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屋根の雪止めを後から取り付けるとき、工事費だけなら6万〜25万円程度、足場代まで含めた総額では10万〜46万円程度が一つの目安です。金額の幅がこれほど広いのは、屋根材の種類・雪止めの形状・足場の要否で工事の中身がまったく変わるからです。そして雪止めは「付ければ安心」という道具ではありません。屋根の上に雪を留め置く以上、軒先まわりに荷重を集中させる装置でもあります。この記事では費用の内訳と、屋根材ごとに違う後付け工法、そして落雪事故の法的責任までを整理します。
屋根の雪止め後付け費用は総額10万〜46万円が目安
結論から書きます。雪止めの後付け費用は、雪止め本体の工事費が6万〜25万円程度、足場が必要な場合は別途10万〜30万円程度というのが、複数の情報サイトを突き合わせた際の目安です。合計すると10万円台から40万円台後半までの幅になります。
まず、雪止めの種類別に費用の目安を整理します。以下は複数サイトが公開している相場を並べたものです。同じ「金具タイプ」でも、足場代を含めているサイトと含めていないサイトがあるため、数字がそろっていません。この点は後ほど詳しく説明します。
| 雪止めの種類 | 費用の目安 | 足場代の扱い |
|---|---|---|
| 雪止め金具(羽根型・扇型など) | 10万〜16万円程度 | 別途10万〜30万円程度 |
| 雪止めアングル(横棒を通すタイプ) | 15万〜25万円程度 | 含む場合と別途の場合あり |
| 雪止めネット | 足場別で6万〜13万円程度/足場込みで15万〜46万円程度 | サイトにより異なる |
| 雪止め瓦への差し替え | 1枚あたり1,000〜3,000円程度 | 別途 |
| 屋根片面1列のみ | 3万円〜/両面1列で6万円〜 | 別途 |
屋根材別に総額を示しているサイトもあります。リショップナビは建坪30坪の戸建てを想定して、スレート屋根6万〜10万円、金属系(ガルバリウム鋼板など)9万〜16万円、瓦屋根8万〜40万円という金額を挙げています。瓦の幅が極端に広いのは、金具を引っ掛けるだけの工事と、雪止め瓦へ差し替える工事とで手間が大きく違うためです。
単価で示している例もあります。ミツモアは金属系の雪止め施工を1mあたり1,000〜1,200円、ネットタイプを1mあたり5,000〜10,000円としています。屋根修理業者のテイガクは、新築や葺き替えと同時に行う「先付け」の金属屋根雪止めを1mあたり1,400円と公表し、後付けは「応相談」としています。後付けは現場ごとに条件が違い、定価を出しにくい工事だということです。
費用がサイトごとにバラつく4つの理由
雪止めの相場は、調べるほど数字が合わなくなります。理由は主に4つです。
- 足場代を含むか含まないか。足場は10万〜30万円と幅があり、これを含めるだけで総額が倍近く変わります
- 設置する列数。軒先1列だけなのか、屋根面すべてに2列以上入れるのかで数量が変わります
- 屋根材の種類。差し込むだけで済む屋根材と、ビスや専用金具が必要な屋根材では工程数が違います
- 屋根の勾配。テイガクは7寸を超える急勾配では2列設置になるため費用が2倍になると説明しています
つまり「雪止めの後付けは○万円」と単一の数字で語れる工事ではありません。見積もりを取るときは、雪止めの数量(個数またはm数)、列数、足場の有無が明記されているかを必ず確認してください。この3点が書かれていない見積書は、比較のしようがありません。見積書のどこを見ればよいかは、国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)が公開しているセルフチェックの考え方が参考になります。
足場代を単独で払わないという発想
雪止めの後付けで最も費用対効果を落とすのが、足場を雪止めだけのために組むケースです。工事費6万円の雪止めに、足場15万円がかかるという逆転が普通に起こります。
そのため、屋根塗装やカバー工法、外壁塗装など、どのみち足場を組む工事のタイミングに合わせて雪止めも一緒に依頼するのが、費用を抑える現実的な方法です。足場は一度組めば同時に複数の工事に使えます。
なお、足場は安全のために必要な仮設物です。労働安全衛生規則では、高さ2メートル以上の作業床の端や開口部などには囲いや手すりを設けることが定められています(第519条)。作業床の幅は40センチメートル以上、床材間の隙間は3センチメートル以下といった具体的な基準もあります(第563条)。詳細は厚生労働省の資料で確認できます。「足場は不要です」と安さを強調する業者には、その根拠を確認したほうがよいでしょう。
雪止めの4タイプと、それぞれが向く場面
結論として、止められる雪の量は「点で止める金具」より「線で止めるアングル」「面で受けるネット」の順に大きくなり、費用も同じ順に上がります。積雪量と落下先の状況で選ぶことになります。
雪止め金具(羽根型・扇型・L型など)
最も普及しているタイプです。小さな金具を等間隔に並べ、雪の塊が一気に滑り落ちるのを「点」で押さえます。安価で種類が多く、後付けにも対応する製品が各社から出ています。ただしリフォームガイドの比較では、雪止め金具の効果は「点」で止めるため限定的だと位置づけられています。積雪が多い地域で金具だけに頼るのは無理があります。
雪止めアングル
専用の受け金具を屋根に取り付け、そこにアルミやステンレスの細長い棒(アングル)を通して「線」で雪を受けるタイプです。金具単体より止める力が上がります。雪止め.jpの記事では、縦ハゼ葺きの屋根に高さ4センチメートルのアルミアングルを差し込む工法が紹介されています。
雪止めネット
屋根面にネットを張り、「面」で雪を受け止めます。ミツモアの比較では高さ20〜30センチメートル以上を確保するタイプが最も止める力が大きいとされています。その分、費用は最も高くなります。
雪止め瓦
突起の付いた専用の瓦を、既存の瓦と差し替えるタイプです。金具が屋根の上に露出しないため見た目が落ち着きます。1枚あたり1,000〜3,000円程度、雪止め.jpの事例では1枚1,660円前後という金額が示されています。ただし後述するとおり、これも「点」で止める方式であり、止める力そのものは金具と同程度です。
屋根材別に後付け工法はまったく違う
ここが後付け工事の核心です。新築時の「先付け」は屋根材を葺きながら金具を挟み込めますが、後付けは葺き終わった屋根に外から取り付けるため、屋根材ごとに別の工夫が必要になります。そしてその工夫の違いが、そのまま雨漏りリスクの違いになります。
| 屋根材 | 後付けの主な工法 | 屋根材に穴を開けるか | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 化粧スレート(コロニアル等) | 返し(フック)付き金具を重ね部分の隙間に差し込む | 原則として開けない | 屋根材の劣化が進むと差し込み時に割れることがある |
| 瓦(和瓦・洋瓦) | 瓦の形状に合わせた金具を引っ掛ける/雪止め瓦へ差し替える | 開けない | 差し替えは瓦をいったん外すため周囲の瓦を傷めないか |
| 金属屋根(縦ハゼ葺き・立平) | ハゼ(凸部)を挟んでボルトで締める | 開けない | 締め付けトルクが弱いとずれる |
| 金属屋根(横葺き・瓦棒など) | 製品により専用金具の挟み込み、またはビス留め | 製品による | ビス留めの場合は穴からの浸水処理が要 |
| 折板屋根 | 山部に専用金具を固定、またはアングルを渡す | 製品による | 住宅よりガレージ・工場での採用が多い |
スレート屋根は「差し込み式」が基本
化粧スレートへの後付けでは、先端に釣り針のような返しが付いた金具を使います。街の屋根やさんの解説によれば、この返しをスレートの重ね部分の隙間に差し込んで引っ掛けることで、ビスを打たずに固定します。屋根材に穴を開けないため、雨漏りリスクは低く抑えられます。
同じ解説では、設置位置についても具体的な考え方が示されています。
- 軒先から30センチメートル以上離した位置に設置する
- 外壁の直上にあたる位置を選ぶ(構造的に力を受けられる位置)
- 高さを互い違いに配置して、屋根への負担を分散させる
軒先ぎりぎりに付けないのは、軒の出の部分には下地がなく、雪の重みを支えきれないおそれがあるためです。外壁の直上に置くというのは、荷重を柱や壁に伝えるという発想です。この位置決めができるかどうかが、職人の技量が出るところです。
なお、スレートの劣化が進んでいる屋根では、差し込む際に屋根材が割れることがあります。築年数が経っている場合は、雪止めだけを追加するより、カバー工法や葺き替えと同時に先付けするほうが結果的に安全なこともあります。
瓦屋根は「引っ掛ける」か「差し替える」か
瓦屋根の場合、瓦の形状に合わせた金具を桟や瓦の凹凸に引っ掛ける方法と、突起付きの雪止め瓦に差し替える方法があります。どちらも屋根材に穴は開けません。
雪止め瓦への差し替えは、既存の瓦を一度外して入れ替える作業になります。周囲の瓦や漆喰を傷めないよう慎重な作業が必要で、瓦屋根の総額が8万〜40万円と大きく振れるのはこの手間の差によるところが大きいと考えられます。瓦屋根そのものの修理費用については瓦屋根の修理費用の記事も参考にしてください。
金属屋根の後付けは「穴を開けるか、挟むか」で雨漏りリスクが分かれる
ここが、他の記事ではあまり分けて説明されていない論点です。結論として、金属屋根への雪止め後付けは、屋根材にビスで穴を開ける工法と、ハゼ(屋根材同士のつなぎ目の凸部)を金具で挟み込む工法があり、後者のほうが雨漏りリスクの点で有利です。見積もりを取るときは、どちらの工法なのかを必ず確認してください。
縦ハゼ葺き・立平葺きなら挟み込みで済む
ガルバリウム鋼板の縦ハゼ葺き(立平葺き)は、屋根面に一定間隔で立ち上がった凸部があります。この凸部を金具で両側から挟み、ボルトで締めるだけで雪止めが固定できます。雪止め.jpの解説では、羽根付き雪止めの取り付けを「雪止めを屋根材の桟部分にはさみ、ボルトで締めればOK」と説明しています。
この工法の利点は明快です。屋根材に新しい穴を一つも開けない。防水層である屋根材を貫通しないので、その部分から水が入る余地がありません。同じ理由で、L型アングルも専用金具をボルト締めしてから棒材を差し込む形になります。ガルバリウム鋼板屋根を選んでいる家であれば、この挟み込み式が使えるかを最初に確認する価値があります。
ビス留めが必要な場合に確認すべきこと
一方、横葺きの金属屋根や一部の瓦棒屋根では、製品によってビス留めが必要になることがあります。ビスは屋根材と、その下の防水シート(ルーフィング)を貫通します。この穴の処理が甘いと、そこが浸水経路になります。
屋根修理業者のテイガクは、雪止めのDIY設置について「屋根に穴をあけたり、押し込んだりするので、雨漏りなどの深刻な不具合が発生しやすくなります」として避けるよう明記しています。石川商店も「屋根知識のない業者が設置すると雪止めを設置した部分から雨水が侵入し、雨漏りにつながることもある」と指摘しています。
ビス留めになる場合は、次の点を業者に確認しておくとよいでしょう。
- ビス穴のシーリング処理をどう行うか(打つ前に充填するのか、後から被せるのか)
- ビスを打つ位置に下地(垂木や野地板)があるか。金属板だけに留めても保持力は出ません
- ビスの材質。屋根材と異種金属が接触すると、電食(異種金属接触腐食)が起きるおそれがあります
- 挟み込み式の代替製品が使えないか
なお、「雪止めの後付けが原因で雨漏りが発生した件数」といった公的な統計は見つかりませんでした。ここで挙げているのは業者側が実務上のリスクとして注意喚起している内容であり、発生確率を示すものではありません。実際に雨漏りが起きた場合の修理費については雨漏り修理の費用を参照してください。
雪止めは屋根に荷重を集中させる装置でもある
雪止めのもう一つの本質は、ここにあります。雪止めを付けるということは、これまで滑り落ちていた雪を屋根の上に留めるということです。屋根が背負う重さは、付ける前より増えます。
雪の重さを数字で把握する
雪の重さは、雪質によって10倍近く変わります。ウェザーニュースの解説では、新雪でおよそ50kg/立方メートル、湿った雪では500kg/立方メートルにもなるとされています。
| 雪の状態 | おおよその密度 | 1m積もったときの1坪(3.3㎡)あたりの重さ |
|---|---|---|
| 新雪 | 約50kg/立方メートル | 約165kg |
| 建築基準の想定(新潟県の例) | 約300kg/立方メートル | 約1トン |
| 湿った雪 | 約500kg/立方メートル | 約1,650kg |
屋根の面積を80平方メートルとすると、湿った雪が1メートル積もった場合は40トン規模になります。ミツモアも同様の試算を掲載しています。これは屋根全体に均等に載った場合の話で、雪止めがあると軒先寄りに荷重が偏ることになります。
建築基準法が定める積雪荷重
建物がどれだけの雪に耐えるべきかは、法律で決まっています。建築基準法施行令第86条(積雪荷重)では、積雪単位荷重を積雪量1センチメートルごとに1平方メートルにつき20ニュートン(約2キログラム重)以上とすると定めています。多雪区域では特定行政庁が別に定めることができます。
同条は屋根の勾配も考慮に入れています。屋根形状係数によって傾斜が急なほど荷重を低減でき、勾配が60度を超える場合は積雪荷重をゼロとみなすことができます。つまり法律の側も、急勾配の屋根は「雪が滑り落ちる」前提で設計されているとみています。その屋根に雪止めを付けるということは、設計時の前提を一部変える行為になります。
国土交通省の資料によれば、多雪区域は垂直積雪量が1メートル以上の区域などとされ、垂直積雪量は50年再現期待値をもとに算定されます。積雪の多い地域で古い住宅に雪止めを追加する場合は、屋根の下地や小屋組みが今の荷重に耐えられるかを含めて相談したほうがよいでしょう。
雪止めを付けると雪下ろしが必要になるというトレードオフ
雪が屋根に留まるということは、人が上って下ろす必要が出てくるということでもあります。石川商店の記事では、実際の利用者の声として「スコップや雪が雪止めに引っかかってしまい雪下ろしがしにくくなる」という指摘が紹介されています。
そして雪下ろしは危険な作業です。国土交通省は、除雪作業中の事故が年間1,000件以上発生し、100人以上が亡くなっていること、死亡事故の約8割が65歳以上であることを示しています。
消費者庁が公表した資料では、令和2年版消防白書を引用して、過去10年間(平成22年11月〜令和2年3月)の雪害による犠牲者が803人にのぼることが示されています。同資料によると、令和2年11月から令和3年4月までの死者110人のうち、除雪作業中が95人(86パーセント)、65歳以上が91人でした。
雪止めは落雪事故のリスクを下げる一方で、雪下ろしという別のリスクを増やす可能性があります。積雪の多い地域では、雪止めを入れるかどうかは「落雪させない」と「屋根に載せたままにしない」のどちらを優先するかという判断になります。少なくとも、雪止めを付けたから雪下ろしが不要になる、という理解は誤りです。
落雪で損害を出したときの法的責任と自治体のルール
結論として、屋根からの落雪で隣家や通行人に損害を与えた場合、建物の占有者や所有者が損害賠償責任を負うことがあります。根拠は民法717条の工作物責任です。
民法717条(工作物責任)
民法第717条は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、まず占有者が、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が賠償責任を負うと定めています。所有者の責任は、過失がなくても免れにくい構造になっています。
実際の裁判例もあります。長野県上田市が公開している資料に、金沢地方裁判所の昭和32年3月11日判決の要旨が掲載されています。2階建て家屋の屋根に積もった約73センチメートルの雪が崩落して隣家を倒壊させ、就寝中の子どもが亡くなった事案です。
この判決で注目すべきは、雪止めがあったにもかかわらず責任が認められた点です。資料によれば、裁判所は「雪の崩落防止の最も適切な措置は屋上の除雪である」としたうえで、設置されていた雪止め瓦と丸太による防止施設を「脆弱」と評価し、除雪をしなかったことと防止施設が脆弱だったことが民法717条にいう瑕疵にあたると判断しました。認容された賠償額は合計約68万円(当時)とされています。
雪止めを付けたことが、そのまま免責になるわけではありません。この点は、雪止めを「保険」のように考えている方に知っておいていただきたいところです。詳細は上田市の公開資料で確認できます。
自治体の条例で雪止めが求められる場合がある
積雪地の自治体には、落雪防止を建築の条件として定めているところがあります。札幌市は建築基準法施行条例第12条に基づき、氷雪の落下による危害を防止するための有効な措置を求めています。
札幌市の解説ページでは、有効な措置として次のような考え方が示されています。
- 軒先から敷地境界線までの水平距離が十分にとれる場合
- 屋根面に雪止め金具を有効に設置する場合
- 落雪防止の機能を備えた屋根材とみなされる工法による場合
- その他危害を防止するために有効な措置を講じた場合(事前協議が必要)
同ページは「確認済証等の発行をもって氷雪が落下しないものを確約するものではありません」とも明記しています。行政の確認を通ったから安全、という話ではないということです。お住まいの自治体に同種の規定があるかは、建築指導課などに問い合わせて確認してください。
火災保険の雪災補償が使えることもある
雪の重みで屋根やカーポートが壊れた場合、火災保険の雪災補償の対象になることがあります。ソニー損保の解説では、積雪の重みで屋根が破損した場合やカーポートが損壊した場合が補償例として挙げられています。
一方で、経年劣化による損傷は対象外です。また、契約によっては損害額が20万円以上でないと支払われない設定になっている場合があります。契約内容は保険会社や加入時期で異なるため、必ずご自身の証券で確認してください。屋根修理と火災保険の関係は屋根修理と火災保険の記事で詳しく整理しています。
なお、「雪止めを後から取り付ける費用」そのものは、災害による損害の復旧ではなく機能の追加にあたるため、原則として保険の対象外と考えるのが自然です。「保険で雪止めが無料になる」という営業トークには注意してください。
非積雪地でも雪止めが必要になる場面と、業者選びの注意点
結論として、年に数回しか雪が降らない地域でも、落下先に隣家・道路・カーポートがあるなら雪止めを検討する意味があります。問題は積雪量ではなく、落ちた先に何があるかです。
非積雪地で雪止めを検討したほうがよいケース
- 屋根の落下方向に隣家の敷地や屋根、給湯器、室外機がある
- 軒先の真下や近くに公道・歩道があり、通行人が通る
- 軒下にカーポートやテラス屋根がある(ポリカーボネート板は雪の塊で割れることがあります)
- 金属屋根やスレート屋根で表面が滑りやすく、少量の雪でも一気に落ちる
- 玄関ポーチや勝手口の真上に屋根の傾斜が向いている
特に注意したいのが、屋根を葺き替えたりカバー工法をかけたりして、表面がガルバリウム鋼板などの滑りやすい素材に変わったケースです。以前のスレート屋根では雪が引っかかっていたのに、リフォーム後に一気に滑り落ちるようになった、という状況が起こり得ます。カバー工法を検討する際は、同時に雪止めの要否も業者に相談しておくと二度手間を避けられます。
また、雪止めがあっても完全に落雪が防げるわけではありません。ミツモアの記事も、雪止めは完全な落雪防止を保証するものではないと述べています。積雪が雪止めの高さを超えれば、その上の雪は滑ります。
屋根に上がる工事だからこそ、業者選びが重要
雪止めの後付けは金額としては小さい工事です。国土交通省の建設業の許可の説明によれば、建築一式工事以外の建設工事は請負代金500万円未満(消費税込み)であれば建設業許可がなくても請け負えます。雪止め工事の多くはこの範囲に入るため、許可の有無だけでは業者の技量を判断できません。
屋根工事の業者を選ぶ視点は屋根修理業者の選び方にまとめていますが、雪止めに限っていえば次の点を確認するとよいでしょう。
- 自宅の屋根材に対応した専用金具を使うか。汎用品を無理に流用していないか
- 屋根材に穴を開けるのか、開けないのか。開ける場合の止水処理の方法
- 設置位置と列数、その根拠(軒先からの距離、外壁直上かどうか)
- 足場の有無と、その費用が見積書に分けて書かれているか
- 工事後の保証範囲。雨漏りが起きた場合の対応が明記されているか
点検商法にも注意
雪の季節の前後は、「無料で屋根を点検します」「雪止めが外れていますよ」といった訪問販売が増えやすい時期です。国民生活センターの公表資料では、点検商法に関する相談件数が2023年度の12,550件から2025年度には19,696件へ増加しています。ただしこの数値は2026年5月31日時点の集計であり、未確定の数字であることに留意してください。
訪問販売で契約した場合は、法定書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。制度の詳細は消費者庁の特定商取引法ガイドで確認できます。詳しい相談件数の内訳は国民生活センターのページにあります。無料点検そのものが悪いわけではありませんが、無料点検の仕組みを理解したうえで、その場で契約しないことが基本です。
よくある質問
雪止めは自分で(DIYで)取り付けられますか
おすすめできません。屋根修理業者のテイガクは「DIYによる取り付けは避けてください」と明記し、その理由として屋根に穴を開けたり押し込んだりするため雨漏りなどの深刻な不具合が発生しやすいことを挙げています。加えて、屋根上は転落の危険がある場所です。前述のとおり、除雪作業中の事故では年間100人以上が亡くなっており、高所作業のリスクは軽視できません。金具1個の値段は安くても、失敗したときの損害は屋根の修理費と比べものになりません。
雪止めを付けると屋根が傷みませんか
可能性はあります。理由は2つです。1つは雪が屋根に留まることで荷重が増え、特に雪止めの位置に力が集中すること。もう1つは、金具そのものが金属製のため経年で錆びることです。石川商店は雨などによる経年劣化で雪止めが錆びていくため交換が必要になる場合があると説明しています。設置位置を外壁の直上にする、高さを互い違いにして荷重を分散させるといった配慮は、この負担を抑えるための工夫です。設置後も、他の屋根点検の機会に雪止めのゆるみや錆を見てもらうとよいでしょう。
雪止めは屋根の何列に付けるのが正解ですか
一律の正解はありません。軒先1列だけの施工から、屋根面全体に複数列入れる施工まで幅があります。テイガクは7寸を超える急勾配では2列設置になると説明しており、勾配が急なほど列数が増える傾向があります。積雪量、屋根の勾配、落下先の状況によって決まるため、現地を見たうえで列数と根拠を説明できる業者に依頼してください。列数が変われば費用も比例して変わるので、見積書に数量が書かれていることが前提です。
雪がほとんど降らない地域でも付けるべきですか
降雪の頻度ではなく、落ちた先に何があるかで判断してください。年に一度の降雪でも、隣家の給湯器やカーポートの屋根、通行人に当たれば損害になります。民法717条の工作物責任は、積雪地かどうかで適用が変わるものではありません。逆に、落下先が自宅の庭だけで人や物がないのであれば、費用をかけてまで設置する必要性は低くなります。屋根の向きと軒先の下に何があるかを、一度ご自身の目で確認してみてください。
屋根塗装のついでに雪止めを付けると安くなりますか
足場代を二重に払わずに済むという点で、費用を抑えられる可能性は高いといえます。足場は10万〜30万円程度と幅があり、雪止め単独の工事費と同等かそれ以上になることも珍しくありません。ただし「安くなる」と断定はできません。塗装業者が屋根板金の施工に慣れていない場合もあるためです。同時施工を検討する場合は、雪止めの取り付けを誰が(どの職方が)行うのかを確認しておくと安心です。屋根塗装の費用相場もあわせて確認してください。
まとめ
屋根の雪止め後付けについて、この記事で整理した内容をまとめます。
- 費用は工事費6万〜25万円程度、足場を含めた総額で10万〜46万円程度が一つの目安です
- 金額が大きくバラつくのは、足場の要否・列数・屋根材・勾配で工事内容が変わるためです
- スレートは差し込み式、瓦は引っ掛けまたは差し替え、金属屋根はハゼの挟み込みが基本で、屋根材に穴を開けない工法が使えるかを確認する価値があります
- 雪止めは屋根に雪を留める装置であり、荷重が増えます。建築基準法施行令86条は積雪1センチメートルあたり1平方メートルにつき20ニュートン以上を積雪単位荷重としています
- 雪止めを付けたことで雪下ろしが必要になる場合があります。除雪作業中の事故は年間100人以上の死者が出ており、安易に自分で上がらないことが大切です
- 落雪で他人に損害を与えた場合、民法717条の工作物責任を問われることがあります。雪止めの設置がそのまま免責になるとは限りません
- 非積雪地でも、落下先に隣家・道路・カーポートがあるなら検討する意味があります
雪止めは、屋根の上で完結する工事ではありません。屋根が背負う重さ、隣家との距離、そして万一のときの責任まで含めて判断する工事です。見積もりを取るときは金額だけでなく、どの位置に何列、どういう工法で付けるのか、その根拠を説明してもらってください。それを説明できる業者であれば、工事そのものも任せられる可能性が高くなります。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

