【PR】この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由でお申し込みがあった場合、当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。報酬の有無によって記事内の評価を変えることはありません。詳細は広告掲載ポリシーをご覧ください。
実家のリフォームは、工事の種類を選び、工区を分けて順番に進めれば、住みながらでも十分に実現できます。住みながらが難しいのは「家全体を一度に解体する全面改装」と「水回りが同時に複数止まる工程」の2つです。逆に外壁塗装や1室ずつの内装、トイレやキッチンの入れ替えは、不便はあっても住み続けられる範囲に収まることがほとんどです。この記事では、工事の種類別に住みながらの可否を整理し、風呂やトイレが使えない期間の備え、仮住まいとの費用比較、そして親名義の家に子が費用を出すときの税金の落とし穴までを、公的資料とメーカー資料を確認しながらまとめます。
実家を住みながらリフォームできるかは「解体の範囲」と「水回りが止まる数」で決まる
結論から言えば、住みながらできるかどうかは工事の規模ではなく、次の3点でほぼ決まります。金額の大小ではありません。1,000万円の外装工事でも住めますし、80万円の浴室工事でも数日はお風呂が使えません。
- 解体の範囲:壁や床を剥がす面積が広いほど、その部屋は生活に使えなくなります。壁紙だけなら1日、床を下地から作り直すなら数日です。
- 水回りが同時に何箇所止まるか:トイレ・浴室・キッチンが同時に止まると、その日は家で生活が成立しません。1つずつずらせば住み続けられます。
- 住んでいる人の体力と生活パターン:高齢の親が日中ずっと家にいる場合、粉じん・騒音・出入りの多さは若い世帯が想像するより大きな負担になります。
この3点を先に整理しておくと、「仮住まいが要るのか、要らないのか」の議論が具体的になります。実家リフォームの相談でこじれやすいのは、子世帯が「まとめて一気にやったほうが安い」と考え、親世帯が「工事中どこで暮らすのか」を心配して話がすれ違うパターンです。判断の軸を共有してから見積もりを取ると、話が早く進みます。
なお、築年数ごとに「そもそもどこまで直すべきか」を先に決めたい方は、築30年のリフォームはどこまで必要かを先に読んでから、この記事で段取りを考えると整理しやすくなります。費用相場そのものはこの記事では扱わず、各工事の費用記事に譲ります。
工事の種類別|住みながら可能かどうかの早見表
この記事の中心になる表です。各工事の日数は、メーカーや施工会社が公開している工程資料、および自治体の耐震ポータルサイトの記載を確認して整理しました。日数はあくまで一つの目安であり、実際は家の状態と天候で前後します。
| 工事の種類 | 住みながら | 不便の度合い | 日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 外壁塗装 | 可能 | 中(窓が開けにくい・洗濯物) | 7〜10日程度 |
| 外壁+屋根の同時塗装 | 可能 | 中 | 10〜14日程度 |
| 屋根の葺き替え(軽量化) | 可能 | 中〜大(騒音) | 7〜10日程度 |
| トイレ(便器・便座の交換のみ) | 可能 | 小 | 半日程度 |
| トイレ(床・壁の張り替え同時) | 可能 | 中 | 1日程度(タイル張りは2日以上) |
| 浴室(ユニットバス→ユニットバス) | 可能 | 大(入浴不可) | 1〜3日/4〜5日と記載が分かれる |
| 浴室(在来工法→ユニットバス) | 可能だが負担大 | 大(入浴不可) | 3〜5日/戸建て6〜10日と記載が分かれる |
| キッチン(同じ位置で入れ替え) | 可能 | 大(調理不可) | 2〜4日程度 |
| キッチン(内装工事も含む) | 可能 | 大 | 2〜6日程度 |
| 壁紙の張り替え(6畳1室) | 可能 | 小 | 1日程度 |
| フローリングの重ね張り(6畳) | 可能 | 小 | 1日程度 |
| フローリングの張り替え(6畳) | 可能 | 中 | 2〜3日程度 |
| 内窓(二重窓)の設置 | 可能 | 小 | 窓の数による(後述) |
| 耐震補強(部分的な壁補強) | 多くの場合可能 | 中 | 準備期間を含め2週間〜2か月 |
| 全面改装(スケルトンに近い工事) | 原則不可 | — | 数か月 |
なぜ浴室の日数はサイトによってこれほど違うのか
表を見て気になるのが浴室の幅の広さだと思います。東京ガスのコラムでは、ユニットバスからユニットバスへの交換は1〜3日、在来工法からユニットバスへは3〜5日、はつり工事のあとに土間打ちが必要な場合は1週間前後とされています。一方で三河設備リフォームは、在来工法から戸建てのユニットバスへで約6〜10日、ユニットバスからユニットバスへでも約4〜5日と説明しています。
この差が生まれる理由は主に3つです。
- 土間コンクリートの養生日数を含めるかどうか。東京ガスの記事でも、土間打ちが必要な場合はモルタルが固まるまで1〜3日ほど作業が止まると触れられています。この待ち時間を工期に入れるかで数日変わります。
- 浴室ドアまわりや脱衣室の仕上げを含めるかどうか。ユニットバス本体の組み立て自体は短くても、換気扇・照明・ドア枠・壁の補修まで含めると日数が伸びます。
- 戸建てかマンションか。三河設備リフォームはマンションを約4〜5日、戸建てを約6〜10日と分けて書いています。木造戸建ての在来浴室は土台の傷みが見つかることが多く、補修が入ると延びます。
実家の浴室が昔ながらのタイル張り(在来工法)なら、「1週間はお風呂が使えない前提」で予定を組んでおくほうが安全です。短く見積もって延びると、高齢の親の生活に直接響きます。浴室の費用そのものは風呂リフォームの費用で詳しく整理しています。
内窓の工事時間について確認できたこと・できなかったこと
内窓(二重窓)は既存の窓の内側に新しい窓枠を取り付ける工法で、壁や床をほとんど壊さないため、住みながら進めやすい代表的な工事です。ただし「1か所あたり何分」という公的な統計や、メーカーが公表している標準作業時間は見つかりませんでした。施工会社のページでは1時間前後という説明を見かけますが、根拠を確認できなかったため、この記事では日数を断定しません。窓の数と大きさ、既存サッシの状態で変わると考えてください。見積もり時に「1日で何か所進める予定か」を業者に確認するのが確実です。
住めなくなる期間が出る工事|風呂・トイレ・キッチンの備え方
住みながらリフォームで一番揉めるのは、費用ではなく「その日、風呂とトイレとご飯をどうするか」です。ここを工事前に決めておけば、住みながらの成功率は大きく上がります。
お風呂が使えない期間の代替手段
浴室工事の期間は、原則としてそのまま入浴できない期間になります。代替手段は主に次の通りです。
- 銭湯・公衆浴場:東京都の場合、公衆浴場の入浴料金には知事が定める統制額(上限額)があります。東京くらしWEB(東京都)によれば、2026年8月1日から大人(12歳以上)600円、中人(6歳以上12歳未満)200円、小人(6歳未満)100円です。統制額は都道府県ごとに定められるため、実家のある地域の額は自治体サイトで確認してください。
- スーパー銭湯・日帰り温泉:料金は銭湯より高くなりますが、営業時間が長く、送迎バスがある施設もあります。高齢の親が一人で通うなら、送迎の有無は重要な判断材料です。
- 子世帯・親族の家で入浴:近居であれば最も現実的です。工事期間中だけ夕方に迎えに行く運用にしている家庭もあります。
- 介護施設のデイサービスの入浴:親が要支援・要介護の認定を受けている場合、ケアマネジャーに相談すると工事期間中だけ入浴のあるサービスに調整できることがあります。
注意したいのは、冬場の在来浴室の解体です。壁や土間を壊すと外気が入り、脱衣室まで冷え込みます。工事を冬に入れるなら、脱衣室の暖房と、養生で塞がれた通路の足元灯まで含めて業者と打ち合わせておくと安心です。
トイレが1つしかない家の対処
便器・便座の交換だけなら、LIXIL「トイレとくらす。」によれば所要時間は半日程度です。ただし同ページには、古い便器を取り外す間は家の水道の元栓を止めるため、30分程度は家中の水が使えなくなるという記載があります。飲み水や手洗い用の水は前日にくんでおくと安心です。
床や壁の張り替えを同時に行う場合は1日程度、壁や床がタイル張りだと2日以上かかるとされています。トイレが1つしかない実家では、次のいずれかを準備しておきます。
- 近隣のコンビニ・スーパー・公園・公民館など、日中に使えるトイレを事前に確認しておく
- 業者に仮設トイレの手配を依頼できるか確認する(住宅の内装工事では手配しない会社も多いため、見積もり時に聞くこと)
- 災害用の携帯トイレ・簡易トイレを数回分用意しておく。夜間に工事が持ち越しになった場合の保険になります
- 工事日を1日で終わる内容に絞り、内装は別日に回す
高齢の親がトイレの近い体質だったり、夜間に何度も起きたりする場合、「1日くらい我慢できる」という前提は成り立ちません。トイレ交換は、実家リフォームの中でも特に工程を1日で完結させる価値が高い工事です。工事内容と費用の目安はトイレリフォームの費用にまとめています。
キッチンが使えない間の食事
TOTOのリモデルライブラリーでは、キッチンの入れ替えのみで2〜4日、内装工事を含む場合で2〜6日という工期が示されています。工程は、初日に養生と既存キッチンの解体・給排水と電気工事、その後に下地づくり、機器の搬入・組み立て、内装仕上げ、最終日に完成確認と使い方の説明という流れです。配管接続の際に一時的に水が止まることがある点も明記されています。
この数日間の食事対策として、現実的なのは次のような組み合わせです。
- カセットコンロと電気ケトル、電子レンジを別の部屋(和室やダイニング)に仮設置する
- 洗い物は洗面台または浴室でできるよう、工程が重ならない順番に組む
- 紙皿・ラップを多めに用意し、洗い物そのものを減らす
- 冷凍食品と惣菜を前日にまとめて買い込む、または宅配弁当を数日だけ契約する
ここで重要なのは、キッチンと浴室を同じ週に入れないことです。両方止まると、食事も入浴も外に出ることになり、高齢の親には負担が重くなります。キッチンの費用感はキッチンリフォームの費用相場を参照してください。
住みながらと仮住まい、費用ではどちらが得か
結論を先に言うと、どちらが安いかはケースによって逆転するため、一般論では決められません。仮住まいには明確な追加費用がかかりますが、住みながらにも「工期が延びる」「養生が増える」「外食と銭湯が続く」という見えにくいコストがあります。まず仮住まい側の費用項目を整理します。
| 費目 | 内容と目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 家賃 | 実家周辺の相場×工事月数 | 短期のマンスリーマンションは月単位の賃貸より割高になりやすい |
| 敷金・礼金・仲介手数料 | 一般賃貸では初期費用として発生 | マンスリー・ウィークリーは不要な場合が多い |
| 引越し費用(往復2回分) | 通常期の平均で単身5.8万〜7.9万円、2人世帯10.3万円、3人12.7万円程度(片道あたり) | SUUMO引越しの掲載データ。2〜4月の繁忙期は上振れする |
| 荷物の保管(トランクルーム) | 広さ・立地で月額が大きく変わる | 信頼できる全国平均の統計は確認できず |
| 光熱費・通信費 | 仮住まい側で新たに発生 | 短期契約では光熱費込みのプランもある |
| 実家側の固定費 | 工事中も固定資産税・保険料等は発生 | いわゆる二重の負担になる |
引越し費用について補足すると、SUUMO引越しが公開している相場データでは、通常期(5〜1月)の平均で単身の荷物が少ない場合が約5万8千円、荷物が多い場合が約7万9千円、2人世帯が約10万3千円、3人世帯が約12万7千円とされています。仮住まいでは往路と復路の2回発生するため、単純計算でこの2倍が必要です。繁忙期(2〜4月)は同データでも明確に高くなるとされており、可能なら工事時期をずらす価値があります。
一方、住みながらを選んだ場合に増えるコストは次の通りです。
- 工期が延びる:生活動線を確保しながら区画を区切って進めるため、同じ内容でも空き家状態より日数がかかります。職人の常用(人件費)が日数に比例する契約なら、その分が増えます。
- 養生費が増える:家具や生活用品を残したまま工事するため、床養生・ビニール間仕切り・粉じん対策の手間が増えます。
- 荷物の移動が繰り返し発生する:工区ごとに荷物を右へ左へ動かす作業が生じます。自分たちでやれば費用は抑えられますが、高齢の親には難しい作業です。
- 外食費・入浴費:水回りが止まる日数に比例します。数日なら誤差ですが、2週間続けば無視できません。
おおまかな判断としては、工事が1〜2週間で終わり、水回りの停止が数日単位に収まるなら住みながらが有利になりやすく、1か月を超える工事や間取り変更を伴う工事では仮住まいのほうが結果的に安く済むこともある、という整理になります。ただしこれは傾向であって、必ずそうなるとは限りません。見積もり時に「仮住まいにした場合、工期は何日短くなり、金額はいくら下がるか」を業者に出してもらい、その差額と仮住まい費用を並べて比べるのが確実です。この比較のやり方は、通常の相見積もりと同じ要領で進められます。
なお、親がすでに施設に入居していたり、実家が空き家になっていたりする場合は、そもそも住みながらを考える必要がありません。その場合は空き家リフォームの費用のほうが実情に近い内容になります。
高齢の親が住んでいる家ならではの注意点
実家リフォームが自宅のリフォームと決定的に違うのは、工事中ずっと家にいるのが高齢の親だという点です。子世帯は工事のことを理解していますが、日中の対応をするのは親です。ここを軽く見ると、工事は無事に終わっても親が体調を崩す、という事態になりかねません。
粉じん・臭い・寒暖への配慮
解体を伴う工事では、養生をしていても細かい粉じんが家中に回ります。呼吸器に持病がある場合は、工事のある日だけ日中は外出してもらう、または工事エリアから最も遠い部屋を「避難部屋」として空気清浄機を置く、といった対策が必要です。
臭いについては、内装の接着剤や塗料の臭いが数日残ることがあります。外装の場合は、外壁塗装中に窓を開けにくい期間が生じます。外壁塗装の在宅の可否や、留守にすべき工程については外壁塗装中の在宅の必要性で詳しく扱っています。この記事は内装・水回りを含む家全体の話に絞っているため、外装単独の在宅判断はそちらを参照してください。
冬の寒さも見落とされがちです。窓の入れ替えや浴室の解体をすると、その間は断熱が一時的に落ちます。工期中の暖房計画(どの部屋を暖めるか、電源は取れるか)を業者と共有しておくと安全です。
認知症や持病がある場合
認知症の症状がある方にとって、住み慣れた家の見た目や動線が日ごとに変わることは、想像以上の混乱を招きます。トイレの位置が仮設に変わる、いつもの椅子が別の部屋にある、といった小さな変化が積み重なります。この場合は、住みながらにこだわらず短期間の仮住まいや、ショートステイの利用を含めて検討したほうが結果的に穏やかに済むことがあります。判断はケアマネジャーや主治医とも相談してください。
また、親が要支援・要介護の認定を受けている場合、手すりの取り付けや段差解消などは介護保険の住宅改修費の対象になる可能性があります。八王子市の公式ページの説明では、支給限度基準額は原則20万円で、自己負担は所得に応じて1割から3割、対象工事は手すりの取り付け・段差の解消・滑りにくい床材への変更・扉の取替え・便器の取替えおよびそれらに付帯する工事とされています。重要なのは着工前に市区町村へ申請して確認を受ける必要があり、工事を始めてからの申請は対象外という点です。制度の細部は自治体で運用が異なるため、必ず実家のある市区町村の窓口で確認してください。
日中の出入りと防犯
住みながらの工事では、毎日知らない人が家に出入りします。それだけで気疲れする方もいます。加えて、外装工事で足場が組まれている間は、二階の窓からの侵入リスクが上がります。足場のある期間は二階も含めて施錠を徹底する、窓に補助錠を付ける、といった対策を業者と相談しておきましょう。
もう一つ、実家リフォーム特有のリスクが訪問販売です。工事中の家は「リフォームに関心のある家」として外から見えるため、便乗した営業が来ることがあります。国民生活センターのPIO-NET集計によれば、いわゆる点検商法に関する相談件数は2023年度が12,550件、2024年度が19,249件、2025年度が19,696件と増加しています(いずれも2026年5月31日登録分までの集計で、数値は未確定)。親には「工事の話は必ず子に電話してから」と事前に伝えておくだけでも、被害はかなり防げます。不審な訪問には、その場で契約しないことが基本です。
段階的リフォーム(工区分け)で住みながらを成立させる
住みながらを成立させる最大のコツは、家全体を一度に触らず、工区に分けて順番に進めることです。工区分けの基本パターンは次の3つです。
- 階で分ける:1階を工事する間は2階で生活し、終わったら入れ替える。階段まわりの養生と、荷物の一時置き場をどこに取るかが鍵になります。
- 水回りを1つずつ進める:トイレ→キッチン→浴室のように、同時に止まらない順番に組む。最も基本的で効果の大きいやり方です。
- 居室を1室ずつ回す:壁紙や床の張り替えは、1室ずつなら1〜3日で終わります。空いた部屋に荷物を寄せながら、順に回していきます。
工区分けをするときに必ず確保したいのが「生活動線」です。玄関から寝室、寝室からトイレ、寝室からキッチンへの経路は、工事期間中も途切れさせないように計画します。特に夜間のトイレ動線は、養生シートでつまずかないか、足元灯があるかまで確認してください。高齢者の転倒は、工事そのものより大きなリスクになり得ます。
分けるとかえって高くつく工事もある
ただし、何でも分ければよいわけではありません。足場を必要とする工事は、まとめたほうが安く済みます。外壁塗装と屋根塗装を別々の年にやると、足場代を2回払うことになります。外装は一度にまとめ、内装と水回りは分ける、というのが基本の組み立てです。足場代は面積に応じた単価で計算されるため、回数が増えればそのまま総額に跳ね返ります。
また、耐震補強は分けると効果が中途半端になることがあります。香川県住宅耐震ポータルサイトのQ&Aでは、木造の一戸建て住宅の耐震改修工事は準備期間を含めて2週間〜2か月程度とされ、「押入れや廊下などの壁に補強する計画であれば、荷物の片付けはあるものの、引越しまでは必要ないと思います」と説明されています。つまり補強箇所の選び方次第で、住みながらか仮住まいかが変わるということです。耐震診断の結果を持って、設計者に「住みながらできる補強計画にしてほしい」と最初に伝えておくと、提案の中身が変わります。
契約前に決めておきたい段取りチェックリスト
ここまでの内容を、実際の進め方の順番に並べ直します。工事の契約前に確認しておくべきことが中心です。
- 建物の名義と、費用を誰が出すかを先に決める。契約後に変えると話が複雑になります。
- 工事の一覧を書き出し、水回りが止まる日を並べて重ならないようにする。カレンダーに落とすと、無理な計画が一目で分かります。
- 親の1日の動線を紙に書く。起床から就寝まで、どこをどう通るかを書き出すと、養生してはいけない場所が見えてきます。
- 入浴・トイレ・食事の代替手段を、日ごとに決めておく。「そのとき考える」は最も失敗しやすいやり方です。
- 荷物の一時置き場を確保する。使わない部屋、押入れ、屋外の物置、必要ならトランクルーム。
- 職人が来る時間帯と、来ない日を事前に共有する。親が予定を立てられるようにするだけで、ストレスは大きく減ります。
- 近隣への挨拶を、子世帯が主導して行う。親に任せると気を使いすぎて疲れてしまうことがあります。
- 緊急連絡先を紙に書いて冷蔵庫に貼る。現場監督の携帯番号と、子の連絡先。
- 工事中に来る訪問営業への対応を決めておく。「今の工事以外の話は受けない」と決めておくのが安全です。
これらは特別なことではありませんが、実際に契約前に全部そろえている家庭は多くありません。住みながらリフォームの満足度は、工事の品質と同じくらい、この段取りで決まります。
親の家のリフォーム費用を子が出すときの税金の落とし穴
ここからは、実家リフォーム特有でありながら、費用相場の記事にはほとんど書かれていない論点です。親名義の家のリフォーム費用を子が負担すると、贈与とみなされて贈与税がかかる可能性があります。金額が大きくなりやすい実家リフォームでは、影響も小さくありません。
国税庁が示している考え方
国税庁のタックスアンサーNo.4557「親名義の建物に子供が増築したとき」には、次のように書かれています。
- 親が子供に対して対価を支払わないときには、親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税される
- 子供が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子供へ移転させて共有とすれば、贈与税は課税されない
- ただし、親から子供への建物の持分の移転は親から子供に対する譲渡となり、譲渡利益が生じるときは譲渡所得の課税対象になる
- 共有とするための譲渡であり、かつ親子間の譲渡であることから、居住用財産を譲渡した場合の特例は適用できない
このページは「増築」を前提にした説明ですが、建物の価値を高める工事に子が資金を出すという構図は、大規模なリフォームでも同じ問題をはらみます。どこまでが修繕でどこからが価値の増加にあたるかは個別判断になるため、この記事で「このリフォームなら大丈夫」と断定することはできません。
子から親への贈与には「特例税率」が使えない
もう一つ、見落とされやすい点があります。贈与税の暦年課税には、直系尊属(父母や祖父母)から18歳以上の子や孫への贈与に適用される「特例税率」があり、一般税率より低く設定されています。しかし今回のケースは子から親への贈与であり、方向が逆のため特例税率は使えません。適用されるのは一般税率です。
| 基礎控除後の課税価格 | 一般税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
暦年課税では年間110万円の基礎控除があります。裏を返すと、子が出した金額が年110万円を超えると、超えた部分が課税対象になり得るということです。実家の水回り3点をまとめて直せば、この水準は簡単に超えます。
実務上、検討されることが多い選択肢
取り得る方向性としては、次のようなものが挙げられます。いずれも一長一短があり、どれが適切かは家族構成・金額・将来の相続まで含めて変わります。
- 親自身が費用を負担する:親に資金があるなら最もシンプルです。子が立て替えるのではなく、親の口座から支払います。
- 持分を移転して共有名義にする:国税庁No.4557が示す方法です。ただし親側に譲渡所得が生じる可能性があり、居住用財産の特例は使えません。登記費用も発生します。
- 金額を基礎控除の範囲に収める、または年をまたいで分割する:贈与の実態が伴っている必要があり、形式だけ整えるやり方は認められないことがあります。
- 親子間で金銭消費貸借契約を結ぶ(貸付にする):返済の実態がなければ贈与とみなされる可能性があります。
- リフォーム前に建物の名義を整理する:相続まで見据えて、司法書士や税理士と全体設計をする方法です。
ここに挙げたのは考え方の整理であって、個別の税務判断ではありません。実行の前に必ず税理士または所轄の税務署に確認してください。国税庁の電話相談センターや、税理士会が実施している無料相談を利用する方法もあります。工事契約を結んでからでは選べる手が減るため、見積もり段階で相談するのが理想です。リフォームに関わる税制は制度改正も多いため、最新の情報を国税庁のサイトで確認してください。
契約者は誰にするか、名義の確認も忘れずに
税金の話と並んで実務的に重要なのが、誰がリフォーム工事の契約者になるかです。実家の建物が親名義であれば、原則として所有者である親の同意が必要になります。子が契約者として進める場合でも、所有者の承諾を書面で取っておくほうがトラブルを避けられます。
あわせて確認しておきたいのが次の点です。
- 建物と土地の登記名義(法務局で登記事項証明書を取得すれば確認できます)
- すでに祖父母名義のまま相続登記がされていないケースがないか
- 兄弟姉妹がいる場合、実家に手を入れることについて事前に共有できているか
- リフォームローンを使う場合、金融機関が求める要件(所有者と債務者の関係、担保の要否)
特に3つ目は、金額の問題ではなく感情の問題になりやすいところです。将来の相続を見据えると、「誰がいくら出して、家がどうなったか」を記録として残しておくことが、後々の説明材料になります。
よくある質問
Q. 実家のリフォームで、住みながらが絶対に無理なのはどんな工事ですか
間取りを変えるために内部の壁や床を広範囲に解体する工事、いわゆるスケルトンリフォームに近い内容は、住みながらは現実的ではありません。リフォームガイドの解説でも、壁や床の大半を解体する広範囲の工事、構造部分の腐食やシロアリ被害の修繕、フルリノベーションと耐震工事の同時実施は仮住まいが必要とされています。逆に言えば、解体範囲を限定できる工事であれば、多くは住みながら進められます。どこまで解体するかは見積書の内訳を見れば判断できるので、契約前に確認してください。
Q. お風呂とトイレを同じ日に工事してもらうことはできますか
技術的には可能ですが、住みながらの場合はおすすめしにくい進め方です。両方が同時に止まると、その日は入浴もトイレも家の外に頼ることになります。工期全体は短くなりますが、その数日の負担は高齢の親にとって重くなりがちです。工期の短さと生活のしやすさはトレードオフになるという前提で、どちらを優先するか家族で決めてください。なお、業者側の都合で同日施工を提案されることもあるため、理由を聞いたうえで判断すると納得しやすくなります。
Q. 工事中は毎日、家に誰かいなければいけませんか
工事の内容によります。外装工事は在宅の必要性が低い工程が多い一方、内装や水回りは、仕上がりの確認や設備の位置決めで施主の判断を求められる場面が出てきます。すべての日に在宅する必要はありませんが、初日の打ち合わせ、設備を据え付ける日、完成確認の日は立ち会うのが望ましいとされています。親だけで判断が難しい内容がある場合は、その日に子が合わせて訪問する、あるいは電話で確認できる体制を整えておくと安心です。
Q. 子がリフォーム費用を出すと、必ず贈与税がかかりますか
必ずかかるとは限りません。国税庁のタックスアンサーNo.4557が示しているのは、親が対価を支払わない場合に親が利益を受けたものとして贈与税が課税されるという考え方であり、金額や工事の内容、持分の扱いによって結論は変わります。暦年課税には年間110万円の基礎控除もあります。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。この記事は一般的な考え方の整理であり、特定のケースについての税務判断ではありません。工事契約の前に相談しておくと、選べる方法が多く残ります。
Q. 仮住まいにすると工期はどのくらい短くなりますか
短くなる傾向はありますが、「何割短くなる」という一般的な数値を示した公的な統計は見つかりませんでした。短縮の幅は、工事の内容、家の広さ、職人の人数、部材の納期などで大きく変わります。たとえばユニットバスは受注生産のため納品まで時間がかかると説明されており、この待ち時間は住みながらかどうかに関係なく発生します。実務的には、同じ業者に「住みながらの場合」と「空き家状態の場合」の2通りの工程表と金額を出してもらい、その差を見て判断するのが最も確実です。
まとめ
実家を住みながらリフォームできるかどうかは、金額ではなく解体の範囲と、水回りが同時に止まる数で決まります。外壁塗装や屋根工事、1室ずつの内装、トイレ・キッチン・浴室の入れ替えは、不便はあっても住みながら進められる工事です。逆に、間取り変更を伴う全面改装は仮住まいを前提に考えるほうが現実的です。
備えるべきは、風呂が使えない数日から1週間、トイレが止まる半日から2日、キッチンが止まる2日から6日という具体的な期間です。銭湯や携帯トイレ、カセットコンロといった代替手段を工事日ごとに決めておけば、住みながらでも生活は回ります。工区を階や部屋で分け、水回りは1つずつ進めるのが基本の組み立てですが、足場を使う外装工事だけはまとめたほうが割安です。
そして実家ならではの論点が、名義と税金です。親名義の家のリフォーム費用を子が出すと、国税庁のタックスアンサーNo.4557が示すように贈与税が問題になる可能性があり、持分を移転して共有にする方法にも譲渡所得という別の論点がついてきます。結論を自己判断せず、契約前に税理士や税務署へ相談してください。工事の段取りと同じくらい、お金と名義の段取りが、実家リフォームの後悔を減らします。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

