数値です。外壁塗装に国が定めた標準単価は存在しないため、数値はすべて幅で示し、出典サイト名を明記しています。

目次

結論:3階建ての割増は「面積」ではなく「足場」で発生する

先に結論をまとめます。延床面積が同じ2階建てと3階建てを比べたとき、押さえるべき数字は次の4つです。

  • 外壁の塗装面積:約1.1倍(延床30坪なら約119㎡ → 約131㎡)
  • 足場の架面積:約1.13倍(延床30坪なら約203㎡ → 約229㎡)
  • 足場代:約1.5倍(面積だけでなく㎡単価も上がるため)
  • 工事総額:1.1〜1.3倍(各社の公表値の幅)

総額でみると、延床30坪・シリコン塗料・外壁のみで約100〜140万円という数字が公表されています(出典:フォーグッド)。別のサイトでは外壁面積150〜200㎡の3階建てで約72〜140万円(出典:外壁塗装駆け込み寺)、延床40坪の3階建てで120〜180万円(出典:アップリメイク)とされています。

この幅が大きいのは、各社が想定している「3階建て」の形が違うからです。ですから総額を眺めるより、ご自宅の面積から自分で積算できるようになるほうが確実です。工程ごとの単価の考え方は外壁塗装の費用内訳で分解していますので、この記事は「3階建て」という条件そのものを掘り下げます。

同じ延床でも3階建ての外壁は「増える」──直感と逆になる理由

結論から書きます。延床面積が同じなら、3階建ての外壁面積は総2階の約1.1倍になります。1フロアが小さくなるぶん外壁も減りそうに思えますが、計算すると逆です。ここは、坪数だけで相場を語る記事がほとんど触れていない盲点です。

なぜ逆になるのか──外周は「平方根」でしか縮まない

外壁の面積は、突き詰めれば「建物の外周 × 高さ」です。延床を同じにしたまま階数を増やすと、1階の床面積は3分の1になりますが、外周は3分の1にはなりません。面積が3分の1になるとき、一辺の長さは3分の1ではなく「3分の1の平方根」、つまり約0.58倍にしか縮まないからです。

一方で高さは、2層から3層になるぶん確実に伸びます。外壁塗装の窓口は軒高の目安を平屋約3.5m、2階建て約6.3m、3階建て約8.5mとしています(出典:外壁塗装の窓口)。3階建ての1フロアあたりの階高が2階建てよりやや低く設計されることが多いため、8.5mは6.3mの1.5倍ではなく1.35倍です。

  • 外周の変化:約0.82倍(1階床面積が2分の1から3分の1になるため、√(1/3)÷√(1/2)=0.816)
  • 高さの変化:約1.35倍(軒高6.3m → 8.5m)
  • 外壁面積の変化:0.82 × 1.35 = 約1.10倍

細くなる効果より、高くなる効果のほうが勝ちます。これが「延床が同じでも3階建てのほうが外壁が広い」ことの正体です。

延床坪数別に計算するとこうなる

建物を正方形と仮定し、軒の出と開口部を考慮しない粗い概算で並べます。1坪=3.3㎡、総2階は1階が延床の2分の1、3階建ては3分の1として計算しました。

延床総2階の外周3階建ての外周総2階の壁量(外周×6.3m)3階建ての壁量(外周×8.5m)倍率
20坪(66㎡)約23.0m約18.8m約145㎡約160㎡1.10倍
30坪(99㎡)約28.1m約23.0m約177㎡約195㎡1.10倍
40坪(132㎡)約32.5m約26.5m約205㎡約226㎡1.10倍
50坪(165㎡)約36.3m約29.7m約229㎡約252㎡1.10倍
出典:軒高の目安(2階建て6.3m/3階建て8.5m)は外壁塗装の窓口。外周と壁量は建物を正方形と仮定した本記事独自の概算計算で、開口部は差し引いていません

どの坪数でも倍率は1.10倍で一定になります。これは偶然ではなく、外周が平方根で縮み、高さが一定倍率で伸びるという構造が坪数によらないためです。

この表の壁量から窓やドアなどの開口部を差し引いたものが、実際の塗装面積です。当サイトでは延床坪数 × 3.3 × 1.2 という式で塗装面積を出しており、延床30坪なら約119㎡になります。上の表の総2階の壁量177㎡に対して119㎡ですから、開口部としておよそ3分の1が引かれている計算です。同じ比率を3階建てに当てはめると、次のようになります。

延床総2階の塗装面積(当サイト標準式)3階建ての塗装面積(標準式×1.1)差
20坪約79㎡約87㎡+8㎡
30坪約119㎡約131㎡+12㎡
40坪約158㎡約174㎡+16㎡
50坪約198㎡約218㎡+20㎡
出典:総2階の値は当サイト共通の算式(延床坪数×3.3×1.2)。3階建ての値は上の幾何計算から得た1.10倍を掛けた本記事独自の概算です

延床30坪なら、外壁面積の増加は12㎡ほどです。シリコン塗料の㎡単価を2,000〜3,500円とすれば、塗料代の増分は2.4〜4.2万円にとどまります。3階建ての割増の正体が塗装面積ではないことが、ここで分かります。

公表されている「3階建ての面積」が大きめに出ている理由

ここで正直に補足しておきます。他社が公表している3階建ての外壁面積は、上の131㎡よりかなり大きい数字です。外壁塗装駆け込み寺は3階建ての外壁面積を約150〜200㎡(2階建ては約100〜120㎡)とし、フォーグッドは延床30坪の3階建てを173㎡としています。

この差は、想定している建物の大きさが違うことから生まれます。アップリメイクは延床40坪の3階建てについて「1階外周32m × 高さ9m = 288㎡、非塗装部分20%を引いて約230㎡」という計算例を示しています(出典:アップリメイク)。外周32mは1階の床面積がおよそ66㎡(20坪)ある建物の値です。延床40坪を3層に分ければ1階は約44㎡(13坪)ですから、この試算は「各階が広めの、延床でいえば60坪級の3階建て」を想定していることになります。

どちらが正しいという話ではありません。「3階建て」という言葉だけでは建物の大きさが決まらない、ということです。見積もりを受け取ったら、外壁面積が何㎡と書かれているかを必ず確認してください。3階建てで塗装面積が「一式」としか書かれていない見積書は、比較の土俵に乗りません。

足場は「面積」と「単価」の二重で増える

本題です。足場代は次の式で決まります。

  • 足場代 = 架面積(㎡) × ㎡単価(円)
  • 架面積 = (建物の外周 + 4m) × 軒高(出典:外壁塗装の窓口)

3階建てでは、この式の両方の項が同時に上がります。架面積は高さのぶん増え、㎡単価は足場の種類が変わるぶん上がるためです。外壁塗装の窓口は、3階建て以上では単価が1㎡あたり200〜300円ほど上がる傾向があり、枠組足場が使われてさらに費用が高くなるとしています。街の外壁塗装やさん東東京店は「平米あたり100〜200円程度プラス」という業者の例を挙げ、総額で3〜5万円程度の増加としています(出典:街の外壁塗装やさん東東京店)。

2階建てを800円/㎡、3階建てを1,050円/㎡(+250円)として計算すると、次のようになります。

延床総2階の架面積3階建ての架面積総2階の足場代(800円)3階建ての足場代(1,050円)差額
20坪約170㎡約194㎡約13.6万円約20.3万円+約6.7万円
30坪約203㎡約229㎡約16.2万円約24.1万円+約7.9万円
40坪約230㎡約260㎡約18.4万円約27.3万円+約8.9万円
50坪約254㎡約286㎡約20.3万円約30.0万円+約9.7万円
出典:架面積の式と㎡単価の目安、3階建ての+200〜300円は外壁塗装の窓口。外周は建物を正方形と仮定した本記事独自の概算で、金額はそれをもとにした試算です

架面積は1.13倍にしか増えていないのに、足場代は約1.5倍になっています。単価が上がるぶんが乗るからです。差額は7〜10万円で、これは第三者の公表値ともよく合います。フォーグッドは2階建て242㎡(145,200〜217,800円)に対し3階建て345㎡(207,000〜310,500円)とし、差を約5〜10万円としています。名鋼装は足場面積200〜300㎡で20万〜30万円前後、300〜400㎡以上で30万〜50万円以上としています(出典:名鋼装)。

整理すると、延床30坪の3階建てで増える費用のうち、塗料代の増分は2〜4万円、足場代の増分は8万円前後です。3階建ての割増は、塗る面積ではなく、そこへ人が安全に届くための仮設に効いていることになります。足場の㎡単価そのものの考え方は外壁塗装の足場代の相場で詳しく扱っています。

だから「坪単価」での比較が最も壊れるのが3階建て

ここまでの話には実用上の帰結があります。足場代は建物の外周と高さで決まり、塗装面積とは別の論理で動きます。延床坪数あたりの単価、いわゆる坪単価で見積もりを比べると、この足場の増分が坪数に埋もれて見えなくなります。

たとえば延床30坪で総額110万円という3階建ての見積もりがあったとして、坪単価は約3.7万円です。同じ坪単価の2階建ての見積もりと並べても、どちらが妥当かは判断できません。3階建ての見積もりは、坪単価ではなく「足場が何㎡でいくらか」「外壁が何㎡でいくらか」の2行を分けて見るのが実際的です。国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センターも、見積書は数量・単価・金額が明記されているかを確認するよう案内しています(出典:住まいるダイヤル)。

「3階建て割増」は何%が妥当か──公表値を突き合わせる

結論から言うと、公表されている割増の目安は総額で1.1〜1.3倍、金額では3万〜10万円の範囲に散っています。同じ「3階建て」でも、何を割増に含めるかが各社で違うためです。

情報源示している割増その中身
外壁塗装駆け込み寺3階建て追加費用 約30,000円足場の項目に対する加算として提示(足場設置は約135,000〜240,000円)
街の外壁塗装やさん東東京店足場の㎡単価+100〜200円/総額3〜5万円塗装そのものの単価は高さで変えないという立場
フォーグッド足場代の差 約5〜10万円2階建て242㎡と3階建て345㎡の架面積差にもとづく
名鋼装総額で10〜20%高め高所作業による追加費用が発生しやすいことを理由に挙げる
外壁塗装の窓口足場の㎡単価+200〜300円枠組足場への変更を理由に挙げる
アップリメイク総額で約1.3倍(40坪で90〜140万円→120〜180万円)面積・足場・付帯部を含む総額どうしの比較
出典:各社の公開情報をもとに編集部で整理。前提条件が各社で異なるため、単純比較はできません

数字が3万円から10万円まで開くのは、いい加減だからではありません。「足場の単価だけを上げる会社」「足場に一律の加算行を立てる会社」「総額を1.3倍で語る会社」が混在しているからです。したがって見積書で確認すべきは、割増率そのものではなく次の2点です。

  • 足場の㎡数と㎡単価が書かれているか。単価が2階建て相場より200〜300円高いのは、枠組足場を使う前提なら合理的な範囲です
  • 「3階建て割増」という名目の行が、足場代と二重に計上されていないか。単価にも加算し、さらに割増行も立てているなら、その根拠を尋ねてよい場面です

なお、塗装そのものの手間賃を高さで割増するかどうかは会社によって考え方が分かれます。街の外壁塗装やさん東東京店は「値段は単純に使う塗料と塗る面積で決まります。人件費や手間賃が高所作業費などで変化することはありません」という立場を明示しています。足場さえ組めば作業条件は同じ、という考え方です。一方で高所は資材の上げ下ろしに時間がかかるため、実際の工期は延びる傾向があります。どちらの考え方を採る会社なのかを聞いておくと、見積もりの読み方が定まります。

高さで変わる足場の法令──10mと31mの正確な位置づけ

結論から書きます。3階建て住宅の足場で実際に効いてくる高さの区切りは「5m」と「10m」であり、よく引き合いに出される「31m」は戸建てには基本的にかかりません。ここを正確に押さえておくと、業者の説明が過剰かどうかを判断できます。

まず前提として、3階建て住宅の高さの目安を確認します。クレバリーホーム東京は3階建ての一般的な高さを軒高9m・建物高さ13m程度とし、国土交通省の試算値として12.9mを挙げています。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域には10mまたは12mの絶対高さ制限があるため、3階建てが建てられない地域もあります(出典:クレバリーホーム東京)。つまり3階建て住宅の足場は、10mを超えるが31mには遠く及ばないという高さ帯に入ります。

高さの区切り根拠条文何が変わるか3階建て住宅への当てはまり
2m以上労働安全衛生規則 第519条作業床の端・開口部に囲い、手すり、覆い等が必要該当する(平屋でも該当)
5m以上労働安全衛生規則 第565条組立て・解体・変更に「足場の組立て等作業主任者」の選任が必要該当する(2階建てでも該当)
10m以上労働安全衛生法 第88条/安衛則 別表第7設置期間が60日以上なら、工事開始の30日前までに労働基準監督署へ機械等設置届(様式第20号)高さは該当するが、塗装工事は通常60日未満のため届出不要になることが多い
20mを超える労働安全衛生規則 第571条第1項第7号枠組足場の主枠は高さ2m以下、主枠間の間隔は1.85m以下該当しない
31mを超える労働安全衛生規則 第571条第1項第3号建地の最高部から測って31mを超える部分の建地は鋼管を二本組とする該当しない
出典:滋賀労働局「足場に関する労働安全衛生法上の規定について」、広島労働局「機械等設置届」一覧、中小建設業特別教育協会の条文解説

10mの規定は「仕様」ではなく「手続き」の話

3階建てで最もよく話題になるのが高さ10mです。ここを誤解しないでください。10mという数字は、足場の部材や組み方が変わる基準ではありません。労働基準監督署への届出が要るかどうかの基準です。

労働安全衛生法第88条にもとづく機械等設置届の対象は、つり足場・張出し足場以外の足場では「高さ10m以上のもの」で、かつ設置期間が60日未満のものは除外されます。提出期限は工事開始の30日前までで、提出先は労働基準監督署です(出典:広島労働局)。

戸建ての外壁塗装で足場が建っている期間は、通常2〜4週間程度です。60日には届きませんから、たとえ足場が10mを超えても設置届は不要になるのが普通です。「3階建ては届出が必要だから費用がかかる」という説明を受けたら、設置期間が60日を超える計画なのかを確認してよい場面です。

実際に効くのは壁つなぎの本数

高さが増えることで確実に増える部材が、壁つなぎです。壁つなぎは足場が倒れないよう建物に固定する部材で、労働安全衛生規則第570条第1項第5号がその間隔を定めています。

鋼管足場の種類垂直方向の間隔水平方向の間隔
単管足場5m以下5.5m以下
わく組足場(高さ5m未満のものを除く)9m以下8m以下
出典:労働安全衛生規則 第570条第1項第5号(オープンレンタル「足場の壁つなぎの設置基準」による条文引用)

単管足場は垂直5m以下ごとに壁つなぎが要りますから、高さ6mの2階建てなら垂直方向は2段、高さ10mの3階建てなら3段必要になります。これが工数と部材の増加としてそのまま単価に乗ります。3階建てで枠組足場が選ばれやすいのは、強度が高いことに加えて、壁つなぎの間隔が緩く設定されているという実務上の理由もあります。

高さに関係なく守られるべき仕様と点検

足場の基本仕様は、2階建てでも3階建てでも同じです。労働安全衛生規則第563条第1項は、作業床の幅を40cm以上、床材間のすき間を3cm以下、床材と建地とのすき間を12cm未満と定めています。墜落防止設備は、わく組足場なら交さ筋かいと高さ15〜40cmの桟等、それ以外の足場なら高さ85cm以上の手すりと中桟です(出典:滋賀労働局)。

また第567条は、足場での作業を行う日の作業開始前に、墜落防止設備の取り外しや脱落の有無を点検することを義務づけています。2023年(令和5年)10月1日施行の改正では、点検を行う際にあらかじめ点検者を指名することが必要となり、足場の組立て後などの点検については点検者の氏名を記録し保存することが義務づけられました(出典:秋田労働局「足場からの墜落防止措置が強化されます」)。

さらに2024年(令和6年)4月1日からは第561条の2が施行され、幅が1m以上の箇所で足場を使用するときは原則として本足場(建地が2列の足場)を使うこととされました。障害物などにより本足場が困難な場合は例外です。3階建てが密集地に建っている場合、この「1m」が敷地条件のちょうど境目に来ることがあります。狭くて一側足場になるのか、1m確保できて本足場になるのかで、部材の量も単価も変わります。

狭小地の3階建てで起きること──足場が組めない、道路を使う、足場を使わない

結論として、3階建て特有の追加費用の多くは、高さそのものより「敷地の狭さ」から生まれます。3階建てを選ぶ理由の多くは敷地が狭いことですから、高さと狭さはセットで現れます。

隣家との距離が足りないとき

足場を組むには、建物と隣家の間に一定のすき間が要ります。公表されている目安は会社によって幅があり、セイルズは隙間20cmあれば架設可能としています(出典:セイルズ)。街の外壁塗装やさん東東京店は30cm前後のスペースがあれば仮設できるとしています。いずれにせよ、狭い側では通常のくさび式ではなく単管足場や狭小地用の部材が使われ、そのぶん工数が増えます。

すき間が足りない場合は、隣地を一時的に使わせてもらう交渉になります。民法第209条は、境界付近の工作物の修繕などのため必要な範囲内で隣地を使用できると定めていますが、住家に立ち入るには居住者の承諾が要り、あらかじめ目的・日時・場所・方法を通知する義務があります。法律上使えることと、近所づきあいが円満に済むことは別の話です。着工前の挨拶を業者が行うかどうかは確認しておきたいところです。

道路にはみ出す・作業車を停めるとき

敷地に余裕がない3階建てでは、足場が道路にはみ出す、あるいは資材車を路上に停める必要が出てきます。このとき2種類の許可が登場します。

  • 道路使用許可……足場の設置・解体時に作業車を道路上に停める場合など。申請先は警察署
  • 道路占用許可……足場そのものが道路にはみ出す場合。申請先は道路管理者(国道・都道府県道・市町村道で窓口が異なる)

静岡外壁塗装相談センターは、この2つの区別と、申請費用が施主負担になる場合があることを説明しています(出典:静岡外壁塗装相談センター)。金額の目安としては、道路使用許可の警察署への手数料が約2,000〜2,500円、行政書士に代行を依頼した場合の報酬が30,000〜40,000円という情報があります(出典:阿保行政書士事務所)。塗装会社が自社で申請すれば行政書士報酬はかかりませんので、見積書に数万円の「申請代行費」が立っていたら、誰が申請するのかを尋ねてよい項目です。

無足場工法(ブランコ・ロープアクセス)は使えるのか

結論から言えば、戸建ての3階建てで無足場工法が選べるケースは限られます。「足場が要らないから安くなる」と期待して問い合わせる方が多いのですが、成立条件が厳しいためです。

ロープアクセス工法は、屋上から垂らしたロープに作業者がぶら下がって作業します。したがって建物の上部にロープを固定できる支点(吊り元)があることが絶対条件です。ロープアクセス専門会社の4Uは、支点がない場合はパラペットクランプで笠木を挟む、コンクリート面にアンカーボルトを打つといった対応をとると説明しています(出典:4U)。陸屋根でパラペットのあるビルやマンションを前提とした工法であり、勾配屋根の木造3階建てでは支点が確保できないことがあります。

同社は作業に必要な隙間についても、40cm以上あれば塗装・調査・シール打ち替えが可能、30〜35cmではシール打ちのみで塗装は困難としています。狭ければ何でもできる工法ではありません。

コスト面では、無足場工法専門のユニースが、5階建てマンションの外壁塗装で足場ありの630万円に対し無足場440万円、4階建てテナントビルのタイル工事で570万円に対し270万円といった事例を公開しています。足場は全体費用のうち30%を占めるという説明も添えられています(出典:ユニース)。ただしこれらはいずれもビル・マンションの事例で、戸建て3階建ての事例ではありません。戸建てで同じ削減率が出るとは限らない点にご注意ください。

安全面の法令も確認しておきます。ロープ高所作業は2016年(平成28年)1月1日施行の労働安全衛生規則で規制されました。高さ2m以上で作業床を設けることが困難なところにおいて、昇降器具で身体を保持しつつ行う作業が対象で、メインロープとは別にライフラインを設けること、作業計画を定めること、作業指揮者を定めること、保護帽を着用させることなどが定められています。作業者には特別教育(学科5時間・実技3時間)が必要で、この特別教育の義務は同年7月1日から施行されました(出典:厚生労働省)。

無足場工法を検討する場合は、この特別教育を修了した作業者が施工するのかを確認してください。あわせて、足場がないぶん第三者が仕上がりを確認しにくいという構造上の弱点があります。全面塗り替えより、シーリングの打ち替えや部分補修といった限定的な工事に向いた工法だと理解しておくのが実際的です。

塗料グレード別・延床30坪の3階建ての総額目安

結論として、3階建てでも総額を最も大きく動かすのは塗料グレードです。ただし2階建てと違い、足場という固定的な負担が先に7〜10万円乗っているぶん、下限が持ち上がります。

グレード㎡単価の目安131㎡分の塗装費だけの概算延床30坪3階建ての総額目安(外壁のみ)耐用年数の目安
アクリル1,000〜1,800円約13〜24万円約60〜95万円5〜8年
ウレタン1,600〜2,500円約21〜33万円約60〜140万円7〜10年
シリコン2,000〜3,500円約26〜46万円約70〜140万円10〜15年
ラジカル2,800〜3,500円約37〜46万円約75〜140万円13〜15年
フッ素3,000〜5,500円約39〜72万円約90〜170万円15〜20年
無機3,800〜6,000円約50〜79万円約105〜195万円15〜25年(信頼度は低い)
出典:㎡単価と耐用年数は当サイト共通の目安値(各社公表値を突き合わせた幅)。総額目安は、2階建て30坪の公表レンジに本記事で算出した1.1〜1.3倍を掛けた編集部の概算です。フォーグッドが公表する30坪3階建ての実額(シリコン100〜140万円、無機130〜182万円)とおおむね整合します

この表で目を引くのは、グレード間で総額レンジが大きく重なっている点です。シリコンの上限140万円とフッ素の下限90万円は逆転しています。塗料代の差は131㎡分でせいぜい10〜30万円であり、それ以外の要素──シーリングを打ち替えるか、屋根や付帯部を含むか、下地の傷みがどの程度か──のほうが総額への影響が大きくなることがあるためです。塗料ごとの性質は塗料の種類と耐用年数一覧で整理しています。

3階建てでは「1回あたりの足場代」が重いぶん、耐用年数の価値が上がる

ここは3階建て特有の判断軸です。足場代を24万円とすると、10年もつシリコンなら1年あたり2.4万円、20年もつフッ素なら1.2万円が足場の年間負担になります。塗り替え回数が減るほど、足場という固定費の効きが薄まる計算です。

同じ理屈で、外壁と屋根を同時に施工して足場を1回で済ませる意味も、2階建てより大きくなります。足場代が2階建てより8万円高いということは、足場を2回組めばその差も2倍になるということです。ただし、まだ十分もつ屋根を足場代のために前倒しで塗り替えれば、塗料の耐用年数を捨てることになります。節約が目的化しないよう、屋根の状態を先に確認してから判断してください。

なお、税込500万円未満の塗装工事は建設業の許可がなくても請け負えます(出典:国土交通省)。3階建ての外壁と屋根を同時に行っても総額が500万円に届くことは通常ありませんので、「建設業許可がないから施工できない」ということにはなりません。許可の有無は会社を選ぶ材料の一つにはなりますが、必須条件ではないという整理です。

3階の劣化は自分で確認できない──だから点検商法の標的になりやすい

結論から書きます。3階建ての最大のリスクは費用ではなく、劣化状況を自分の目で確かめられないことです。2階建てなら庭から見上げて色あせやコケを確認できますが、3階の壁面やパラペット、屋上の防水層は、地上からはほぼ見えません。この「見えない」という条件が、点検商法にとって都合の良い前提になります。

国民生活センターのPIO-NET集計によれば、点検商法に関する相談件数は次のように推移しています。

年度点検商法訪問販売によるリフォーム工事
2023年度12,550件11,879件
2024年度19,249件9,839件
2025年度19,696件5,544件
増減(2023→2025年度)約1.57倍約53%減
出典:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」。相談件数は2026年5月31日現在の登録分で、確定値ではありません

売り込みに来る訪問販売は減り、「無料で点検します」という形の相談が増えています。3階建てにお住まいの方が特に注意したいのは、次のような流れです。

  • 「3階の外壁が浮いているのが道路から見えました」と声をかけられる。地上から見えない箇所なので、真偽をその場で確かめられない
  • 撮影した写真を見せられる。しかし、それが自宅の写真である保証も、その部位の写真である保証もない
  • 「足場を組まないと直せない、今なら足場代をサービスします」と提案される。3階建ての足場代が高いことを知っているほど、この提案は魅力的に映る

対処法はシンプルです。その場では判断せず、複数の会社に同じ箇所を撮影してもらうこと。撮影した写真に自宅の特徴(隣家の壁、電線、樋の位置など)が写り込んでいるかを確認すること。そして、契約を急がせる相手とはその場で契約しないことです。

訪問販売による契約には、特定商取引法にもとづき法定書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフが認められています(出典:消費者庁 特定商取引法ガイド)。契約してしまった場合でも、期間内であれば書面で解除できます。判断の具体的な手順は悪徳業者の見分け方で、法律の条文と照らし合わせながら整理しています。3階建てにお住まいなら、この記事は費用相場より先に読んでおく価値があります。

よくある質問

3階建てだと足場代はいくら上がりますか?

延床30坪の総2階と比べた場合、7万〜9万円程度の増加が一つの目安です。本記事の試算では、架面積が約203㎡から約229㎡へ13%増え、㎡単価が枠組足場への変更で200〜300円上がるため、合計で約1.5倍になります。第三者の公表値でも、足場代の差を約5〜10万円とするもの(フォーグッド)、3階建て追加費用を約30,000円とするもの(外壁塗装駆け込み寺)、足場の㎡単価+100〜200円で総額3〜5万円とするもの(街の外壁塗装やさん東東京店)があり、数万円規模という点では一致しています。見積書では足場の㎡数と㎡単価が分けて書かれているかを確認してください。

3階部分だけ塗らないで安くできますか?

費用面ではほとんど効果が期待できません。理由は足場にあります。3階を塗らなくても、2階を塗るための足場は必要で、足場は建物の高さに合わせて組むため、3階部分にも架けざるを得ないケースが大半です。足場代が減らないのであれば、削減できるのは3階分の塗料代と手間賃だけになります。本記事の計算では、3階建て131㎡のうち3階に相当するのはおよそ3分の1、44㎡前後です。シリコン塗料なら9〜15万円程度の削減にとどまります。一方で塗り残した3階の壁は劣化が進み、次回の塗り替えで下地補修費が増える可能性があります。塗る範囲を絞るより、塗料グレードを一段下げるほうが総額への効き方は素直です。

隣の家との隙間が30cmしかありません。足場は組めますか?

組める可能性はありますが、現地を見ないと判断できません。公表されている目安では、隙間20cmあれば架設可能とするもの(セイルズ)、30cm前後あれば仮設できるとするもの(街の外壁塗装やさん東東京店)があります。ただし通常のくさび式ではなく単管足場や狭小地用の部材になり、工数が増えるぶん割高になります。また2024年4月施行の労働安全衛生規則第561条の2により、幅1m以上の箇所では原則として本足場を使うこととされており、狭い面と広い面で足場の種類が変わることもあります。隣地を一時的に使わせてもらう場合は民法第209条にもとづく事前通知が必要です。「見に来ずに電話だけで組めます」と答える会社より、現地を測ってから答える会社を選んでください。

「3階建ては10mを超えるので届出費用がかかります」と言われました。妥当ですか?

設置期間を確認してください。労働安全衛生法第88条にもとづく機械等設置届の対象は、つり足場・張出し足場以外の足場では高さ10m以上のものですが、設置期間が60日未満のものは除外されます(出典:広島労働局)。戸建ての外壁塗装で足場が建っている期間は通常2〜4週間ですから、60日には届かず届出は不要になるのが一般的です。もし届出費用が計上されているなら、工期が60日を超える計画なのか、あるいは道路占用許可など別の申請を指しているのかを尋ねてみてください。なお、高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更に足場の組立て等作業主任者を選任する義務(第565条)は2階建てでも生じるもので、3階建て固有の費用ではありません。

3階建てで足場を組まずに塗ってもらうことはできますか?

ロープアクセス(ブランコ)による無足場工法という選択肢はありますが、戸建てで成立する条件は限られます。ロープを固定する支点が建物上部に必要で、パラペットのある陸屋根が前提になる工法だからです。勾配屋根の木造3階建てでは支点が取れないことがあります。作業に必要な隙間も、塗装なら40cm以上、30〜35cmではシール打ちのみとされています(出典:4U)。加えて、足場がないぶん第三者が仕上がりを確認しにくいという弱点があります。全面塗り替えより、シーリング打ち替えや部分補修に向いた工法だと考えてください。依頼する場合は、ロープ高所作業の特別教育(学科5時間・実技3時間)を修了した作業者が施工するかを確認してください。

まとめ

3階建ての外壁塗装で押さえるべき点を整理します。

  • 延床が同じなら、3階建ての外壁面積は総2階の約1.1倍。1フロアが小さくなっても、外周は平方根でしか縮まないため、高さが伸びるぶんが勝ちます
  • 塗料代の増分は延床30坪で2〜4万円程度。一方、足場代は約1.5倍・7〜10万円増。架面積と㎡単価が同時に上がるためです
  • 公表されている割増は総額で1.1〜1.3倍、金額で3万〜10万円と幅があります。割増率ではなく、足場の㎡数と単価が書かれているかで判断してください
  • 高さで効いてくる法令は5m(作業主任者)と10m(60日以上なら設置届)。31mを超える部分の建地二本組などは戸建てには当てはまりません
  • 追加費用の多くは高さより敷地の狭さから生まれます。単管足場への変更、道路使用許可、隣地使用の通知が代表例です
  • 無足場工法は支点と隙間の条件が厳しく、戸建ての全面塗り替えには向きにくい工法です
  • 3階の劣化は自分で見えません。写真を見せられても、その場で契約しないことが最大の防御になります

3階建ての見積もりは、坪単価で比べると足場の増分が見えなくなります。届いた見積書を開いたら、まず足場の行を探して「◯㎡ × ◯円」と書かれているかを確認してください。そこが書かれていれば、この記事の数字と突き合わせて妥当性を検討できます。延床30坪という条件そのものの積算は外壁塗装30坪の費用で、足場の単価の考え方は外壁塗装の足場代の相場で、それぞれ詳しく扱っています。

見積もりを取るときに使えるサービス

ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

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この記事を書いた人

リフォーム編集部のアバター リフォーム編集部 株式会社スゴヨク|編集部

「リフォーム」編集部です。運営は株式会社スゴヨク(福岡市中央区/Webサイト制作・Webマーケティング)。外壁塗装・屋根工事・外構リフォームの費用や業者選びを、国土交通省・国民生活センター・住宅リフォーム推進協議会などの一次情報にあたって解説しています。金額や制度には必ず出典を明記し、確認できなかったことは「未確認」と書く方針です。当サイトは施工を行っておらず、特定の業者への送客を目的としない立場で編集しています。

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