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フローリングの張り替え費用は、6畳の居室で約9万〜20万円、既存の床の上に重ねる「重ね張り(上張り)」なら約5万〜15万円が一つの目安です。同じ「床のリフォーム」でも、既存の床をはがす張り替えと、はがさない重ね張りでは費用も工期も大きく変わります。そして最も大切なのは、床がきしむ・沈む場合は表面を張り替えても直らないことがあるという点です。この記事では、費用相場を畳数別・床材別に整理したうえで、下地やシロアリ被害の見分け方まで、公的機関や大手リフォーム情報サイトの公開データをもとに解説します。
フローリング張り替え費用の相場|6畳・8畳・LDKの目安
結論から書くと、フローリングのリフォーム費用は「広さ」「工法」「床材のグレード」の3つでほぼ決まります。6畳(約10㎡)の居室であれば、既存の床をはがして張り替える場合でおよそ9万〜20万円、上から重ねる重ね張りでおよそ5万〜15万円という価格帯を示すサイトが多く見られます。
ただし、この数字はあくまで「下地に問題がなく、標準的な複合フローリングを使う場合」の目安です。下地の補修が必要になったり、無垢材や防音フローリングを選んだりすると、同じ6畳でも30万円を超えることがあります。金額の幅が大きいのは、業者が手を抜いているからではなく、床という部位が「見えない部分の状態」に強く左右されるためです。
畳数別・工法別の費用相場
複数の情報サイトが公開している相場をまとめると、次のようになります。同じ畳数でもサイトによって数字がばらつきますが、これは「材料費のみか工事費込みか」「養生費や廃材処分費を含むか」「想定している床材のグレード」が各社で異なるためです。1社の数字だけを鵜呑みにせず、幅として捉えてください。
| 広さ | 張り替え(既存床を撤去) | 重ね張り(上張り) |
|---|---|---|
| 6畳(約10㎡) | 約9万〜20万円 | 約5万〜15万円 |
| 8畳(約13㎡) | 約10万〜25万円 | 約6万〜22万円 |
| 10畳(約16.5㎡) | 約15万〜30万円 | 約10万〜25万円 |
| 12畳(約20㎡) | 約19万〜30万円 | 約9万〜20万円 |
| 20畳(LDK想定・約33㎡) | 約30万〜45万円 | 約16万〜45万円 |
リショップナビでは6畳の張り替えを9万〜18万円、重ね張りを6万〜14万円としています。一方、くらしのマーケットマガジンでは6畳の張り替え(古材撤去あり)を14万6千〜19万5千円、上張りを4万9千〜9万7千円としており、上張りの下限がかなり低めです。この差は、上張りの見積もりに「既存床の点検」や「建具の調整」が含まれているかどうかで生じやすい部分です。
LDKなど広い部屋は「単価は下がるが総額は上がる」
広い部屋ほど㎡あたりの単価は下がる傾向があります。養生や職人の移動、材料の搬入といった固定的な手間が、面積に比例して増えるわけではないためです。ただし総額としては当然大きくなり、20畳のLDKで上張りをする場合の相場を、リフォームガイドは30万〜45万円前後としています。
また、LDKはキッチンや家具・家電の移動が発生します。システムキッチンや食器棚を一時的に動かす費用、冷蔵庫や洗濯機の移設費が別途かかるケースもあるため、見積もり時に「家具の移動は工事費に含まれるか」を必ず確認してください。同じ時期に内装をまとめて更新するなら、壁紙張り替えの費用(6畳)もあわせて検討すると、養生や職人の出入りを一度にまとめられます。
「張り替え」と「重ね張り」はどう違う?費用と適否の分かれ目
この記事で最も重要な分岐がここです。結論としては、床がしっかりしていて段差の許容ができるなら重ね張り、床がきしむ・沈む・水濡れの履歴があるなら張り替えという判断になります。安いからという理由だけで重ね張りを選ぶと、数年後にやり直しになることがあります。
工法の違いを整理する
張り替えは、既存のフローリングをはがして下地を露出させ、必要なら下地を補修してから新しい床材を張る工法です。重ね張り(上張り・カバー工法)は、既存の床をはがさず、その上に薄いフローリング材を接着・固定していく工法です。屋根のカバー工法と考え方は似ています。
| 比較項目 | 張り替え | 重ね張り(上張り) |
|---|---|---|
| 既存床の撤去 | あり | なし |
| 費用(6畳目安) | 約9万〜20万円 | 約5万〜15万円 |
| 工期の目安 | 2〜4日程度 | 1〜2日程度 |
| 下地の確認 | できる | できない |
| 廃材・処分費 | 発生する | ほぼ発生しない |
| 床の高さ | ほぼ変わらない | 約6〜13mm上がる |
| 向くケース | 床鳴り・沈み・水濡れ履歴あり | 表面の傷・色あせのみ |
重ね張りが安くなる理由
くらしのマーケットマガジンは、上張りが安い理由を「古いフローリング床材の上から重ねるため、床材の撤去代や廃棄代などが不要」と説明しています。逆に張り替えでは「古い床材の撤去にかかる費用だけでなく、下地調整代などもかかる」ため高くなります。つまり、重ね張りの安さは撤去と処分と下地調整という3つの工程を省略した結果であって、床材そのものが安いわけではありません。
SUUMOリフォームタイムズによれば、6畳(約10㎡)のフローリング重ね張りの工事費のみは約4万〜5万円、既存下地を利用した張り替えの工事費は約8万〜10万円とされています。工事費だけで見ると、およそ2倍の開きがあることになります。
重ね張りで起きやすい3つの不具合
安く早く終わる重ね張りにも、次のような注意点があります。契約前に業者へ確認しておきたい項目です。
- 床が数mm〜1cm程度上がるため、ドアの下端が擦る。開き戸や引き戸の削り調整が別途必要になることがある
- 敷居や畳との境目、廊下との取り合いに段差ができる。高齢者のいる家ではつまずきの原因になり得る
- 下地の状態を確認しないまま蓋をしてしまうため、下地の腐朽やシロアリ被害が進んでいた場合に発見が遅れる
3つ目が特に重要です。段差やドアの調整は費用をかければ解決できますが、下地の問題を見落とした重ね張りは、数年後に「床が沈む」という形で再発します。その時点では重ね張りした新しい床材も一緒に撤去することになり、結果として費用が二重にかかります。
床材別の費用単価・耐用年数と向いている場所
床材の選択は費用に直結します。結論としては、予算重視なら複合フローリングかフロアタイル、質感重視なら無垢フローリング、水回りならクッションフロアかフロアタイルという整理になります。
| 床材 | 材料の㎡単価目安 | 耐用年数の目安 | 向いている場所 |
|---|---|---|---|
| 複合フローリング(シート・突き板) | 約5,000〜8,000円 | 約10〜15年 | 居室全般・賃貸 |
| 複合フローリング(挽き板) | 約9,000〜15,000円 | 約10〜15年 | リビング |
| 防音フローリング | 約8,000〜10,000円 | 約10〜15年 | マンションの居室 |
| 無垢フローリング | 約7,000〜20,000円 | 約30年(メンテナンス前提) | リビング・寝室 |
| フロアタイル(塩ビ) | 材料6畳分で約1.4万〜3万円 | 約10年 | 玄関土間・廊下・居室 |
| クッションフロア(塩ビシート) | 材料1mあたり約1,000〜2,500円 | 約10年 | トイレ・洗面所・キッチン |
複合フローリング(合板フローリング)
合板の基材に、化粧シートや薄い天然木を貼った床材です。反りや割れが起きにくく品質が均一で、住宅で最も広く使われています。ハピすむは、シートタイプを約7,000円/㎡〜、突き板タイプを約8,000円/㎡〜、挽き板タイプを約9,000円/㎡〜とし、いずれも耐用年数の目安を約10年としています。
ただし「10年で必ず張り替えが必要になる」という意味ではありません。日当たり、歩行量、水濡れの有無で寿命は大きく変わります。SUUMOリフォームタイムズはフローリング全般の耐用年数を約10〜15年としており、実際には15年以上使っている家も珍しくありません。判断基準は年数よりも、後述する「きしみ」「沈み」「浮き」といった症状です。
無垢フローリング
一枚板から切り出した床材で、ハピすむは耐用年数の目安を約30年としています。表面を削り直す(サンディング)ことで再生できるのが最大の強みです。一方で、湿度による膨張・収縮があり、隙間や反りが出やすいという特徴もあります。
樹種によって価格差が大きく、SUUMOリフォームタイムズの材料費単価はパイン材が約7,000〜10,000円/㎡、オーク材が約9,000〜11,000円/㎡、チーク材が約12,000〜15,000円/㎡、ウォールナット材が約15,000〜20,000円/㎡です。6畳分でパイン材なら約7万〜10万円、ウォールナット材なら約15万〜20万円と、材料費だけで倍以上の開きが出ます。
フロアタイルとクッションフロア
どちらも塩化ビニル系の床材ですが、性格は異なります。くらしのマーケットマガジンによると、クッションフロアは厚み1.8mm程度が一般的なシート状の床材で、水濡れに強く価格が手ごろな反面、家具の跡が残りやすく耐久性は高くありません。トイレ・洗面所・キッチンなどの水回りに向くとされています。
フロアタイルはタイル状で硬く、傷に強く一枚ずつ部分交換ができるのが利点です。玄関土間や廊下、居室に向くとされます。クッション性がないため、素足で長時間立つ場所には不向きという評価もあります。洗面所の床を張り替えるタイミングは、洗面台交換の費用を検討する時期と重なりやすいため、まとめて計画すると解体・養生の手間を一度にまとめられます。
見積書に隠れやすい追加費用|撤去処分費・下地補修・建具調整
フローリングの見積もりで「思っていたより高い」となる原因のほとんどは、床材そのものではなく周辺工事です。結論として、床材代・施工費以外に少なくとも4項目の費用が乗ることを前提に予算を組んでください。
| 項目 | 内容 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 既存床の撤去・廃材処分 | 古いフローリングや畳をはがして運び出す | 張り替えでは必須。重ね張りでは不要 |
| 下地補修・下地調整 | 根太・大引・下地合板の補修や交換 | 根太と大引を交換して床を張り替えると約20万〜30万円 |
| 新規床組工事 | 畳下など、床組から作り直す場合 | 6畳で工事費が約18万〜30万円に上がる |
| 巾木の交換 | 壁と床の見切り材。張り替え時に傷むことが多い | 部屋の周長に応じて加算 |
| 建具(ドア)調整 | 重ね張りで床が上がった分の削り・調整 | 枚数に応じて加算 |
| 家具・家電の移動 | ベッド、食器棚、冷蔵庫などの一時移動 | 工事費に含まれるか要確認 |
特に差が大きいのが下地の扱いです。SUUMOリフォームタイムズは、6畳のフローリング張り替え工事費を「既存下地を利用する場合は約8万〜10万円」「新規に床組工事を行う場合は約18万〜30万円」としています。下地を作り直すかどうかで、工事費が2倍以上変わるということです。
そして、下地を作り直す必要があるかどうかは、既存の床をはがしてみないと確定しないことがあります。誠実な業者ほど「開けてみて下地が傷んでいたら追加になります」と事前に説明し、その場合の単価も見積書に書き込みます。逆に、現地調査もせずに電話や訪問だけで一式の総額を提示してくる場合は注意が必要です。見積書の読み方については、国土交通大臣指定の住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する住まいるダイヤルの見積書セルフチェックが参考になります。複数社を比較する際の考え方はリフォーム見積もり比較のポイントにまとめています。
床がきしむ・沈むときに張り替えだけで済まない判断基準
ここがこの記事で最もお伝えしたい部分です。結論から言えば、床の症状が「表面の劣化」か「構造の劣化」かを切り分けてから工法を決めるべきで、その切り分けは床下を見ないと確定しません。表面だけを張り替えても、原因が下地や土台にあれば数年で再発します。
表面の問題か、構造の問題かを分けるチェックポイント
次のうち上段に当てはまるなら表面の劣化が中心で、重ね張りでも対応できる可能性があります。下段に当てはまるなら、張り替え、場合によっては床組からの補修を前提に考えるべきです。
- 表面側のサイン:色あせ、細かい傷、ワックスのくすみ、表面の化粧シートのめくれ、家具の凹み跡
- 構造側のサイン:歩くと部分的にフワフワ・ブカブカする、体重をかけると数mm沈む、特定の場所で必ず鳴る、床と巾木の間に隙間ができた
- より深刻なサイン:ドアや引き戸の建て付けが悪くなった、ビー玉が一方向に転がる、床下や畳からカビ臭がする、水回りの床だけ柔らかい
床鳴りのすべてが構造の問題というわけではありません。株式会社ALTは、床の沈みの原因として接着剤の劣化(補修費用は数千円程度)、束石や床束のゆるみ(1カ所につき数千円程度)といった軽微なケースも挙げています。一方で、根太と大引を交換して床を張り替える場合は約20万〜30万円とされており、原因によって桁が変わります。
シロアリ被害を疑うサイン
床が沈む原因のひとつがシロアリによる木部の食害です。ハピすむは、シロアリ被害に特有のサインとして次のような点を挙げています。
- 春から初夏にかけて、家の周りで羽アリを見かける
- ドアを閉めるときに建て付けが悪いと感じる
- 床下や基礎に「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる泥の筋ができている
- 大量のフンが落ちている(アメリカカンザイシロアリの場合)
シロアリ被害が確認された場合の修理は、床材の撤去、床下地材の交換、駆除、床の張り替えという順序になります。つまり床の工事と駆除の工事がセットになるため、床だけを見た見積もりでは収まりません。
駆除費用の目安として、ハピすむはバリア工法(薬剤散布)を約2,500〜3,000円/㎡、ベイト工法(毒餌設置)を一棟あたり約15万〜30万円としています。株式会社ALTは薬剤散布を1㎡あたり1,000〜2,000円、ベイト工法を建物の外周1mあたり約6,500円としており、こちらも幅があります。数字がばらつくのは、施工面積の数え方(床面積か施工可能面積か)と、保証の有無・年数が業者ごとに違うためです。
なお、シロアリ防除の薬剤は永久に効くものではありません。シロアリ防除会社のアサンテは、近年の薬剤は環境負荷が小さくなった反面「薬剤効力は5年程度」となっており、公益社団法人日本しろあり対策協会でも5年を目処にシロアリ予防を行うことが推奨されている、と説明しています。前回の防除から5年以上が経過している戸建てで床に違和感がある場合は、床材の話より先に床下の話をした方が合理的です。
床下点検を先に行う価値と費用
床の張り替えを検討する段階で床下を確認しておくと、工法の判断が一気に楽になります。ハピすむによれば、床下点検の費用は無料または約5,000〜8,000円、床下点検口の新設は約3万〜5万円が目安です。床下点検口がない家では、この機会に設けておくと今後のメンテナンスがしやすくなります。
湿気が原因で下地が傷んでいる場合、床下の湿気対策工事は約20万〜50万円という水準が示されています。床の張り替え費用と同等かそれ以上になることもあるため、「床の見た目を直したい」という当初の目的と、「建物を長持ちさせたい」という目的を分けて考える必要があります。築年数が進んだ住宅でどこまで手を入れるかの考え方は、築20年のリフォーム費用相場や築30年のリフォームはどこまで必要かもあわせてご覧ください。
「無料の床下点検」をきっかけにした点検商法に注意
床下は住人が自分で確認しにくい場所です。そのため、点検を口実にした訪問販売のトラブルが起きやすい領域でもあります。国民生活センターの集計では、点検商法に関する相談件数は2023年度が12,550件、2024年度が19,249件、2025年度が19,696件と増加しています(いずれも2026年5月31日登録分までの集計で、未確定の数値です)。
床下点検そのものは有用ですが、「今すぐ工事しないと家が倒れる」「今日契約すれば割引」といった急がせ方をされた場合は、その場で契約しないことをおすすめします。訪問販売による契約には特定商取引法に基づくクーリング・オフ(法定書面の受領日から8日間)の制度があります。詳しくは消費者庁の特定商取引法ガイドと国民生活センターの点検商法に関する相談状況をご確認ください。
畳からフローリングにする場合の費用と注意点
和室をフローリングにしたいという相談は多く、費用は6畳で約9万〜26万円と幅があります。同じ6畳でも金額が倍以上違うのは、下地をどこまで作るかが物件ごとに異なるためです。
リショップナビは畳からフローリングへの変更費用を6畳で約9万〜18万円、8畳で約12万〜24万円、10畳で約15万〜30万円としています。リフォームガイドは畳から6畳のフローリングへの張り替えを18万〜26万円としており、こちらはやや高めの想定です。
畳の厚み分を埋める下地組みが別途必要になる
畳の厚みは一般に55〜60mm程度あり、フローリングの厚み(12mm前後)とは大きな差があります。畳を撤去すると、その分だけ床が下がってしまうため、根太を組んで下地合板を張り、高さを調整する工事が必要になります。これが畳からフローリングへの変更で費用が上振れする最大の理由です。
SUUMOリフォームタイムズは、畳から複合フローリングへ変える6畳の総費用を「既存下地を利用できる場合は約13万〜16万円」「新規床組工事が必要な場合は約23万〜36万円」としています。工期はリショップナビの事例で1〜5日程度、他の工事と組み合わせる場合は5日以上とされています。
あわせて検討したいのが、和室特有の内装です。畳をフローリングにすると、砂壁や京壁、鴨居・敷居との取り合いが目立つようになります。壁も同時に洋室仕様にする場合は追加費用がかかるため、和室の洋室化は「床だけ」ではなく「部屋全体」の見積もりで考えることをおすすめします。
マンションは管理規約の遮音等級で工法が決まる
マンションでフローリングを張り替える場合、費用よりも先に確認すべきなのが管理規約です。規約の内容によっては、希望する床材が使えなかったり、そもそも工事の許可が下りなかったりします。
遮音等級の指定がある物件が多い
公益社団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営するリフォネットは、マンションのフローリング改修について、LL-60、LL-55、LL-50、LL-45、LL-40といった遮音性能が規約で規定されており、LL-45以上の遮音等級が求められることが多いと解説しています。また、共用部分の変更には管理組合の承認が必須であるとしています。
床の下地(スラブ)は共用部分にあたるため、たとえ自分の部屋の中でも、勝手に工法を決められないという点が戸建てとの大きな違いです。工事の着工前に管理組合へ申請書を提出し、承認を得る手順が必要な物件がほとんどです。
LL等級とΔL等級という2つの表示があることに注意
床材のカタログを見ると、古い表記の「LL-45」と、新しい表記の「ΔLL(I)-4」のような2種類が出てきて混乱しがちです。日本複合・防音床材工業会(JAFMA)は、旧来の推定L等級表示は「空間の性能と混同されやすく、利用者の誤解を招くおそれがあった」ため表示方法を変更したと説明しており、直貼り防音フローリングで従来LL-45とされていた製品の多くは、新表示ではおおむねΔLL(I)-4に相当するとしています。
管理規約が古いままで「LL-45以上」と書かれているケースは珍しくありません。その場合は、規約の文言と新表示のどちらで判断するかを管理組合に確認し、書面で回答をもらっておくと後々のトラブルを避けやすくなります。これは効果を保証するものではありませんが、上下階の音のトラブルは金額に換算しにくい負担になるため、慎重に進める価値があります。
なお、遮音性能を満たす防音フローリングは通常のフローリングより単価が高くなります。SUUMOリフォームタイムズの材料費単価は約8,000〜10,000円/㎡で、6畳分では約8万〜10万円です。マンションの張り替え費用が戸建てより高めになりやすいのは、この材料費の差が理由のひとつです。
床の断熱リフォームと補助金・費用を抑えるコツ
床を張り替えるタイミングは、床下に断熱材を入れる数少ない好機です。結論として、床の断熱改修は国の補助制度の対象になり得ますが、制度は年度ごとに内容も予算も変わるため、必ず着工前に最新の公式情報を確認してください。
床の断熱改修が補助対象になり得る制度
2026年9月時点で公式サイトが公開されている「住宅省エネ2026キャンペーン みらいエコ住宅2026事業」では、リフォーム部門の対象工事として、開口部(窓・ドア)の断熱改修に加えて、躯体(外壁・屋根/天井・床)の断熱改修が掲げられています。床の断熱改修については、断熱材の使用量(㎥)に断熱性能の区分に応じた単価を乗じて補助額を算出する方式が示されており、公式サイト上では性能区分Fで62,000円/㎥、Eで48,000円/㎥、Dで27,000円/㎥、C・B・A-2・A-1で25,000円/㎥と記載されています。
ただし、注意すべき点がいくつかあります。第一に、補助の対象は断熱材そのものであって、フローリングの張り替え費用が丸ごと補助されるわけではありません。第二に、同事業のリフォーム部門は「予算上限(100%)に達し次第、交付申請(予約を含む)の受付を終了」とされており、年度途中で締め切られる可能性があります。第三に、申請は原則として登録された事業者が行うため、依頼先の業者が登録事業者かどうかを確認する必要があります。
制度の詳細や併用可否は年度によって変わります。着工前にみらいエコ住宅2026事業の公式サイトで最新の要件をご確認ください。自治体独自の助成制度が併用できる場合もあるため、他の制度と合わせてリフォーム補助金の一覧も参考にしてください。
費用を抑えるために現実的な5つの方法
効果には個人差がありますが、次のような進め方で総額を抑えられる可能性があります。
- 複数の部屋をまとめて依頼する。養生・搬入・職人の出役が一度で済むため、部屋ごとに分けて発注するより単価が下がりやすい
- 床が健全であることを確認したうえで重ね張りを選ぶ。撤去・処分・下地調整の3工程を省ける
- 床材のグレードを場所で使い分ける。人目に触れるリビングは質感重視、寝室や納戸は標準グレードにするなど
- 壁紙の張り替えなど、同時にやる工事とまとめる。家具の移動が一度で済む
- 相見積もりを2〜3社取り、単価と数量の内訳が書かれているかを比べる。「床工事一式」だけの見積書は比較できない
逆に、おすすめしにくい節約方法もあります。床鳴りや沈みがあるのに原因調査を省いて重ね張りだけで済ませること、極端に安い1社だけの見積もりで即決すること、DIYで下地ごと触ることの3つです。特に3つ目は、下地の構造を誤って傷めると、後の補修費が張り替え費用を上回ることがあります。
よくある質問
Q. フローリングは何年で張り替えるべきですか?
年数で機械的に決めるものではありません。SUUMOリフォームタイムズはフローリングの耐用年数を約10〜15年、ハピすむは合板フローリングを約10年、無垢フローリングを約30年としていますが、これは使用環境で大きく変わります。判断の目安は、表面の化粧材のめくれ、部分的な浮きやきしみ、歩いたときの沈みといった症状が出たかどうかです。見た目がきれいでも沈みがあるなら早めに、逆に色あせだけなら急ぐ必要はない、という考え方が現実的です。
Q. 重ね張りは何回までできますか?
回数の上限を定めた公的な基準は見つかりませんでした。実務上は「1回まで」と説明する業者が多く、理由は床の高さが上がること、荷重が増えること、下地の状態が確認できないまま層が重なることの3点です。すでに一度重ね張りをしている床にさらに重ねる場合は、まず既存の層構成と床組の状態を確認してもらってください。段差やドアの干渉が許容できない場合も、重ね張りではなく張り替えを選ぶことになります。
Q. 部分的な張り替えはできますか?
傷んだ範囲だけを張り替えることは技術的には可能です。ただし、既存と同じ品番の床材が廃番になっていることが多く、色や柄が合わずに補修跡が目立つ可能性があります。フロアタイルは1枚単位で交換しやすい床材とされており、部分補修との相性は比較的良好です。無垢フローリングは表面を削って再仕上げできるため、傷や汚れの程度によっては張り替えずに済む場合もあります。
Q. 工事中は家に住み続けられますか?
1部屋ずつ進める場合は、住みながらの施工が一般的です。6畳の重ね張りなら1〜2日、張り替えでも2〜4日程度が目安で、リショップナビの畳からフローリングへの事例では1〜5日程度とされています。ただし、家具をすべて別室へ移す必要があること、接着剤の匂いが残ること、施工中はその部屋が使えないことは想定しておいてください。LDK全体を一度に張り替える場合は、一時的に生活動線が使えなくなるため、工程を分けてもらう相談も有効です。
Q. 床がフワフワするのですが、張り替えれば直りますか?
原因によります。表層の合板が湿気や経年で剥離しているだけなら張り替えで改善しますが、根太や大引、土台が腐朽している場合や、シロアリの食害がある場合は、表面を張り替えても再発します。株式会社ALTは、根太と大引を交換して床を張り替える場合の費用を約20万〜30万円としており、表層だけの工事とは費用の桁が変わります。まずは床下点検で原因を特定してから工法を決めてください。点検費用はハピすむによれば無料または約5,000〜8,000円、床下点検口の新設は約3万〜5万円が目安です。
まとめ
フローリング張り替えの費用は、6畳で張り替えが約9万〜20万円、重ね張りが約5万〜15万円という幅が一つの目安です。金額が動く要因は、工法(撤去の有無)、床材のグレード、そして下地の状態の3つに集約されます。
- 重ね張りは撤去・処分・下地調整を省くため安いが、下地の問題を隠してしまうリスクがある
- 床材は複合フローリングが約10〜15年、無垢が約30年(ハピすむ・SUUMOの目安)。水回りはクッションフロアやフロアタイルも選択肢
- 下地を作り直すかどうかで工事費は2倍以上変わる。6畳で既存下地利用なら約8万〜10万円、新規床組なら約18万〜30万円
- きしみ・沈み・建て付けの悪化があるなら、床材の話より先に床下点検。シロアリ防除の薬剤効力は5年程度が目安
- マンションは管理規約の遮音等級(LL-45以上など)を先に確認する
- 床の断熱改修は補助制度の対象になり得るが、予算上限に達すると受付終了。必ず着工前に公式サイトで最新情報を確認する
床は毎日足で触れる場所であり、同時に建物の傷みが最初に表れる場所でもあります。見た目を新しくすることと、建物を長持ちさせることは別の目的です。相見積もりを取る際は、金額の安さだけでなく「下地をどう確認したか」「追加が出る条件を書いているか」を比べてみてください。それが、数年後にもう一度同じ工事をしなくて済むかどうかの分かれ目になります。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

