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6畳の部屋の壁紙(クロス)を張り替える費用は、壁だけなら3万〜7万円、天井まで含めると4万〜9万円が一つの目安です。金額が2倍近く動く最大の理由は、グレードの違いよりも「実際に何平米(㎡)張るのか」です。ここを取り違えたまま見積書を見ると、高いのか安いのか判断できません。この記事では、6畳のクロス面積の正しい出し方、平米単価の幅が生まれる理由、安い広告価格に含まれないもの、そして賃貸の原状回復で壁紙代を請求されたときの考え方までを、出典を示しながら整理します。
6畳の壁紙張り替え費用の相場は3万〜9万円が目安
結論から書くと、6畳1部屋のクロス張り替えは3万円台から9万円程度までの幅に収まることが多く、その中でも「壁のみ・量産品クロス」が最も安く、「壁+天井・1000番台クロス」が最も高くなります。
リフォーム会社紹介サイトのリフォトル(TOPPAN運営)は、6畳の壁面積を約25〜30㎡としたうえで、量産品クロスで約3万〜6万円、1000番台クロスで約4.5万〜7万円という目安を示しています。一方、カウカモジャーナルは6畳で4万〜7万円、インテリアエージェントは6畳の洋室で量産品45,000〜70,000円・ハイグレード60,000〜85,000円としています。
数字がサイトごとにばらつくのは、いい加減だからではありません。「天井を含むか」「開口部を差し引くか」「剥がし・処分費を単価に含めるか」という前提が各社で違うためです。この記事では、その前提の違いを一つずつ分解していきます。
| 条件 | 施工面積の目安 | 量産品クロス | 1000番台クロス |
|---|---|---|---|
| 壁のみ | 約25〜30㎡ | 約3万〜6万円 | 約4.5万〜7万円 |
| 壁+天井 | 約33〜40㎡ | 約4万〜7万円 | 約6万〜8.5万円 |
| 壁1面のみ(アクセント) | 約6〜9㎡ | 約2万〜3万円 | 約2.5万〜3.5万円 |
なお「壁1面のみ」の工事は、面積が小さいわりに割高に見えます。これは後述する職人の手間が1日単位でかかるという構造によるものです。ミツモアも、リビング壁1面のアクセントクロスで約3万円という事例を紹介しています。
最重要:6畳のクロス面積は「10㎡」ではない
この記事で一番お伝えしたいのはここです。6畳の床面積はおよそ9〜11㎡ですが、張り替えるクロスの面積はその3倍以上になります。「6畳=約10㎡だから、1㎡1,000円なら1万円で終わるはず」という計算は、根本的に間違っています。
まず、6畳の床面積そのものが地域で違う
「6畳」は全国共通のサイズではありません。畳の規格が地域によって異なるためです。CHINTAI情報局によれば、1畳あたりの面積と6畳の面積は次のように変わります。
| 畳の規格 | 1畳の寸法 | 1畳の面積 | 6畳の床面積 | 主な地域 |
|---|---|---|---|---|
| 京間(本間・関西間) | 191.0cm×95.5cm | 1.82㎡ | 約10.94㎡ | 関西・中国・四国・九州 |
| 中京間(三六間) | 182cm×91cm | 1.65㎡ | 約9.93㎡ | 愛知・岐阜・三重 |
| 江戸間(関東間) | 176cm×87.8cm | 1.54㎡ | 約9.27㎡ | 関東・静岡以北 |
| 団地間(五六間) | 170cm×85cm | 1.44㎡ | 約8.67㎡ | 公共団地・アパート等 |
同じ「6畳」でも、京間と団地間では約2.27㎡(1畳分以上)の差があります。また、不動産広告では不動産公正取引協議会の規約により1畳あたり1.62㎡以上として表示することが定められている、と同ページは説明しています。つまり広告上の「6畳」は最低でも約9.72㎡ということになります。
壁だけでも床面積の2.5〜3.0倍
クロスを張るのは床ではなく壁と天井です。リフォトルは、概算の目安として「床面積×2.5〜3.0倍」という係数を示しています。同ページの表でも6畳の壁面積は約25〜30㎡とされており、床面積約9.9㎡に対しておおむね2.5〜3.0倍という計算と整合します。
この係数がどこから来るのか、江戸間6畳で実際に計算してみます。江戸間6畳は3.52m×2.634mですから、部屋の周囲の長さは(3.52+2.634)×2=約12.31mです。天井高を2.4mとすると、壁の総面積は12.31×2.4=約29.5㎡。ここから出入口ドア(約1.7㎡)、窓(約1.6㎡)、押入れの建具(約3.2㎡)などの開口部を差し引くと、実際に張る面積は約23㎡まで下がります。
つまり「2.5〜3.0倍」という幅の正体は、大部分が開口部を引くか引かないかです。窓が2つある部屋と、窓がなく壁が続く部屋とでは、同じ6畳でも施工面積が5㎡近く変わります。
天井を含めると床面積の3.5〜4倍前後になる
天井のクロスも張り替える場合、床面積とほぼ同じ面積(江戸間6畳なら約9.3㎡)が上乗せされます。先ほどの計算に天井を足すと、江戸間6畳の壁+天井は約32〜39㎡。床面積9.27㎡に対しておおよそ3.5〜4.2倍という計算になります。
京間6畳(10.94㎡)なら壁+天井で約43㎡、団地間6畳(8.67㎡)なら約37㎡です。京間と団地間では6㎡前後の差があり、平米単価1,200円なら7,000円強の差になります。「6畳だから相場はこのくらい」と決めつけられない理由がここにあります。
| 畳規格(6畳) | 床面積 | 壁のみ(開口部控除前) | 壁+天井(開口部控除前) | 床面積に対する倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 京間 | 約10.94㎡ | 約32.1㎡ | 約43.0㎡ | 約3.9倍 |
| 中京間 | 約9.93㎡ | 約30.4㎡ | 約40.3㎡ | 約4.1倍 |
| 江戸間 | 約9.27㎡ | 約29.5㎡ | 約38.8㎡ | 約4.2倍 |
| 団地間 | 約8.67㎡ | 約28.6㎡ | 約37.2㎡ | 約4.3倍 |
なお天井高について、居室の天井の高さは建築基準法施行令第21条で「二・一メートル以上でなければならない」と定められています。実務では2.4m前後で計算されることが多いのですが、日本の住宅の平均天井高を示す公的な統計は見つかりませんでした。正確な面積を知りたい場合は、メジャーで実際の天井高を測ってください。天井高が2.4mから2.5mになるだけで、6畳の壁面積は1.2㎡ほど増えます。
「平米単価」と「メートル単価」で見積額が変わる
見積書には㎡(平米)単位のものと、m(メートル)単位のものがあります。ホームプロは、メートル単価は幅0.9mのクロスが何メートル必要かで計算するため、平米単価とは面積の出方が違うと説明しています。インテリアエージェントは、同じ「1,000円」という単価でも10㎡なら平米単価で10,000円、メートル単価では11,100円になると具体例を挙げています。
実際、賃貸の空室工事を扱う大家さんの内装屋は、6帖の実例として部屋全体41.63㎡から開口部8.3㎡を引いて33.33㎡とし、それを0.9で割って約37mと換算する手順を公開しています。単価だけを見比べても意味がなく、必ず「単価×数量」の合計で比べる必要があります。
クロスのグレード別・平米単価の相場と、幅が生まれる理由
クロスの平米単価は、材工共(材料費+施工費)でおおむね800円〜1,800円の幅に収まります。この幅はグレードの違いと、単価に何が含まれているかの違いの両方から生じます。
| グレード | 平米単価の目安(材工共) | 特徴 |
|---|---|---|
| 量産品クロス(スタンダード) | 約700〜1,300円/㎡ | 白・アイボリー系の無地や微細な織物調が中心。賃貸や量産住宅で最も多く使われる |
| 1000番台クロス(ハイグレード) | 約950〜1,800円/㎡ | 柄・色・質感の選択肢が広い。厚みがあり下地を拾いにくい製品もある |
| 機能性クロス(消臭・防カビ・表面強化など) | 1000番台の帯域の上限寄り | ペット対応、汚れ防止、吸放湿など。カタログ上は1000番台に含まれることが多い |
| 紙・布・オレフィンなど非ビニル系 | 約1,500〜3,300円/㎡ | 素材そのものが高価。施工難度も上がる |
量産品と1000番台の差は、リフォトルによれば1㎡あたり150〜400円程度です。6畳の壁+天井を35㎡とすると、差額は5,250円〜14,000円。1部屋だけならグレードを上げても数千円から1万円台の差にとどまります。家じゅう全部となれば話は別ですが、6畳1部屋のリビング隣室などであれば、ここで無理に節約する必要は薄いといえます。
ちなみに「1000番台」という呼び方は、メーカーの見本帳の価格帯を表す慣習的な区分です。量産品クロスは「量産(りょうさん)」「スタンダードクロス」などと呼ばれ、少ない品番を大量生産することで単価を下げています。品質が劣るという意味ではなく、選べる柄の数と厚み・機能の差と捉えるのが実態に近い理解です。
「1㎡◯◯円」の安い広告価格に含まれていないもの
「クロス張り替え1㎡800円」といった広告を見かけますが、この価格に既存クロスの剥がし・下地処理・処分費・養生・家具移動が含まれていないケースがあります。含まれていない場合、最終的な支払額は広告価格の1.5倍前後になることも珍しくありません。
| 項目 | 費用の目安 | 単価に含まれることが多いか |
|---|---|---|
| 既存クロスの剥がし・撤去 | 約150〜200円/㎡〜 | 業者により分かれる |
| 下地調整(パテ処理) | 約200〜400円/㎡〜 | 別計上が多い。状態次第で発生しないこともある |
| 既存クロスの処分費 | 約300円/㎡〜、または1部屋3,000〜8,000円 | 別計上が多い |
| 養生費 | 一式5,000円〜 | 別計上が多い |
| 家具移動費 | 一式5,000円〜、1部屋3,000〜10,000円 | 別計上。大型家具は10,000〜15,000円という目安も |
| 高所作業費(天井高2.5m超) | 約200〜500円/㎡ | 別計上 |
| 諸経費 | 6畳で約0.5万〜1万円 | 別計上 |
下地処理(パテ)は事前に金額が読みにくい
クロスを剥がすと、その下の石膏ボードの状態が初めて分かります。ビスの頭が出ている、ボードの継ぎ目が段差になっている、以前の張り替えで裏紙が荒れている、といった場合はパテで平滑にしてからでないときれいに張れません。
リフォームガイドは下地費を400円/㎡〜としていますが、これは「必ずしも発生しない場合もある」費用です。逆に言えば、剥がしてみないと確定しません。見積段階で「下地補修が必要になった場合の単価」を書面で確認しておくと、追加請求で揉めにくくなります。
最低施工面積・最低料金の設定にも注意
業者によっては「最低20㎡から」「1回の出張につき最低◯円」といった条件を設けている場合があります。ただし、最低施工面積や最低料金の一般的な相場を明示した信頼できる資料は見つかりませんでした。各社の設定はまちまちなので、問い合わせ時に「最低施工面積はありますか」「6畳1部屋だけでも受けてもらえますか」と直接確認するのが確実です。
6畳1部屋だけ頼むと割高になる構造的な理由
結論として、クロス工事は「面積あたりの単価」よりも「1日いくらの職人を何日押さえるか」で原価が決まる部分が大きいため、1部屋だけの発注はどうしても割高になります。
6畳1部屋の工期は、リフォームガイドによれば1日程度です。剥がれにくいクロスや下地補修が必要な場合、特殊な壁紙や障害物が多い場合は半日〜1日程度延びるとされています。つまり6畳1部屋でも、職人の稼働は1日分を確保する必要があります。
その1日の中には、次のような「面積に比例しない作業」が必ず含まれます。
- 現場までの移動と資材の搬入・搬出
- 床と建具、残置家具の養生
- クロスの糊付け機のセッティングと片付け
- 剥がしたクロスの梱包と持ち帰り、処分
- コンセントプレート等の脱着
これらは6畳でも12畳でもほぼ同じ手間です。だから施工面積が2倍になっても総額は2倍にならず、平米あたりの単価は面積が広いほど下がっていきます。実際、リフォトルの相場表を面積で割ると、6畳(約25〜30㎡)より20畳(約83〜99㎡)のほうが平米単価は明らかに低くなります。
まとめて頼むか、他工事と同時にするか
費用対効果を上げる現実的な方法は3つです。
- 複数の部屋をまとめて発注する:廊下・階段・トイレなど、気になっていた場所を同時に頼むと1日あたりの施工量が増え、割安になりやすくなります
- 床の張り替えと同時に行う:クロスと床を同時に施工すると養生や家具移動が1回で済みます。段取りとしては床より先にクロスを張るのが一般的です。費用感はフローリング張り替えの費用もあわせて確認してください
- 設備の入れ替えとタイミングを合わせる:洗面台やキッチンを交換すると、撤去後の壁にクロスの日焼け跡や欠損が出ます。先に設備を入れ替えてからクロスを張ると仕上がりがきれいです。洗面台交換の費用やキッチンリフォームの費用相場も参考になります
とくに築20年前後の住宅では、クロスだけでなく設備・水回りの更新時期も重なりがちです。全体の優先順位を先に決めておくと無駄が減ります。築20年のリフォーム費用相場で、他にどこにお金がかかるのかを確認してから計画を立てるのがおすすめです。
DIYと業者依頼の比較:差額は約3万円、リスクは下地
6畳のクロス張り替えをDIYした場合、材料費と道具代で1.5万〜3万円程度が目安です。業者に頼む場合との差額はおおよそ3万円前後になります。
DIY用品を扱うRESTA DIY教室は、6畳1室の比較として業者依頼が柄なし47,300円〜・柄あり52,800円〜、DIY材料費が柄なし14,971円〜・柄あり22,396円〜とし、差額は約30,000円としています。同ページは6畳1室に必要な生のり付き壁紙の量を壁面30m・天井面12mとし、単価は柄なし225円/m〜、柄あり495円/m〜、道具と下地処理に約5,000円としています。
一方、LIFULL HOME’S 不動産投資は、6畳の壁面積を約30㎡としたうえで、余裕をみて35㎡分の購入を推奨し、道具一式3,000〜5,000円、合計2万5,000円程度としています。作業時間は準備から仕上げまで半日〜1日、内訳は古い壁紙剥がしと下地処理で2〜3時間、貼り付けに3〜4時間、仕上げに1〜2時間、パテが必要ならさらに1日としています。
| 比較項目 | DIY | 業者依頼 |
|---|---|---|
| 6畳1室の費用目安 | 約1.5万〜3万円 | 約4万〜9万円 |
| 作業時間 | 半日〜1日(パテ乾燥で+1日) | 1日程度(状況により+半日〜1日) |
| 失敗時のリスク | 浮き・継ぎ目の開き・下地の破損。やり直しで材料費が二重に | 施工不良は原則やり直しを求められる |
| 向いているケース | 壁1面のアクセント、下地が良好な部屋、失敗を許容できる場所 | 天井を含む、下地が傷んでいる、仕上がり重視 |
DIYで最も失敗が起きやすいのは天井と下地処理です。前掲のLIFULL HOME’S 不動産投資は、失敗しやすいポイントとして「壁紙が浮く(下地処理や刷毛がけの不足)」「天井との境目に隙間ができる(カット方法が不適切)」を挙げています。天井は真上を向いたまま重いクロスを支える作業で、体力的にも技術的にも壁より難度が上がります。
加えて、古いクロスを剥がすときに石膏ボードの表面紙まで一緒に剥がしてしまうと、下地の補修範囲が広がります。DIYで浮いた3万円が、下地のやり直しで消える可能性は現実的にあります。壁1面だけ試してみて、感触を掴んでから全面に進む、という進め方が安全です。
【独自】賃貸の原状回復で壁紙代を全額請求されたときの考え方
ここからは持ち家のリフォームとは別の話ですが、知っておくと家族を守れる論点です。賃貸住宅の退去時にクロス張り替え費用を全額請求されても、そのまま支払う必要があるとは限りません。国土交通省のガイドラインは、経過年数に応じて借主の負担割合が下がる考え方を示しています。
クロスの耐用年数は6年、残存価値は1円まで下がる
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」は、クロスの耐用年数を6年とし、「6年で残存価値1円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する」としています。この6年という数字は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の減価割合を参考に設定されたものだと同ガイドラインは説明しています。
具体的な計算例は、国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料(令和5年3月)に示されています。入居時に張り替えられたクロスで4年経過した場合の借主負担割合は「1-4/6=1/3(33.3%)」です。さらに同資料は、耐用年数6年を過ぎている場合「賃借人の負担割合は1円(≒0%)になります」と明記しています。
| 入居期間(クロス張替後の経過年数) | 借主の負担割合の考え方 |
|---|---|
| 1年 | 1-1/6=約83.3% |
| 2年 | 1-2/6=約66.7% |
| 3年 | 1-3/6=50% |
| 4年 | 1-4/6=約33.3% |
| 5年 | 1-5/6=約16.7% |
| 6年以上 | 残存価値1円(≒0%) |
ただし、耐用年数を超えていれば何をしてもよいわけではありません。参考資料は、故意にクロスへ落書きを行った場合などは「一定の費用負担を求められることがあります」としています。
通常損耗は借主の負担ではない
ガイドラインは、経年変化と通常損耗については原状回復義務がないという立場を取っています。壁について通常損耗の例として挙げられているのは次のようなものです。
- 壁に貼ったポスターや絵画の跡
- テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気焼け)
- 壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えが不要な程度のもの)
反対に、故意・過失として借主負担になりうる例には、クロスへの落書きや、喫煙によって生じた臭い・変色が挙げられています。喫煙については「当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、当該居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担」とされており、部屋全体に及んでいるかどうかが判断の分かれ目になります。
請求単位は「㎡」が原則、広くても「一面分」まで
もう一つ重要なのが施工単位です。ガイドラインは「㎡単位が望ましい」としたうえで、補修箇所だけ色のトーンが変わってしまう問題を踏まえ、「賃借人が毀損させた箇所を含む一面分までは張替費用を賃借人負担」とすることを妥当としています。経過年数を考慮すれば金銭的な負担は不当なものにならない、という説明です。
逆に言えば、壁1面の一部を汚しただけで部屋全体4面+天井の張り替え費用を全額請求されるのは、ガイドラインの考え方とは整合しません。請求書を受け取ったら、次の3点を確認してください。
- 前回クロスを張り替えたのはいつか(入居時か、それ以前か。経過年数の起点になります)
- 請求範囲は毀損箇所を含む一面までか、部屋全体か
- 経過年数による減価が反映されているか(全額請求なら反映されていない可能性があります)
なお、このガイドラインは法律ではなく、当事者間の紛争を未然に防ぐための指針です。契約書に特約がある場合の扱いは個別判断になります。金額が大きい場合や話し合いがまとまらない場合は、お住まいの自治体の消費生活センターや、国民生活センターに相談する方法があります。持ち家の方も、お子さん世代の退去時に同じ請求が来ることがありますので、この考え方は覚えておいて損はありません。
見積書のどこを見れば適正か判断できるか
クロス工事の見積書で最初に見るべきは金額の大小ではなく、数量(㎡またはm)が具体的に書かれているかです。ここが「一式」になっていると、高いか安いかを検証する手立てがありません。
国土交通大臣指定の住宅リフォーム紛争処理支援センターが運営する住まいるダイヤルも、見積書チェックのポイントとして「工事箇所、数量、仕様や単価を確認しましょう」「複数の事業者からとりましょう」「工事範囲を必ず再確認しましょう」を挙げています。契約は金額についても合意したとみなされる、という指摘も同ページに書かれています。
確認したい5つのポイント
- 数量の単位と数字:㎡かmか、天井を含む数量か。自分で概算した面積と大きくずれていないか
- クロスの品番:メーカー名と品番が書かれていれば、後から仕様違いで揉めません
- 剥がし・処分・下地調整の扱い:単価込みか別行か。別行なら単価はいくらか
- 下地補修が追加で必要になった場合の単価:着工後の追加請求を防ぐため、事前に書面で
- 諸経費の内訳:現場管理費だけなのか、一般管理費まで含むのかで割合が大きく変わります
複数社から見積もりを取る際は、「壁のみ/壁+天井」「クロスのグレード」「剥がし・処分の有無」の3つの条件を全社で揃えることが必須です。条件が違う見積書を金額だけで比べても、安いほうが得とは限りません。比較の進め方はリフォーム見積もり比較のポイントにまとめています。
また、内装工事は金額が小さいぶん、訪問販売のきっかけとして使われることもあります。国民生活センターの点検商法に関する相談件数は、2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件と増加しています(いずれも2026年5月31日登録分までの集計で、数値は未確定です)。突然訪問してきて「今日契約すれば安くする」と迫る相手には、その場で判断しないことが基本です。判断材料は悪徳業者の見分け方にまとめています。
よくある質問
Q. 6畳の壁紙を張り替えるのに、何メートル分のクロスが必要ですか
A. 壁のみなら30m前後、天井を含めると40m強が一つの目安です。RESTA DIY教室は6畳1室で壁面30m・天井面12mとしています。大家さんの内装屋は6帖の実例で開口部を引いた33.33㎡を0.9で割り約37mと換算しています。DIYの場合は柄合わせと切り代のぶん、必要量の1.1〜1.2倍程度を購入しておくと安心です。
Q. 天井のクロスも一緒に張り替えたほうがよいですか
A. 費用は上がりますが、仕上がりを重視するなら同時が無難です。壁だけを新しくすると、天井の日焼けや汚れが目立って見えることがあります。6畳の天井は約9〜11㎡ですから、平米単価1,000〜1,500円なら1万〜1.6万円程度の上乗せが目安です。すでに職人が現場に入っている状態での追加なので、後日あらためて天井だけ頼むより割安になります。ただし喫煙や結露がなく天井がきれいな場合は、壁だけで十分なこともあります。
Q. 工事中は部屋を空にしないといけませんか
A. 完全に空にする必要はありませんが、家具は部屋の中央に寄せるか別室へ移すことになります。業者に移動を頼む場合の費用は一式5,000円〜、1部屋3,000〜10,000円程度が目安で、大型家具は10,000〜15,000円という目安を示す資料もあります(リフォームガイド、リフォトル、くらしのマーケットマガジン)。自分で移動できるものは事前に動かしておくと、そのぶん費用を抑えられます。ピアノや大型の食器棚など、破損リスクが高いものは無理をせず業者に任せてください。
Q. 賃貸の退去でクロス代を全額請求されました。払わないといけませんか
A. 国土交通省の原状回復ガイドラインは、クロスの耐用年数を6年とし、6年で残存価値1円になる考え方を示しています。同参考資料(令和5年3月)には、入居4年で「1-4/6=1/3(33.3%)」、耐用年数超過なら負担割合は1円(≒0%)という記載があります。また請求範囲も「毀損させた箇所を含む一面分まで」が妥当とされています。ただしガイドラインは法律ではなく、契約の特約内容によって扱いは変わります。納得できない場合は消費生活センター等への相談を検討してください。
Q. 壁紙の張り替えは何年ごとが目安ですか
A. 持ち家の張り替え周期について、明確な根拠を示した公的な統計は見つかりませんでした。参考になるのは賃貸の原状回復で用いられるクロスの耐用年数6年(国土交通省ガイドライン)ですが、これは減価償却の考え方であって「6年で使えなくなる」という意味ではありません。実際には、めくれ・継ぎ目の開き・変色・カビといった目に見える劣化が出たタイミングが判断の目安になります。日当たりや喫煙の有無、結露の程度によって大きく変わります。
まとめ
6畳の壁紙張り替え費用について、この記事の要点を整理します。
- 費用の目安は壁のみで3万〜7万円、壁+天井で4万〜9万円。サイトごとに数字がばらつくのは、天井の有無・開口部控除・剥がし処分費の扱いという前提が違うため
- 6畳=約10㎡ではない。張るのは壁と天井で、壁のみなら床面積の2.5〜3.0倍(リフォトル)、天井を含めると3.5〜4倍前後になる
- 同じ6畳でも京間と団地間では床面積が約2.27㎡違い、壁+天井では6㎡前後の差になる(CHINTAI情報局の畳寸法をもとに算出)
- 平米単価は量産品で約700〜1,300円、1000番台で約950〜1,800円。単価だけでなく「単価×数量」の合計で比べる
- 安い広告価格には剥がし・下地調整・処分費・養生・家具移動が含まれないことがある。下地調整は剥がすまで金額が確定しにくいので、追加単価を事前に書面で確認しておく
- 6畳1部屋だけの発注は、移動・養生・段取りなど面積に比例しない手間が同じだけかかるため割高になりやすい。複数部屋や床工事とまとめると効率が上がる
- DIYの差額は約3万円だが、下地の破損や天井の失敗でその分が消えることもある。壁1面から試すのが安全
- 賃貸の原状回復では、国交省ガイドラインがクロスの耐用年数を6年とし、経過年数に応じて借主負担が下がる考え方を示している。請求範囲も原則「毀損箇所を含む一面分まで」
クロス工事は、外壁や屋根と比べれば金額の小さい工事です。それだけに「だいたいこのくらいだろう」で契約してしまいがちですが、面積の前提が違うだけで見積額は2倍近く変わります。まずはメジャーで部屋の寸法と天井高を測り、自分なりの概算面積を持ったうえで見積書を読んでみてください。数量が書かれた見積書を2〜3社から取り、同じ条件で並べれば、価格の妥当性はかなりの精度で判断できます。
見積もりを取るときに使えるサービス
ここから先は広告を含みます。自分で業者を探す時間が取れない場合は、一括見積もりサービスを使う方法もあります。ただしこれらのサービスは加盟店からの掲載料で運営されているため、紹介されるのは「その仕組みに参加している会社」に限られます。地元の優良な塗装店が含まれていないこともあるため、あくまで候補を集める手段の一つとして使ってください。この記事で挙げたチェック項目は、サービス経由で集めた見積書にもそのまま使えます。

